Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

連載コラム

Entry 2023/07/28
Update

【短編映画無料配信】家族にまもられている|あらすじ感想評価レビュー。引きこもりの兄をめぐる家族の葛藤と深い絆を温かく描く《松田彰監督WEB映画12選 2023年8月》

  • Writer :
  • 谷川裕美子

「月イチ」企画の短編WEB映画第3弾『家族にまもられている』が無料配信中

『つどうものたち』(2019)、『異し日にて』(2014)、『お散歩』(2006)などの作品で数々の国内外の映画賞を受賞してきた松田彰による「月イチ」企画の短編WEB映画第8弾『家族にまもられている』が無料配信中です。

「月に1度のペースで映画を完成させて公開する」という大きなチャレンジに挑む意欲作です。ハンバーガーをひとつ食べ終われる程度の尺で、生活の隙間でクスリと笑ってもらえる作品を届けたいという松田監督の思いから生み出されました。

引きこもりの兄と、彼を支える家族の絆を描く一作、2023年7月28日(金)より無料配信される短編映画『家族にまもられている』の魅力についてご紹介します。

【連載コラム】「松田彰監督WEB映画12選」記事一覧はこちら

松田彰監督のコメント

いろんな理由から、 出来たはずなのにやらなかった事のいろいろを思ったとき、 何とも言えないやりきれなさに襲われました。 出来たはずのいろいろは自分の頭の中だけで朽ちていくだけなのか ─。 そんな感情に襲われたとき、 人はその感情とどのように向き合うべきなのでしょうか。
いま思うことは、 今回の企画である 「月イチ」 とは、 まさに、 そのような自分への私なりの回答であったのではないかということ。

決めたことは、 月に1度のペースで映画を完成させて公開すること。 そのために、 すこしだけ無理をすること。
ただ、 それだけのことですが、 続けることの難しさは早々に分かるものです。
ですが、 そのような状況であるからこそ、 視聴者様からの反響が得られれば、 喜びもひとしおで、 やりきることの原動力をいただけるのではないかと期待もしています。

シリーズ全9本を予定し、 尺はハンバーガーをひとつ⾷べ終われる程度に押さえることで、 人を待つ間や通勤中の電⾞内など、 生活の隙間でクスリと笑っていただける作品を作ってお届けしたい。

どなた様でも無料でご視聴いただけますので、 お気軽にお楽しみいただければ幸いです。 また、 作品を気に入っていただけた方には、 口コミやSNS等で周囲に広めていただけると有り難いです。

映画『家族にまもられている』の作品情報

下記のWeb映画は無料にて配信中!

【公開】
2023年(日本映画)

【監督・脚本】
松田彰

【出演】
奈良平愛実、池内智士、森川凛子、竹内亜美、鈴木兵太郎、山谷とも子、酒井絹子

【作品概要】
数々の国内外の映画賞を受賞してきた松田彰監督による、月に一本製作する「月イチ」企画の短編WEB映画第8弾です。

兄がひきこもりであることに悩んでいた妹が、宝くじに高額当選したことをきっかけにある決心をするさまをドラマチックに描きます。

葛藤を抱える妹と兄を、奈良平愛実と池内智士が熱演しています。

映画『家族にまもられている』のあらすじ

引きこもりの兄・崇と母・佐恵子と暮らす葵。つらい思いをしながらも、家族で支え合ってきました。

そんななか、葵が宝くじに当選します。

葵は崇をリビングに呼び出し、ある決心を告げますが…。

映画『家族にまもられている』の感想と評価

現代で大きな社会問題となっている引きこもりをテーマに、当人を支える家族の苦労と決心を描いた作品です

主人公の葵は母と兄と暮らしています。兄は13年ものあいだ引きこもりで、今も母に養ってもらい、お小遣いまでもらっている状況です。葵もその生活にいつの間にか慣れてしまい、諦めとともに生きていました。

そんななか、宝くじが高額当選したことをきっかけに、とある思いが葵の心の中に芽生えます。彼女は包丁を手に兄を呼び出し、自身の強い決心を語り始めました。

引きこもりの家族を持つ苦しみと、家族ゆえの愛情。なんとかして家族みんなでこの状況から脱出したいという切実な思いが、葵の口から発されます。同じ思いに苦しんでいる世の中の多くの人たちの思いを代弁しているかのようです

そんな重いシーンを、松田監督はどこかブラックなユーモアを感じさせるライトなタッチで描きだしています

思いがけない方向へとストーリーは展開しますが、監督自身が「危ういけど、骨太でたくましい、家族の話。」と語っているように、”家族の絆”の強さを実感させられる救いの物語となっています。兄と妹の向かう次のステージが楽しみになる一作です。

まとめ

家族の絆を見つめた物語『家族にまもられている』。引きこもりの兄を重荷に感じながらも、見捨てることなく13年間も支え続けてきた妹と母。その葛藤とともに深い愛情が温かく描かれます

自分の手で違う明日を手に入れるのだという主人公の強い思いに胸を打たれることでしょう。

「月イチ」企画の短編WEB映画第8弾『家族にまもられている』は無料配信中です。

【連載コラム】「松田彰監督WEB映画12選」記事一覧はこちら

松田彰監督の短編映画WEB配信中



関連記事

連載コラム

『ウォリアーズ』ネタバレあらすじ感想と結末の評価解説。ウォルター・ヒルによるヤンキー映画/漫画のバイブル的作品|すべての映画はアクションから始まる32

連載コラム『すべての映画はアクションから始まる』第32回 日本公開を控える新作から、カルト的に評価された知る人ぞ知る旧作といったアクション映画を時おり網羅してピックアップする連載コラム『すべての映画は …

連載コラム

映画『氷がすべてを隔てても』ネタバレあらすじ評価と結末の感想解説。実話の極地探検から描く2人の男の‟絆と信頼”|Netflix映画おすすめ88

連載コラム「シネマダイバー推薦のNetflix映画おすすめ」第88回 映画『氷がすべてを隔てても』はアイスランド・デンマーク合作の事実に基づくサバイバルヒューマンドラマ作品。 1909年にデンマークが …

連載コラム

映画『海抜』あらすじ感想と評価レビュー。大学の卒業制作から生まれた力強い作品|銀幕の月光遊戯 51

連載コラム「銀幕の月光遊戯」第51回 2018年に開催された第31回東京国際映画祭「日本映画スプラッシュ部門」に、史上最年少の22歳で招待された高橋賢成監督の鮮烈なデビュー作品『海抜』が11月23日( …

連載コラム

映画『日本沈没』1973森谷版と2006樋口版の比較解説と考察。特撮の視点を踏まえ新旧の名作の違いとは|おすすめ新作・名作見比べてみた5

連載コラム「おすすめ新作・名作見比べてみた」第5回 公開中の新作映画から過去の名作まで、様々な映画を2本取り上げ見比べて行く連載コラム“おすすめ新作・名作を見比べてみた”。 第5回のテーマは小松左京・ …

連載コラム

前代未聞の究極ラブストーリー映画『羊とオオカミの恋と殺人』感想と主題歌解説|蟹江まりの映画ともしび研究部3

連載コラム「蟹江まりの映画ともしび研究部」第3回 こんにちは、蟹江まりです。 連載コラム「蟹江まりの映画ともしび研究部」の第3回目に取り上げるのは、2019年11月29日公開予定の『羊とオオカミの恋と …

【坂井真紀インタビュー】ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』女優という役の“描かれない部分”を想像し“元気”を届ける仕事
【川添野愛インタビュー】映画『忌怪島/きかいじま』
【光石研インタビュー】映画『逃げきれた夢』
映画『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』伊澤彩織インタビュー
映画『Sin Clock』窪塚洋介×牧賢治監督インタビュー
映画『レッドシューズ』朝比奈彩インタビュー
映画『あつい胸さわぎ』吉田美月喜インタビュー
映画『ONE PIECE FILM RED』谷口悟朗監督インタビュー
『シン・仮面ライダー』コラム / 仮面の男の名はシン
【連載コラム】光の国からシンは来る?
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
日本映画大学