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Entry 2020/09/22
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【劇場版BEM 妖怪人間ベム】感想と考察解説。ラスト完結作でテレビ金字塔ダークアニメ“BECOME HUMAN ”は真実となりうるか?|SF恐怖映画という名の観覧車121

  • Writer :
  • 糸魚川悟

連載コラム「SF恐怖映画という名の観覧車」profile121

1968年より放映された「早く人間になりたい」と言うセリフが有名な名作アニメ『妖怪人間ベム』。

わずか26話で打ち切られ、さまざまな倫理的問題で再放送が見送られることとなったアニメシリーズでありながら、2000年代には続編アニメが製作されただけでなく、人気アイドル亀梨和也を主演に実写化もされるほどの深い人気のある異色のアニメ。

今回は、『妖怪人間ベム』を完全新作アニメーションとして2019年に復活させたアニメシリーズ「BEM」の劇場版となる作品『劇場版 BEM BECOME HUMAN』(2020)の魅力をたっぷりとご紹介させていただきます。

【連載コラム】『SF恐怖映画という名の観覧車』記事一覧はこちら

映画『劇場版 BEM BECOME HUMAN』の作品情報


(C)ADK EM/BEM製作委員会

【公開】
2020年(日本映画)

【監督】
博史池畠

【声のキャスト】
小西克幸、M・A・O、小野賢章、内田真礼、乃村健次、諏訪部順一、宮田俊哉(Kis-My-Ft2)、山寺宏一、水樹奈々、高木渉、伊藤静

映画『劇場版 BEM BECOME HUMAN』のあらすじ


(C)ADK EM/BEM製作委員会

リブラシティを支配する「見えざる議会」との戦いから2年後、刑事のソニア(声:内田真礼)は失踪した妖怪人間の3人を探していました。

世界にとって「敵」となる相手を見極め孤独に戦うベロ(声:小野賢章)と、人間になるため「人間ごっこ」を続けるベラ(声:M・A・O)の2人と会ったソニアはかつて心を通わせたベム(声:小西克幸)が製薬会社「ドラコケミカル」の支配下にある島で「人間」として生きていることを聞き……。

“人間になりたい”、誰よりも純粋な妖怪人間たちの最後を見届けろ!

2019年に放映されたアニメシリーズ「BEM」では、上流階級と下流階級の間で圧倒的な格差社会の成立している街「リブラシティ」を舞台に、妖怪人間であるベム、ベラ、ベロの3人による「人間を救う戦い」が描かれていました。

人間を助けることで人間の持つエゴや欲、そして他者を慈しむ心を理解していく3人は、「妖怪」として人間に蔑まれながらも人間のために己の身を危険に晒し、街を支配する「見えざる議会」に宣戦布告。

しかし、人間に溶け込み人間の友人の中で過ごすベラとベロと違い、2人よりも強く人間に憧れる様子が見られるベムに関しては、その心理描写が深く描かれず謎に包まれていました。

「BEM」の2年後を描く最新映画『劇場版 BEM BECOME HUMAN』では「ベム」にスポットを当て、彼の憧れる人間としての生活や想いが描かれ、妖怪人間たちの物語は壮絶な最後を迎えます。

偽りの世界で揺れるベムの心


(C)ADK EM/BEM製作委員会

本作では、「愛する妻と娘と息子に囲まれる温かい家庭」と「親友と共に毎朝出社し、自身の仕事が評価される職場」がベムの目前に広がります。

記憶を失い自身が妖怪人間であることすら忘れてしまったベムは、その世界に心を囚われ、夢にまで見た人間としての偽りの人生を受け入れ始めます。

「真実から目を背け、人間としての偽りの人生を謳歌するのか」それとも「妖怪人間であること受け入れ、真実に挑むのか」、ベムの決断に目が離せなくなる作品です。

確かな実力を持つ声優陣の集う完結編


(C)ADK EM/BEM製作委員会

アニメシリーズ「BEM」の劇場版である本作には、アニメシリーズを支えた声優陣の多くが同キャラクターで続投しています。

妖怪人間の3人を演じた小西克幸、M・A・O、小野賢章はもちろんのことながら、刑事のソニアとウッズを演じた内田真礼や乃村健次だけに留まらず、諏訪部順一が演じた謎の科学者Dr.リサイクルも続投。

完結編に相応しくシリーズのキャラクターと声優が揃う物語はシリーズファンにも声優ファンにも必見です。

ゲスト声優にはベテラン声優とアニメをこよなく愛する”あのアイドル”が!


(C)ADK EM/BEM製作委員会

劇場版となる本作には豪華な声優陣が参加しています。

「七色の声を持つ男」とも呼ばれる山寺宏一はベテラン声優の名に恥じぬ圧巻の演技で魅せ、紅白出演歌手でもある水樹奈々や「名探偵コナン」シリーズの元太役でも知られる高木渉、「美少女戦士セーラームーン」シリーズのセーラーヴィーナス役を引き継いだ伊藤静など各所で活躍する声優が脇を固める豪華なキャスティング。

しかし、本作は豪華なベテラン声優が参加しただけでなくゲスト枠としてアイドルグループ「Kis-My-Ft2」の宮田俊哉が声優初挑戦として作品に参加しています。

ジャニーズ事務所所属アイドルの中で1番の「アニメオタク」と自他共に認める宮田俊哉。

好きな女性歌手に水樹奈々を挙げる彼の夢が叶っただけでなく、初挑戦の声優で「好きを実力で証明」する確かな演技を披露し、主演の小西克幸もその演技を絶賛しました。

ベテラン声優たちの演技に食らいつく光る才能を持つ宮田俊哉の演技にも注目して欲しい作品です。

まとめ


(C)ADK EM/BEM製作委員会

「限りある命こそが人間の尊さ」と言うメッセージが込められ、1960年代から続く「妖怪人間ベム」のダークさもしっかりと受け継いでいるアニメ「BEM」。

アニメ製作を「Production I.G」が担当した劇場版である本作は、戦闘シーンの迫力もアニメシリーズから大幅に進化を遂げており、シリーズを未見の方にも自信を持ってオススメできます。

妖怪人間たちの壮絶な戦いの「最後」が描かれる映画『劇場版 BEM BECOME HUMAN』は10月2日より全国でロードショー。

「妖怪人間ベム」ファンも、アニメシリーズ「BEM」ファンも是非本作を劇場でご覧になってください。

次回の「SF恐怖映画という名の観覧車」は…

いかがでしたか。

次回のprofile122では、2020年も10月30日より開催が決定した『シッチェス映画祭ファンタスティック・セレクション2020』の特集第1弾として上映映画の1つ、ロブ・ゾンビ監督による最新映画『スリー・フロム・ヘル』(2020)をご紹介させていただきます。

9月30日(水)の掲載をお楽しみに!

【連載コラム】『SF恐怖映画という名の観覧車』記事一覧はこちら


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