動画で見る安川有果監督インタビュー映画『蒲田前奏曲』
中川龍太郎、穐山茉由、安川有果、渡辺紘文という4人の監督による連作スタイルの長編映画『蒲田前奏曲』。新しいスタイルのこの作品が、2020年9月25日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷、キネカ大森ほか全国順次公開されます。
今回は、第3番の「行き止まりの人々」安川有果監督をご紹介。蒲田で生活する売れない女優蒲田マチ子を中心に巻き起こる、過去と現在と未来の出来事。そして女優オーディションに向かった先にある出来事とは…。
安川有果監督は女優オーディションでのセクハラを描くことや、様子を映画にすることを勇気がいったそうです。本インタビューでは監督が映画で描きたかったことを赤裸々に語っています。
安川有果監督インタビュー:2分24秒
安川有果監督プロフィール
1986年、奈良県生まれ。2015年に公開した長編デビュー作『Dressing Up』にて日本映画プロフェッショナル大賞新人監督賞を受賞。
その後、短編映画『永遠の少女』(2019)の一編『ミューズ』にて東京国際映画祭に参加。作・演出を手がけた初舞台『ここにはいない彼女』(19)が全ステージ完売、好評を博す。
映画『蒲田前奏曲』第3番「行き止まりの人々」の作品情報
【公開】
2020年(日本映画)
【英題】
Kamata Prélude
【監督・脚本】
安川有果
【プロデューサー】
松林うらら
【キャスト】
瀧内公美、大西信満、松林うらら、吉村界人、二ノ宮隆太郎、近藤芳正
【作品概要】
映画『蒲田前奏曲』は、4人の監督による連作スタイルの長編映画です。中川龍太郎(第1番「蒲田哀歌」)、穐山茉由(第2番「呑川ラプソディ」)、安川有果(第3番「行き止まりの人々」)、渡辺紘文(第4番「シーカランスどこへ行く」)という監督たちが、各自の手法でコミカルに手掛けることで長編作へと仕上げていった意欲作。
売れない女優・マチ子を通し、女性が人格をうまく使い分けることが求められる社会への皮肉を、周囲の人々との交わりを介しながら描いています。
第3番「行き止まりの人々」の監督は、『Dressing Up』(第8回CO2助成作品、OAFF2012)で日本映画プロフェッショナル大賞新人監督賞受賞の安川有果です。松林うららと『カゾクデッサン』や『火口のふたり』(2019)に出演した瀧内公美が熱演しています。
映画『蒲田前奏曲』第3番「行き止まりの人々」のあらすじ
アルバイトをしながら女優をしている、蒲田マチ子、27歳。カフェでプロデューサーの板垣と仕事の打ち合わせをしています。
「次はこのオーディションを受けようと思います」と次の仕事を説明するマチ子に、板垣は頷きながら、「で、どうする? つき合おうよ」と言いました。
マチ子は「え?」。それから間髪いれず、「いやー、つき合わないですよ」。それを聞いた板垣はしばらく「フーン」と考えているようでしたが、「もういいのね」と言って席を立ちました。その後、マチ子は映画のオーディションを受けに来ます。
オーディションの内容は、セクハラについて、何か思っていることやエピソードがあれば話してくださいというものでした。創作でもいいといわれますが、オーディションを受けに来た人たちは、皆思い出すことに抵抗があるようで上手く話せません。
マチ子の番が来ますが、やはりためらいがちな素振りに、監督から「言いたくないんだったら、いいよ」と言われました。「いやー、これ誰かわかっちゃうからなあ」と言うマチ子に、監督は「フィクションとか混ぜてもらって全然いいんだよ」と言います。
勇気づけられたマチ子は、「映画プロデューサーの人に、レイプされそうになったことがあります」と自分の体験を話し始めました。その時に拒んだら「主役は無理かもね、とも言われました」とも。
監督はその内容が気に入った様子ですが、休憩時間に監督の横にいたカメラマンからは「あまりそんな話はしない方がいいかも。ソンするだけっていうか……」と言われました。
マチ子以外、それまで他の人が上手く演じられない中、マチ子の次の黒川瑞季だけは迫真の演技を見せました。好印象を取ったマチ子と瑞季は共に最終選考に残ります。
最終選考は、自宅に女性を連れ込んだ男性とその女性との寸劇でした。瑞希とマチ子がペアを組み、マチ子が女性、瑞希が男性を演じます。2人の演技について監督からの何回ものダメだしと厳しい指導があり、セクハラ被害者経験のマチ子と瑞希は次第にイライラ感じていき…。
*本記事に使用したインタビュー動画は、《映画メディア「アマゴチャン MOVIE A GO GO」》で制作された動画で、本サイト「Cinemarche」と業務提携をおこなっている姉妹サイトです。