凄腕の殺し屋が、性転換手術で女の姿に!?
主演を務めるのは兄貴こと、ミシェル・ロドリゲス。
漢の映画を撮り続けるウォルター・ヒル御大の約4年ぶりとなる作品。
2018年1月6日(土)公開の『レディ・ガイ』をご紹介します。
CONTENTS
1.映画『レディ・ガイ』の作品情報
【公開】
2018年(アメリカ映画)
【原題】
The Assignment
【原案・監督・脚本】
ウォルター・ヒル
【キャスト】
ミシェル・ロドリゲス、トニー・シャルーブ、アンソニー・ラパリア、ケイトリン・ジェラード、シガニー・ウィーバー
【作品概要】
刺激的なタイトルに惹かれて調べてみると、なんとウォルター・ヒル監督作!
女に姿を変えられてしまった凄腕殺し屋のフランク・キッチンを演じるのは、『ワイルド・スピード』シリーズのミシェル・ロドリゲス。
フランクを女に変えたDr.レイチェル・ジェーン役には、『エイリアン』シリーズのシガニー・ウィーバー。
年始から男臭いアクションが期待できる作品です!
2.ウォルター・ヒル監督のプロフィール
元祖!送迎屋モノ『ザ・ドライバー』(1978)
脚本家として頭角を現し、監督デビュー作となったチャールズ・ブロンソン主演の『ストリートファイター』から一貫して、男臭い映画を撮り続けるリビング・レジェンド。2018年1月10日で76歳です。
代表作の『ザ・ドライバー』や『ウォリアーズ』、『ストリート・オブ・ファイヤー』に『48時間』はいずれも世界中に多くのファンを持つ名作であり、後世の様々な映画に影響を与え続けています。
元祖!ストリートギャング映画『ウォリアーズ』
また、世界的な人気シリーズである『エイリアン』シリーズの製作を務め、第1作目のリプリーやアンドロイドのアッシュのキャラクター造形にも関わっています。
本作は多忙を極めていた1978年頃から温めてきたアイディアを遂に映画化した、監督念願の企画です。
映画の資金を集めるためにコミック版の『レディ・ガイ』だけでなく、原作コミック『Triggerman』も出版するほど。
お話を聞くだけで午後ローでやってそうなB級臭が漂ってきますが、その実体は果たして…。
3.映画『レディ・ガイ』の出演者プロフィール
ミシェル・ロドリゲス(フランク・キッチン役)
オーディションで主役の座を射止めた『ガールファイト』の女性ボクサー役でデビュー。その後、『ワイルド・スピード』シリーズ、『アバター』、『マチェーテ』、などの話題作に数多く出演。
屈強で男勝りな役を演じることが多い男前な女優さんで、本作も彼女のために用意されたような役のため否が応でも期待が高まります。
性転換手術を勝手に施された男という難しい役柄をどのように解釈して演じているのか気になるところです。
この後の出演作は『それでも夜は明ける』のスティーヴ・マックイーン監督の最新作『Windows(原題)』、日本の漫画「銃夢」を映画化したロバート・ロドリゲス監督の『Alita:Battle Angel(原題)』が控えています。
シガニー・ウィーバー(Dr.レイチェル・ジェーン役)
『エイリアン』シリーズで演じたリプリーが当たり役となり、いまもなおタフな女性のアイコンとして君臨する最強女優。
近年では主演を張ることもなくなってきましたが、『アバター』で演じたグレース・オーガスティン役で久々に大作に帰ってきました。
『アバター』はシリーズ化が決まり、現段階で4作目まで制作される予定で、そのいずれにも同役で出演するそうです。
本作では黒幕となるDr.レイチェル・ジェーン役を演じていますが、その存在感抜群の演技に注目です。
トニー・シャルーブ(Dr.ガレン役)
ブロードウェイデビュー後、テレビや映画で順調にキャリアを重ね、TVシリーズ「モンク」で演じた元刑事の名探偵モンクが一躍お茶の間の人気者となり、同役でエミー賞やゴールデン・グローブ賞テレビ・シリーズ部門の主演男優賞を獲得。
人気アニメーション『カーズ』シリーズでは声優としても活躍。2018年1月5日公開の『ジャコメッティ 最後の肖像』にも出演。
アンソニー・ラパリア(オネスト・ジョン役
主にテレビドラマで活躍してきたオーストラリア出身の俳優。アーサー・ミラーの舞台『A View from the Bridge』でトニー賞を、2002年には『そりゃないぜ!? フレイジャー』でエミー賞を、2004年には『FBI失踪者を追え』でゴールデングローブ賞を受賞。
近年の映画出演作は、『アイヒマン・ショー/歴史を映した男たち』、声優として『ハッピー フィート』や『ハッピー フィート2 踊るペンギンレスキュー隊』など。
4.映画『レディ・ガイ』のあらすじとネタバレ
〈ジェーン、現在〉
ジェーンは殺人事件の重要参考人として捕まり、精神鑑定を受けています。
彼女は優秀な外科医として活躍するかたわら、違法な闇手術を行ってきた犯罪者でもありました。
事件は、ジェーンのボディガードとジェーンが襲われ、指紋などの証拠から自殺した助手が犯人だと断定されかかっています。
ジェーンは、フランク・キッチンという殺し屋が復讐のために私をはめたと主張しますが、鑑定を担当するドクターのガレンは彼女の作り話だと思っていました。
〈事の発端、2年前〉
フランクがジェーンの弟を暗殺。弟を殺されたジェーンはどうにかフランクに復讐しようと機会を伺っていました。
〈フランク、1年数か月前〉
フランクは依頼人のオネスト・ジョンから仕事を受け、任務完了後にモーテルに戻るとジョニーという女性と一夜を過ごしました。
次の夜、フランクのモーテルをオネスト・ジョンが再び訪ねてきます。襲われたフランクは応戦も虚しく気絶されられてしまいます。
ジェーンの取引に応じたオネスト・ジョンは、フランクを彼女の手術部屋に運びました。
フランクが目を覚ますと、そこは別の安モーテルでした。自らの身体の異変に気付き、鏡の前に立つと、フランクの顔や身体は女性になっています。
目に付いたバックの中を漁るとそこにはお金とテープレコーダーが。レコーダーを再生すると、そこからジェーンの声が流れてきます。
ジェーンは復讐のためフランクに性別適合手術を施し、精神的な苦痛を与えるのが目的でした。
殺し屋としての人生をやめ、女性としてもう一度人生をやり直して欲しいとジェーンは語り、音声は途切れました。
絶望の淵に立たされたフランクは、怒りに震え、ジェーンへの復讐を計画します。
5.映画『レディ・ガイ』の感想と評価
この映画はタイトルから想像されるようなジャンル映画要素の強い派手なB級アクションかと思いきや、その実は割と淡々としたハードボイルドものでした。
話はすごくシンプルながら、構成があまり上手くないのでほとんどの時間がシガニー・ウィーバー演じるジェーンの独白に費やされています。
そのため画にほとんど動きがなく、96分とまとまっているにもかかわらず体感時間はとんでもなく長いです。
この独白はラストのショットを生かすための引っ張りとしてしか機能していないので、もっとミシェル・ロドリゲスが演じるフランクの描写に時間を割くべきだったと思います。
フランク側は、男のシーンもミシェル・ロドリゲスが特殊メイクによって演じているので、まさかのフルチン姿も拝めます。(これはウォルター・ヒルなりのギャグでしょう)
弾を準備するシーンや二丁拳銃で次々と敵を始末していくシーンなど、見どころはあるのですが、いかんせん短すぎるのがもったいない。
やはり兄貴は格好良いので、ファンの方はそこだけ楽しむのもアリかもしれません。
ジョニーとのやり取りで漂うハードボイルド感はたまらないものがありました。
服装や濡れた路面など全体的に地味な雰囲気も含め、70年代の映画を観ているなぁと。
いいところはいいのにイマイチ盛り上がらずに終わってしまうので、あまりハードルを上げずに楽しむのが一番いいのかなと思います。
ジョージ・ミラーは70歳にして『マッドマックス 怒りのデス・ロード』(2015)という映画史に残るとんでもない傑作を作り上げました。
ウォルター・ヒル御大にもまだまだその可能性はあるはずです。
いちファンとして次回作の情報を楽しみに待ちたいところです。
まとめ
ウォルター・ヒル監督は1970年代半ばから80年代に、かつての西部劇黄金期の作品をお手本にしながら、あらゆるアクション映画のパターンを作成し、再び映画に活気を蘇らせたことで知られる映像作家です。
その後に作られたアクション映画の多くは、彼の作品の骨格やアイディアを継承したものと言えるでしょう。
ウォルター・ヒル監督がどうして本作に挑んだのか。
その挑戦を刮目せよ!
『レディ・ガイ』は2018年1月6日(土)より公開です。