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Entry 2022/11/30
Update

【ネタバレ】ウェンズデー シーズン1|あらすじ結末感想と考察評価。犯人“ハイド”の正体は?Netflixでティム・バートンが描くファン必見作【SF恐怖映画という名の観覧車169】

  • Writer :
  • 糸魚川悟

連載コラム「SF恐怖映画という名の観覧車」profile169

趣味や嗜好が悪趣味かつ不謹慎であり、なおかつそれらを隠そうともしないことで周囲から奇異の眼差しを向けられる家族。

その性格は少し一般の感覚からズレてはいるものの、実は他人思いの優しい家族であり、そのギャップと不思議な世界観が話題に。映画やドラマ、アニメシリーズに至るまで長く愛され続けている「アダムス・ファミリー」シリーズ。

Netflix『ウェンズデー シーズン1』(2022)は、そんなアダムス・ファミリーの長女ウェンズデーを主人公にしたドラマシリーズであり、『チャーリーとチョコレート工場』(2005)などで知られるティム・バートンが総監督を務めています。

今回は、『ウェンズデー シーズン1』をネタバレあらすじを含めご紹介させていただきます。

【連載コラム】『SF恐怖映画という名の観覧車』記事一覧はこちら

ドラマ『ウェンズデー シーズン1』の作品情報

【配信】
2022年11月23日(Netflix独占)

【原題】
Wednesday

【総監督】
ティム・バートン

【キャスト】
ジェナ・オルテガ、グウェンドリン・クリスティー、リキ・リンドホーム、ジェイミー・マクシェーン、ハンター・ドゥーハン、パーシー・ハインズ・ホワイト、エマ・マイヤーズ、ジョイ・サンデー、ジョージー・ファーマー、クリスティーナ・リッチ、ムーサ・モスタファ

【作品概要】
雑誌「ザ・ニューヨーカー」に1937年から連載されたチャールズ・アダムスによる1コマ漫画『アダムス・ファミリー』の登場人物の一人、ウェンズデー・アダムスを主人公としたスピンオフドラマ。

『ビートルジュース』(1988)や『チャーリーとチョコレート工場』(2005)を手がけたティム・バートンが総監督を務め、『ザ・ベビーシッター キラークイーン』(2020)で主要キャストを務めたジェナ・オルテガが主人公のウェンズデーを演じました。

ドラマ『ウェンズデー シーズン1』のあらすじとネタバレ

高校に通っていたウェンズデーは、弟のパグズリーをいじめた男子生徒の泳ぐプールにピラニアを放ったことで退学を言い渡されます。

その後ウェンズデーは、母モーティシアと父ゴメズの母校である「ネヴァーモア学園」へ転入することに。学長ラリッサの許可のもと、植物学教師マリリンが寮母を務めるオフィーリア寮に入寮することになります。

ルームメイトとなるイーニッドから「学園内では吸血鬼、狼、セイレーン、ゴルゴンの4つの派閥が存在する」と聞かされたウェンズデーでしたが、学園自体に興味を示さず、学園からの脱出をモーティシアに宣言。

一方、学園付近の森ではキャンパーが何者かにバラバラにされて殺される事件が多発しており、警察は学園との関連を疑っていました。

ある日、フェンシングで圧倒的な実力を誇るセイレーンのビアンカに勝負を挑んだウェンズデーでしたが、ビアンカの強さに敗北を喫してしまいます。

寮への帰り道、ウェンズデーの頭上に像が落下し潰される寸前に、幼馴染のゼイヴィアがウェンズデーを救出。

その後は裁判所の命令で、ジェリコの街にある精神科医キンボットのもとでセラピーを受けるウェンズデーでしたが、セラピーを抜け出します。

ゴメズの命令でウェンズデーを尾行していた「手」のハンドを懐柔すると、ウェンズデーはカフェの店員タイラーと知り合い、街の外までの運転を頼みます。

しかし、学園の生徒を嫌う青年たちに絡まれたことで、セラピーを抜け出したことをラリッサに気づかれてしまい、学園へと戻されてしまいます。

ウェンズデーはイーニッドが人狼でありながら変身できないことを聞かされますが、孤独を苦にしないウェンズデーには彼女の痛みは分かりませんでした。

収穫祭の夜、ウェンズデーは幻視の能力を使って落ちこぼれの生徒ローワンの危機を知ります。

タイラーの静止を振り払い、一人森の奥へと歩いていくローワンを引き止めたウェンズデーでしたが、ローワンはサイコキネシスの能力でウェンズデーを襲います。

ローワンの母親は予知能力者であり、死の間際に学園の崩壊がウェンズデーによって引き起こされると予知しており、ローワンは学園を守るためにウェンズデーを殺害しようとします。

しかし、突如現れた巨大な”怪物”によってローワンは襲われ、ウェンズデーの前で殺されてしまいました。

ウェンズデーはローワンの死を通報。保安官であるタイラーの父ドノバン・ガルピンは、ローワンを捜索しますが、死体の発見には至りませんでした。

ドノバンは「のけ者」である学園の生徒を信頼してはいませんでしたが、続くバラバラ殺人事件に”怪物”が関わっていることは感じとっていました。ところが、ウェンズデーの前に死んだはずのローワンが現れ、ウェンズデーの訴えは退けられます。

学園を去るため駅に向かうローワンをハンドは尾行しますが、ローワンは実は姿を変えたラリッサであり、ハンドは尾行をまかれてしまいました。

森の中でタイラーと会ったウェンズデーはローワンの持ち物を見つけ、幻視によって彼が彫像を落としウェンズデーを殺害しようとしたこと、間違いなくローワンが死んだことを確信します。

夜、幻視で見たローワンの母親による預言書を探すウェンズデーは、学園内に散りばめられた暗号を解き明かし、秘密の地下室を発見。そこには彼女の探していたローワンの預言書がありましたが、預言書を確保したウェンズデーは何者かに拉致されてしまいます。

ウェンズデーを攫ったのは、ビアンカも所属するエリート用の秘密組織「ベラドンナ・クラブ」でした。しかし、ウェンズデーはベラドンナ・クラブ自体には興味がなく、拘束を自ら解くと預言書を持ち地下を去ります。

学園と街との交流を兼ねたボランティアのために、ジェリコでの行動を許可されたウェンズデーは街の開拓者である「クラックストーン」と、その開拓の歴史を模したアミューズメント施設「ピルグリム・ワールド」への派遣を希望します。

ラリッサはウォーカー町長に多額の寄付を行い、ジェリコの街はその寄付によって成り立っているため、ウォーカーは学園の生徒の行動を強く咎めることが出来ませんでした。

クラックストーンの歴史室で、ウェンズデーは幻視で見た少女が1625年に描かれた絵画に存在していることを知ります。

また1600年代に使われていた集会場を訪れると、幻視で見た少女が「グッティ・アダムス」という名前であり、魔女としてクラックストーンによって殺害された「のけ者」の生き残りであり、自身の先祖でもあることが分かります。

ローワンを襲った”怪物”を見かけたウェンズデーはその足跡を調べると、”怪物”の足跡が途中から人間の足跡へ変わっていることに気づき、正体が”怪物”に変化できる人間であると確信。

ウェンズデーを追いかけて来たゼイヴィアは、彼女の言うローワン死亡説を疑っていましたが、ローワンからのメールの返信に不自然な点を感じとり、彼女の言葉が真実ではと信じ始めます。

クラックストーンの真実を知るウェンズデーは、記念祭の式典の時間にクラックストーンの像を燃やします。街からの抗議が相次ぎラリッサは激怒しますが、ウェンズデーはクラックストーンが「のけ者」を惨殺した過去を理由に、頭を下げることはありませんでした。

ラリッサはその真実を知りながらも、人間と「のけ者」の関係性に希望を持ち続けており、ウェンズデーの意見とは完全に分かれていました。

死体安置所に侵入したウェンズデーは、“怪物”によって殺害された新たな被害者の遺体を観察。被害者の遺体は、左足の指をノコギリで切り落とされていました。

また全ての被害者の写真を集めたウェンズデーは、被害者全員がそれぞれ異なる部位を切り取られていることに気づきます。

翌日、ウェンズデーはゼイヴィアを尾行し、ゼイヴィアが隠していた”怪物”を描いた絵が大量に飾られているアトリエを発見。ウェンズデーはアトリエ内の絵の背景と一致する場所を養蜂部のユージーンを教わると、その場所が森の奥にある洞窟であることがわかります。

洞窟は怪物の巣であることが明白であり、ウェンズデーは巣から採取した爪を最大の容疑者であるゼイヴィアの血とDNA鑑定しようと目論みます。しかし、その動向をゼイヴィアに気どられ、ゼイヴィアは怪物を直に見たことはなく、夢で見たとウェンズデーに弁解します。

ウェンズデーはその日の夜にゼイヴィアが動くと予見し巣の見張りを考えますが、ハンドがウェンズデーに無許可でタイラーをダンスパーティ「レイヴン」に誘っており、ウェンズデーはレイヴンに参加することになってしまいました。

一方、ウェンズデーに内緒で一人で巣を見張るユージーンは、巣穴を爆破する人影を目撃していました。

ウォーカーの息子であり、「のけ者」を迫害するルーカスがレイヴン中の会場内にスプリンクラーを霧散させると、会場内はパニックとなり、人とぶつかったウェンズデーはユージーンの危機を幻視します。

森へと走りユージーンを探すウェンズデーは、ユージーンの声がした方へと駆け寄りますが、そこにはすでに襲われたユージーンが横たわっていました。

数日後、「保護者の日」にゴメズとモーティシアは学園を訪れます。ユージーンは命こそ落とさなかったものの昏睡状態であり、ウェンズデーは責任を感じていました。

一方、検視官が突如自殺し、数日前に彼と話していたドノバンは彼の自殺に疑問を抱きます。検視官は30年以上前に死亡したギャレット・ゲイツの検視を担当しており、ドノバンは遺書を証拠に、当時の最有力容疑者であったゴメズを逮捕します。

刑務所に収監されたゴメズと面会するウェンズデーは、ギャレットが地元の富豪アンセル・ゲイツの息子であり、モーティシアのストーカーだったことを知ります。

ギャレットはモーティシアがゴメズと付き合っていることに逆上。彼に襲われたゴメズは、学園の屋上で正当防衛の形で死なせてしまったと聞かされたウェンズデーは、筋が通っていることから一応の納得をします。

30年以上前の事件を理由に検視官が自殺した不自然さから、ウェンズデーはドノバンに“怪物”の事件とのつながりを訴えますが、「のけ者」を毛嫌いするドノバンは彼女の訴えに耳を貸しませんでした。

モーティシアによるギャレット死亡時の証言を聞いたウェンズデー。ギャレットの死には「別の死因」があったことを見抜き、墓地を掘り起こしギャレットの死体から「ベラドンナ」の成分を発見します。

ギャレットの父アンセルが学園に在籍する「のけ者」全員の殺害のために持たせたベラドンナの毒瓶が、ゴメズとの揉み合いで割れ死亡したという幻視を裏付けとし、当時の保安官であり事件の隠蔽を行ったウォーカーを問い詰めたウェンズデーとモーティシアは、秘密を守る代わりにゴメズの解放を要求します。

真相を知ったドノバンはゴメズに解放し謝罪し、入寮時はモーティシアを毛嫌いしていたウェンズデーはモーティシアと仲直りします。

保護者の日が終わり、家族と別れたウェンズデーはモーティシアから受け取った卒業アルバムから、ラリッサが擬態能力者であることを知ります。

ローワンの死の翌日にローワンとして登校したのは、ラリッサであると確信したウェンズデーは彼女と対峙。しかし、そのタイミングで中庭に何物かの手によって火が放たれ「炎の雨が降る」という字が残されました。

匿名の人間に霊廟に呼び出されたウェンズデーは、イーニッドとともに霊廟に向かいます。そこにはゼイヴィアたちが待ち構えており、誕生日のサプライズパーティを用意していました。

パーティ嫌いなウェンズデーは呆れ返るばかりでしたが、霊廟内で触れた「炎の雨が降る」と刻まれた大石に触れると幻視が始まり、グッディが現れ詳細を知るための場所を教えます。

幻視で見た柵の場所を探すウェンズデーはゼイヴィアのアトリエを訪ねると、同じ柵を描いた絵を見せられます。ゼイヴィアは「柵はギャレットの実家であるゲイツ邸のもの」とウェンズデーに言います。

ルーカスと会うビアンカは、ルーカスが「のけ者」に対して行ったさまざまな嫌がらせを反省していることを知ります。

一方、ギャレットの死亡後に家族全員を立て続けに失い、今はもう誰もいないゲイツ邸を訪ねて柵を見つけたウェンズデーは、家から出てくるウォーカーを見つけ彼の車に隠れて乗ります。

ウォーカーはドノバンに「黒幕を突き止めた」と電話し、彼の待つカフェへと向かいますが、車から降りた途端に青い車に轢かれました。

ドノバンは車に隠れ潜んでいたウェンズデーを取り調べますが、ゲイツ邸とのつながりを疑うウェンズデーに呆れ、彼女を帰します。

ラリッサによって外出禁止令が出る中、ウェンズデーはラリーとイーニッドを騙し、ウォーカーが何かを掴んだゲイツ邸への捜索を開始。

無人のはずのゲイツ邸には、綺麗にベッドメイクされたアンセルの娘ローレルの部屋や、使われたばかりの祭壇がありました。

するとゲイツ邸の中に“怪物”が現れ、タイラーが襲われます。ウェンズデーとイーニッドは地下室に逃げ込みます。

地下室には青い車や被害者の遺体の一部があり、家を抜け出したウェンズデーはタイラーを救うために引き返すと、そこにゼイヴィアが現れます。

傷ついたタイラーを連れて彼の家に逃げ込んだウェンズデーは、ドノバンにゲイツ邸で見たものの全てを伝えますが、ウェンズデーとドノバンが再び訪れると全ての証拠品が綺麗に失われていました。

ウェンズデーはドノバンに事件を調べることを禁止され、ラリッサに退学を促されます。

ラリッサにローワンの母親による預言書を見せたことで退学を免れたウェンズデーでしたが、イーニッドは彼女の行為に激怒し、一方的にルームメイトを解消します。

その日の夜、ウェンズデーは初めて「孤独」を不快に感じました。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『ウェンズデー シーズン1』のネタバレ・結末の記載がございます。『ウェンズデー シーズン1』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

意識不明の重体だったウォーカーの生命維持装置が何者かによって外され、ウォーカーは死亡します。ウェンズデーは葬儀の参列者の中に犯人がいることを確信していました。

葬儀の最中、ウェンズデーは自分を尾行する叔父フェスターと再会し、フェスターはウェンズデーの捜査に協力します。

ベラドンナクラブでゼイヴィアと会ったウェンズデーは、彼が“怪物”と遭遇する場所に必ず現れる不信感をぶつけると、ゼイヴィアは明らかに気分を害し去っていきました。

フェスターによるゴメズやモーティシアとの思い出を手がかりに、ベラドンナクラブ内の秘密金庫に辿り着いたウェンズデーは、金庫内に日記を発見。

日記には、“怪物”とは“ハイド”と呼ばれる二重人格の一種であり、休眠状態の“怪物”を解放した人間は主従関係を手にすると記されていました。

ウェンズデーは日記の内容から犯人が“ハイド”と主人の2人であることを知り、“ハイド”容疑者の筆頭であるゼイヴィアを尾行します。

ゼイヴィアはキンボットと密会しており、ウェンズデーは“ハイド”である自覚のないゼイヴィアをキンボットが催眠によって解放し操っているのではと考えます。

夜、タイラーに霊廟でのデートに誘われたウェンズデーは、彼に傷を負わせてしまった負い目から霊廟に足を運びます。タイラーから想いを伝えられたウェンズデーは彼を受け入れようとしますが、そこにドノバンが現れたためウェンズデーは部屋へと戻ることに。

すると部屋は日記を中心にバラバラにされており、日記を守っていたハンドは何者かに刺されていました。フェスターによる治療でハンドは一命を取り留めますが、背後から襲われたハンドは、犯人の姿を目撃していませんでした。

ラリッサにハンドや日記のことを伝えるウェンズデーは、彼女が“ハイド”の存在を知っていることを見抜き詰問します。ラリッサは“ハイド”は30年前以上から学園に存在し、次々と人を殺めている危険な怪物であると言い、ウェンズデーに初めてさらなる調査と報告を命じます。

父を殺害されたルーカス、彼と交流するビアンカは独自の捜査で、ウォーカーが最後に調べていた人物が、すでに死んだとされているゲイツ家のローレルであると知ります。

その情報を聞いたウェンズデーは、ゲイツ邸の現在の所有者「テレサ・L・グロウ」が「ローレル・ゲイツ」のアナグラムであることを見抜きました。

ローレルこそが“ハイド”を操り人を殺害している人間であり、彼女の目的がゲイツ家を滅亡に追い込んだ「のけ者」に対する復讐であること、キンボットこそがローレルであることを推理したウェンズデー。キンボット本人に病院のICUにいたウォーカーの殺害が医師であるキンボットであれば容易であることなど、さまざまな証拠を突きつけます。

高学歴な精神科医が問題を抱えた田舎町に赴任した理由も腑に落ち、ウェンズデーはキンボットに“ハイド”はすぐに制御不能になると警告し、「時間切れね」と呟いて彼女の部屋を去ります。

焦るキンボットは奥の部屋に匿っていた“ハイド”に襲われ死亡。キンボットの死を聞いたウェンズデーは、決着をつけるためゼイヴィアのアトリエで彼を待ち受けます。

ゼイヴィアのアトリエに遺留品が数多く置かれていたことから、ウェンズデーはゼイヴィアを同行したドノバンに引き渡しますが、ゼイヴィアは最後まで“ハイド”であることを否定します。

部屋に戻ってきたイーニッドとの仲直りを済ませたウェンズデーは、タイラーの喫茶店を訪ね彼にキスします。

すると幻視が発動し、ウェンズデーはタイラーこそが“ハイド”であったことを知ってしまいます。取り乱したウェンズデーは喫茶店を飛び出していきました。

夜、タイラーを呼び出したウェンズデーは、ゼイヴィアを誤って捕まえてしまった後悔を話すと、タイラーもまた犯行可能な人間であったことを述べます。

一人ではなく複数人の学友を連れ待ち構えていたウェンズデーは、ビアンカの能力を使いタイラーを拘束すると、アトリエへと連れていきました。

ウェンズデーはタイラーの母親が“ハイド”であり、その素質が息子にも遺伝してしまった可能性を言うと、タイラーを拷問しようとします。

タイラーが否定し続けていることやウェンズデーの残忍さに耐えられないビアンカたちは、ラリッサに報告。ラリッサはドノバンに通報し、ウェンズデーは確保されてしまいます。

ウェンズデーは逮捕こそされませんでしたが、学園からの除籍を命じられます。警察署内でタイラーは、ウェンズデーに自身が“ハイド”であることや自分が勝利したことを告げます。

保安官たちの目を掻い潜って拘置所内のゼイヴィアと接触し、助けを求めるウェンズデーでしたが、ゼイヴィアは協力したのに裏切られたことを恨み、ウェンズデーを「災厄」と言い街を出るように求めます。

部屋の片付けを済ませたウェンズデーは、イーニッドからユージーンが目を覚ましたことを聞き彼の病室を訪ねると、ユージーンから“ハイド”の巣穴を破壊したのはキンボットではなく寮母のマリリンだと聞かされます。

ウェンズデーはタイラーを同行させ、マリリンへの自白を促します。マリリンは自身がローレルであることを認めた上でタイラーにウェンズデーを襲うように命令しますが、ウェンズデーが連れてきたタイラーは、擬態能力で変身したラリッサでした。

擬態を解いたラリッサはマリンンに投降を促します。しかしマリリンはラリッサにベラドンナの毒を注入し、ラリッサはウェンズデーの前で命を落とします。

ウェンズデーはマリリンに攫われます。ウェンズデーからの連絡が途絶えたユージーンは、イーニッドに連絡を取ります。

マリリンは自身がクラックストーンの家系であり、クラックストーンの蘇生のための生贄として、“ハイド”を利用し遺体を集めていたと語ります。クラックストーンはウェンズデーの先祖グッディにより殺害後に呪いをかけられており、復活のためにはウェンズデーの血が必要であることから、彼女を利用していたのです。

マリリンによる儀式によってクラックストーンは復活し、ウェンズデーはナイフで刺されます。命を落としかけるウェンズデーは、モーティシアからもらった首飾りが、霊体のグッディと融合するためのものだと知り、グッディと融合し傷を治します。

一方、イーニッドは交際を始めたエイジャックの紹介でベラドンナクラブの人間を集め、マリリンの企みとクラックストーンの復活という危機を伝えます。

学園に向かうウェンズデーは“ハイド”に変身するタイラーに行く手を阻まれますが、今まで獣人化することのできなかったイーニッドが獣人化し現れ、ハイドと激突します。

その頃、学園ではビアンカたちがセイレーンの能力を使い避難活動を進めていましたが、クラックストーンが学園に火を放ったことで学生たちはパニックに陥っていました。

傲慢なクラックストーンに愛想を尽かしたマリリンはその場を離れ、クラックストーンは学生を殺害しようとしますが、その場にウェンズデーとハンドによって解放されたゼイヴィアが現れ助けに入ります。

“ハイド”の相手をウェンズデーに託されたイーニッドは、“ハイド”を打ちのめし人間の姿に戻しますが、同時に大きな怪我を負いました。

ゼイヴィアに逃げ遅れた生徒の保護を任せたウェンズデーはクラックストーンに立ち向かい、援護に来たビアンカとともに心臓に剣を突き刺しクラックストーンを倒します。

すると、銃を持ったマリリンが現れてウェンズデーを殺害しようとしますが、ユージーンが放った蜂によってマリリンは悶え苦しみ、ウェンズデーによって捕獲されました。

全てが終わり、森から戻ってきたイーニッドと再会したウェンズデーは彼女を抱きしめました。

ラリッサの死によって来学期までの休校が決まり、各生徒は家へと帰っていきます。ゼイヴィアと和解したウェンズデーは、彼からスマートフォンをもらいました。

実家へと戻る車の中、ウェンズデーのもとに「お前を見ている」と書かれたメールが届きます。

いくつかの謎は残ったままであり、ローレルたちの裏にはさらなる黒幕が存在したのではないかと考えるウェンズデー。

街に残されたままの謎と学校の再開を、ウェンズデーは楽しみにしていました。

ドラマ『ウェンズデー シーズン1』の感想と評価

総監督とシリーズ方向性がマッチした異色ミステリードラマ

獣人や吸血鬼、魔女やセイレーンが人間と共存しているというファンタジーな世界観を持つ「アダムス・ファミリー」の世界。

「ハリーポッター」シリーズよりも少しダークな本ドラマシリーズを手がけたのは、『ビートルジュース』や『シザーハンズ』(1991)のティム・バートンであり、監督のセンスとシリーズの雰囲気のマッチ具合が世界観やセットに現れていました

作品の雰囲気を楽しむだけでも全8話を楽しめてしまうようなドラマですが、本作はミステリードラマとしても上質な出来であり、次々と起こる殺人事件と怪しすぎる登場人物が興味を引き立てます。

他者に邪険にされても意に介さず、どんどんと事件の中心まで食い込んでいくウェンズデーの探偵ぶりも爽快なドラマでした。

描かれるのは「差別」と「偏見」の物語

「アダムス・ファミリー」の物語の中心にはあるのは「差別」と「偏見」です。

不気味かつ悪趣味であることから悪い人間であるかのように見られていた一家ですが、その人間性に触れていく中で、登場人物は彼等の持つ心の優しさに気づくことになります。

家族の中でも特に感情表現の乏しいウェンズデーを主人公とした本作は、ウェンズデーが学園内でも異質な存在としての「偏見」を受ける一方で、彼女を偏見の眼差しで見る獣人や吸血鬼やセイレーンも町では「のけ者」と呼ばれ、「差別」を受けている様子が描かれています。

「偏見」が「差別」を生み、「差別」が終わることのない「復讐」を生んでしまう負の連鎖。

誰もが面倒事や争いを恐れて消極的な解決を選択してしまう状況に空気を読まないウェンズデーが踏み込んでいく、彼女の「偏見」に晒される特性が大きな武器となる様子に力をもらえる作品でした。

まとめ

バリー・ソネンフェルドによって制作された実写映画版『アダムス・ファミリー』(1992)への強いリスペクトが感じられるドラマ『ウェンズデー』。

本作には実写映画版でウェンズデーを演じたことで大きな人気を集めたクリスティーナ・リッチが、別役かつメインキャストとして参加しており、過去作ファンにも必見の作品となっています。

本作はミステリードラマとしても、「アダムス・ファミリー」としても、ティム・バートン作品としても、非常に高クオリティであり、スピンオフドラマという括りではありますが、初見の人にもぜひ観てほしいドラマです。



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