「月イチ」企画の短編WEB映画第3弾『ミッドナイトチャレンジャー』が無料配信中
『つどうものたち』(2019)、『異し日にて』(2014)、『お散歩』(2006)などの作品で数々の国内外の映画賞を受賞してきた松田彰による「月イチ」企画の短編WEB映画第3弾『ミッドナイトチャレンジャー』が無料配信中です。
「月に1度のペースで映画を完成させて公開する」という大きなチャレンジに挑む意欲作です。ハンバーガーをひとつ食べ終われる程度の尺で、生活の隙間でクスリと笑ってもらえる作品を届けたいという松田監督の思いから生み出されました。
誰もが迎える巣立ちのとき。子どもが成長し親を離れるのと同時に、親もまた子離れのときを迎えます。
さまざまな楽しいことや忙しい毎日のなか、子どもはごく自然に新しい世界に飛び立っていけるのかもしれませんが、親は取り残されるように感じることが多いのではないでしょうか。
巣立つ子どもを目の前にした父親が、自身の生き方を見つめ直す姿を温かく描いた本作の魅力をご紹介します。
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CONTENTS
松田彰監督のコメント
いろんな理由から、 出来たはずなのにやらなかった事のいろいろを思ったとき、 何とも言えないやりきれなさに襲われました。 出来たはずのいろいろは自分の頭の中だけで朽ちていくだけなのか ─。 そんな感情に襲われたとき、 人はその感情とどのように向き合うべきなのでしょうか。
いま思うことは、 今回の企画である 「月イチ」 とは、 まさに、 そのような自分への私なりの回答であったのではないかということ。決めたことは、 月に1度のペースで映画を完成させて公開すること。 そのために、 すこしだけ無理をすること。
ただ、 それだけのことですが、 続けることの難しさは早々に分かるものです。
ですが、 そのような状況であるからこそ、 視聴者様からの反響が得られれば、 喜びもひとしおで、 やりきることの原動力をいただけるのではないかと期待もしています。シリーズ全9本を予定し、 尺はハンバーガーをひとつ⾷べ終われる程度に押さえることで、 人を待つ間や通勤中の電⾞内など、 生活の隙間でクスリと笑っていただける作品を作ってお届けしたい。
どなた様でも無料でご視聴いただけますので、 お気軽にお楽しみいただければ幸いです。 また、 作品を気に入っていただけた方には、 口コミやSNS等で周囲に広めていただけると有り難いです。
映画『ミッドナイトチャレンジャー』の作品情報
下記のWeb映画は無料にて配信中!
【公開】
2023年(日本映画)
【監督・脚本】
松田彰
【出演】
江連健司、堀岡愛、安倍香
【作品概要】
数々の国内外の映画賞を受賞してきた松田彰監督による、月に一本製作する「月イチ」企画の短編WEB映画第3弾です。
子どもが高校生となって親から離れていくことに気づいた父親が、自分の新たな生き方を模索する姿を静かな感動とともに映し出します。
出演は江連健司、堀岡愛、安倍香。
映画『ミッドナイトチャレンジャー』のあらすじ
高校生の息子は部活が忙しく、恒例の家族旅行に行けなくなりました。
今年からはふたりきりで行くことになるのかと寂しがる達夫とみさこ夫婦。
ある日、公園で青年たちがバスケをしているのを見かけた達夫は、ある挑戦を思い立ち…。
映画『ミッドナイトチャレンジャー』の感想と評価
新たな人生のステージを迎えた父親の物語
子どもが成長し、親離れ・子離れの時期を迎えた夫婦の物語です。松田彰監督いわく「ストレートすぎる話」ですが、主人公の達夫の気持ちが痛いほど伝わってきて胸にグッときます。
達夫とみさこの息子は高校生になり、部活が忙しく毎年一緒に行っていた家族旅行に行けなくなりました。これからは夫婦だけで過ごすようになるのかと、ふたりは寂しさをかみしめます。
変わらないように見えた日々が、いつの間にか突然姿を変えていることに気づく寂しさ。その日がもうすぐ来るとわかっていたのに、実は覚悟などできていなかったことにふたりは気づかされます。
穏やかな性格の達夫は、静かにひとつの挑戦を始めます。50歳を越えた彼が、まるで若い青年のように瞳を輝かせる姿に驚かされるに違いありません。
達夫は自分の人生が新たなステージに上がったことに気づいたのでしょう。「お父さん」として生きることを第一に考えてきた時代は過ぎ去ったのです。手探りで子離れを試みる夫を見て、妻のみさこも強い感銘を受けます。
松田監督はほんの10分ほどの小品に情報を詰めこむことをせず、行間を感じさせる一作に仕上げました。寡黙な主人公の達夫は多くを語りませんが、穏やかな表情と行動だけでさまざまな思いが伝わってきます。
達夫が挑戦そのものに熱くなり、自分の未来に希望を見出していくラストシーンに、心揺さぶられることでしょう。
まとめ
親と子の巣立ちのときを描く静かな物語『ミッドナイトチャレンジャー』。
卒業式や入学式などわかりやすい区切りもたくさんありますが、実際に本当に巣立ちの実感を抱くのは、本作で描かれるように日常が少し形を変えるときなのかもしれません。
もしそのときを迎えても、寂しがったり悲しんだりするだけではなく、主人公の達夫のように自身の新たな夢を追う生き方をしてみたいと思わされます。
大それた夢でなくてもいいのです。やってみたいこと、できるようになりたいことにすっと手を伸ばし、今までと違う自分に出会えることを楽しみにできたら幸せですね。
日常に浮かんでは消える、リアルな感情を掬い取る松田彰監督の魅力にはまり始めた方も多いのではないでしょうか。どうぞ次月作にもご期待ください。
「月イチ」企画の短編WEB映画第3弾『ミッドナイトチャレンジャー』は無料配信中です。