三上延のベストセラーシリーズ『ビブリア古書堂の事件手帖』の映画化。
“キャラクター文芸“ブームの火付け役とも言える同シリーズが、コミック化やTVドラマ化を経て、遂に実写映画化。
“過去”と“今”が交差する、極上の感動ミステリー。壮大なストーリーと、原作のイメージ通りの旬の実力派キャストが魅力的な作品です。
映画『ビブリア古書堂の事件手帖』の作品情報
【公開】
2018年(日本映画)
【原作】
三上延
【監督】
三島有紀子
【主題歌】
サザンオールスターズ『北鎌倉の思い出』
【キャスト】
黒木華、野村周平、成田凌、夏帆、東出昌大
【作品概要】
鎌倉の片隅の古書店ビブリア古書堂の若く美しい本の虫・篠川栞子と、アルバイト店員となる本の読めない青年五浦大輔。
2人が協力し、書籍に関わる様々な謎を解いていく、三上延のベストセラーシリーズ『ビブリア古書堂の事件手帖』を完全映画化。
主演・栞子役は黒木華、共演に野村周平、成田凌。
また、50年前の恋人を演じるのが東出昌大と夏帆。
第41回モントリオール世界映画祭コンペティション部門審査員特別賞受賞作「幼な子われらに生まれ」を手がけた三島有紀子監督がメガホンをとりました。
主題歌はサザンオールスターズの新曲で、原由子ボーカル楽曲『北鎌倉の思い出』。
映画『ビブリア古書堂の事件手帖』のあらすじとネタバレ
幼い頃のトラウマから本が読めない五浦大輔(野村周平)。
そんな彼の祖母が亡くなります。
彼女の遺品を整理している中で、本棚の中の夏目漱石全集を手に取った大輔は、その中に夏目漱石と署名された本があることに気が付きます。
それは漱石の後期の代表作『それから』。
そしてなぜか漱石と名前とともに、田中嘉雄という人物の名前が…。
この本は、子供ころ大輔が手に取ったところ、祖母に烈火のごとく怒られ、それが大輔のトラウマのもとになった曰くつきのものでした。
大輔はまさか漱石本人のサイン本とは思わないもの、全集を購入したビブリア古書堂に持ち込み、事情を探ることに。
ビブリア古書堂で大輔を出迎えたのは女性店主の栞子(黒木華)。
彼女は、署名の筆跡と本にまつわる事情から、大輔の祖母の秘めた恋愛を言い当てます。
よくよく見ると夏目漱石の署名は祖母の筆跡でした。
秘密を知るためと、そのままの流れで大輔はビブリア古書堂の店員となりました。
ビブリア古書堂は、栞子があまりにも本について熱弁をふるうために、アルバイトが定着せず困っていました。
さらに栞子は足を怪我してしまい、何かと不便が多い生活を送っていました。
本が読めない自分でも務まるのかと疑問に感じながらも、大輔は古書店員としての勉強をしながら、新生活を進めていきます。
時は遡り60年前。
東京オリンピックに日本中が湧いていたころ。
五浦食堂に、作家志望の嘉雄(東出昌大)がお客としてやってきます。
店には、大輔の祖母となる絹子(夏帆)が、店長の妻として働いていました。
嘉雄と絹子は、やがて様々な書物を介して、秘めたる恋心募らせていきます。
やがて結ばれる二人、絹子のお腹には新たな命が芽生えていました。
そして現代。
なれない古書店業に悪戦苦闘しながらも、なんとか働き続ける大輔。
そんな彼はある時、大庭葉蔵という名の、太宰治作品の熱狂的なコレクターの噂を聞きます。
そして、栞子から大庭葉蔵とビブリア古書堂が所蔵している太宰治『晩年』のアンカット版の話を聞かされます。
周りには「雨の日に石段から転んだ」と言っていた栞子の怪我。
実は『晩年』を譲らない栞子に大庭葉蔵が痺れを切らし、石段から突き落とされたのが原因でした。
さらに大庭葉蔵は、「このことを言うとビブリア古書堂に火をつける」といって念を押すほどでした。
大庭葉蔵から『晩年』を守るため、そして大庭葉蔵の正体を探るため、栞子と大輔は協力していきます。
古書市場で知り合った稲垣(成田凌)も、大庭葉蔵のことは知っていて、栞子を心配します。
自分と違って太宰についても、古書についても、栞子と話の合う稲垣に、大輔は軽い嫉妬を覚えます。
稲垣を伴ってビブリア古書堂に戻った一行、その眼の前で謎の人物がまさに看板に火をつけようとしていました。
ハリウッドメジャーの邦画
本作はKADOKAWAと、ハリウッドメジャーの20世紀FOXが共同配給作品。
20世紀FOXが本格的に邦画に手を挙げた作品となります。
ハリウッドメジャーで邦画といえば何といってもワーナーブラザーズでしょう。
いくつかの作品を経て幹事会社として制作から加わった『デスノート』がいきなり大成功を収め、その後「るろうに剣心」シリーズなどヒット作・話題作を連発しています。
今年も『銀魂2』が大ヒット中で、今や邦画のメジャー会社といっても言い過ぎではありません。
これはローカルプロダクションと呼ばれるものです。
元々ハリウッドメジャーの映画はアメリカから全世界に投網を投げたようなネットワークを持って映画を公開しています。
ローカルプロダクションはその網の大きな網目が発信源となって映画をより地域密着型で作ろうというモノです。
ワーナーブラザーズは『HERO』と『LOVERS』を中華圏で大ヒットさせて、これでさらに日本に特化して映画を創っていく流れができました。
「アウトレイジ」シリーズなどもワーナーブラザーズです。
これに何とか続けとばかりに、2017年にソニーピクチャーズが『斉木楠雄のΨ難』を制作、2018年も『50回目のファーストキス』を公開しています。
こういった映画たちは、ハリウッドメジャーの映画として海外にも持っていきやすいという効能もあります。
今後もハリウッドメジャー印の邦画は増えていくことになると思われます。
大胆なアレンジが物語をラブストーリーに変えた
基本的には原作の第一巻に準じた内容となりましたが、二つの点で大きな改変が行われています。
一つは太宰治の『晩年』のアンカット版の行方。
原作では犯人の眼の前で燃やして見せてあきらめさせますが、実はそれもまた偽物でという栞子の書物に対する異常さと、他社の気持ちへの配慮の欠如を感じさせる展開となります。
しかし、映画ではまた違った決着の付け方をしています。
彼女の中の決断の潔さを感じさせる、映画オリジナルのクライマックスに注目です。
そしてもう一つが、60年前の秘められた恋の物語。
原作ではあくまでも栞子による推察と、大輔とビブリア古書堂の出会いのための挿話だった部分を、映画では大きくボリュームアップさせ、現代と過去がほぼ均等の比重になっています。
連作短編であり長編でもある原作から、2時間の映画に変換していくためにされたこのアレンジ。
結果として、原作にはなかったラブストーリーの要素を強め、映画ならではの抒情的な空気をまとわせることに成功しました。
まとめ
SNS発信の口コミで人気が爆発し、本屋大賞をはじめとする数々の賞を受賞、発行部数は累計640万部を突破している、三上延のベストセラーシリーズ『ビブリア古書堂の事件手帖』。
高い演技力で日本映画界を牽引する黒木華、話題作への出演が続く野村周平。
現在の日本映画界を牽引する豪華キャストで送る、感動のミステリー大作をお見逃しなく!!