Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

連載コラム

Entry 2020/07/08
Update

ドラマ『ブラックミラー シーズン2 ずっと側にいて』考察とネタバレ感想ラスト結末も。実在サービスの基となったチャットボットの光と闇|SF恐怖映画という名の観覧車110

  • Writer :
  • 糸魚川悟

連載コラム「SF恐怖映画という名の観覧車」profile110

舞台も時代も、存在する技術も毎回異なる設定で紡がれるSFオムニバスドラマ「ブラックミラー」シリーズ。

本シリーズでは進んだ科学技術の使い道を誤れば起きてしまう「悲劇」を描いており、さながら日本の特別番組『世にも奇妙な物語』のような感覚で楽しめます。

今回は2020年現在、実現しているとさえ言える「AIによる解析によって人物を模倣するチャットボット」の光と闇を描いた『ブラックミラー シーズン2 ずっと側にいて』(2013)を、ネタバレあらすじを含めご紹介させていただきます。

【連載コラム】『SF恐怖映画という名の観覧車』記事一覧はこちら

ドラマ『ブラックミラー シーズン2 ずっと側にいて』の作品情報

【日本公開】
2013年(イギリスドラマ)

【原題】
Be Right Back

【監督】
オーウェン・ハリス

【キャスト】
ヘイリー・アトウェル、ドーナル・グリーソン、クレア・キーラン、シニード・マシューズ

【作品概要】
「ブラックミラー」シリーズのメイン脚本家の1人であるチャーリー・ブロッカーによって執筆された脚本を、『マッド・ドライヴ』(2016)のオーウェン・ハリスが映像化したシーズン2開始作。

主演は「アベンジャーズ」シリーズにおいてキャプテン・アメリカの恋人であるペギー・カーターを演じたヘイリー・アトウェル。

共演に『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』(2015)を始めとした続3部作においてハックス将軍を演じたドーナル・グリーソンが起用されました。

ドラマ『ブラックミラー シーズン2 ずっと側にいて』のあらすじとネタバレ

スマホ依存症のアッシュをボーイフレンドに持つイラストレーターのマーサ。

借りた車を返しに行く約束について行くことが出来ず、アッシュを1人で見送った日、彼は帰ってくることなく代わりに彼の死を告げる警察が家を訪れました。

アッシュの葬式で友人のサラに「死んだ人と話しが出来るサービスがある」と話しかけられたマーサは、サラの気遣いの無さに取り乱します。

アッシュの家の片づけの最中、彼との過去を思い出し幾度となく吐くマーサのもとに、アッシュと名乗る人間からのメールが届きます。

追い打ちをかけるような行為に怒るマーサはサラに電話をかけます。

すると、サラはそのサービスはSNSの投稿などを解析し、本人そのもののような人工知能を形成し話すことが出来るサービスで、きっとマーサの慰めになるとだけ告げて電話を切ってしまいます。

翌日、仕事中も吐き気が収まらないことから、マーサは自身がアッシュとの子供を妊娠していることに気が付きます。

姉のナオミに電話をかけるも繋がらず、行き場を失ったマーサはAIのアッシュとのチャットを起動。

チャット内のアッシュは、いかにもアッシュが言いそうな冗談を散りばめ会話し、まさにアッシュそのものでした。

マーサはチャット内のアッシュに妊娠を告げると、電話をかけなおしてきたナオミの電話を軽くあしらいます。

マーサはチャット内のアッシュに声が聞きたいと話すと、動画データのアップロードをすることでそれも可能だと言われます。

アッシュとの思い出のデータを全てアップロードし、かかってきた電話に出ると、まるで生前のアッシュと話しているかのような感覚になり、マーサは涙を流します。

思い出の場所に電話をしながら行ったり、病院で録音した胎児の心音を聞かせたりと、やがてマーサの生活にはアッシュの存在はなくてはならないものになっていきます。

病院での電話の最中にスマホを落としてしまい、動揺したマーサはアッシュにある提案をされます。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『ブラックミラー シーズン2 ずっと側にいて』のネタバレ・結末の記載がございます。『ブラックミラー シーズン2 ずっと側にいて』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

高額かつ試験段階のその提案は、アッシュに似せて製作したボディに人工知能を入れるというものでした。

その提案をあっさりと受けたマーサの家に、運送業者が梱包されたボディを運び入れます。

電話越しのアッシュの指示のもと、ボディを風呂に入れ、電解質を入れることで無機質だったボディが人間のようになっていきます。

しばらくすると、電話越しのアッシュとの通信が途切れ、風呂場から裸のアッシュが下りてきました。

届いたばかりのボディの時はあまり似ていないと思っていたマーサでしたが、動くアッシュを見てあまりの近似に驚きます。

夜になり、電話の時とは違い動くアッシュに流石に不気味さを感じるマーサは、まだアッシュと打ち解けられずにいましたが、触れることで我慢が出来なくなったマーサは夜の行為を求めます。

しかし、SNSなどから情報を仕入れることの出来ない分野であるために、その反応がアッシュとは違い、更にセックスが下手だったアッシュと違い、学習能力を持つ彼は非常に上手でした。

翌日、日常生活が登録されていないがために様々な部分で違和感を覚えるマーサのもとに、連日電話に出ないことを心配したナオミが訪ねてきます。

アッシュを寝室に隠し、ナオミを招き入れたマーサ。

何とかアッシュの存在を隠すことに成功しましたが、ナオミは家を出る際に風呂場にあった男性の服を見て、マーサが新しい男と生活していることに安心しました。

ナオミはマーサに「前に進むこと」の重要性を説き、マーサの家から去っていきました。

アッシュであればしないはずの行動に怒りととまどいを覚え、ついに耐えられなくなったマーサは、アッシュを断崖に連れて行き飛び降りるようにと命令します。

あっさりと飛び降りようとするアッシュに、本物であればそんなことをするはずがなく、上っ面だけしか再現できていない空っぽの人形だとアッシュを批難。

しかし、それを学習したアッシュは死にたくないと泣きわめき、マーサはアッシュと同じ見た目をした彼を自殺させることが出来なくなってしまいました。

数年後、娘の誕生日、屋根裏に幽閉したアッシュと共に誕生日を祝おうとする娘に複雑な心境を抱くマーサ。

アッシュは娘に対して、まるで生前のアッシュのような振る舞いをしていました。

ドラマ『ブラックミラー シーズン2 ずっと側にいて』の感想と評価

亡くなった知人の連絡先を消すことを「失礼」と考えていたチャーリー・ブロッカーによって生み出された『ブラックミラー シーズン2 ずっと側にいて』。

本作からインスピレーションを受けたサンフランシスコに本拠地を持つ企業「Luka」が、実際に会話している相手を分析し模倣するチャットボット「Replika」を開発するなど、本作は世界に多大な影響を与えました。

亡くなってしまった大切な人を側に置きたいと言う気持ちは有史以来から存在し、「宗教」であったり「形見」であったりとその想いは時代と共に発展を繰り替えてしてきました。

本作ではSNSやチャットでの発言を解析することで、死亡したアッシュの「性格」の模倣に成功したAIが遺族であるマーサの心を癒していく様子を描いています。

しかし、「人間」はSNSやチャットでのいわば「表向きの性格」だけで形成されるものではありません。

「裏の性格」を持っていない恋人にマーサはどのように感じ始めるのか、この「形見」の行く末に注目してほしい作品です。

参考資料:Luka社によるReplika

https://replika.ai/

まとめ

メアリー・シェリーによる名著『フランケンシュタイン』とも比較される『ブラックミラー シーズン2 ずっと側にいて』。

切なく、そして不気味であり、また人間の身勝手な行為にも様々な感情を覚えることのできる本作は「ブラックミラー」シリーズのシーズン2開始作として秀逸です。

本シリーズはNETFLIXにて配信中、世界的に高い評価を受ける本シリーズをぜひ一気見してみてください。

次回の「SF恐怖映画という名の観覧車」は…

いかがでしたか。

次回のprofile111では、理不尽な死の追跡劇と衝撃の真実に手に汗握る『ブラックミラー シーズン2 シロクマ』をネタバレあらすじを含めご紹介させていただきます。

7月15日(水)の掲載をお楽しみに!

【連載コラム】『SF恐怖映画という名の観覧車』記事一覧はこちら



関連記事

連載コラム

映画『ビール・ストリートの恋人たち』感想と評価解説。見つめ合う真っ直ぐな眼差しの美しさ|銀幕の月光遊戯22

連載コラム「銀幕の月光遊戯」第22回 第89回アカデミー賞作品賞受賞作『ムーンライト』(2016)のバリー・ジェンキンス監督が、ジェイムズ・ボールドウィンの小説を映画化。 1970年代のニューヨークの …

連載コラム

『クリード過去の逆襲』あらすじ感想と評価解説。“クリード3”でマイケルBジョーダンは“ロッキーの魂”を最後に受け継ぐ|映画という星空を知るひとよ149

連載コラム『映画という星空を知るひとよ』第149回 2023年5月26日(金)に全国ロードショーを迎える映画『クリード 過去の逆襲』。ボクシング映画の名作『ロッキー』に登場した世界ヘビー級チャンピオン …

連載コラム

『ウルトラマンガイア』考察と評価。平成三部作の中で異彩を放った「正義の味方か、悪魔の使者か」の設定|邦画特撮大全18

連載コラム「邦画特撮大全」第18章 今回取り上げる作品は放映から20周年をむかえた特撮テレビ作品『ウルトラマンガイア』(1998~1999)です。 『ウルトラマン80』(1980)から16年ぶりに、平 …

連載コラム

おすすめホラー映画専門の動画配信【OSOREZONE オソレゾーン】ゾンビ映画やホラーコメディを厳選6作紹介|SF恐怖映画という名の観覧車39

連載コラム「SF恐怖映画という名の観覧車」profile039 オリジナル作品に特化した「Netflix」や、各国のドラマ作品を多く配信する「Hulu」、そして最新作をいち早く提供する「U-NEXT」 …

連載コラム

『サッドヒルを掘り返せ』感想と解説。「続夕陽のガンマン」のロケ地を映画マニアたちが聖地へと甦らせる|だからドキュメンタリー映画は面白い9

連載コラム『だからドキュメンタリー映画は面白い』第9回 荒れ果てた名作西部劇のロケ地を、俺たちの手で復活させる! 『だからドキュメンタリー映画は面白い』第9回は、2019年3月8日に日本公開の、『サッ …

【坂井真紀インタビュー】ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』女優という役の“描かれない部分”を想像し“元気”を届ける仕事
【川添野愛インタビュー】映画『忌怪島/きかいじま』
【光石研インタビュー】映画『逃げきれた夢』
映画『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』伊澤彩織インタビュー
映画『Sin Clock』窪塚洋介×牧賢治監督インタビュー
映画『レッドシューズ』朝比奈彩インタビュー
映画『あつい胸さわぎ』吉田美月喜インタビュー
映画『ONE PIECE FILM RED』谷口悟朗監督インタビュー
『シン・仮面ライダー』コラム / 仮面の男の名はシン
【連載コラム】光の国からシンは来る?
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
日本映画大学