大人気スパイアクション映画「007」シリーズ第9作!
ガイ・ハミルトンが監督を務めた、1974年製作のイギリス・アメリカ合作の大人気スパイアクション映画『007/黄金銃を持つ男』。
「007」ことMI6の敏腕諜報員ジェームズ・ボンドが、タイのプーケット島を舞台に、自身の番号「007」が刻まれた黄金銃の弾を送ってきた正体不明の殺し屋と激闘を繰り広げていく姿とは、具体的にどんな姿だったのでしょうか。
ロジャー・ムーア演じる3代目ジェームズ・ボンドと、「黄金銃を持つ男」という異名を持つ超一流の殺し屋の対決を描いた、「007」シリーズ第9作『007/黄金銃を持つ男』のネタバレあらすじと作品解説をご紹介いたします。
映画『007/黄金銃を持つ男』の作品情報
【公開】
1974年(イギリス・アメリカ合作映画)
【原作】
イアン・フレミングの小説『007号/黄金の銃をもつ男』
【監督】
ガイ・ハミルトン
【キャスト】
ロジャー・ムーア、クリストファー・リー、モード・アダムス、ブリット・エクランド、エルヴェ・ヴィルシェーズ、クリフトン・ジェームズ、リチャード・ルー、スーン=テック・オー、マーク・ローレンス、バーナード・リー、ロイス・マクスウェル、マーン・メイトランド、デスモンド・リュウェリン、ジェームズ・コシンズ
【作品概要】
『007/ゴールドフィンガー』(1965)、前々作『007/ダイヤモンドは永遠に』(1971)、前作『007/死ぬのは奴らだ』(1973)を手掛けたガイ・ハミルトンが監督を務めた、イギリス・アメリカ合作のスパイアクション作品。
原作であるイギリス人のスパイ小説・冒険小説家イアン・フレミングの小説『007号/黄金の銃をもつ男』をもとに描かれた、「007」シリーズ第9作目です。
前作『007/死ぬのは奴らだ』(1973)に引き続き、『ゴールド』(1974)のロジャー・ムーアが3代目ジェームズ・ボンドを演じ、『吸血鬼ドラキュラ』(1958)のクリストファー・リーと共演しています。
映画『007/黄金銃を持つ男』のあらすじとネタバレ
ある日、英国情報局秘密情報部「MI6」に、「007」ことMI6の敏腕諜報員ジェームズ・ボンドの番号「007」が刻まれた黄金の銃弾が送られてきました。
その送り主は、「黄金銃を持つ男」という異名を持つ正体不明の殺し屋フランシスコ・スカラマンガです。
サーカス団出身のスカラマンガは、ソ連の情報機関・秘密警察「ソ連国家保安委員会(KGB)」にスカウトされて以降、薄利多売の殺し屋へと変貌を遂げたという経歴。
そして、第3の乳頭があるという身体的特徴があること以外、彼に関する情報は何もありません。
さらに、スカラマンガは「002」ことMI6の諜報員ビル・フェアバンクスを殺した犯人ですが、現場から黄金銃の銃弾が出なかったため、断定することができていませんでした。
このままでは最悪の場合、敵に正体が知られているボンドは、スカラマンガに抹殺されてしまう。そうなれば、ボンドが従事する任務に支障をきたしてしまう。
そう考えた結果、MI6の部長であるMは、ボンドが従事中だった「ソレックス・アジテーターの入手」という任務を解くことにしました。
ソレックス・アジテーターとは、太陽エネルギーの権威であるギブソン博士が、合法的な大企業「ハイ・ファット建設」の社長である億万長者ハイ・ファットの下で開発した、太陽放射能を産業レベルで電気に変える小型装置のことです。
これに対しボンドは、「スカラマンガより先に彼を見つけ出し、事態を好転させてみせる」と宣言し、自らビル殺害事件の調査を行うことにしました。
まずボンドが向かったのは、ビルが殺されたマカオ・ベイルートのクラブです。そこには、ビルが死ぬ直前まで一緒にいた踊り子サイーダがいます。
ボンドがサイーダに話を聞いてみた結果、ビルは黄金の銃弾が首を貫通し即死。壁からその銃弾を抜き取ったサイーダは、幸運のお守りとして自身の臍につけたことが判明しました。
するとそこへ、クラブにいた複数の男たちが現れ、ボンドは彼らと戦う羽目になってしまいます。
ボンドはこの戦いに紛れて、サイーダから黄金の銃弾を手に入れて逃走。ロンドンにあるMI6の本部に帰還します。
MI6の特務装備開発課「Q課」の課長であるQに鑑定してもらった結果、黄金の銃弾は当たった衝撃で変形して殺傷効果を倍増する銃弾であること。
その重量から推測して、スカラマンガがビル殺害時に使用した銃は4.2口径のものであることが判明しました。
さらに軟らかい23金にニッケルの量が少ないことから察するに、その銃弾を作れる製造者はラザーという、独創的で非凡な技術を持つマカオ在住のポルトガル人だとQとMは言います。
その後、再びマカオへ飛んだボンドは、ラザーに会いに行きました。そしてラザーの工房にあった新型のライフル銃を使い、ラザーを問い詰めた結果、彼は上客であるスカラマンガに頼まれて、黄金銃と銃弾を制作したこと。
今夜マカオのクラブにて、黄金の銃弾の受け渡しが行われることが判明しました。ですがラザーは、スカラマンガと面識がありませんでした。
マカオのクラブに張り込んだボンドは、ラザーから黄金の銃弾を受け取った謎の美女を目撃。彼女の後を追って香港に渡りました。
香港に到着後、ボンドは助手のメアリー・グッドナイトと出会い、謎の美女が滞在するホテルを教えてもらいました。
早速そのホテルへ向かい、ボンドは黄金の銃弾を受け取った彼女を問い詰めました。
その結果、彼女はスカラマンガの愛人アンドレア・アンバースであり、スカラマンガに内心恐怖していること。
そして今夜、「ボトム・アップ」という香港島にあるストリップクラブにて、スカラマンガに黄金の銃弾を渡す約束をしていることが判明しました。
その日の夜。ボンドは、アンドレアが入っていったボトム・アップの向かいの店に張り込みます。
すると、ボトム・アップから男と一緒に出てきたギブソン博士が何者かに狙撃され、即死しました。
その場面を目撃したボンドが、咄嗟に銃を取り出し周囲を警戒すると、ギブソン博士と一緒にいた男に容疑者だと疑われ逮捕されてしまいます。
そのまま警察署に連行されるのかと思いきや、ボンドが連れて行かれたのは沈没した世界最大の豪華客船「クイーン・エリザベス」に作られたMI6のアジアの秘密事務所でした。
そこにいたMやQたちに話を聞いたところ、ボンドを逮捕した男はヒップ大尉という協力者であること。
行方を眩ませていたギブソン博士が、ある条件で戻ることに同意したため、Mたちが出向いたこと。その折衝役がヒップ大尉だったことが分かりました。
当初の予定では、ギブソン博士からMI6にソレックス・アジテーターが渡されることになっていましたが、彼の遺体にはソレックス・アジテーターは無かったのです。
それを聞いて落胆するMたちに、ボンドは自身の推測を話します。
1つ、ギブソン博士を殺したのはスカラマンガであること。2つ、高額な依頼料を要するスカラマンガを雇えるのはファットだけ。
3つ、ファットはギブソン博士の殺害を依頼したものの、足がつかないようにスカラマンガと直接会ってはいない。
そう推測したボンドは、スカラマンガに化けてファットに接触するため、Qにスカラマンガと同じ第3の乳頭の制作を依頼しました。
映画『007/黄金銃を持つ男』の感想と評価
突如正体不明の殺し屋に命を狙われることになったジェームズ・ボンド。ですがその殺し屋、フランシスコ・スカラマンガはボンドに恨みなどなく、好敵手として好感を抱いていました。
ボンドがスカラマンガと戦うことになったのは、彼との関係を清算したいアンドレアの偽装工作によるものだった衝撃的な事実も相まって度肝を抜かれます。
そして物語の後半、スカラマンガのアジトがあるカオ・ビンガー島内で行われた、ボンドとスカラマンガによる1対1の決闘。
これまで「007」シリーズ作品では、ボンドvs犯罪組織、またはボンドvs悪党たちによる激闘の数々が描かれてきたものの、ボンドが1対1の決闘をする場面は描かれていません。
超一流の殺し屋vs「007」ことMI6の敏腕諜報員による決闘は、新鮮かつ貴重なアクション場面であり、男同士の真剣勝負に誰もが胸が熱くなるほど格好良いです。
また、本当の敵はグッドナイトではないかと疑いたくなるほど、彼女の不注意な行動がボンドを窮地に追い込んでいきます。
まとめ
「007」ことMI6の敏腕諜報員ジェームズ・ボンドが、行く先々で出会う美女たちに翻弄されつつ、正体不明の殺し屋フランシスコ・スカラマンガとの決闘に挑む、イギリス・アメリカ合作のスパイアクション作品でした。
本作の見どころは、物語の後半で描かれるボンドとスカラマンガの1対1の決闘、そしてボンドガールであるグッドナイトと、スカラマンガの愛人アンドレアという2人の美女に翻弄されるボンドの姿です。
また本作では、原作小説とは違う設定と物語の展開が描かれています。1つは協力者がボンドの盟友ライターではなく、ヒップ大尉であること。
もう1つは前作『007/死ぬのは奴らだ』(1973)で行方不明になったボンドが、ソ連に捕らわれ洗脳されてしまったせいでMを暗殺しようとする、といった内容が描かれていないことです。
そうした原作小説との相違点もあるため、映画版「007」シリーズファンのみならず、原作ファンも充分楽しめる作品となっています。
ロジャー・ムーア演じる3代目ジェームズ・ボンドが、クリストファー・リー演じる超一流の殺し屋スカラマンガとの1対1の決闘に挑む、笑いありスリルありのスパイアクション映画が観たい人に、とてもオススメな作品です。