Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

連載コラム

Entry 2023/01/31
Update

【短編映画無料配信】決断せよ!|あらすじ感想評価レビュー。“恋人とはどんな存在なのか” 関係性のあり方を迫られた時…《松田彰監督WEB映画12選 2023年2月》

  • Writer :
  • 谷川裕美子

「月イチ」企画の短編WEB映画第2弾『決断せよ!』が無料配信中

『つどうものたち』(2019)、『異し日にて』(2014)、『お散歩』(2006)などの作品で数々の国内外の映画賞を受賞してきた松田彰による「月イチ」企画の短編WEB映画第2弾『決断せよ!』が無料配信中です。

「月に1度のペースで映画を完成させて公開する」という大きなチャレンジに挑む意欲作です。ハンバーガーをひとつ食べ終われる程度の尺で、生活の隙間でクスリと笑ってもらえる作品を届けたいという松田監督の思いから生み出されました。

30歳の誕生日を年下の恋人と祝ったヒロインが、翌朝大きな決断と向き合う姿を映し出します。

仲睦まじいカップルが選び取った未来とはどんなものだったのでしょうか。

ごく平凡な恋人同士の姿を鮮やかに切り取った本作の魅力をご紹介します。

【連載コラム】「松田彰監督WEB映画12選」記事一覧はこちら

松田彰監督のコメント

いろんな理由から、 出来たはずなのにやらなかった事のいろいろを思ったとき、 何とも言えないやりきれなさに襲われました。 出来たはずのいろいろは自分の頭の中だけで朽ちていくだけなのか ─。 そんな感情に襲われたとき、 人はその感情とどのように向き合うべきなのでしょうか。
いま思うことは、 今回の企画である 「月イチ」 とは、 まさに、 そのような自分への私なりの回答であったのではないかということ。

決めたことは、 月に1度のペースで映画を完成させて公開すること。 そのために、 すこしだけ無理をすること。
ただ、 それだけのことですが、 続けることの難しさは早々に分かるものです。
ですが、 そのような状況であるからこそ、 視聴者様からの反響が得られれば、 喜びもひとしおで、 やりきることの原動力をいただけるのではないかと期待もしています。

シリーズ全9本を予定し、 尺はハンバーガーをひとつ⾷べ終われる程度に押さえることで、 人を待つ間や通勤中の電⾞内など、 生活の隙間でクスリと笑っていただける作品を作ってお届けしたい。

どなた様でも無料でご視聴いただけますので、 お気軽にお楽しみいただければ幸いです。 また、 作品を気に入っていただけた方には、 口コミやSNS等で周囲に広めていただけると有り難いです。

映画『決断せよ!』の作品情報

下記のWeb映画は無料にて配信中!

【公開】
2023年(日本映画)

【監督・脚本】
松田彰

【出演】
竹内佳菜子、穂満佳佑

【作品概要】
数々の国内外の映画賞を受賞してきた松田彰監督による、月に一本製作する「月イチ」企画の短編WEB映画第2弾です。

30歳を迎えた女性と、彼女の5つ年下の彼氏が、大きな決断と向かい合う姿を描きます。男女の普遍の問題をシビアに映し出す作品です。

出演は竹内佳菜子、穂満佳佑。

映画『決断せよ!』のあらすじ

30歳の誕生日を5つ年下の恋人・光輝と祝った真帆。

翌朝、真帆は鮭をこんがりと焼いて朝食を用意します。

起きて来ない彼より先に食べ始めた彼女の携帯に、「真帆、決断せよ!」とメッセージが届き…。

映画『決断せよ!』の感想と評価

覚悟を決めた女の潔さ

一緒に誕生日を祝う仲睦まじい恋人同士の物語です。幸せいっぱいかと思いきや、次第に張りつめた空気に覆われていき、タイトル通り大きな決断を迫られていくふたりの姿が描かれます。

三十路に入るという事実は、女性にとってはとても切実な問題です。誕生日を迎えた翌朝のヒロイン・真帆の顔は厳しく、それが年齢を重ねたことによるものなのか、それとも別の問題があるからなのかはじめははっきりしません。

起きた彼女はまず鮭を焼いて、朝食の支度をします。これは実は、戦闘を前にした彼女が用意した武装のひとつでした。

彼女は腰を据え、知恵を駆使しながら正々堂々と彼と向かい合います。

地に足がついている女に比べ、ともすればフワフワと空に飛んでいきそうになる男の姿が、シビアな視線で描かれる一作です。

ふたりは果たしてどんな決断をするのでしょうか。その行方を、ハラハラしながら見守ってください。

最後にクスリと笑わせる仕掛けがあるのでどうぞお楽しみに。

まとめ

ごく普通のカップルがお互いの将来のために、大きな決断をする過程を描いたショートストーリー『決断せよ!』。覚悟を決めた女性の強さと美しさに胸打たれます。

苦さと甘さが入り混じった成熟した恋の味を、思い出す方もいらっしゃるかもしれません。

大切な決断をする時には、恐れず堂々と立ち向かう強さが求められることを実感させられる作品です。

「月イチ」企画の短編WEB映画第2弾『決断せよ!』は無料配信中です。

【連載コラム】「松田彰監督WEB映画12選」記事一覧はこちら

松田彰監督の短編映画WEB配信中

関連記事

連載コラム

映画『ランブル』考察と評価感想。インディアンたちはアメリカと音楽界を“大地の鼓動”で揺さぶる|だからドキュメンタリー映画は面白い52

連載コラム『だからドキュメンタリー映画は面白い』第52回 彼らを抜きにして、ポピュラー音楽界の発展はなかったかもしれない──。 今回取り上げるのは、2020年8月7日(金)より渋谷ホワイトシネクイント …

連載コラム

映画『ゴジラ対メカゴジラ(1974)』感想と評価。人気怪獣と“爆発の中野”の誕生!|邦画特撮大全26

連載コラム「邦画特撮大全」第26章 今回取り上げる作品は『ゴジラ対メカゴジラ』(1974)です。 ゴジラ誕生20周年記念作品として本作は製作されました。本作は人気怪獣メカゴジラが初登場した映画です。 …

連載コラム

特撮映画『竹取物語』『帝都物語』の比較考察。バブル期80年末に見られた特徴とは|邦画特撮大全4

連載コラム「邦画特撮大全」第4章 来年2019年(平成31年)4月末、平成が終わりを迎えます。 それにあやかり、今回は平成の前・昭和末期に公開された2つの特撮映画『竹取物語』(1987)と『帝都物語』 …

連載コラム

映画『ダーク・スクール』ネタバレ感想。かわいい子役が女子高校生役で開花したゴシックホラーの魅力とは|未体験ゾーンの映画たち2019見破録2

連載コラム「未体験ゾーンの映画たち2019見破録」第2回 様々な理由から日本公開が見送られてしまう、傑作・怪作映画をスクリーンで体験できる劇場発の映画祭、「未体験ゾーンの映画たち」が2019年も実施さ …

連載コラム

【ネタバレ】シンウルトラマン|ゾフィーが“敵ゾーフィ”となった意味は?ゼットン/ザラブとの関係が暴露する“ウルトラマン愛ゆえの疑心”【光の国からシンは来る?13】

連載コラム『光の国からシンは来る?』第13回 1966年に放送され2021年現在まで人々に愛され続けてきた特撮テレビドラマ『空想特撮シリーズ ウルトラマン』(以下『ウルトラマン』)をリブートした「空想 …

【坂井真紀インタビュー】ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』女優という役の“描かれない部分”を想像し“元気”を届ける仕事
【川添野愛インタビュー】映画『忌怪島/きかいじま』
【光石研インタビュー】映画『逃げきれた夢』
映画『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』伊澤彩織インタビュー
映画『Sin Clock』窪塚洋介×牧賢治監督インタビュー
映画『レッドシューズ』朝比奈彩インタビュー
映画『あつい胸さわぎ』吉田美月喜インタビュー
映画『ONE PIECE FILM RED』谷口悟朗監督インタビュー
『シン・仮面ライダー』コラム / 仮面の男の名はシン
【連載コラム】光の国からシンは来る?
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
日本映画大学