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Entry 2021/05/24
Update

映画『グーニーズ』あらすじネタバレと感想評価ラスト結末も。主題曲を歌うのはシンディ・ローパーで曲名は“グーニーズはグッドイナフ”

  • Writer :
  • 松平光冬

お宝求めて少年少女たちが大活躍!アドベンチャー映画のマスターピース

お正月映画の目玉として、1985年末に日本公開され大ヒットとなった『グーニーズ』

製作総指揮は、1981に『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』、1982年『E.T.』、1983年に『トワイライトゾーン/超次元の体験』と映画界に破竹の勢いで、大ヒット作を飛ばし続けた名匠スティーヴン・スピルバーグ。

監督は『オーメン』「リーサル・ウェポン」シリーズのリチャード・ドナーによる、7人の少年少女たちが繰り広げるアドベンチャー映画のマスターピースを、ネタバレ有でレビューします。

映画『グーニーズ』の作品情報

(C)Warner Bros. Entertainment Inc.

【公開】
1985年(アメリカ映画)

【原題】
The Goonies

【監督・製作】
リチャード・ドナー

【脚本】
クリス・コロンバス

【製作総指揮】
スティーヴン・スピルバーグ、フランク・マーシャル、キャスリーン・ケネディ

【撮影】
ニック・マクリーン

【キャスト】
ショーン・アスティン、ジョシュ・ブローリン、コリー・フェルドマン、ジェフ・コーエン、キー・ホイ・クァン(ジョナサン・キー・クァン)、ケリー・グリーン、マーサ・プリンプトン、ジョン・マツザク、ロバート・ダヴィ、ジョー・パントリアーノ、アン・ラムジー

【作品概要】
海賊の隠した宝物を探す、「グーニーズ」と呼ばれるティーンエイジャーたちを描くアドベンチャー映画。

監督・製作に『オーメン』(1976)、「リーサル・ウェポン」シリーズ(1987~98)のリチャード・ドナー、製作総指揮(エグゼクティヴ・プロデューサー)にスティーヴン・スピルバーグ、脚本にクリス・コロンバスというゴールデントリオが実現。

グーニーズの7人を演じたショーン・アスティン、ジョシュ・ブローリン、コリー・フェルドマンらは、本作を機にスター街道を歩むことに。

日本では1986年新春のお正月映画として公開され、ヒットとなりました。

映画『グーニーズ』のあらすじとネタバレ

(C)Warner Bros. Entertainment Inc.

アメリカの郡刑務所に収監されていた悪名高きギャング、フラッテリー一家の長兄ジェイクを、母ママと弟ジェイクが脱獄させる事件が発生。彼らはオレゴン州アストリア郊外の港町グーンドックスに逃げこみます。

そのグーンドックスに暮らす13歳の少年マイキーは、引っ越すための荷造りをしていました。

2人の父アービングは、経営するゴルフ場を拡張しようとするパーキンスから、不動産を担保に多額の借金をしており、翌日までに返済できなければ、自宅と土地を引き渡さねばならなかったのです。

最後の別れとばかりに、マイキーを訪ねてマウス、チャンク、データの3人が来ます。彼らは「グーニーズ」(間抜け軍団)と名乗り、いつも一緒に遊ぶ仲でした。

マイキーは、荷造りに入った屋根裏部屋で偶然、伝説の大海賊“片目のウィリー”が遺したとされる、財宝のありかを記した地図を発見。それは歴史学者の父アービングが保管していた物でした。

見つけた財宝で借金が返せる――そう考えたマイキーは、荷造りもせずに筋トレに勤しむマイキーの兄ブランドを椅子に縛り付け、仲間3人たちと家を飛び出します。

地図が指した財宝のある場所は、岬にある廃墟レストラン。

そこはあのフラッテリー一家が隠れアジトにしていたため、マイキーたちは退散することに。

しかし、どうしても財宝を諦めきれずに、一家が立ち去るのを見計らって、再度レストランに侵入。

地下へ通じる入り口の先には大洞窟が広がっており、グーニーズや後を追ってきたブランドも仕方なく下りていくことにします。

ただひとりチャンクは、指名手配中のフラッテリー一家の存在を警察に通報しようと、ヒッチハイクして町に戻ろうとしますが、停めた車にはなんとその一家が乗っていました。

捕らえられたチャンクが財宝のことを喋ってしまったため、一家もまた財宝を求めて動き出します。

マイキーたちは、ブランドが片想いしているクラスメイトのアンディとその友だちステフの女子2人も加わり、洞窟の奥深くへと進んでいきます。

一方、フラッテリー一家に縛られてひとり取り残されていたチャンクは、同じ部屋に監禁されていた一家の三男スロースと遭遇。

奇形児として生まれたために、一家に虐待同然のように育てられていたスロースを見て、最初こそ怯えるチャンクでしたが、次第に意気投合。脱出してマイキーたちを追います。

ウィリーが仕掛けた危険なブービートラップに幾度となく命を落としかけるも、その都度協力し合ってくぐり抜けていくマイキーたち。

しかし、徐々にフラッテリー一家も追いついていくのでした。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『グーニーズ』のネタバレ・結末の記載がございます。本作をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

そして最後の試練もクリアしたグーニーズはついに、ウィリーの海賊船を見つけます。

船内じゅうにある大量の宝石や金貨といった財宝を集めていくマイキーたちでしたが、そこにフラッテリー一家が。

マイキーたちから財宝を没収したのち、一家は彼らを海に突き落とそうとしますが、そこへチャンクとスロースが助けに現れます。

チャンクたちに撃退されるも、一家は船内の残りの財宝を奪おうとしますが、そこでウィリーのブービートラップが発動。

錨が上がって船が動き出したことで洞窟が崩れていく中、マイキーたちは外に脱出。

地上ではすでに朝となっており、脱出した海辺に出ると、そこにはマイキーたちの家族やパーキンス、警察やマスコミの姿が。

フラッテリー一家は警察に逮捕されるも、チャンクの必死の説得によりスロースは解放されることに。

財宝を持ち帰えられなかったと落ち込むマイキーを慰める父アービングと母ハリエット。

とうとうアービングがパーキンスの持つ権利書にサインしようとした直前、家政婦のロザリータが何かを発見。

それは、マイキーがビー玉袋に密かに詰めて隠し持っていた、いくつもの宝石でした。

宝石を借金返済の宛てにすることで家を立ち退かずに済んだマイキーに、警察が宝石をどこで見つけたかと尋ねます。

海賊船の存在を告げると警察もマスコミも一笑に付しますが、その直後、海を漂う海賊船が姿を現します。

グーニーズは感謝の意を込めながら、去り行く船を見送るのでした――

映画『グーニーズ』の感想と評価

(C)Warner Bros. Entertainment Inc.

監督作『ジョーズ』(1975)で名声を得て以降、映画界最高のヒットメーカーとなったスティーヴン・スピルバーグ。

その称号を確かなものとしたのは、1980年代に入って製作業も着手するようになってからなのは、間違いないところでしょう。

キャスリーン・ケネディ、フランク・マーシャルと設立したプロダクション「アンブリン」を拠点に、スピルバーグはエグゼクティブ・プロデューサー(製作総指揮)として数々の作品をプロデュースしていきます。

本作『グーニーズ』は、そのアンブリンの第2作目として、スピルバーグの原案を『グレムリン』(1984)の脚本家クリス・コロンバスが脚色し、『オーメン』(1976)のリチャード・ドナーが監督するという強力トリオで製作されました。

かくして出来上がったのは、少年少女たちが謎の財宝を探しに冒険するという、スピルバーグが得意とするスペクタクルなアドベンチャー。

日本では、アンブリン第3作『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(1985)と並ぶ1985年末のお正月映画として公開され、1986年の日本国内の配給収入4位を記録するヒットに(『バック・トゥ~』は2位にランクイン)。

当時の人気歌手シンディ・ローパーが歌う主題曲『グーニーズはグッドイナフ』も併せてヒットするなど、多くのフォロワーを生んだのです。

シンディ・ローパー「The Goonies ‘R’ Good Enough(グーニーズはグッドイナフ)」PV

本作のヒット要因は多々あるでしょうが、グーニーズを演じた7人の大半が映画初出演だったこともあり、フレッシュな魅力がそのまま活かされたのも大きいと思われます。

監督のドナーは、撮影するまで7人が海賊船を見るのを許可しませんでした。つまり、クライマックスで彼らが船を目の当たりにして感激するシーンは、演技ではなかったのです(もっとも、ブランド役のジョシュ・ブローリンが驚きのあまり「Holy shit!(スゲェぜ!)」と不適切な言葉を叫んでしまい、リテイクする羽目になったとか)。

スピルバーグは1980年代について、「あの頃は地球規模の混乱もなく、経済も安定していて、映画と言えばエスケープのためのエンターテインメント。最もイノセントな時代だった」と振り返っています。

何も考えずに、イノセントに楽しめる1980年代映画――その象徴となるのが、本作かもしれません。

まとめ

YouTubeチャンネル「Reunite Apart」で再集結した『グーニーズ』のキャスト&スタッフ

アメリカでは昨年、新型コロナウィルスの感染拡大で新作が上映できなかったことから、埋め合わせとして過去作のリバイバル上映が行われました。

『スター・ウォーズ/帝国の逆襲』(1980)、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』、『ジュラシック・パーク』(1993)といったブロックバスター作品がリバイバルされた中で、本作『グーニーズ』もラインナップに。

この事実だけでも、本作がいかに愛されているかが分かりますが、そうなると続編の声が出るのも当然というもの。実際に、続編またはリブート企画の噂は長年にわたって囁かれてきました。

これに関しては、原案と製作総指揮のスピルバーグが、昨年配信のYouTubeチャンネル「Reunite Apart」で、「(脚本の)クリスや(監督の)リチャードたちの間で、数年ごとに企画のアイデアは出るけど、『グーニーズ』を超えるものが見つからないんだ」と語っています。

スピルバーグの言葉を踏まえると、続編が作られる可能性は低そう。

しかしその一方で、『ファンボーイズ』(2009)の脚本家アダム・F・ゴールドバーグが、『The Goonies II: Never Say Die(グーニーズは決して死ぬとは言わない)』と題した脚本を9年かけて執筆し、ドナー監督に売り込みを試みたりもしています。

もしかすると、フォロワーたちによるグーニーズの新たな冒険が生まれるかも? いずれにしろ続報に注目したいところです。





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