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Entry 2022/07/23
Update

『ブルーカラーエスパーズ』あらすじ感想と評価解説。キャストに加藤千尚や髙橋雄祐らを起用し日本を舞台にSF映画を巧みに仕立てる|2022SKIPシティ映画祭【国際Dシネマ】厳選特集1

  • Writer :
  • 西川ちょり

SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2022国内コンペティション長編部門エントリー/小林大輝監督作品『ブルーカラーエスパーズ』

2004年に埼玉県川口市で誕生した「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭」は、映画産業の変革の中で新たに生み出されたビジネスチャンスを掴んでいく若い才能の発掘と育成を目指した映画祭です。

第19回目を迎えた2022年度は3年ぶりにスクリーン上映が復活しました。7月21日から27日までの期間はオンライン配信も行われています。

連載リレーコラム第1回にてご紹介するのは、国内コンペティション長編部門にエントリーされた小林大輝監督の作品『ブルーカラーエスパーズ』です。

【連載コラム】『2022SKIPシティ映画祭【国際Dシネマ】厳選特集』記事一覧はこちら

映画『ブルーカラーエスパーズ』の作品情報


(C)daikikoboayashi2022

【日本公開】
2022年公開(日本映画)

【監督】
小林大輝

【キャスト】
加藤千尚、秋元悠真、岡野きらら、髙橋雄祐、板山世界

【作品概要】
“超能力者=ヒーロー”をユニークな視点で描いたSF映画。

超能力者の主人公の青年が、ある任務の最中に瞬間記憶能力を持つ高校生の少年と出会う。共に行動する中で様々な事柄に直面する彼らの心理がダイレクトに伝わってくる。

小林大輝監督のプロフィール


©daikikoboayashi2022

1995年7月生まれ、愛知県出身。2014年、日本大学芸術学部映画学科に入学。2017年、初監督作品『SEARCH』を制作。2018年、大学の卒業制作として『Away』を制作。卒業後、映像業界の演出部で活動中。

映画『ブルーカラーエスパーズ』のあらすじ


(C)daikikoboayashi2022

テレバシー能力を持つ旬作は、超能力者が集まるある組織に属しています。しかし、能力のレベルが低いため、大切な任務につかせてもらえない日々が続いていました。

目が見えなくなった国会議員の息子の視力を回復させるという依頼を受けた組織は、旬作に下調べをするよう命じます。下調べばかりで実績が詰めないことに苛立つ旬作は、幹部との電話で思わず不満を口にしてしまいます。

ふと気がつくと、すぐ近くにひとりの若い男性が座っているのが見えました、どうやら今の会話を聞かれてしまったようです。

旬作は男性の記憶を消そうと近づき体にふれますが、触った瞬間、強い衝撃を受け嘔吐してしまいます。男性は瞬間記憶能力を持つカメラアイだったのです。

男性は輔(たすく)と名乗りました。高校生ですが、学校には通っていないようでした。このことがきっかけで、彼らは行動を共にするようになります。

輔の最初の任務は盲目の男性を尾行することでしたが、男性がとった行動は思いがけないものでした・・・。

映画『ブルーカラーエスパーズ』の感想と評価


(C)daikikoboayashi2022

飛び抜けた能力を持ったことで悩むエスパーを描いた作品は数多くありますが、本作のように低能力に悩むエスパーを主人公にした作品はあまりないのではないでしょうか。

冒頭で、仕事に疲れたサラリーマンの記憶を簡単に消して、エスパーとしてさっそうと現れた主人公ですが、エスパーの組織の中では、低能力ゆえにやりたい仕事を回してもらえず、実績も積めません。なまじ能力があるために、方向転換することもできず、気持ちはあせるばかりです。

また、ITの発達により超能力の需要が減っているという視点もユニークです。テレバスである主人公が「エスパーと念力ってそんな単価安いんですか !?」と思わず叫ぶシーンがあるのですが、これなど、実社会でクリエイティブな仕事につく、あるいは目指す人々が置かれているシビアな現状そのものです。

特殊で遠い世界のものに感じられたエスパーという存在が、ごくごく身近な存在として立ち上がってくるところに本作の面白さがあります。

もっとも、このように書くと一見SFの顔をしたヒューマンドラマなのかと思われる方もいらっしゃるかもしれません。

誰もが感じる現状への苛立ちと未来への不安、人の役にたちたいと思う心と野心、友情や愛情といったものをヒューマンドラマと表現するなら、本作をヒューマンドラマと呼ぶことに間違いはありません。作品に流れる様々な感情には共感を持つものも少なくありません。

しかし、本作はやはり、堂々たるSF映画なのです。低予算であることを逆手に取り、CGや特殊メイクなど、特別なことはいっさい行わず、役者の身振りや巧みな編集で、エスパーの特殊な能力が表現されていて、そのシンプルさが返って新鮮に映ります。

また、尾行シーンの迷路のような空間や、後先戻れない一本道でのスリリングな展開などにも非凡さを感じさせます。

まとめ


(C)daikikoboayashi2022

SF映画の可能性というと、濱口竜介監督の『偶然と想像』(2021)などで助監督を務めてきた深田隆之の初劇場公開作品『ある惑星の散文』を思い出します。

横浜市の本牧を舞台に、2人の女性に焦点を当てたドラマですが、劇中、何気ない本牧の風景に脚本家志望の女性のモノローグが重なると、そこがまるで火星のように見えてくるのです。

特殊な効果は一切使わなくても今の日本を舞台にSFが撮れるのではないかと感じたのですが、今回、小林大輝監督の『ブルーカラーエスパーズ』を観て、改めてSF映画の新たな可能性を確信しました。

もっとも、小林監督にしても深田監督にしても、そうしたジャンルへのこだわりはないのかもしれません。むしろ、ジャンルを自在に横断することに、ユニークな作家性が現れていると表現したほうがふさわしいでしょう。

『フルーカラーエスパーズ』は、映画祭での劇場上映は終了していますが、7月27日まで配信で鑑賞することが出来ます。「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2022」のHPをチェックしてみてください。

【連載コラム】『2022SKIPシティ映画祭【国際Dシネマ】厳選特集』記事一覧はこちら




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