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Entry 2018/02/22
Update

映画『顔たち、ところどころ』共同監督のアニエス・ヴァルダ&JR紹介も

  • Writer :
  • シネマルコヴィッチ

映画『顔たち、ところどころ』9月よりシネスイッチ銀座、新宿シネマカリテ、アップリンク渋谷ほか全国順次公開

本作は満足度保証付きのハートウォーミングなロード・ムービー!

「ヌーヴェルヴァーグの祖母」とも呼ばれた名匠アニエス・ヴァルダと、日本の東北地方でもアートプロジェクト「インサイド・アウト」を実行したアーティストJR。

年齢差50歳の2人が旅に出て、共同監督を行った『顔たち、ところどころ』とは?

映画『顔たち、ところどころ』の共同監督とは


© Agnès Varda – JR – Ciné-Tamaris – Social Animals 2016.

この度、日本語タイトルを『顔たち、ところどころ』に決まった本作は、名匠アニエス・ヴァルダ監督とアーティストJRの共同監督作で、2018年度のアカデミー賞ドキュメンタリー部門にノミネートされた『Faces Places(英題)』のことです。

“ヌーヴェル・バーグの祖母”としても知られ、ベルギーのブリュッセル出身の女性映画監督の先駆アニエス・ヴァルダ監督。

1965年の『幸福』でベルリン国際映画祭銀熊賞を受賞、1985年の『冬の旅』でヴェネツィア国際映画祭金獅子賞を受賞。

また、2015年にはカンヌ国際映画祭で史上6人目となるパルム・ドール名誉賞を受賞した。

そして、ストリートアーティストとして知られるJRは、TEDプライズを受賞し、“世界を変えたい”という願いを実現する機会を得た才能の持ち主で、フランスのみならず、ブラジル、インド、カンボジア、イスラエルなど広く海外で活動する人物。

参加型アートプロジェクト『Inside Out(インサイド・アウト)』では、一般の人たちが自分のセルフポートレートを撮影し、プロジェクトのホームページに送った後に、大きな顔写真がポスターになって返送されてきた写真作品を好きな場所に貼るという作品です。

JRのアート活動は日本の東北や福島でも行われ、また2013年にはワタリウム美術館で日本での初となる個展を開催したことでご存知の方も多いのではないでしょうか。

映画『顔たち、ところどころ』の評価は


© Agnès Varda – JR – Ciné-Tamaris – Social Animals 2016.

本作『顔たち、ところどころ 』は、そんなふたりがフランスの田舎を旅しながら、村々に住む市井の人々と接するなかでアート作品を一緒に作り残していくロード・ムービースタイルのハートウォーミングなドキュメンタリーです。

また、この作品はメディアでも高い評価で賞賛されています。

「大いに感動させられ、面白く、すべてが素晴らしい!」(INDIEWIRE)

「忘れられない一本」(The New York Times)

「完璧!!!」(Rolling Stone)

まさに絶賛の嵐といえそうな作品です。

今回公開された予告編を見てもわかるように、歳の差50歳のアニエスとJRの会話のやり取りがなんとも可愛らしく、牧歌的で微笑ましい姿が映像に収められています。

そんな2人がユニークなキャメラを模した車で訪れた村々では、大人から子どもまで無邪気で幸せな笑顔に溢れています。

そんなハートウォーミングな『顔たち、ところどころ』は、第70回カンヌ国際映画祭にて、最優秀ドキュメンタリー賞ルイユ・ドール(金の眼賞)、同年のトロント国際映画祭では最高賞にあたるピープルズ・チョイス・アワード(観客賞)のドキュメンタリー部門を受賞している注目の話題作です。

公開前に6月の「フランス映画祭2018」で上映!


© Agnès Varda – JR – Ciné-Tamaris – Social Animals 2016.

本作『顔たち、ところどころ』は、9月公開に先立ち、6月21日(木)~24(日)に行われる『フランス映画祭2018』で上映がされます。

また、併せてアニエス・ヴァルダ監督の来日も決定しています。

【フランス映画祭2018】
日程:2018年6月21日(木)~24日(日)
会場:神奈川県 横浜みなとみらいホール、イオンシネマみなとみらいほか

フランス映画祭2018公式ホームページ:http://unifrance.jp/festival/2018/

アニエス・ヴァルダのプロフィール

1928年、ベルギー生まれ。1940年、戦争から避難するため南フランスに移住。ルーヴル学院で学ぶためにパリに移った後、写真を学び職業写真家として活動します。

1954年に映画に転向した後、監督デビュー作『ラ・ポワント・クルト』を制作。この作品で“ヌーヴェルヴァーグの祖母”と呼ばれるようになります。1961年に『5時から7時までのクレオ』を発表、翌1962年には、『シェルブールの雨傘』や『ロシュフォールの恋人』で知られるジャック・ドゥミ監督と結婚

以来、多くのフィクション、ドキュメンタリー双方の短編作品や長編作品を監督して、高い評価を得ています。また、2017年9月には60年以上にも渡る映画作りの功労が認められ、アカデミー名誉賞を受賞しています。

まとめ

アニエス・ヴァルダは、2017年9月にはが「アカデミー名誉賞」を受賞し、第90回米国アカデミー賞、第43回セザール賞にもノミネートされるなど、世界の映画祭を席巻中なドキュメンタリー映画『顔たち、ところどころ』。

なお、2018年度のアカデミー授賞式は、3月4日(アメリカ現地時間)カリフォルニア州ハリウッドのドルビー・シアターで、セザール賞授賞式は3月2日(フランス現地時間)に開催予定。

本作は9月にシネスイッチ銀座、新宿シネマカリテ、アップリンク渋谷ほか全国順次公開となります。

また詳細な情報がわかりましたら、当サイトでご紹介します。今しばらくお待ちくださいね。

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