映画『シュシュシュの娘』は2021年8月21日(土)より渋谷ユーロスペース他にて順次公開!
映画『シュシュシュの娘』は、『22年目の告白 私が殺人犯です』『AI崩壊』(2020)などで成功を収めている入江悠監督が、出世作の「SR サイタマノラッパー」シリーズ以来9年ぶりに自主映画として手がけた長編作。
ある地方都市の市役所に勤める未宇は、普段からまったく目立たない存在で職場でも孤立しています。そんな彼女の先輩が文書改ざん事件に巻き込まれ自殺します。
未宇の祖父とも親しかった先輩を偲び、未宇は祖父からの頼みも受けて、先輩の仇を取り、市政に一矢報いるため、ひそかに立ち上がることを決意しますが……。
未宇役を「ヤッターマン」の福田沙紀が演じ、吉岡睦雄、根矢涼香、宇野祥平、井浦新らが脇を固めました。
映画『シュシュシュの娘』の作品情報
【公開】
2021年(日本映画)
【脚本・監督・製作】
入江悠
【キャスト】
福田沙紀、吉岡睦雄、根矢涼香、宇野祥平、金谷真由美、松澤仁晶、三溝浩二、仗桐安、安田ユウ、山中アラタ、児玉拓郎、白畑真逸、橋野純平、井浦新
【作品情報】
『シュシュシの娘』を手掛けたのは、『22年目の告白 私が殺人犯です』(2017)『AI崩壊』(2020)などで成功を収めている入江悠監督。自主映画を作り、コロナ禍で苦しむ全国のミニシアターを回ろうと、立ち上がりました。
本作は監督自ら出資し、その夢に賛同したクラウドファンディングの支援金と、監督自身がSNSで募集したスタッフ・キャストで製作に臨みました。福田沙紀、吉岡睦雄、根矢涼香ら出演キャストが応募し選出されました。
映画『シュシュシュの娘』のあらすじとネタバレ
地方都市・福谷市のはずれで暮らす鴉丸未宇25才。
独身の未宇は、寝たきりの祖父・五郎の介護をしながら、市役所に勤めています。朝の日課のダンスと煮込んだちくわをおかずに詰め込んだお弁当を食べるのが楽しみでした。
市内は「移民排除条例」問題で揺れ、排除条例賛成派がほとんどの市役所内で、未宇は孤立しています。
それも、五郎が市長発案のこの条例に反対しているらしいからです。五郎は昔新聞記者だったとかで、この町では数少ない反市長派だったのです。
唯一人の味方は、未宇の先輩・間野浩次でした。
お昼休み、未宇は弁当を持って公園へ行きます。しばらくすると、不動産会社に勤める丹治紗枝子がやって来ました。
2人は小中高の同級生。昼食はいつも2人で公園で食べています。未宇にとっては心安らぐひとときです。
ある日未宇が家に帰ると、間野が訪れていました。間野は家を出て行った未宇の父の同級生で、普段から祖父の五郎のところに来ていました。
しかし、今日の話の内容は深刻そうです。間野は、市役所の公文書の改ざんに加わったというのです。
市長に逆らえず、役人として最低だと自分を責めていました。もう死ぬしかないから最期のお別れに来たという間野。
未宇は話を聞いてしまいましたが、どうすることも出来ずに、帰る間野を見送りました。
次の日、間野は市役所の屋上から飛び降り自殺をしました。
失意の未宇が家に帰ると、五郎までが「主治医からもう数日の命かもしれないと言われた」と言い出します。
そして呆然とする未宇に、「間野が自殺したのは、移民排除条例に絡む公文書改ざんに手を染めたから。改ざんを指示された時、間野は秘かに動画を撮り、誰にも見つからない場所に隠した」と言います。
そして、五郎は先祖代々鴉丸家に伝わる秘密を未宇に告げ、動画を探すように言いました。
映画『シュシュシュの娘』の感想と評価
本作『シュシュシュの娘』は勧善懲悪の典型的な物語。
祖父と二人暮らしの未宇に訪れる突然の父の友人・間野の死。その原因は祖父が反対している「移民排除条例」の文書改ざんによるものでした。
文書改ざんの証拠となるデータを巡って未宇は否応なしに、どす黒い政治の戦争渦中に放り出されます。
しかし、ただ論争や暴力行為だけの争いにしないのが、入江悠監督の上手いところ……。
五郎がある秘策を未宇に授けることによって、未宇を地方都市のスーパーヒロインにさせました。ヒロインの武器は吹き矢。その大きな特技は「気配がないこと」。
私ってそうだったの? 自分の正体に驚く未宇ですが、そのことが‟夜明けの行灯”状態だった未宇を奮い立たせます。
IT技術の進んだ現代で、市政の悪を正し、亡き人の汚名を晴らす。
復讐に燃える未宇は、下を向いてばかりいた以前の未宇とは全くの別人でした。
美味しそうなちくわの煮物入り弁当が登場し、未宇を演じる福田沙紀のキレッキレのダンスやアップテンポな曲も作中流れ、終始明るい気分にさせてくれました。
ラストに待ち受ける結末は当然と思いながらも、潔い未宇の態度に爽快感もヒートアップ!
全世界の悪と言える出来事にもこんな天罰が下れば良いと思うことでしょう。
まとめ
映画『シュシュシュの娘』は、『22年目の告白 私が殺人犯です』『AI崩壊』などを世にだした入江悠監督の9年ぶりとなる自主映画です。
全国のミニシアターが苦境に立たされたのを目の当たりにし、自主映画を作って全国のミニシアターを回ろうと監督は決意したと言います。
監督自らの出資、夢に賛同したクラウドファンディングの支援金、SNSで募集したスタッフ・キャストたち。
みなの一途な想いが結集して、ミニシアター支援計画の本作が完成しました。
ストーリーの面白みも当然ながら、ロケ地埼玉の川辺の自然の美しさも余すところなく映し出され、地味なちくわの煮物がとても美味しそうな作品です。