大人気映画「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズ第1作目!
ゴア・ヴァービンスキーが監督を務めた、2003年製作のアメリカのアクションアドベンチャー映画『パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち』。
18世紀、冷酷な海賊キャプテン・ヘクター・バルボッサ率いるブラックパール号の海賊たちは、カリブ海の港町ポート・ロイヤルを襲撃。総督の娘を連れ去ります。
彼女と恋仲である鍛冶屋の青年ウィルは、ポート・ロイヤルにふらりと現れた海賊ジャック・スパロウと共に救出に向かうという物語とは、具体的にどんな内容だったのでしょうか。
映画『パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち』のネタバレあらすじと作品解説をご紹介いたします。
映画『パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち』の作品情報
(C)Disney/ Jerry Bruckheimer
【公開】
2003年(アメリカ映画)
【原作】
ディズニーランドの人気アトラクション「カリブの海賊」
【監督】
ゴア・ヴァービンスキー
【キャスト】
ジョニー・デップ、オーランド・ブルーム、キーラ・ナイトレイ、ジェフリー・ラッシュ、ジョナサン・プライス、ジャック・ダヴェンポート、リー・アレンバーグ、ブライ・クーパー、マッケンジー・クルック、デヴィッド・ベイリー、ケヴィン・R・マクナリー、トレヴァー・ゴダード、ゾーイ・サルダナ、アイザック・C・シングルトン・Jr、ラルフ・P・マーティン、ヴァネッサ・ブランチ、ダミアン・オヘア
【作品概要】
『ザ・リング』(2002)のゴア・ヴァービンスキーが監督を務めた、アメリカのアクションアドベンチャー作品。
本作はディズニーランドの人気アトラクション「カリブの海賊」をベースに、アメリカの脚本家テッド・エリオットとテリー・ロッシオ、オーストラリアの脚本家スチュアート・ビーティー、アメリカのテレビプロデューサー兼脚本家のジェイ・ウォルパートが脚本を手掛けた作品です。
『シザーハンズ』(1990)のジョニー・デップが主演を務めています。
作中では一部グロテスクな表現があるため、ディズニー映画で初めて全米映画協会にPG-13(13歳未満の子供の観賞については、保護者の厳重な注意が必要)指定されました。
映画『パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち』のあらすじとネタバレ
(C)Disney/ Jerry Bruckheimer
18世紀、カリブ海の港町ポート・ロイヤル。イギリス帝国のポート・ロイヤル総督のウェザビー・スワンの娘エリザベスは、父の勧めでイギリス帝国海軍のジェームズ・ノリントン提督と結婚することになっていました。
しかしエリザベスには、密かに想いを寄せている男性がいました。子供の頃に漂流していたところを救助された少年ウィル・ターナーです。
青年となったウィルはポート・ロイヤルの鍛冶職人として働いており、エリザベスの屋敷によく出入りしていました。
ウィルもまた、エリザベスに恋心を抱いていましたが、身分の違いから互いに相手への想いを口に出すことは出来ませんでした。
そんなある日、1人の海賊がポート・ロイヤルに現れます。彼の名前はジャック・スパロウ。海賊として生きるために必要な新しい船を、イギリス帝国海軍から頂戴しようとやって来たのです。
その時、ポート・ロイヤルの砦ではノリントンが提督になったことを祝した式典が行われており、エリザベスはノリントンからプロポーズされました。
しかしその最中、エリザベスはコルセットが苦しすぎて気を失い、砦から海へと落下。それを偶然近くで見かけたジャックに無事救助されました。
ノリントンはジャックが海賊だと知ると、彼に手枷をはめて投獄しようとします。海賊を討伐する職責を負っているノリントンは、平和を乱す海賊を疎ましく思っていたからです。
窮地に陥ったジャックは、今度はエリザベスを人質に取ってノリントンを脅し、押収された所持品を回収して逃亡。
鍛冶屋で鉢合わせたウィルとの戦いに夢中になるあまり、鍛冶屋の親方が酒瓶を持って背後に忍び寄っていたことに気づかず、後頭部を殴られ昏倒。駆けつけたノリントンによって投獄されてしまいました。
その日の夜。ポート・ロイヤルに突如伝説の海賊船「ブラック・パール号」が現れ、その船長であるキャプテン・ヘクター・バルボッサ率いる海賊たちは街を襲撃。
スワン家の屋敷に押し入ったバルボッサの手下ラゲッティとピンテルは、エリザベスが持っている黄金の金貨が自分たちを呼んでいると、彼女に言います。
その金貨は元々、ウィルが漂流から救助された時に持っていたものでした。海賊たちの狙いが金貨だと知ったエリザベスは、「パーレイ」と叫びます。
パーレイとは、それを口にした者が敵の船長と交渉できるという海賊の掟のことで、その交渉中は敵側の海賊は手出しできません。
そのため、ラゲッティたちは渋々エリザベスをブラックパール号へ連れて行きます。
ブラックパール号に乗船してすぐに、エリザベスは、この金貨をあげるかわりにポート・ロイヤルから即時退却するよう、バルボッサに要求しました。
バルボッサはこれを承諾し、手下たちに退却を命じました。しかし2人の交渉には「エリザベスを無事に帰す」という条件は含まれていないため、バルボッサたちはエリザベスを解放することなくポート・ロイヤルから立ち去りました。
以下、『パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち』ネタバレ・結末の記載がございます。『パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。
(C)Disney/ Jerry Bruckheimer
翌日。ウィルはウェザビーやノリントンたちにエリザベスの救出しに行こうと進言するも、肝心のブラックパール号の所在が分からなければ話にならないと言われてしまいます。
そこでウィルは、ブラックパール号のことを知っているジャックに、「脱獄させてやるから、エリザベスがいるブラックパール号まで連れていけ」と取引を持ち掛けることにしました。
ジャックはこれを承諾し、取引は成立。カリブ海最強といわれている、イギリス帝国海軍の軍艦「ドーントレス号」をたった2人で強奪します。
ですがそれは、本当の狙いであるイギリス帝国海軍最速の船「インターセプター号」を奪うための作戦でしかなく、ノリントンたちはまんまと罠に嵌められてしまいました。
ジャックたちはインターセプター号を操り、危険で騒がしく、酒と女で溢れた海賊にとって天国のような場所、カリブ海北部のハイチ島「トルトゥーガ」へ。
そこで元イギリス帝国海軍の軍人でジャックの右腕的存在である航海士のジョシャミー・ギブスをはじめ、舌を抜かれて話せない老いた海賊のコットンと彼の代わりに話すオウム、男勝りの女海賊アナマリア、小柄な海賊マーティら乗組員を集めました。
そしてジャックたちは、ジャックが持つ北を指さないコンパスを頼りに、「死の島」と呼ばれるイスラ・デ・ムエルタへ向かいます。
その道中、ウィルは自分が海賊の息子であること、ジャックが仲間の一等航海士だったバルボッサに騙され、無人島に1人置き去りにされてしまった元ブラックパール号の船長であることを知りました。
(C)Disney/ Jerry Bruckheimer
一方エリザベスは、バルボッサから金貨にまつわる話を聞きました。エリザベスが海賊のメダルだと思っている金貨は「アステカの金貨」と呼ばれ、全く同じ金貨が882枚、征服者コルテスの元に、アステカの人々から石櫃で贈られたものでした。
アステカの人々はそれで虐殺をやめて欲しいと願いましたが、コルテスが欲深かったため、アステカの神々は金貨に恐ろしい呪いをかけました。
たとえ1枚でも石櫃から金貨を持ち出した者には全て、終わりなき罰を与えると。最初こそバルボッサたちのこの話を信じちゃいませんでしたが、場所を知る者にしか見つからない「死の島」に眠る宝には興味が湧きました。
バルボッサたちは「死の島」の場所を見つけ出し、石櫃に入っていた金貨を全て奪いました。そして酒や食い物、女遊びなどに金貨を湯水のように使いました。
そうして使ううちに、バルボッサたちにある変化が起きました。いくら酒を飲んでも酔わない、食い物は舌の上で灰となり、どんなに美しい女を抱いても心が癒されなくなってしまったのです。
バルボッサたちは欲に駆られた末に、欲に満たされない呪いがかけられてしまいました。その呪いを解く方法が1つだけあります。
それは世にばら撒いたアステカの金貨を全て石櫃に戻し、償いの血を注ぐことです。そしてエリザベスが持っていた金貨が、その最後の1枚でした。
それを知ったエリザベスはバルボッサを殺し、ブラックパール号からの脱出を試みます。しかし、月の光で暴かれたバルボッサたちの真の姿を目の当たりにして、奥の船室に逃げ込むしかありませんでした。
アステカの金貨の呪いにかけられたバルボッサたちは、最早この世のものではありません。けれども、バルボッサたちは死ぬことも許されず、どんなに心身ともに渇きを感じても死ぬこともできない不死身の体となったのです。
先に死の島に到着したバルボッサとその一味は、一刻も早く呪いを解こうと、エリザベスの血をつけた金貨を石櫃に戻しましたが、何も起きません。
それもそのはず、本当の持ち主はエリザベスではなく「靴ひものビル」ことウィルの父親ビル・ターナーであり、彼が息子に贈ったものだからです。
バルボッサ一味がそれに気づけなかったのは、エリザベスが「ターナー」と名前を偽っていたからでした。それを知ったバルボッサ一味はエリザベスを殺そうとします。
ウィルはバルボッサ一味が揉めている隙を突いて、エリザベスを救出。先にギブスたちが待つインターセプター号に戻ります。
ジャックはバルボッサ一味の前に躍り出て、自分の指示に従わずオールで殴ったウィルへの仕返しとして、バルボッサに呪いを解くのは彼の血が必要だと伝えました。
バルボッサ一味は何としてでもウィルを捕まえるべく、ジャックの指示に従いインターセプター号を追跡。追い詰められたギブスたちは、ウィルとエリザベスの指示に従い、彼らと戦う覚悟を決めます。
ウィル・バルボッサ・エリザベスの号令により、彼らの戦いの火蓋は切って落とされました。
激しい海戦の末、インターセプター号は沈み、ウィルたち全員捕まってしまいました。どさくさに紛れて牢屋から抜け出したジャックもです。
ウィルは自らバルボッサ一味にビルの一人息子であることを明かし、エリザベスの解放と、乗組員に危害を加えないことを約束しろと要求しました。
バルボッサはこれを承諾しましたが、エリザベスとジャックの2人を無人島に置き去りにします。
ですがその翌日、無人島に隠された密造酒や木箱や樽を全部燃やそうというエリザベスの機転により、イギリス帝国海軍が救出に現れたのです。
エリザベスはウィルを助けるために、ノリントンに結婚の話を持ち出し、死の島を攻撃するよう説得しました。
一方ウィルは、ラゲッティとピンテルから父について話を聞きました。バルボッサ一味がジャックを裏切り反乱を起こしたことに、ビルは「海賊の掟に背く行為だ」と言ってずっと反対していました。
ビルはバルボッサ一味と共にコルテスの宝を浪費したものの、ジャックへの義理を果たすため、バルボッサ一味と自分は裏切った報いとして呪いにかかったままでいるべきだと考え、金貨1枚をイギリスにいる息子の元へ送りました。
その結果、ビルはバルボッサによって靴ひもに砲弾を括りつけられ、悪霊たちが住むという真っ暗な海の底へと沈められたのです。
しかしその後で、バルボッサ一味は呪いを解くには、皮肉にも自分たちが殺した彼の血も必要であることに気づきました。
(C)Disney/ Jerry Bruckheimer
死の島に戻ったバルボッサ一味は、ウィルを連れて今度こそ呪いを解こうとしました。するとそこへジャックが現れ、バルボッサにドーントレス号に乗ったイギリス帝国海軍が外で待ち伏せしていることを知らせます。
バルボッサはジャックが持ちかけた取引に承諾し、呪いを解く前にイギリス帝国海軍を全滅させるべく、手下の多くをドーントレス号の元へ向かわせました。
その隙を突いてジャックとウィルは、バルボッサと残った手下たちに戦いを挑みます。バルボッサはジャックを打ち負かし、彼の体を剣で貫きましたが殺せませんでした。
何故ならバルボッサとの取引の最中、ジャックは彼の目を盗んで石櫃から金貨を1枚盗んでいたからです。
バルボッサはこれに激怒し、自分と同じ不死身となったジャックに襲い掛かります。一方、エリザベスはドーントレス号から抜け出し、ブラックパール号にいるギブスたちにウィル救出を手伝って欲しいとお願いしました。
しかしギブスたちは「いくら待っても来ない奴は置いていく」という海賊の掟に縛られており、ジャックのこともウィルのことも助け出すこともできないというのです。
そんなギブスたちにしびれを切らしたエリザベスは、1人でウィルの救出に向かいます。そしてウィルと協力して、彼が戦っていたバルボッサの手下3人をまとめて串刺しにし、真ん中にいる手下の腹に爆弾を仕込んで撃退しました。
バルボッサとの一騎打ちの末、ジャックは10年間大事にとっておいた1発の銃弾をバルボッサの左胸にぶち込みました。
それと同時に、ウィルが血を1滴、2枚の金貨に注いだことで呪いが解かれ、バルボッサは倒れました。
そして、イギリス帝国海軍と激戦を繰り広げていたバルボッサの手下たちも、呪いが解けたことで戦意を喪失して降参しました。
後日。イギリス帝国海軍に囚われたジャックは絞首刑にされかけますが、ウィルとエリザベスの機転で助かりました。
ですが砦から脱走する前に、ジャックとウィルはノリントンたちに取り囲まれてしまいます。
海賊を助け運命を共にするつもりかとノリントンたちに問われると、ウィルは「ジャックはいい奴だ。たとえこのまま彼と一緒に処刑されることになっても本望です」、「何といわれようとも、僕は彼の味方だ」と答えました。
その言葉にエリザベスも賛同します。見つめ合い寄り添うウィルとエリザベスの関係にノリントンたちが戸惑う中、ジャックは砦からわざと飛び降り、迎えに来たブラックパール号まで泳いでいきました。
それを見たウェザビーから、「稀ではあるが、正義を貫くために海賊の助けが必要なこともある。ならば時に海賊も正義となりうるのだろう」と諭され、ノリントンはウィルがジャックの脱走を手伝ったことだけでなく、エリザベスとの結婚も許しました。
そしてウェザビーもまた、娘の意思を尊重し、ウィルとの結婚を許しました。ウィルとエリザベスは結ばれ、再びブラックパール号の船長に返り咲いたジャックは、ギブスたちと共に大海原へと旅立っていきました。
映画『パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち』の感想と評価
(C)Disney/ Jerry Bruckheimer
ジャックとウィルの運命的な出会い
海賊の息子ウィル・ターナーとイギリス帝国のポート・ロイヤル総督の娘エリザベス・スワンの出会いも運命的なものでしたが、ウィルと自由を愛する海賊のジャック・スパロウの出会いも運命的なものを感じます。
2人の出会いこそ最悪なものでしたが、物語の中盤からは互いに目的は違えど、エリザベスを連れ去ったバルボッサ一味と協力して戦っていました。
また物語のラストでは、ジャックはバルボッサ一味に囚われ殺されそうだったウィルを、ウィルは絞首刑に処されそうだったジャックを、危険を顧みずに助けに行っています。
そんな2人の友情に感動しますし、ウィルとジャックが出会ってすぐに剣を交えるアクション場面はとても格好良いです。
物語の鍵を握る「アステカの金貨」
(C)Disney/ Jerry Bruckheimer
バルボッサ一味がポート・ロイヤルを襲撃したのは、自分たちが昔海に突き落とした海賊「靴ひものビル」ことビル・ターナーの一人息子ウィルと、彼が父から貰ったアステカの金貨1枚を手に入れるためでした。
なぜならバルボッサ一味は10年前、反乱を起こしてジャックを船長の座から引きずり降ろした後、死の島に眠る宝「アステカの金貨」を持ち出したことで、死ぬこともできず心と体が満たされることもない恐ろしい呪いにかかってしまったからです。
呪いにかかったバルボッサ一味が月の光によって曝け出した本当の姿は、思わず悲鳴をあげそうになるぐらいに怖いものでした。
そして、最初は呪いなんて信じていなかったバルボッサ一味も、結局のところコルテスと同じ欲深い人間でした。
海賊の掟を破ったり、持ち出してはダメだといわれてるアステカの金貨を湯水のように使ったりしたバルボッサ一味が、呪いにかかって不死身となってしまったのは当然の報いでしょう。
まとめ
(C)Disney/ Jerry Bruckheimer
海賊の息子であることを知らない鍛冶職人の青年が、愛する総督の娘を救い出すべく、自由を愛する海賊と手を組み大海原へと旅立つ、アメリカのアクションアドベンチャー作品でした。
本作の見どころは、これから長きにわたる付き合いとなっていくジャック、ウィル、エリザベスという3人の出会い、ウィルとエリザベスの身分の差を越えた愛、そしてジャックたちとバルボッサ一味による激闘の数々です。
エンドロール後、バルボッサの飼っているシロガオオマキザルのジャックがアステカの金貨を盗み、再び不死身の猿になった姿が描かれていました。
彼はバルボッサに忠実な猿であり、彼はアステカの金貨を2枚手にしていました。なのでもう1枚は、ジャックによって殺されたバルボッサを蘇らせるためのものではないかと考察できます。
また、ウィルにアステカの金貨を贈った「靴ひものビル」ことビル・ターナーですが、バルボッサ一味と同じく呪いにかかっているのだとしたら、海に落とされてもなお生きているのではないでしょうか。
ジョニー・デップが自由を愛する海賊ジャック・スパロウを演じる、続編への伏線ありのアクションアドベンチャー映画が観たい人に、とてもオススメな作品です。