Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

サスペンス映画

Entry 2021/05/27
Update

映画『鳩の撃退法』キャスト藤原竜也。津田伸一という天才作家が3つの意味深な鍵を握る

  • Writer :
  • 星野しげみ

映画『鳩の撃退法』は、2021年8月27日(金)全国公開予定

直木賞作家佐藤正午の小説『鳩の撃退法』が映画化され、2021年8月27日(金)より公開予定です。

映画『鳩の撃退法』は、藤原竜也、土屋太鳳、風間俊介、西野七瀬、豊川悦司らの豪華キャスト陣を、『原宿デニール』(2015)のタカハタ秀太監督がまとめあげました。

直木賞受賞経験もある天才作家・津田は、経験した“ある出来事”を小説に書きます。

神隠しにあったとされる家族、津田の元に舞い込んだ大量のニセ札、囲いを出た鳩の行方、津田の命を狙う裏社会のドン、そして多くの人の運命を狂わせたあの雪の一夜の邂逅…。

小説と現実、過去と現在が交錯しながら物語は進んで行きます。はたして全ての謎は解けるのでしょうか?

映画『鳩の撃退法』の作品情報


(C)2021「鳩の撃退法」製作委員会 (C)佐藤正午/小学館

【公開】
2021年(日本映画)

【原作】
佐藤正午

【監督】
タカハタ秀太

【脚本】
藤井清美、タカハタ秀太

【キャスト】
藤原竜也、土屋太鳳、風間俊介、西野七瀬、豊川悦司、坂井真紀、濱田岳、リリー・フランキー、佐津川愛美、桜井ユキ、柿澤勇人、駿河太郎、浜野謙太、岩松了、村上淳、ミッキー・カーチス

【作品概要】
直木賞作家の佐藤正午の同名ベストセラーを藤原竜也主演で映画化した『鳩の撃退法』。

謎めいた小説家・津田を藤原竜也、津田に翻弄される担当編集者・鳥飼を土屋太鳳、津田とコーヒーショップで出会った日に失踪したバーのマスター・幸地秀吉を風間俊介、津田の行きつけのコーヒーショップ店員・沼本を西野七瀬、彼らが暮らす街の裏社会を仕切る倉田健次郎を豊川悦司が演じています。

監督は、『ホテル ビーナス』(2004)『原宿デニール』(2015)のタカハタ秀太。脚本は、『るろうに剣心 京都大火編『るろうに剣心 伝説の最期編』(2014)を手掛けた藤井清美とタカハタ監督が担当します。

映画『鳩の撃退法』のあらすじ

富山の小さな街でドライバーとしてその日暮らしを続ける津田伸一は、かつては直木賞も受賞した天才小説家です。

ある日、津田はバーで担当編集者の鳥飼なほみに、書き途中のある新作小説を読ませていました。

1年前、津田はいきつけのコーヒーショップで偶然幸地秀吉と出会い、今度会ったらピーターパンの本を貸そう、と“約束”をして別れました。

しかしその夜を境に、幸地秀吉は愛する家族と共に突然姿を消してしまいます。

それから数カ月後、ひょんなことから津田の元に3千万円を超える現金が転がりこみました。ところが喜びも束の間、思いもよらない事実が判明します。

津田は、「あんたが使ったのは偽の1万円札だったんだよ」と使用した先から言われました。

そのうえ、1年前に家族三人が失踪した事件をはじめ、この街で起きる騒ぎに必ず関わっている裏社会のドン・倉田健次郎が、偽札の動向に目を光らせていると聞きました。

倉田はすでに偽札の行方と一緒に、津田の居場所を捜し始めているそうです……。

津田の体験を元に書かれた新作に心を躍らせる鳥飼でしたが、物語を読めば読むほど、どうにも小説の中だけの話とは思えなくなります。

鳥飼は津田の話を頼りに小説が本当にフィクションなのか検証を始めますが、そこには驚愕の真実が待ち受けていました。

作家津田伸一と俳優藤原竜也

(C)2021「鳩の撃退法」製作委員会 (C)佐藤正午/小学館

しがない小説家の男が偽札事件に巻きこまれ、さらに一家三人神隠し事件も絡んで複雑な様相になっていく『鳩の撃退法』。

本作の主人公は直木賞の受賞経験があり、天才作家と称される津田伸一です。最近はヒット作に恵まれませんが、それでもほそぼそと書いています。今回も執筆中の新作小説を、担当編集者の鳥飼に読ませます。

それはフィクションか現実か、わからない内容の小説でした。鳥飼は何回も「小説ですよね?」と尋ねますが、津田ははぐらかしています。

嘘を書いてそれが現実になるのか。または、現実にあったことを書いているのか

鳥飼のみならず津田を問い正したいところですが、ここがストーリーが展開するうえでの重要ポイントとなっているのでしょう。

プライド高く掴み処のない謎めいた作家の津田伸一を演じるのは、あらゆる役も全力投球でこなす実力派の藤原竜也。

これまでにも『デスノート』(2006)『バトル・ロワイヤル』(2000)「カイジ」(2009~2020)シリーズ、『22年目の告白-私が殺人犯です-』(2017)『太陽は動かない』(2021)などに出演し、その実力は誰もがご存知であろう俳優です。

熱情的に感情を吐露し、人生の辛酸を表現できる藤原竜也。

彼の持ち味は、七転八起的な人生、または波乱万丈な人生を歩む役にはうってつけの底知れない演技力です。

だからこそ、津田伸一という一癖も二癖もありそうなキャラクターをどんな風に演じてくれるのかと期待が高まります。

しかし、その一方では、彼がこれまで演じた多くの主人公のように、津田も人生の線路から足を滑らせてしまうのではないかと、余計な老婆心もじわじわと。

失踪事件と偽札の関係など、津田の書く小説の世界から飛び出す真実が暴露されるとき、鍵を握る津田の雄叫びは聞けるのでしょうか? それは天才作家にふさわしいラストなのでしょうか?

こちらの疑問点も、藤原竜也にかかっていると言っても過言ではないでしょう。

意味深な3つのキーワード

(C)2021「鳩の撃退法」製作委員会 (C)佐藤正午/小学館

映画『鳩の撃退法』においては、主要人物に加え、新たな登場人物が続々と。

裏社会を仕切る倉田健次郎(豊川)の手下に、駿河太郎、浜野謙太、村上淳がそれぞれ扮し、岩松了が情報通なデリヘルの社長・川島、カーチスが謎に包まれた古本屋の店主・房州老人と、実力派のキャスト陣が脇を固めました。

最新の予告編では、「一家失踪事件」「謎の偽札」「裏社会の男」という、物語の鍵を握る3つの謎が明かされていますが、実はこれは全て津田の書く小説の中に出てくる言葉です。

津田と知り合った男性一家の失踪事件や、裏社会を牛耳る男が所持する偽札が、いつのまにか津田のもとにあるという事実です。

小説の中で反映されるのは、津田がいる現実社会で実際に起こったこと。

3つのキーワードに関連する出来事を追っていると、作品のタイトルの意味にも繋がって行く展開も興味深く、謎を解き明かすのに津田がどんな活動をするのか、監督の手腕が楽しみです。

まとめ


(C)2021「鳩の撃退法」製作委員会 (C)佐藤正午/小学館

天才小説家津田伸一が書く小説は現実になるのかと、話題を呼ぶ映画『鳩の撃退法』。津田に扮する藤原竜也が、小説内の出来事が現実と入り混じる世界を演出します。

気になるのは、藤原竜也のコメントです。

「監督の手腕に驚くと同時に演じていた僕自身も主人公・津田が仕掛ける【現実と小説が入り混じる世界観】に引き込まれました」

「今作で演じるのは【天才小説家】という役柄になりますが、僕の執筆する小説が観客の皆様を『鳩の撃退法』の世界に引き込み、巻き込んでいけるか、とても楽しみです」。

さてさて、どんな世界が展開しているのでしょう。自分の目で確かめるのが楽しみです。

案外「鳩が豆鉄砲を食ったような」ラスト結末が用意されているのかも知れません。

映画『鳩の撃退法』は、2021年8月27日(金)全国公開予定








関連記事

サスペンス映画

『ファイブ・デビルズ』ネタバレあらすじ感想と結末ラストの考察評価。タイムリープクイア映画の元ネタ“オマージュ”とキャラ解説にて深読みする!

『パリ13区』共同脚本のレア・ミシウス監督作『ファイブ・デビルズ』 人種や立場の異なるミレニアル世代の恋愛を描いた『パリ13区』(2021年)にはふたりの脚本家がいます。ひとりは『秘密の森の、その向こ …

サスペンス映画

映画『サニー/32』あらすじと感想。実話に北原里英&門脇麦が挑む!

映画『サニー/32』は撮影が行われた新潟地区は2018年2月9日(金)新潟・長岡先行公開され、続く2月17日(土)から全国公開されます。 『凶悪』のスタッフやキャストがふたたび集結した話題作で、演出は …

サスペンス映画

映画『スノーデン』あらすじネタバレと感想!ラスト結末も

たったひとりの若者が世界中を震撼させた。 米国家安全保障(NSA)がテロ対策として極秘に大量の個人情報を収集していたことを、元外部職員であったエドワード・スノーデンが世界中に暴露した「スノーデン事件」 …

サスペンス映画

映画『ジョーカー』に影響を与えた名作傑作リスト一覧。“悪のカリスマ”を描くベースとなった過去作をチェック

“悪のカリスマ”ジョーカーを描くベースとなった映画まとめ ヴェネツィア国際映画祭でアメコミ映画史上初の金獅子賞を受賞し、話題沸騰となった映画『ジョーカー』が、2019年10月4日(金)より日米同時公開 …

サスペンス映画

映画『暗黒女子』あらすじネタバレと感想!ラスト結末も

イヤミスの傑作がついに映画化!全員悪女で嘘つき同士が騙し騙される?! 驚愕のラスト24分が待ち受ける裏切りエンターテイメント『暗黒女子』をご紹介します。 CONTENTS映画『暗黒女子』の作品情報映画 …

【坂井真紀インタビュー】ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』女優という役の“描かれない部分”を想像し“元気”を届ける仕事
【川添野愛インタビュー】映画『忌怪島/きかいじま』
【光石研インタビュー】映画『逃げきれた夢』
映画『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』伊澤彩織インタビュー
映画『Sin Clock』窪塚洋介×牧賢治監督インタビュー
映画『レッドシューズ』朝比奈彩インタビュー
映画『あつい胸さわぎ』吉田美月喜インタビュー
映画『ONE PIECE FILM RED』谷口悟朗監督インタビュー
『シン・仮面ライダー』コラム / 仮面の男の名はシン
【連載コラム】光の国からシンは来る?
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
日本映画大学