映画『人狼ゲーム デスゲームの運営人』は、11月13日(金)よりシネマート新宿・心斎橋にて公開
会話とコミュニケーションを楽しむパーティーゲームとして、日本でも定着した「人狼ゲーム」。
これを題材にしたドラマやバラエティー番組、舞台劇や映画も数多く生まれ、プレーヤーの心理戦要素は、コミックなどの様々な作品に影響を与えています。
2003年川上亮が発表した小説「人狼ゲーム」はシリーズ化され、それぞれ映画化・ドラマ化などメディアの枠を越え展開してきました。
そのシリーズ8作目となる作品が、『人狼ゲーム デスゲームの運営人』。
第1作の桜庭ななみから、第7作『人狼ゲーム インフェルノ』の武田玲奈まで、若手女優主演のシリーズが、初の男性主人公となる小越勇輝を迎え、映画化されました。
CONTENTS
映画『人狼ゲーム デスゲームの運営人』の作品情報
【日本公開】
2020年(日本映画)
【原作・監督・脚本】
川上亮
【アドバイザー】
児玉健
【キャスト】
小越勇輝、中島健、ウチクリ内倉、花柳のぞみ、坂ノ上茜、桃果、朝倉ふゆな、森山晃帆、星れいら、山之内すず、三山凌輝、森本直輝、黒沢進乃介、福崎那由他
【作品概要】
参加を望む者、拉致された者により実施され、勝敗は富裕層の賭博の対象となる、非合法の「人狼ゲーム」。
運営側の男がゲームの参加者の中に、自分の教え子であった娘を見つけ、彼女を救い出そうと試みる…。
人狼ゲームのルールから変則的な設定で作られた、頭脳ゲームを描く作品です。原作小説シリーズを著してきた川上亮が、今回初の監督に挑みました。
主演はドラマ『コーヒー&バニラ』(2019)、『そして、ユリコは一人になった』(2020)の演技で、改めて注目を集める小越勇輝。
彼が必死に救おうとする娘を、映画『ビブリア古書堂の事件手帖』(2019)、『哲人王 李登輝対話篇』(2019)に出演の桃果が演じます。
映画『人狼ゲーム デスゲームの運営人』のあらすじとネタバレ
とある場所に到着した車から、意識の無いまま降ろされた9名の若い男女。
彼らは謎の組織が運営する”人狼ゲーム”の参加者でした。仮面を付けたゲーム運営の者が、彼らプレイヤーを会場に運びます。
運営者はゲーム上の役職を示すカードを用意し、警告を与える微弱なものから、死に至る強力な電撃を流す首輪を、各プレイヤーに取り付けました。
しかしあるプレイヤーの顔を見て、動揺の色を隠せない男、政宗(小越勇輝)。
準備が完了すると、運営側のリーダー鬼頭(ウチクリ内倉)は今回のプレイヤーの役職名と、運営側の各スタッフが、どのプレイヤーを監視対象にするかを告げました。
“人狼”(夜の間に、人狼以外のプレイヤーの中から1人を指定し襲撃、殺害する)は、佐竹澪(朝倉ふゆな)と一ノ瀬悠輝(福崎那由他)。
“予言者”(夜の間に、プレイヤーの中から1人を指定し、その人物が人狼か調べることができる)は、天野すみれ(森山晃帆)。
“霊媒師”(昼の投票で処刑されたプレイヤーが人狼か否かを、夜の間に知ることができる)は、早坂亜由武(黒沢進乃介)。
“用心棒”(夜の間にプレイヤーの中から1人を指定し、その人物を人狼の襲撃から守ることができる。自らを守ることはできない)は、夏目柚月(桃果)。
この柚月こそ、運営側の政宗を動揺させた人物でした。
残る橋爪颯真(森本直輝)、秦小春(星れいら)、末吉萌々香(山之内すず)、滝快斗(三山凌輝)は能力を持たない役職、”村人”です。
プレイヤーたちは、昼間投票で怪しい人物を1名選び、処刑します。その夜”人狼”はプレイヤー1人を襲い殺害します(”用心棒”が守った人物であれば、”人狼”の襲撃は阻止される)。
翌日、生き残ったプレイヤーは、予言者や霊媒師の情報で処刑する人物を選びます。ただし役職を偽り、嘘の情報を流す人物がいるかもしれません。
村人側(人狼以外のメンバー)が全ての”人狼”を処刑すれば村人側の勝利、村人側が”人狼”の人数以下となれば、人狼側の勝利です。
しかしこのデスゲームでは、実際にプレイヤーは殺害され、そして生き残った勝者側に、賞金1億円が与えられます。
こうしてゲームは開始されました。プレイヤーには噂されていた闇の”人狼ゲーム”が、実在したと驚く者もいました。
プレイヤーには招待された者、拉致されて来た者、望んで探し求めて参加した者がいます。
逃げる術がないと悟り、誰を処刑するか相談し始めるプレイヤーたち。
自己紹介する彼らを鬼頭と政宗、琥太郎(中島健)と姫奈(花柳のぞみ)、くるみ(坂ノ上茜)の5名の運営者が監視していました。
監視室を出た政宗は、琥太郎にプレイヤーの柚月は知っている人物で、助けられないかと相談します。そんな事をすれば管理者に殺されるだけだ、と答える琥太郎。
柚月はかつて政宗が家庭教師をした娘です。彼女を”人狼ゲーム”に誘ったのは政宗、その結果殺人ゲームの管理者に目を付けられたのか、と彼は動揺していました。
プレイヤーの澪とすみれが、自分こそ”予言者”だと主張します。霊媒師を名乗る者はいません。人狼側と村人側の心理戦が開始されます。
拉致されて来た者は処刑から除外すべきだ、それはゲームとは関係ないし、その告白も怪しい。
反応が怪しかった者は誰かと、様々な意見が出て相談は紛糾しますが、ついに投票の時間を迎えました。
時間を迎え、皆は処刑する人間を指さします。最も多く票を集めたのは橋爪でした。
自分が処刑されたら村人は負ける、そう叫びながら首輪に流された電流で処刑される橋爪。
柚月が選ばれなかったと安堵する政宗。それを仲間から指摘され、何とか誤魔化します。
何とか柚月を助けたいと、琥太郎に訴える政宗。殺人ゲームの運営に嫌気がさしていた彼は、顔見知りの柚月を救うことに目的を見出し、自分が犠牲になっても構わないと考えていました。
その態度を偽善と指摘する琥太郎ですが、自分を巻き込まないなら黙認すると約束します。せめて柚月に、全プレイヤーの役職名を知らせようと考えた政宗。
最初の夜、”人狼”は早坂を選び殺害します。監視していた姫奈とくるみは、”人狼”の澪が襲撃する候補を挙げて、一ノ瀬が早坂を選んだと説明します。
早期に”霊媒師”の早坂を失い、村人側は不利になりました。琥太郎と2人で監視している間に、柚月にメモを渡すと告げた政宗。
協力を決断した琥太郎に、政宗は報酬を約束します。琥太郎は役職名のメモを渡すだけでなく、柚月は殺された”霊媒師”を自称すべきだと提案します。
プレイヤーの役職名を知れば、”霊媒師”の役割を果たせる柚月。さらに”霊媒師”を名乗れば”人狼”は、彼女は”用心棒”に護衛されていると考え、襲撃を諦めるはず。
その提案もメモに記した政宗。皆が寝静まると琥太郎の協力を得て、柚月の部屋の窓にメモを貼り付けた政宗。
翌朝、柚月はメモに気付き、密かに手に入れることに成功しました。
刺殺された早坂の遺体を見て、プレイヤーたちは動揺します。しかしその中に、ルールとはいえ彼を殺害した”人狼”が潜んでいるのです。
ここで”予言者”が、昨晩調べた人物の結果を発表します。”人狼”でありながら”予言者”と称した澪は、もう1人の”人狼”一ノ瀬を、”人狼”ではないと発表します。
本当の”予言者”すみれも、”人狼”を見つけていません。
生存者たちの相談が始まると、メモに従い”霊媒師”と名乗った柚月。他に”霊媒師”と称する者は現れません。
昨日処刑された橋爪は”人狼”では無かった、残る7人の内、2人が”人狼”だと語る柚月。
運営側の鬼頭と姫奈とくるみも、柚月は的確に振る舞ったと評します。これで彼女が今回処刑される可能性は減りました。
今日の話し合いも熱気を帯びます。残るは7人、今日1人を処刑し、夜1人が殺されれば明日は5人。
明日の投票で1人を処刑し、それでも”人狼”が1人でも残っていれば、夜1人が殺され残り3人。
投票できるのは、最大でも明後日を含めた3回。その中で2人の”人狼”を処刑せねばなりません。
3回の投票で失敗できるのは1回だけ。自称”予言者”は2人、1人は本物で1人は”人狼”。
“予言者”を残せば、”人狼”を暴く可能性は高まります。しかし少ない機会で”人狼”を倒すには、自称”予言者”を処刑するしかありません。
今回”予言者”を処刑するなら、澪に投票すると宣言する柚月。しかしその言葉をきっかけに、話し合いは紛糾します。
投票の時間を迎えました。選ばれたのは”予言者”のすみれでした。
しかし彼女は逃げ出します。すみれは首輪を壊していました。鬼頭たちはすみれを追い、他のプレイヤーには弱い電撃を加え、意識を失わせます。
捕らえたすみれに激しい暴行を加え、スタンガンで気絶させた鬼頭。そして彼女に新しい首輪を付け、ルール通りに処刑します。
その夜、本来の役職は”用心棒”である柚月は、護衛の対象に小春を選びます。
“人狼”の一ノ瀬は柚月を襲撃しようと言います。しかしもう1人の”人狼”である澪は、柚月が皆に”人狼”だと疑われるよう、他の人物の襲撃を提案しました。
その夜、萌々香を殺害する”人狼”。彼女の悲鳴を柚月は耳にします。残るプレイヤーは5人、その内の2人が”人狼”…。
映画『人狼ゲーム デスゲームの運営人』の感想と評価
小説、コミックとして、そして映画やドラマ化され人気の「人狼ゲーム」シリーズ。
原作者の川上亮は、自らが本作を監督するにあたり、人狼ゲームゲームアドバイザーとしてゲーム・舞台劇、イベントを主催してきた児玉健の、全面的な協力を仰ぎました。
そして劇団を立ち上げ、人気舞台の「人狼 ザ・ライブプレイングシアター」を数多く公演してきた、ウチクリ内倉も本作に出演。
「人狼ゲーム」人気の立役者が集結した作品が、『人狼ゲーム デスゲームの運営人』です。
児玉健、ウチクリ内倉、川上亮は共同で、「映画『人狼ゲーム デスゲームの運営人』の特別上映会と限定版DVDを形にしたい!」というクラウドファンディングを立ち上げました。
本記事執筆の段階で、クラウドファンディングは既に目標金額を達成しています。
この映画はより印象深い形で、多くの「人狼ゲーム」ファンの元に届くでしょう。
デスゲームの舞台裏に焦点を移す
「人狼ゲーム」は参加者が増えると役職も増え、より複雑化します。それをコントロールし、楽しいプレイにするのが、ゲームマスターの腕の見せ所。
川上亮の「人狼ゲーム」シリーズも、当初シンプルな物語も回を重ねる毎に複雑に、新たな設定を加えて描かれてきました。
本作ではついに、ゲームの上位構造である運営側を描き、従来の殺人ゲーム設定の枠を越えた作品に仕上がりました。
これはシリーズと共に、殺人ゲームの主催者側のドラマに焦点を移し、より発展させた、ジェームズ・ワンの代表作『ソウ』(2004)シリーズと同じ構造だと言えるでしょう。
本作で新たな境地に到着した「人狼ゲーム」シリーズも、『ソウ』シリーズ同様の発展を遂げる可能性を秘めているのです。
まとめ
ファン必見の映画『人狼ゲーム デスゲームの運営人』。プレイヤーの駆け引きは巧妙かつ複雑、あらすじネタバレを手がかりに鑑賞してもらえれば幸いです。
しかし本作の一番の魅力は、若手俳優たちの演技合戦。「人狼ゲーム」の設定の中で、それを知り尽くした人々の演出に支えられ、見応えのあるものに仕上がっています。
舞台から映像作品に活躍の場を移した小越勇輝、モデルとしても活躍中の中島健、キッズモデル時代から経験を重ねている福崎那由他。
小学生時にスカウトされ、今は女優業に専念する桃果、幼くしてミュージカル「アニー」の主演を務めた朝倉ふゆな、『ウルトラマンX』(2015~)でヒロインを演じ、注目を集めた坂ノ上茜。
彼ら、彼女らの優れた演技を確認するには、本作をご覧頂くしかありません。
今や若手俳優の登竜門とも呼ばれる「人狼ゲーム」シリーズ。中でも本作は、確かにその役割を果たしました。
映画『人狼ゲーム デスゲームの運営人』は、11月13日(金)よりシネマート新宿・心斎橋にて公開