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【ネタバレ】シティ・オブ・ジョイ|あらすじ感想と結末の評価解説。感動おすすめヒューマン映画が4Kリマスター版で復刻【未体験ゾーンの映画たち2022見破録25】

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  • 20231113

連載コラム「未体験ゾーンの映画たち2022見破録」第25回

映画ファン待望の毎年恒例の祭典、今回で11回目となる「未体験ゾーンの映画たち2022」が2022年も開催されました。

傑作・珍作に怪作、待望の復活を遂げた名作などさまざまな映画を上映する「未体験ゾーンの映画たち2022」。今年も全27作品を見破して紹介して、古今東西から集結した映画を応援させていただきます。

第25回で紹介するのは、インドが舞台のヒューマンドラマ『シティ・オブ・ジョイ』。

『ダーティ・ダンシング』(1987)、『ゴースト ニューヨークの幻』(1990)、『ハートブルー』(1991)で世界的人気を獲得した故パトリック・スウェイジ。

彼の生誕70周年を記念し30年前に製作・日本公開された作品が、4Kデジタル・リマスター版で甦りました。伝説の感動巨編を紹介します。

【連載コラム】『未体験ゾーンの映画たち2022見破録』記事一覧はこちら

映画『シティ・オブ・ジョイ』の作品情報


CITY OF JOY (C) 1992 – LIGHTMOTIVE LIMITED – PRICEL.

【製作】
1992年(フランス・イギリス合作映画)

【原題】
City of Joy

【監督】
ローランド・ジョフィ

【原作】
ドミニク・ラピエール

【キャスト】
パトリック・スウェイジ、ポーリーン・コリンズ、オム・プリ、シャバナ・アズミ、アイーシャー・ダルカール、シャマナン・ジャラン、アート・マリク

【作品概要】
当時人気絶頂だったパトリック・スウェイジが、本作に賛同しノーギャラで出演を引き受けた映画です。

『キリング・フィールド』(1984)や『ミッション』(1986)の名匠ローランド・ジョフィ監督が、ラリー・コリンズと共に映画『パリは燃えているか』(1966)の原作ノンフィクションを記した、ドミニク・ラピエールの著作「歓喜の街カルカッタ」を映画化した作品です。

この作品に賛同し、当時人気絶頂のパトリック・スウェイジはノーギャラで出演を引き受けました。

『カルテット! 人生のオペラハウス』(2012)のポーリーン・コリンズに、『ぼくの国、パパの国』(1999)や『英国総督 最後の家』(2017)のオム・プリ。

『ベンガルの夜』(1989)や『漆黒の井戸の底から』(2020)のシャバナ・アズミ、『トゥルーライズ』(1994)やドラマ『ボルジア 欲望の系譜』(2011~)のアート・マリクらが共演しています。

映画『シティ・オブ・ジョイ』のあらすじとネタバレ


CITY OF JOY (C) 1992 – LIGHTMOTIVE LIMITED – PRICEL.

テキサス州ヒューストンの手術室。青年医師のマックス・ロウ(パトリック・スウェイジ)は少女を救おうとしていましたが、彼女は息を引き取りました。

絶望のあまり、父に医師を辞めると告げたマックス。父はいずれお前は辞めると思っていた、お前は私を失望させたと言い放ちます……。

その頃インドでは、ハザリ(オム・プリ)とカムラ(シャバナ・アズミ)夫婦と子供たちのパル一家が、牛車に乗り、旅していました。

ビハール州で暮らすパル一家は土地を失い、貧困にあえいでいました。このままでは年頃の娘アムリタ(アイーシャー・ダルカール)が結婚する際の持参金も用意できない、カルカッタで稼ぎ金持ちになると語るハザリ。

彼は両親に見送られてバスに乗り、妻と娘と2人の息子を連れ列車でカルカッタに到着します。下の息子シャンブーは駅の雑踏で家族と引き離されます。

兄のマヌジや父ハザリが呼びかける中、シャンブーは物乞いをする人々の顔を見て驚きます。彼らはハンセン病の患者でした。

シャンブーは家族の元に戻ります。田舎から来たパル一家は大都会カルカッタに圧倒されます。泊まる場所のあての無い彼らは、川沿いの空き地で野宿します。

次の日ハザリは街中で職を探し、頼りにした住所を探し求めます。雑踏をさまよう一家に同じビハール州出身という男が声をかけました。

男は同郷の者同士で助け合おうと言い、いとこが留守にしている家を1ヶ月貸すと申し出ます。感謝し僅かな所持金から家賃を払うハザリ。

住む場所を確保して喜ぶ一家。同じ頃、カルカッタに現れたマックスはホテルにチェック・インします。

荷物を運ぶボーイの男は、彼に女性、望むなら男を紹介すると持ちかけますが、マックスは断ります。彼の手元に人生の再出発を説くパンフレットなどがありますが、それをゴミ箱に捨てたマックス。

部屋でくつろぐパル一家の前に、この家の住人が現れます。ハザリは騙され、住人が留守にした家を貸されたのです。

ハザリは事情を説明しますが、怒った本当の住人に追い出されます。パル一家はあてのない大都会に追い立てられました。

ホテルのマックスの部屋に、ボーイの男が強引に若い女プーミナを置いていきます。彼はまだ未成年の彼女を帰そうとしますが、酒を注いで差し出し居座るプーミナ。

その夜パル一家は野宿していました。ふがいなさを詫びるハザリを妻のカムラがなぐさめます。これは神の試練だと受け入れたものの、これからどうするか夫婦は悩みます。

マックスはプーミナに連れられ、裏社会の顔役アショカ(アート・マリク)が根城にする酒場にいました。

プーミナはアショカの指示でマックスに酒を勧めます。すっかり酔いつぶれて店の外に出るマックス。彼の前にアショカの手下が現れます。事態を悟り抵抗したマックスに襲い掛かる手下たち。

その騒ぎに野宿中のハザリが気付きました。袋叩きにされるマックスを見て大声で叫ぶハザリ。その声を聞き、アショカ一味は逃げ出します。

貴重品を奪われたマックスは命は救われます。一味が去り助けに現れたプーミナと共に、ハザリはマックスを病院に運びました。

目覚めた彼の前に、貧民街で病院を運営する女性ジョアン(ポーリーン・コリンズ)がいました。彼女はマックスを、インドで愚かに振る舞い、トラブルに巻き込まれた旅行者と見ているようです。

マックスを助けたのは、ハザリとプーミナだと教えるジョアン。散々な目にあった彼に、ここは「City of Joy(歓喜の街)」だと告げました。

ジョアンはこの貧民街で、貧しい者を診る粗末な病院を運営していました。外に出てここはスラムだと確認するマックス。

アイルランド人らしいジョアンは、週に3日来る若いインド人医師スニルと病院を運営していました。彼女はマックスが医者だと知ると、働いてみないかと声をかけました。

もう患者は診ないと言う彼に、あなたに貸しがあると告げるジョアン。彼がホテルに戻れるよう人力車を手配し、これで貸しは2つだと告げました。

心配し付いて来たハザリに、マックスは地元の人間かと尋ねます。ビハール州出身で、金貸しに農場を奪われ働きに来たと語るハザリ。

人力車に乗るマックスを見たハザリは、脚力に自信のある自分はこの仕事が出来る、と考えます。人力車の車夫に、ハザリは一度引かせて欲しいと頼みました。

マックスがそれを許します。ハザリの引く人力車に乗りホテルまでの道を走り抜けるマックス。

ホテルに到着したマックスはハザリと握手して別れます。ハザリは車夫に人力車を引かせて欲しいと頼みます。

ハザリは車夫の男の紹介で、地域の有力者の屋敷を訪ねます。そこにはアショカやプーミナの姿もありました。

車夫の紹介でアショカに人力車を引かせて欲しいと頼むハザリ。貧しいハザリたちを馬鹿にする態度のアショカの前に、父親のガタク(シャマナン・ジャラン)が現れます。

ガタクこそ、この地域を仕切るボスでした。ハザリがここで車夫として働く事を認め、その証の鈴を彼に与えるガタク。

こうしてハザリは車夫の仕事を得て、スラム街に一家で住む家も紹介されました。ようやくカルカッタに居場所を見つけたパル一家。

ハザリは家族にに金を稼ぎ故郷に仕送りをし、娘アムリタの結婚に備え持参金を貯めると約束します。スラム街で人力車を引く練習をし、営業を開始するハザリ。

最初に乗せた女学生が、ハザリを気に入り日々の通学に利用すると言いました。幸先良く固定客を得たハザリは幸運に感謝します。

金品を盗まれカルカッタから出れないマックスは、街でバイクに乗るアショカを見かけ追いますが、警官に制止されました。

警官ともめるマックスの姿を見たジョアンが仲裁に入ります。警官から解放されたマックスに、これで貸しは3つだと告げるジョアン。

彼女はまだ病院でマックスが働くことを望み、彼は心の傷から解放されず、あてもなくインドを旅してると見抜いていました。

自分を癒したいなら、まず自分自身を許しなさいとの彼女の言葉に、気まぐれでこの地に来ただけと答えるマックス。彼は病院を手伝うハザリの妻カムラを目にします。

病院の運営資金はスイスの慈善団体と元夫から得ていると語るジョアン。彼女は自分が個人を愛するのが苦手で、多くの人を愛するのが得意の変わり者と認めました。

あなたは何を信じる、との彼女の問いに、ダラス・カウボーイズ(アメリカン・フットボールチーム)と答えるテキサス出身のマックス。

病院から出ようとしたマックスに、ハザリの息子マヌジとシャンブーが声をかけます。ジョアンから距離を置こうとする彼も、子供たちには仲良く接します。

そんなマックスにあなたが理解できないと告げるジョアン。彼女は人間には選択肢は3つしかない。それは「逃げる」、「傍観する」、「飛び込む」の3つだと言いました。

ハザリが上客を得た幸運を、近所のスラムの住人たちは我がことのように喜びます。2人の息子はハザリに、住民たちの子供と仲良くするマックスを食事に誘って良いか聞きました。喜んで承知したハザリ。

マックスはパル一家と食事しました。そしてマックスと家族の前で、ハザリは故郷から持ってきた種を鉢に植えます。

故郷の土で何かを育てたいと願うハザリは、種をこの地の水で育て、美しい花を咲かせ結婚の日を迎えた娘アムリタの髪を飾りたい、と言いました。

会話の中でインドの父親たちに結婚する娘の持参金を用意するのは、義務であり名誉でもあると知るマックス。

そこにカルカッタを流れるフーグリ川(ガンジス川の支流)近くに住む、体の不自由な貧民アノワールが訪ねてきます。

彼の妻ミータが難産で苦しんでいる、助けて欲しいとジョアンに訴えます。彼らは差別されるハンセン病患者で、頼れるのはジョアンの病院しかありません。

今日はスニル医師が不在です。マックスに力を貸して欲しいとジョアンは訴えました。

使える医薬品も不足していますが、あり合わせの道具で妊婦と子供を救おうと決意するマックス。

ミータの元に向かうマックスとジョアンを手伝おうと、ハザリとカムラ夫婦も同行します。ハンセン病の感染を恐れる夫に、心が清ければ恐れる事は無いと告げるカムラ。

マックスはジョアンとカムラの手を借り、難産の子を無事取り上げます。マックスも周囲の人々も新しい命の誕生を喜びました。

日が昇ると一同は家路につきます。マックスに常勤の医師として働いて欲しいとジョアンは望みますが、マックスは断ります。

彼女の度重なる願いに腹を立て、このスラム街で行う善行など微微たるものだと声を荒げるマックス。

その言葉にジョアンも腹を立て病院のドアを閉めます。動揺するマックスに、ハザリとカムラはあなたは良い心の持ち主だと声をかけます。

ホテルに戻ったマックスは、紛失したパスポートやビザの再取得や銀行からの入金に3週間以上かかると知らされ、ホテルのオーナーに事実を告げました。

事情を了解したものの、支払いまでの担保にマックスの航空券を取り上げるオーナー。

スラム街ではジョアンの病院にハンセン病患者が出入りすることに、感染を恐れる住人が不安の声を上げていました。

差別されるハンセン病患者のアノワールは金を持参し、マックスが話していた治療薬を入手し、治る可能性がある者を救えないかジョアンに訴えます。病院に常勤医がおらず力になれないと断るジョアン。

そこにマックスが現れます。ジョアンに航空券を取り上げられ、数週間なら病院を手伝うと彼は申し出ます。

半年、いや3ヶ月と長い滞在を望むジョアンに呆れ、9週間か飛行機が飛ぶまで、との条件で病院勤務を約束するマックス。

彼はパル一家を訪ね、出産の際に助手を務めたカムラに、病院を手伝ってないか頼むと夫ハザリも承知しました。

今日のハザリは、常連客の女学生と母親を買い物先に送る役目を務め、カルカッタでも有数の美しいサリーを売る店に向かいます。

店先に並ぶサリーを見て、娘の結婚の際にこんな衣装を着せたいと望んだハザリ。

病院で働くマックスは生き生きしていました。出産後の貧しいミーナに赤ん坊用の粉ミルクを与え、病院に出入りしていたプーミナには、男相手の商売を辞め学校に行けと告げます。

帰宅したハザリは妻に代わり家事をする息子を目にします。カムラが病院に務め、息子が家事をしている事に表情を曇らせたハザリ。

病院の務めを終えたカムラが、マックスとジョアンと共に現れます。一同は子供たちと会話をしますが、手紙を開いたジョアンの顔は曇ります。

それは病院の家賃の値上げを告げるものでした。マックスと共に地域を支配者ガタクを訪ねたジョアン。

貧しい人に無料で医療を提供する病院を応援して欲しい、と訴えるマックスに、豊かな国の医師のあなたには金は1枚の紙に過ぎないと告げるガタク。

しかしこの地に住む私には、金は貧困にあえぐ人々の世界から遮る壁だ、この美しい壁を私は誇ると主張します。

壁の反対側に住む人々の魂も美しい、とマックは主張しますがガタクは相手にしません。

ジョアンはハンセン病の療養施設を作りたいと訴えますが、ガタクは偏見を持つ住人に反対されるだけだと告げました。

連中は他人のために動かない。貧しい者は貧しいままにすれば飼い慣らせると語るガタク。

彼は机の上に置いたニワトリの首に、重りを乗せ大人しくさせます。貧しい者は負担を強いれば大人しくなる、ガタクはそう告げました。

その態度に怒り殴りかかろうとするマックスを、ジョアンを含めた一同が制止します。色をなす部下たちに、ガタクは騒ぐなと言いました。

ガタクの元から去ったジョアンは、マックスに地域のボスに逆らうのは危険だと警告します。しかし聞き流して明るく振る舞うマックス。

地域の住民たちも家賃の値上げに動揺します。集まった彼らの前で、ガタクは君たちを首に重しを置かれ、身動き出来ぬニワトリ呼ばわりしたと叫ぶマックス。

しかしいずれこの地を去るマックスと、この地に暮らす私や住民たちは立場が異なる、と告げたジョアン。

住民は同意し、ハザリもガタクに与えられた仕事のおかげで生活でき、彼に忠誠を誓ったと話します。

皆は従順な羊のように振る舞っているだけだ、と叫ぶマックス。その言葉を聞き住民たちは騒ぎます。

話を聞いていたカムラは、マックスは我々のために行動してくれている、彼を応援しようと話しました。

その言葉に従い、支配者のガタクに対し立ち上がろうと意見はまとまります。しかし彼に従い車夫の職を得たハザリの顔は、不安の色が隠せません…。

以下、『シティ・オブ・ジョイ』のネタバレ・結末の記載がございます。『シティ・オブ・ジョイ』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。


CITY OF JOY (C) 1992 – LIGHTMOTIVE LIMITED – PRICEL.

マックス医師とジョアンはスラムの住民の力を借り、新たな場所に病院兼学校を構えようとします。

皆は希望に燃えていましたが、地域の支配者ガタクには面白くない事態です。しかし軽率に実力行使を図ろうとする息子アショカを叱ったガタク。

ハンセン病患者を受け入れる病院は、いずれ住民と軋轢を起こす。その時に揺さぶりをかけるべきだとガタクは考えていました。

人力車を引くハザリの前にアショカが現れ、誰に忠誠を誓い誰から仕事を与えられたか考えろ、と警告します。

ハザリは妻に将来の不安を打ち明けます。それでも住民に尽くすマックスたちを信頼するカムラと、互いの愛を確認しました。

ハザリとカムラらパル一家は、病院の完成に向けマックスたちと忙しく働いていました。

ついに子供たちの学校と病院を兼ねた施設が完成します。街の鍛冶屋を手伝う子供たちを迎えに行ったハザリは、娘のアムリタが鍛冶屋で出会った若者と親し気に接する姿に気付きます。

紛失したパスポートやビザが再発行され出国の目途がついたマックスの前に、ハザリの人力車に乗って現れるアノワールとミータ夫婦。

彼らハンセン病で苦しみ差別される人々も、ジョアンの病院の完成を喜んでいました。彼らと共にマックスは病院に向かいます。

ところがスラムではアショカの手下がプーミナを捕まえ、アショカの前に引き出します。自分の元から去って病院を手伝うプーミナを脅し、安全カミソリの刃を持って迫るアショカ。

病院に向かうマックスたちを、抗議に集まった人々が遮ります。彼らは新しい病院がハンセン病患者を受け入れることに抗議していたのです。

マックスは暴徒と化したデモ参加者から、病院や患者を守ろうとします。その彼の前にアショカにカミソリで口を斬り割かれたプーミナが現れました。

襲撃に抵抗していたジョアンは、騒ぎを見守るアショカの姿に気付きます。暴徒の1人が投げた火炎ビンの炎がアノワールに燃え移り、彼は転げ回ります。

ハザリはアノワールを救います。ジョアンはアショカに対し、屈服するから我々を守れ、と叫びました。

アショカの部下が笛を吹くと暴動は治まります。ハザリに明日、自分のところに来いと命じたアショカ。

暴動で傷付いた人々が治療される中で、マックスはプーミナの深い傷を縫い付けます。

翌日現れたハザリに、父に逆らったと告げ人力車と営業を許す証の鈴を取り上げたアショカ。ハザリはガタクに救いを求めますが返事はありません。

自分は父の後を追いかけ、その結果医師になったに過ぎないとジョアンに語るマックス。今回の出来事にショックを受けたマックスに、去りたいなら去れば良い、だが他人を非難するなとジョアンは諭します。

貧しい者は搾取され、その結果与えられた仕事にしがみつき権力者に従う。ガタクの言ったことは真実だと呟くマックス。

こんなスラム街で何かを成そうとする、あなたは馬鹿者か詐欺師かと問う彼に、ジョアンはその両方だと答えます。

それでも私はここに居たい。私たちは産まれた時から希望と絶望の狭間で苦労している。彼女の言葉を聞いてもマックスの心は休まりません。

あなたは最善を尽くしたと告げたジョアンに、私は全てを台無しにしたと答えるマックス。

家の外に出たマックスに、ハザリは人力車を奪われたと訴えます。しかしマックスは自分にはもう関係ないと告げ、去って行きます。

職を失ったのは、病院で働くカムラがマックスを信頼したせいだ、と怒りをぶつけるハザリ。そして彼は妻の前で泣き崩れました。

翌日ハザリは自分の血を売り、家族の食べ物を買って戻ります。家の中で待っていたマックスは、どうかカムラを責めないで欲しいと頼みます。

そしてカムラは病院に必要な人材だと訴えますが、もう関わらないで欲しいと彼に告げるハザリ。パル一家の生計の手段を失わせた彼は、もう何も言えません。

ハンセン病患者が住む川沿いの集落に診察に現れたマックスに、問題は解決できると提案するアノワール。

彼が見せたのは壊れた人力車です。その好意に感謝したマックスは、手に入れた人力車をハザリに見せました。

人力車の状態は悪く、そしてアショカに断りなく営業して良いかハザリは戸惑います。

マックスはガタクの縄張り以外で営業すれば良い、ライセンスは本来許可を与える警察から貰えば良い、賄賂を渡せば済む話だと言い切るマックス。

煮え切らない態度のハザリに腹を立てるマックスに、これは私の心の問題だと語るハザリ。裕福な白人のあなたは、病院など物を与えれば人の心は買えると考えている、と指摘します。

自分が信頼するのは物ではなく、人の心だと語るハザリ。マックスは自分の心の狭さを認めますが、同時に警官や街のギャングに怯え、家族を不幸にしているのはハザリの姿勢だと怒りました。

病院を建てる事業に参加したのは君自身だ、君をスラムに住まわせた運命も、自分のせいなのかと叫ぶマックス。

自分に腹を立てるのは構わない、だが本当に怒るべき相手は他にいる、と告げてマックスは立ち去りました。

病院でプーミナの傷を抜糸するマックス。彼女の経過は順調です。マックスはハザリが息子たちと人力車を修理し始めたと気付きます。

それを喜びハザリを訪問し、2人の息子たちと映画に行くと告げたマックスは、激しくせき込むハザリの異変に気付きました。

マックスが心配した通り、彼は結核で薬を服用していません。危険を承知しているのか、とマックスは警告します。

マヌジとシャンブーと一緒に映画館から出たマックスは、路上で子供たちとふざけ合います。その時マックス目がけてトラックが走り出しました。

皆無事でしたが、シャンブーが危うく轢かれるところでした。ショックを受け母に抱きしめられるシャンブー。

ハザリの人力車は修理が終わりましたが、周囲の者はガタクに逆らい営業して無事か心配します。

しかしマックスに対する嫌がらせに、おそらくアショカの指示で行われたトラックの襲撃で、息子の命を奪われかけたハザリの決意は固まっていました。

そんな折、地域を支配する顔役のガタクが倒れます。後を継ぐアショカは地域に住む住民に家賃の値上げを決め、多くの者が反対しデモを起こします。

アショカは人力車を営業する人々にも、新たな負担を強いました。抗議に集まった人々を、父ガタクが倒れた時に騒ぐ恩知らずだと罵るアショカ。

ストライキをすると叫んだ人力車組合の代表に、対決姿勢を示すアショカ。怒ったハザリはアショカからマイクを奪います。

彼は自分の息子を殺そうとした、我々人力車の車夫は不当に虐げられていると叫ぶハザリ。辺りはもみ合いの騒ぎとなり警察が出動しました。

連行されたハザリは裁判にかけられますが、彼はギャングや腐敗した警察に苦しむ車夫の窮状を判事に訴えます。

裁判はマックスたちも傍聴していました。アショカは労働者の権利を侵害したと認め、ハザリに人力車の営業を認めるよう命じる判事。

ただしハザリにも暴動を扇動した罪があるとして、罰金50ルピーを払うか7日間の収監を選べと判事は言いました。金が無いと動揺するハザリに、傍聴した仲間たちが紙幣を差し出します。

これを目撃したマックスも笑顔になります。スラムの住人たちが出した金で救われたハザリ。

カルカッタにモンスーン(雨季)がやって来ます。子供たちもマックスもジョアンも、スラムの住人も雨季の到来を喜びます。

人力車の営業を始めたハザリは、娘のアムリタに求婚に現れた若者を目にしました。若者を気に入ったハザリは、次は自分が彼の父親を訪ねると約束します。

ホテルで眠っていたマックスはアショカとその手下に襲われます。彼を脅し国に帰れと命じるアショカ。

身の危険を感じた彼は、荷物を持ち雨の中を歩きジョアンの家に身を寄せます。彼女は喜んでマックスを迎え入れました。

ジョアンはマックスの荷物の中に、彼が少女と映る写真を見つけます。写真は自分が医師だった時に、救えなかった少女だと説明するマックス。

これがことわざでが言う、「最後のわら」だったのねとジョアンは指摘します。

(”The straw that broke the camel’s back”、荷物運びに酷使されたラクダの背中が、最後の1本のわらを乗せた瞬間壊れた、ということわざからの引用。日本語の「堪忍袋の緒が切れる」に近いニュアンスで使われます)

ジョアンは彼の抱える心の傷の深さを悟り、マックスはそれを打ち明け気が楽になりました。軽くキスを交わし、お休みと告げる2人。

ハザリは若者の父の家を訪ねます。工房を持つ若者の父は、貧しいハザリが息子の嫁に相応しい持参金を用意できるのか質問します。

親たちの会話をアムリタと恋人は心配そうに見つめます。ハザリに持参金が用意できるか、公平な態度で待とうと結論した若者の親族たち。

その日以来ハザリは必死に働きます。幸運にもモンスーンのお陰で人力車の客は多く、運賃も有利に交渉できました。

カルカッタの街が水に浸かる状況は、市民には災難でもハザリたち車夫には天の恵みです。

このままならアムリタの持参金が用意できると神に感謝するハザリ。彼は腰まで水に浸かりながら人力車を引きました。

彼はあの高価なサリーを売る店で娘の結婚衣装を買いました。同じ頃病院兼学校を水害から守ろうと、ジョアンたちと土嚢を積むマックス。

モンスーンはやがてカルカッタを流れるフーグリ川の水位を上昇させ、川岸に住むハンセン病患者の集落を水没させます。

助けを求めるアノワール一家たち住人を、マックスとハザリらスラムの住民が救助に向かいます。

川に入りアノワールを助け出たマックスを、倒れて来た木が襲います。意識を失い沈んだマックスを救い出すハザリ。

意識を取り戻したマックスの前に、ハザリたちパル一家がいました。そして彼はジョアンに、少年時代に父が浮気の際に自分を連れ外出した思い出を語ります。

父は沈黙の報酬のように菓子をくれた、そして自分は母が死ぬまで事実を伝えなかったと語るマックス。

彼が長らく抱えていた秘密と孤独を理解するジョアン。マックスも彼女もまた、孤独を抱えた人物だと笑いました。

ハザリの努力でアムリタの婚礼の準備は進みます。あとは娘を飾る金の装飾品だけですが、ハザリに用意する目途は立ちません。

スラムの住人たちはハザリを恨むアショカが、何か行うのではないかと噂していました。そして子供たちを人力車に乗せマックスと走っていたハザリを、アショカの手下が罠にかけ誘い込みます。

そこにアショカがいました。父ガタクが死に、今後スラムは自分が仕切るとアショカは言うと、ハザリの人力車を傷付け始めます。

そしてマックスになぜ国に帰らないと迫ります。自分たちは優れていると考える外国人は嫌いだ、病院と学校は閉鎖してやると告げるアショカ。

アムリタに手を出そうとするアショカに警告するマックス。余計な口を出すなと言われたマックスは、彼らは家族だと答えます。

アムリタの口をナイフで裂こうとしたアショカに、マックスは飛び掛かろうとして叩きのめされます。そして掴みかかるハザリの腹をアショカは刺しました。

アショカの手下は2人に決着をつけさせろ、と言い争いに手を出しません。ハザリは倒したアショカの頭を何度も叩きつけます。子供の声が無ければ、彼はアショカを殺したかもしれません。

地に伏したアショカに、もう自分たちの首に重しは無いと告げたハザリ。手下たちもアショカを見限ったのか、彼を残し去って行きました。

ハザリの下の息子シャンブーは、アショカの落とした金のネックレスを密かに拾います。そして、ようやく自分が刺されたと気付くハザリ。

ジョアンの病院に運び込まれ、スニル医師の手術を受けハザリの容態は安定しました。

ハザリのベットの脇で、彼の2人の息子と共に壁にかかる「メデューズ号の筏」(テオドール・ジェリコーの、海で遭難後に筏の上で生き延びようする人々を描いたフランスの有名な絵画)を眺めるマックス。

絶望し諦めた者もいるが、それでも希望を捨てず前を見つめる人がいる。マックスが子供たちに絵について語っていると、ハザリが目を覚ましました。

ハザリは長い間、マックスにこの国から出て行って欲しいと思っていた、なぜなら彼の言動によって今まで避けていた様々な問題に、目を向けざるを得なくなったからだと打ち明けます。

今はあなたが来てくれた事が嬉しい。あなたがいなくなっても、神の祝福があるよう祈ると告げたハザリ。

病室の外から無数の鈴の音が響きます。窓の外にはハザリを讃えようと集まった人力車の車夫たちが、営業許可の鈴を鳴らしていました。感動したハザリはこの街に来た時は誰1人知らなかったが、今は多くの友人を得たと呟きます。

父を心配するシャンブーに、マックスは必ず元気になると約束します。金が必要か、とシャンブーは拾ったアショカの金製ネックレスを差し出します。この金でお前の姉さんは結婚できると告げたマックス。

後日。傷付いた体を押し帰宅したハザリは、婚礼の日を迎えた娘アムリタに、村から持ってきた種が咲かせた花を摘んで渡します。

お前は私の物ではない、結婚の日まで神から私に預けられた大切な娘だ。これからは自分の人生を歩みなさい、と美しく着飾った娘に告げるハザリ。

盛大な結婚式が始まります。ハザリはマックスに新郎新婦の近くに座るよう求めます。マックスはインドの結婚式の流儀を教わります。

式に参列したジョアンはマックスに。あなたはこの街に来た時、この娘の人生に大きな影響を与えるとは思わなかったはずだ、と告げました。

マックスもジョアンに、あなたも私が今ここに来て良かったと口にするなど、想像もしなかったはずだと答えます。

望むなら自由に旅立って良いと告げるジョアンに、これからも何か役に立てるかもしれない、と語るマックス。

宴もたけなわの頃、ハザリは密かにマックスを呼び傷口が開いたと告げます。慌てて人を呼ぼうとするマックスを制止するハザリ。

娘の新たな人生の門出を台無しにしたくない、そう望んだハザリに協力し、マックスは彼と共に祝宴を密かに抜け出します。

病院に向かって歩くハザリに、治療して休めば回復すると告げるマックス。その彼にハザリは告げました。

神は人間を、たやすくこの世で生きれるように作らなかった。しかしそれこそが人生の理由だと思う。このハザリの言葉にマックスも同意します。

「City of Joy(歓喜の街)」で開かれた賑やかな披露宴は、今もまだ続いていました…。

映画『シティ・オブ・ジョイ』の感想と評価


CITY OF JOY (C) 1992 – LIGHTMOTIVE LIMITED – PRICEL.

インドの大都市・カルカッタ(現在はコルカタと呼ばれますが、本作製作・公開時の名称を使用します)を舞台にした、感動の名作映画が復活しました。

1985年にドミニク・ラピエールが発表した小説の映画化作品です。当時のインドを知ることができる貴重な作品ですが、この映画は本当に「良作」なのか?と疑念を抱く方もいるでしょう。

1960年代後半のカウンターカルチャー全盛期、西洋の価値観に幻滅した多くの人々がインドの哲学・宗教に可能性を求めました。世界的スターであったビートルズが、初めてインドを訪れたのは1968年です。

年配の特撮番組ファンなら、『レインボーマン』(1972~)はインドの山奥で修業した…のをご存じでしょう。この頃世界はインドに対して過剰な期待を抱き、やがて実体を知り幻滅を覚える者が多数現れた歴史があります。

またインドのスラムで貧民やハンセン病患者などの救済に専念した修道女、マザー・テレサの名は多くの方がご存じでしょう。

彼女は人道支援活動のシンボルとなりノーベル平和賞を受賞。その影響力で世界を動かし、1997年没するとインドで国葬に付され、カトリック教会から2003年に”福者”、2016年に”聖人”とされる人物です。

一方で彼女の活動内容を疑う声も存在します。彼女の人脈・金脈は清廉潔癖とは言い難い、地元の人々にキリスト教価値観を押し付けた、などの批判の声も上がりました。

何より現代の視点では、これは“キリスト教徒の白人が劣った有色人種を救う”、欧米人が好む「白人の救世主」物語そのものではないか、と指摘する意見も現れています。

この歴史的経緯を知る方なら、本作は人々インドに対して様々な”幻想”を抱いていた時期に創作された物語ではないか、と警戒する方もいるでしょう。

そういった意見も踏まえて、30年ぶりに劇場公開された本作を解説していきます。

本作のモデルになった偉人を紹介


CITY OF JOY (C) 1992 – LIGHTMOTIVE LIMITED – PRICEL.

原作小説「歓喜の街カルカッタ」は人力車の車夫ハザリ、若いアメリカ人医師マックスが主人公の物語ですが、実はマックスが活躍するのは物語の中盤以降です。

原作には冒頭から登場するもう1人の主人公、スラムに望んでやって来たヨーロッパ人神父が登場しますが、映画には登場しません。

カルカッタのスラムで人々と生きる事を選んだ神父は、カースト制度やハンセン病患者への差別、スラムを支配するボスの存在の中で人々を救おうと奮闘します。

そしてこの神父とマックスは、スラム街にハンセン病患者の病院を作ろうとマザー・テレサ(本人として登場します)を訪ね、助力を求めます。

この映画に登場しない神父には、スイス人で看護士の資格を持つ宣教師、ガストン・ダヤーナンドというモデルとなる人物がいます

彼はスラムで生きる中でキリスト教の布教に拘らず、様々な宗教や慣習を持つ人々を受け入れ、ハンセン病患者と結核患者のための診療所を設立します。

彼は1992年にインド国籍を収得します(ダヤーナンドの名はこの時から使用します)。インドの中で生きる事を選んだ彼は、その後も数多くの診療所を作り、多くの看護士を養成しています。

ジャーナリスト出身の原作者ドミニク・ラピエールは、本作の登場するエピソードは真実で、登場人物の多くに(マザー・テレサのように)本名を使用している、その上で描いたフィクションだと説明しています。

彼が以前に記したノンフィクションを知れば、本作も相当取材を重ね書かれたものだと理解できます。彼は妻と共に「City of Joy」を何度も訪ね、知り合った友人と交流を重ね、本作の収益の半分をスラム街の子供を支援する活動に寄付しています。

映画にこの神父は登場せず、ジョアンと言う女性に変更されました。同じく登場しない当時人気のマザー・テレサの性格の一部を持つ、観客が理解しやすいキャラクターに置き変えたのでしょう。

ジョアンはアイルランド人のようですが、コソボ生まれのマザー・テレサはアイルランドの修道女会に入って活動を開始します。ジョアンがスイスの慈善団体の支援を受けるのは、スイス出身のガストン・ダヤーナンドへのオマージュでしょうか。

マザー・テレサよりもインドに根付いた活動を行い、現地の人々からも敬意を持って受け入れられたガストン・ダヤーナンドは、記事執筆時点ではまだ健在で活動を続けているようです

パトリック・スウェイジが出演を望んだ背景


CITY OF JOY (C) 1992 – LIGHTMOTIVE LIMITED – PRICEL.

『シティ・オブ・ジョイ』の原作は、カルカッタの貧困街の実情を綿密に取材して描かれたものであり、当時のインドに対するイメージだけで書かれたものではありません。

この作品の映画化に強い関心を示し、ノーギャラで出演したのがパトリック・スウェイジです。

『アウトサイダー』(1983)で注目を集め、『ダーティ・ダンシング』でアイドル的人気を獲得したスウェイジ。

彼はエミリオ・エステベスやアンソニー・マイケル・ホール、ロブ・ロウといった、当時”ブラット・パック”と呼ばれた若手スターと同列に語られ、その一員のように扱われます。

しかし”ブラット・パック”の主要メンバーより10歳程年上で、母親の影響で幼少よりバレエの教育を受け劇団で活躍していた、真面目な性格の彼はアイドルとして扱われることに抵抗があったようです。

ちなみにNetflixの映画の舞台裏を紹介するドキュメンタリー、『ボクらを作った映画たち』の『ダーティ・ダンシング』の回は、そんな彼の性格が製作現場で軋轢を生み、同時にそれがの傑作誕生に昇華される経緯が描かれています

『ダーティ・ダンシング』やパトリック・スウェイジのファンのみならず、映画が好きな方にぜひお薦めしたいドキュメンタリーとして紹介しました。

『ゴースト ニューヨークの幻』に出演後の1991年、ピープル誌に「最もセクシーな男」として紹介されるスウェイジ。そんな彼が世間の人気に逆らうように出演したのが『シティ・オブ・ジョイ』です。

徹底的に現地を取材し描かれた本作を監督するのは、カンボジア内戦下の大量虐殺を告白した映画『キリング・フィールド』のローランド・ジョフィです。

スウェイジが何を望んでこの映画に出演したのかは明白です。表面的なインドへの関心や、「白人の救世主」物語の先にのある、人間の苦悩と賛歌の物語が描かれました。

まとめ


CITY OF JOY (C) 1992 – LIGHTMOTIVE LIMITED – PRICEL.

インドのカルカッタ(コルカタ)を舞台に人々の苦悩に満ちた営みと、人間への希望を描いた『シティ・オブ・ジョイ』。

後にパトリック・スウェイジは1982年に父親を失って以来、約10年間アルコール依存症に苦しんだと語っています。これは彼の人気が高まり、そして本作に出演した頃の時期に重なります。

この後アルコール依存症のリハビリに専念するため、一時期芸能活動を休んだスウェイジ。彼は休業期間中、牧場で馬を育てることに専念しています。

その後俳優業を再開しますが、2008年すい臓癌と告白。闘病しつつ活動を続けますが2009年9月に死去、彼の遺灰はニューメキシコの牧場に撒かれました。

彼の人生を踏まえて今、本作を鑑賞すると新たな意味が見い出されるのではないでしょうか

本作に出演したインド俳優陣にはこの後、インド国内や海外で活躍している人物が多数います。

ラストで幸せな婚礼の日を迎えた、ハザリの娘アムリタを演じたアイーシャー・ダルカール。彼女が何者か熱心な『スター・ウォーズ』ファンならご存じでしょう。

彼女は『スター・ウォーズ EP2 クローンの攻撃』(2002)で、ナタリー・ポートマン演じるパドメ・アミダラの後を継ぎ、惑星ナブーの君主となったジャミーラ女王を演じています。

そしてアンソニー・ホプキンスがアカデミー主演男優賞を獲得した『ファーザー』(2020)にも出演しています。

様々な形で活躍している、インドの俳優陣にも注目して本作をご覧下さい。

次回の「未体験ゾーンの映画たち2022見破録」は…


(C)2021 EVOLUTION PICTURES LIMITED

次回第26回はロッククライマーの女性が危険な岸壁で、単身卑劣な男たちに挑む!山岳アクション映画『クリフハンガー フォールアウト』を紹介いたします。お楽しみに。

【連載コラム】『未体験ゾーンの映画たち2022見破録』記事一覧はこちら

増田健(映画屋のジョン)プロフィール

1968年生まれ、高校時代は8mmフィルムで映画を制作。大阪芸術大学を卒業後、映画興行会社に就職。多様な劇場に勤務し、念願のマイナー映画の上映にも関わる。

今は映画ライターとして活躍中。タルコフスキーと石井輝男を人生の師と仰ぎ、「B級・ジャンル映画なんでも来い!」「珍作・迷作大歓迎!」がモットーに様々な視点で愛情をもって映画を紹介。(@eigayajohn





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