第27回東京国際映画祭の日本映画スプラッシュ部門で作品賞を受賞した映画『百円の恋』
女優・安藤サクラの両親は、父が俳優の奥田瑛二、母はエッセイストの安藤和津。
才能の豊かな両親に育てられた安藤サクラ。しかし、世間に広く知られるようになったのは、2014年に公開された映画『百円の恋』がきっかけのようです。
今回は、安藤サクラが主演を果たし、注目を集めた武正晴監督の代表作でもある『百円の恋』をご紹介いたします。
映画『百円の恋』の作品情報
(C)2014東映ビデオ
【公開】
2014年(日本)
【脚本・監督】
武正晴
【キャスト】
安藤サクラ、新井浩文、伊藤洋三郎、早織、稲川実代子、坂田聡、沖田裕樹、宇野祥平、吉村界人、松浦慎一郎、重松収、根岸季衣、白岩佐季子、和宇慶勇二
【作品概要】
2012年に開催された、山口県周南市で行われた『周南「絆」映画祭』で、「第1回松田優作賞」のグランプリ受賞をした脚本家・足立紳のオリジナル脚本を映画化した作品。
安藤サクラは、主演の斎藤一子役を演じて、国内の多くの映画賞を独占。確かな演技力の評価されると共に、撮影が短期間の短い中で、まるでボクサーのように大幅な体重の減量と、アスリートらしい体型作りに成功させたことも話題になりました。
映画『百円の恋』のあらすじとネタバレ
(C)2014東映ビデオ
この物語の主人公の斎藤一子は、32歳になっても働きもせずテレビゲームばかりをして、実家に引きこもり自堕落な日々を過ごしています。
母親の斎藤佳子は、息子を連れて出戻りの娘の二三子と、家業の弁当屋を切盛りしている。一方で父親の孝夫は、やる気がなく役立たずになっていた。
それでも一子なりには、二三子の息子とは、ボクシングのテレビゲームを教えながら、面倒をみる良い関係を築いていました。
しかし、母親の佳子が、一子の歯科医院に行く治療費を出す出さないというに、二三子と姉妹ケンカを起こすと、一子は家を飛び出してしまいます。
どうにかこうにか、不動産屋からアパートを借りた一子。初めて一人暮らしをすると、今度は職探しに深夜の百円ショップの店員に応募します。
一子がはじめてアルバイトをした百円ショップの同僚たちは変わり者ばかり。
店長の岡野淳は、うつ病。先輩店員の野間明は、バツイチで他人の話も聞かずに自分の話ばかりをするしつこい男。
また、元店員の池内敏子は、レジのお金を盗んで解雇されたあげく、廃棄された焼きうどん弁当を貰いに来るという職場でした。
そんな日々を過ごしていた一子は、職場からアパートへの行き帰りの毎日で、ボクシングジムで練習をする狩野祐二に惹かれていくきます。
ある時、狩野が、百円ショップで購入したバナナをレジに忘れたことをきっかけに、一子は動物園デートに誘われるのですが…。
映画『百円の恋』の感想と評価
この作品でオリジナル脚本を書き上げた足立伸は、これがダメなら映画をやめる覚悟でつもりで書いたそうです。
それまでは、40歳を過ぎてもアルバイト生活を送りながらの脚本家としての執筆活動。
しかし、これを機に足立紳は、数々の映画賞を受賞。たちまち脚本家の第一人者となりました。
今作に登場した主人公の斎藤一子のように、人生の苦汁を嘗め続けてきた足立紳ならではの物語なのですね。
また、弱者の世界観を映画として丹念に描ききった武正晴監督は、この作品で、米アカデミー賞外国映画部門の日本代表に選ばれます!
まとめ
(C)2014東映ビデオ
安藤サクラは、この役柄を演じたことで才能を開花。懸命にボクシングに励む姿が、まるで、ボクシング映画の名作『ロッキー』のように印象的で、多くの観客たちを魅了。
今なお映画館で『百円の恋』が再上映されると、多くの安藤サクラファンが集まるようです。
斎藤一子は、劇中のボクシング対戦で敗れはしたものの、演じた安藤サクラは、日本アカデミー賞最優秀主演女優賞の栄冠に輝いた作品。
ちょっとワイルドなボクシング映画と思い込んで敬遠していた女性たちには、ご覧いただきたい傑作!
日頃の憂さを晴らすまでには至りませんが、きっと、涙で納得のヒューマン・ラブストーリーの傑作。
ぜひ、ハンカチ片手に、お見逃しなく!