パニックSFムービーと見せかけたヒューマンドラマ『ディープ・インパクト』
映画『ディープ・インパクト』は、人類を滅亡させるほどの大きい彗星が地球に衝突してくること知り、世界は一瞬で恐怖に陥ります。危機に直面した人間たちを様々な視点から描き、それぞれのドラマに胸が熱くなる作品です。
ヒューマンドラマだけでなく、宇宙や地球が壊滅していくシーンの1990年代とは思えないほどのクオリティに注目です。
本作は、製作総指揮にスティーヴン・スピルバーグ、ミミ・レダーが監督を努めています。当時同時期に公開されていた『アルマゲドン』と設定が似ていることから話題になりました。
映画『ディープ・インパクト』の作品情報
【公開】
1998年(アメリカ映画)
【原題】
Deep Impact
【監督】
ミミ・レダー
【キャスト】
ロバート・デュヴァル、ティア・レオーニ、イライジャ・ウッド、ヴァネッサ・レッド具レーヴ、マクシミリアン・シェル、リリー・ソビエスキー、モーガン・フリーマン、ジェームズ・クロムウェル、メアリー・マコーマック
【作品概要】
『ディープ・インパクト』は、巨大彗星の衝突によって破局に面した地球における人類の人間模様を描いたパニック大作。監督は『ピースメーカー』(1997)のミミ・レダー。彼女の監督第2作です。
脚本は『ザ・プレイヤー』(1992)のマイケル・トルキン、『ゴースト ニューヨークの幻』(1990)のブルース・ジョエル・ルービン、制作総指揮はスティーブン・スピルバーグとジョアン・ブラッドジョー、ウォルター・パークス。
映画『ディープ・インパクト』のあらすじとネタバレ
天体部の活動中、リオは偶然にも、新しい光る惑星か何かを発見しました。正体を知るために、惑星の写真をウルフ博士に送りました。
ウルフ博士は彗星が危険な軌道に乗って急速に地球に向かっているということに気がつきます。危険を知らせようと急いで車に乗りましたが、道中で事故にあってしまい、そのまま博士は亡くなってしまいました。
それから1年の時が過ぎました。
あるテレビ局の深夜枠のキャスター・ジェニーは会議に参加しています。会議では元財務長官の突然の辞任は妻の病気のためではなく、スキャンダルがあるのではないかという題材でした。ジェニーはスキャンダルの調査を始めます。
ジェニーはスキャンダルを暴くためリサーチをしていたところ、元財務長官のスキャンダルの相手の名前が、“エリー”であるという情報をつかみ、元財務長官のもとへ向かいました。
ジェニーは元財務長官に“エリーのことなど全て知っている”と持ちかけました。
すると元財務長官は“史上最大の特ダネだ”と言いました。エリーとの不倫で辞任が最大の特ダネ?と疑問をいだきながら帰宅していたとこと、怪しい車に囲まれていました。彼らはFBIでした。そしてジェニーは連行されました。
連れて行かれた先には大統領がいました。“エリーの話を出世に使おうとはおもっていない”とジェニーが伝えると、“ELEの話を?”大統領はこの話を2日間待ってくれたら、会見では特別席を用意し、最初に質問をさせてもらう約束を交わし、ジェニーは開放されました。
解放後ジェニーは“エリー”について検索を続けていると、絶滅の研究 E.L.E を発見しました。
その日は父親と再婚相手のクローイとのディナーでした。
二人からプレゼントを貰うが浮かない表情のジェニー。E.L.Eの真相を知ってしまった影響で動揺が隠せないでいました。
クローイは“私のこと嫌いだろうけれど、人生は続くのよ”と言いました。しかし、人類が絶滅する危機にあると知っているジェニーは、不気味に笑い出しました。
記者会見の日がやってきました。大統領は1年程前に我が国の2人の天文学者が星を見つけた彗星は地球に衝突する可能性を持っているということと、史上最大の宇宙船“救世主(メサイヤ)”をアメリカとロシアで共同開発し、2ヶ月後に宇宙飛行士らが乗組み彗星の衝突を阻止します。という内容を国民に発表しました。
特別席を用意されたジェニーは一番に質問もしました。“元財務長官辞任の理由は政府発表と違いますが、長官同様政府内にもメサイヤは地球を救えないと思っている人が?”それに対し大統領は“約束します。私たちは生き残ります。”と堂々と答えたのです。
他の記者からの質問に答え、彗星の名前は2人の天文学者からとって、“ウルフ・ビーダーマン”と発表されました。
その頃中継を見ていたリオ。まさか自分が発見した彗星が地球を滅ぼすものであったということに家族も本人もとても驚きました。そして当時一緒に観測していたガールフレンドのサラや近所の人達が自宅に駆けつけます。
宇宙飛行士と家族たちを集めたパーティーが開かれました。クルーのメンバーには、かつてアポロ計画でも活躍したベテランのフィッシュもいました。
フィッシュ以外のクルーは優秀で若く、とても勇敢なメンバーでしたが、フィッシュは彼らが少しの恐れも抱いていないことに不安を感じていました。彼らからは、フィッシュはただ広告のために起用されたのだと言われてしまい、任務前に溝は深まるのでした。
その関係は変わらないまま、メサイヤ発射の日がやってきました。
映画『ディープ・インパクト』の感想と評価
“人は人をこんなにも思うことができる”。
危機的状況のなかで生まれた人間らしさはとても尊いもので、日頃忘れてしまいがちな感情を呼び起こされました。
彗星を発見したリオ、彗星を報道するジェニー、そして彗星から地球を守るフィッシュ。それぞれの立場の違う3人の選択はまさに、“人を思った選択”であり、誰も自分を守るものではありませんでした。
ディープ・インパクトのポスターを見た人はただのSF映画と思うかもしれません。しかし、この映画のジャンルを問われたら私は“ヒューマンドラマ”と答えたいです。
なぜなら、見終わった後にハラハラしたという感情よりも、大切な人を思い浮かべながら胸が熱くなり涙が溢れたからです。
この作品では黒人大統領をモーガン・フリーマンが演じています。今の時代に見ると何も違和感はありません、既にオバマ大統領という前例がいるからです。
しかし、当時見た人はどのように思ったのでしょうか。また、津波のシーンは震災後に見ると恐怖が一層増しました。見る時代によって作品の見え方が違うのだと改めて感じました。
まとめ
本作『ディープ・インパクト』は、豪華な役者陣にも注目です。
新しい彗星を発見した高校生役を『ロード・オブ・ザ・リング』(2001)主演のイライジャ・ウッド、ベテラン宇宙飛行士フィッシュは『ゴッド・ファーザー』(1972)などに出演し、アカデミー賞も7回ノミネートされている役者界でもベテランであるロバート・デュバル、ニュースキャスターのジェニー役ティアレオーニは今作で有名になり、『天使がくれた時間』(2000)や『ディック&ジェーン』(2005)に出演しています。
映画の設定としては“人類滅亡の危機”は珍しくないのですが、想像を超えるヒューマンドラマがあり、同時期公開され認知度も高い『アルマゲドン』(1998)に劣る部分はないと断言できる内容量とクオリティの高い作品です。
両方の作品を見比べて見るのもよいかもしれません。