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Entry 2021/03/18
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映画『5月の花嫁学校』あらすじ感想評価と内容解説。ジュリエット・ビノシュが良妻賢母の育成をするコメディ

  • Writer :
  • 菅浪瑛子

映画『5月の花嫁学校』は2021年5月28日(金)より全国順次ロードショー!

フランスを代表する名女優ジュリエット・ビノシュ主演最新作は花嫁学校の校長役をキュートに演じたコメディ。

舞台は1960年代後半、美しい街並みと葡萄畑で有名なフランスのアルザス地方にあるヴァン・デル・ベック家政学校。この学校では今では考えられない“良妻賢母”の育成を行っていました。

(C)2020 – LES FILMS DU KIOSQUE – FRANCE 3 CINEMA – ORANGE STUDIO – UMEDIA

時同じくしてパリ大学から始まった学生運動の波が労働問題や男女問題にも発展していきました。パリから遠く離れたアルザスにも運動の波がすぐそこに迫っていました。そんなこともつゆ知らずにいた校長のポーレット(ジュリエット・ビノシュ)は夫が急逝し、多額の借金を抱えてたことを知り大ピンチに……。

家を切り盛りし、夫に付き従う良妻賢母が当たり前とされた女性を取り巻く問題をコミカルに清々しく描いたコメディ映画。2021年度セザール賞5部門ノミネート、衣装デザイン賞を受賞。

映画『5月の花嫁学校』の作品情報


(C)2020 – LES FILMS DU KIOSQUE – FRANCE 3 CINEMA – ORANGE STUDIO – UMEDIA

【日本公開】
2021年(フランス映画)

【原題】
La bonne epouse

【監督】
マルタン・プロボ

【脚本】
マルタン・プロボ、セブリーヌ・ベルバ

【キャスト】
ジュリエット・ビノシュ、ヨランド・モロー、ノエミ・ルボフスキー、エドゥアール・ベール、フランソワ・ベルレアン、マリー・ザブコベック、アナマリア・バルトロメイ、リリー・タイエブ、ポーリーン・ブリアン、アルメール

【作品概要】
校長のポーレットを務めるのはジュリエット・ビノシュ。『トリコロール/青の愛』(1993)でヴェネチア国際映画祭最優秀女優賞、『イングリッシュ・ペイシェント』(1996)でアカデミー賞助演女優賞、ベルリン国際映画祭最優秀女優賞(銀熊賞)、『トスカーナの贋作』でカンヌ国際映画祭女優賞を受賞。世界三大映画祭で女優賞を制覇しました。近年の出演作は『私の知らないわたしの素顔』(2020)、『冬時間のパリ』(2019)。

『アメリ』(2001〕、『ミックマック』(2010)、『神様メール』(2016)のヨランド・モロー、『PLAY 25年分のラストシーン』(2020)、『ショコラ 君がいて、僕がいる』(2017)に出演するほか、『マチルド、翼を広げ』(2019)、『カミーユ、恋はふたたび』(2015)で監督脚本を務めたノエミ・ルボフスキーがジュリエット・ビノシュの同僚として脇を添えています。

監督を務めるのはマルタン・プロボ。本作にも出演しているヨランド・モローを主演にむかえた『セラフィーヌの庭』(2010)をはじめ、『ルージュの手紙』(2017)、『ヴィオレット ある作家の肖像』(2015)で監督・脚本を務めています。

映画『5月の花嫁学校』のあらすじ


(C)2020 – LES FILMS DU KIOSQUE – FRANCE 3 CINEMA – ORANGE STUDIO – UMEDIA

1967年。美しい街並みと葡萄畑で有名なフランスのアルザス地方にあるヴァン・デル・ベック家政学校に18人の新入生がやってきました。校長のポーレット(ジュリエット・ビノシュ)はピンクのスーツに身をつつみ、新入生を迎えます。

学校を経営するのはポーレットの夫のロベール(フランソワ・ベルレアン)。講師は第二次世界大戦中レジスタンスとして活動していた経験もつ修道女のマリー=テレーズ(ノエミ・ルボフスキー)とポーレットの義妹で料理長のジルベルト(ヨランド・モロー)でした。

パリ大学で社会改革を求める五月革命が勃発し、パリ全土をはじめその革命の風がアルザスにも吹き始めているなか、学校では良い花嫁になるための教育をしています。ポーベット自身も良妻賢母であることが良いことだと信じて疑っていません。

しかし、生徒たちは“良妻賢母は時代遅れ、これからは女性も自由に生きるべきだ”と感じ始めています。そんななか、突然ロベールが亡くなってしまい、ポーネットたちは悲しみにくれます。その上ロベールが多額の借金を抱えていたことを知り、大ピンチに。

破産寸前のポーネットは銀行に駆け込みます。そこで出会ったのは第二次世界大戦で死に別れたはずの恋人アンドレ(エドゥアール・ベール)でした。アンドレの提案でなんとか立て直しを図るポーネットは次第に自分がロベルトによって縛り付けられ、自由を奪われていたこと、そして忘れていた情熱を思い出し始めます。

ヴァン・デル・ベック家政学校とポーネット、生徒らの運命はいかに……。

映画『5月の花嫁学校』の感想と評価


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花嫁学校と良妻賢母

1960年代のフランスでは、まだ発展していない農村部が多く残り、そのような地域では裕福ではない家の少女たちの多くはは花嫁学校に通い、親が決めた人と結婚したり、都会で家政婦の仕事に就いたりしていました。

60年代くらいまで多く存在した花嫁学校でしたが、1968年の五月革命以降存続した学校は一つもないそうです。本作で描かれるのはその五月革命以前のことです。入学してきた生徒の前でジュリエット・ビノシュ演じる校長ポーネットが“良き妻の鉄則”を説きます。

その内容は、妻は夫のために家事を行い、夫のためにおしゃれをして着飾り、夜のお勤めもしっかりこなし、常に明るく朗らかに家庭が幸せになるよう努めるという今では考えられないものです。

妻の自由などなく、夫のため、子供のために働くことが当たり前という時代だったのです。1965年にフランスでは、既婚女性が夫の同意なしに、職業選択、契約、銀行口座の開設と財産管理を行えるよう法改定が行われました。

しかし、依然として女性の社会進出の道は難しく、本作で描かれているポーネットは学校の経営や、金銭管理などは全て夫であるロベルトが管理し、通帳を見せてもらえることも、自分の口座を持つことも出来ていませんでした。また、義妹であるジルベルトは、実家で住まわせることを条件に学校で働いており、給料はもらえていませんでした。

今を生きる人たちへ


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本作では60年代の女性を取り巻く環境を描きながらも、近づいてきた新しい風を受け、高らかに自由を叫ぶ爽快でコミカルな映画になっています。

確かに今の時代を生きる女性たちは自分で職業を選択し、自分で稼いだお金は自分のもの、良き妻である必要も、家事を全て担う必要もありません。でもどうでしょうか。現代社会は本当に自由で生きやすい世の中でしょうか

出産、避妊など女性の身体に対する問題や、社会的な男女格差の問題は今なお取り立たされています。そのような問題を浮き彫りにしつつも、「私たちは自由だ」と高らかに歌い歩き出すポーネットや、ジルベルト、マリー=テレーズ、そして生徒たちの姿に勇気づけられ、彼女らの明るさとコミカルな演技は私たちに笑って前を向く強さを与えてくれるでしょう。

まとめ


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アルザス地方にあるヴァン・デル・ベック家政学校を舞台に、パリから届いた革命の風を受け“良妻賢母”ではなく、新たな時代へと前をむく女性たちの人生賛歌を描く映画『5月の花嫁学校』。

ジュリエット・ビノシュ史上最もキュートでコミカルな演技にも大注目!

映画『5月の花嫁学校』は2021年5月28日(金)より全国順次公開されます。




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