『パラサイト 半地下の家族』ミニョク役はパク・ソジュン!
第92回アカデミー賞で四冠を成し遂げ、2021年1月8日(金)の「金曜ロードショー」にて初の地上波放映を迎えるポン・ジュノ監督の映画『パラサイト 半地下の家族』。
全編ノーカットでの放映、ソフト版からほぼ一新された日本語吹き替えキャスト、中でも貧乏息子のギウの声を神木隆之介が担当するなど、多くの楽しみがあると放映が期待されています。
ソン・ガンホはじめ、チャン・ヘジンやチェ・ウシクなど実力派俳優が勢ぞろいの本作ですが、実は貧困息子ジウの友人ミニョク役を『梨泰院クラス』でブレイクしたパク・ソジュンが演じています。
『パラサイト 半地下の家族』をより深く楽しんでいただくためにも、本記事では「パク・ソジュンとは、そもそもどんな俳優なのか?」「『パラサイト 半地下の家族』ではどんな役どころなのか」を改めてご紹介いたします。
CONTENTS
映画『パラサイト 半地下の家族』作品情報
【日本公開】
2020年(韓国映画)
【原題】
기생충 (英題:Parasite)
【監督】
ポン・ジュノ
【キャスト】
ソン・ガンホ、チャン・ヘジン、チェ・ウシク、パク・ソダム、イ・ソンギュン、チョ・ヨジョン、イ・ジョンウン、チョン・ジソ、パク・ソジュン、パク・ミョンフン
映画『パラサイト 半地下の家族』あらすじ
失業中の父キム・ギテク。若い頃はスポーツ選手でしたが、実生活にはスポーツの取り柄など何の役にも立たないと痛感している母チュンスク。4回も大学受験に失敗している無職の息子ギウ。美大に進学できず予備校に通うお金もない娘ギジョン。
キム一家は、家族全員が失業中。その日暮らしの生活で、貧困層の多い区域の“半地下住宅”に住んでいました。
そんなある日、長男ギウは友人ミニョクに家庭教師の仕事を紹介され、IT企業のCEOであるパク氏の豪邸へと面接を受けに行くことになります。
面接はうまくいき、パク一家の心を掴んだギウ。次に、妹のギジョンを美術教師のジェシカ先生と紹介し、ギジョンもまんまとパク一家の幼い長男の家庭教師におさまります。こうして、キム兄妹は高台にある豪邸に足を踏み入れました。
正反対の2つの家族の出会いは、想像を超える悲喜劇へと猛スピードで加速していきます……。
映画『パラサイト 半地下の家族』ミニョク役はパク・ソジュン
パク・ソジュンは1988年12月16日生まれのソウル特別市出身で、ソウル芸術大学演技科卒業をしたAwesome ENT所属の俳優です。
一重まぶたの目と優しい眼差しに誠実そうな顔立ちから、モデル並みのビジュアルを備えながらも、気取らない親しみやすさのある“お隣のお兄さん”的な雰囲気があると人気を呼んでいます。
在学中に軍務を終えた後(2010年5月に除隊)、キム・スヒョンのマネージャーとの縁からキーイーストと契約。同事務所の「新人1号アーティスト」となり、2011年にはミュージック・ビデオに出演してデビューを果たしました。
2014年には『魔女の恋愛』でヒロインに一途に思いを寄せる年下男子ドンハを演じてブレイク。以降、主演を務めたラブコメドラマが次々とヒットし続けたことで“ラブコメの神”と呼ばれるようになりました。
その後も韓国ドラマ『サム、マイウェイ ~恋の一発逆転!~』(2017)や『キム秘書はいったい、なぜ?』(2018)などにも出演し、映画『ディヴァイン・フューリー/使者』では激しいアクションも披露。
Netflixオリジナル作品として世界配信された2020年の『梨泰院クラス』では、絶望の淵に立たされながらも仲間たちと奮闘し正義感と意思を貫く主人公のパク・セロイを好演。同作により、日本での知名度・人気度も一気に高まりました。
映画『パラサイト 半地下の家族』ミニョクはどんな役?
パク・ソジュンが『パラサイト 半地下の家族』で演じるのは、半地下で暮らすキム一家の長男ギウの友人ミニョク。名門大学に通うエリートである彼は、女子高生で裕福なパク家の一人娘ダヘの英語の家庭教師をしていました。
しかしミニョクは留学することになり、4度も大学受験に失敗している「受験のプロ」であるギウのもとを訪れ、留学期間中の代理としてダヘの英語の家庭教師をやらないかと提案します。
自分が留学している最中に後任者がダヘに手を出すことを恐れたため、ミニョクは友人であるギウに代理を頼んだのですが、この提案が思わぬ事態を招きだすのです……。
パク・ソジュンの演技力評価
参考動画:『梨泰院クラス』予告編(2020)
「ラブコメの神」から新たな境地へ
親しみやすさとビジュアルを兼ね備えたパク・ソジュン。初期は“ラブコメの神”と呼ばれて、女性の憧れる王子様的な役が多かったのですが、最近は様々な役に挑戦し演技の幅を広げています。
まずは、Netflixオリジナル作品として世界配信された2020年の『梨泰院クラス』。パク・ソジュン演じる主人公パク・セロイは、愚直なほど信念を曲げない青年です。学生時代の壮絶な事件の恨みを晴らすべく、飲食業界1位の大企業「長家(チャンガ)」に復讐するため、梨泰院で居酒屋をオープンします。
スピード感のある復讐劇に一方通行ばかりの恋愛模様も絡ませたドラマで、パク・ソジュンは、どこまでも真っ直ぐに信念を貫く主人公を、“復讐の鬼”ではなく、人の心の痛みがわかる魅力的な人間に演じています。
次に挙げるのは、映画『ディヴァイン・フューリー/使者』。悪魔祓いをテーマに、若き格闘家とベテラン神父が悪に立ち向かう姿を描いたアクション映画であり、パク・ソジュンが演じるのは幼少期に事故で父を亡くし、そのせいで神への信仰を失ったまま育った総合格闘技の若き世界チャンピオンです。
ラブコメから格闘技の世界チャンピオンへ。覚醒したかのような激しい格闘やアクションシーンが展開し、野球選手を夢見たこともあるというパク・ソジュンの優れた運動能力を見せてくれる作品となっています。
「王子」が持つ二面性を短い時間の中で表現
そして、本作『パラサイト 半地下の家族』で演じているのが、主人公である貧困一家が“長男の優秀な友人”として、絶大なる信頼を寄せている青年ミニョク。彼が長男に紹介した仕事がこの物語の出来事のきっかけとなるのですが、もちろん彼はそんなことになるとは露知らず、自分の思惑だけで長男にその話を持ち掛けます。
貧困一家にとって、幸運の女神ならぬ神ともいえるミニョクを、エリートな好青年として演じているパク・ソジュン。その後に起こる出来事を微塵にも予感させず、爽やかな雰囲気のまま立ち去る様はまさに「王子」のようです。
しかしながら実際のミニョクは、嫉妬心や独占欲から家庭教師の代理役をギウに持ちかける、頭は良いが浅はかさが抜けない青年。「王子」にも見紛うその姿は、世間や社会を知っているつもりでいるが実際は「人間」の本質・本性を見抜き損ねてしまう、「世間知らず」ならぬ「人間知らず」な青年の姿と表裏一体でもあります。
登場場面は短いながらも物語の重要なキーマンであり、観る者に強い印象を与える役どころを演じたパク・ソジュン。「王子」のようなエリート好青年が密かに抱える薄っぺらさすらも表現してみせたその演技力は確かなものです。
まとめ
韓国の格差社会をリアルにあらわした『パラサイト 半地下の家族』。貧困家庭の長男が、超裕福な一家の家庭教師になったことから巻き起こる悲喜劇を描いた本作は、ユーモアとスリル満載のブラックコメディです。
主演を務めるのは、ジュノ監督とは4度目の共演となる韓国を代表する名優ソン・ガンホ。イ・ソンギュン、チョ・ヨジョン、チェ・ウシクら実力派俳優も集結しました。
そして本作で出演しているパク・ソジュンが演じるミニョクは、物語の始まりでしか登場しませんが、のちに映画を振り返ると彼の役どころは非常に重要であったと理解できます。だからこそ、確かな演技力を持つパク・ソジュンをキャスティングしたのでしょう。
『梨泰院クラス』や『ディヴァイン・フューリー/使者』、並びに本作でのミニョク役と、幅広く活動するパク・ソジュン。どれもインパクトある彼の演技に、今後の活躍がますます楽しみになります。