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Entry 2018/10/19
Update

ブラックミラー シーズン1 「1500万メリット」ネタバレ感想。ラスト結末までのあらすじ紹介も

  • Writer :
  • 糸魚川悟

海外で絶大な人気を誇る英国製SFオムニバスドラマ『ブラック・ミラー』。

前回ご紹介したシーズン1の第1話「国歌」では、SNSの普及による大衆の「悪意の麻痺」による危険性が、現代社会により近い世界観で描かれていました。

一方、第2話での物語では、想像も出来ないような「管理社会」を舞台にしているのですが、その内容はどこか現代社会に生きる我々の心に強く刺さるものになっていました。

そんなわけで、今回は今や人気俳優のダニエル・カルーヤがかつて出演していたシーズン1の第2話「1500万メリット」のあらすじをご紹介していきます。

海外ドラマ『ブラック・ミラー シーズン1 「1500万メリット」』の作品情報

【原題】
Black Mirror “Fifteen Million Merits”

【公開】
2011年

【監督】
ユーロス・リン

【キャスト】
ダニエル・カルーヤ、ジェシカ・ブラウン・フィンドレイ、ルパート・エヴェレット、ジュリア・デイビス

【作品概要】
第1話である「国歌」よりも前に書かれていたとされる脚本を、ドラマ監督として確かなキャリアを積むユーロス・リンが制作した第2話。

『ゲット・アウト』(2017)で各国の様々な賞を受賞しただけでなく、アカデミー主演男優賞にもノミネートすることになったダニエル・カルーヤが主演を勤めたエピソードでもある。

海外ドラマ『ブラック・ミラー シーズン1 「1500万メリット」』のあらすじとネタバレ

一面が液晶で囲まれた部屋で日々を過ごすビング。

完全管理されたこの社会では、何をするにもメリットと言う電子通貨が必要になり、そのメリットは自転車による発電をすることで得ることが出来ます。

死んだ兄の遺産を引き継ぎ1500万ものメリットを持つビングは、自転車での発電をしながらもアバターの着せ替えなど、与えられる娯楽にあまり興味が無く、空虚な毎日を過ごしていました。

この世界では発電が出来ないほど肥満体となった人間は、黄色い服を着せられ「レモン」という蔑称で呼ばれ、下級階層で働くことを余儀なくされます。

ある日、トイレで歌を歌う女性のアビに心惹かれたビングは、彼女が自販機の動作不良により買ったものが出てこず、困っているところを助けます。

何気ない身の上話しの後、ビングはアビに「ホットショット」への出演を訴えます。

「ホットショット」はオーディション番組で、そのオーディションに見染められた人間はこの世界での名声と、莫大な財産を約束されます。

21歳になり自転車を漕ぐ仕事を始めたばかりのアビは1200万メリットと言う莫大な出場権を買える訳もなく、ビングの話しを一笑に付します。

しかし、ビングはアビの代わりに1200万メリットを支払うと提案。

何故そんなことをするのかと問うアビに、ビングは「この空虚で似非だらけの世界で、アビの歌声だけがリアル」だったことを熱弁し、彼女に了承を取りつけます。

夜、自室から「ホットショット」の出場権を購入しようとするビングはその価格が1200万メリットから1500万メリットにあがっていたことに驚きながらも出場権を購入しアビにプレゼントします。

翌日、オーディション会場に向かうアビとビングは行きのエレベーターで2人手をつなぎます。

オーディション会場の控室は途方もない人数の参加者がいて、長い待ち時間を覚悟していましたが、控室につくなり早々に呼び出しを受けるます。

アビの友人として、舞台裏までの同行を許されていたビングは舞台裏で彼女を励まします。

スタッフが参加者に「カップライアンス」と言う緊張を無くす薬を飲むことを強要し、彼女は少し意識が薄い状況下でオーディションに挑むことになりました。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『ブラック・ミラー シーズン1 「1500万メリット」』のネタバレ・結末の記載がございます。『ブラック・ミラー シーズン1 「1500万メリット」』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

オーディションが始まり、アビは歌を披露します。

その透き通った歌は、舞台裏のビングだけでなく、審査員にも衝撃を与えます。

彼女の歌を途中で制止した審査員は彼女の歌声は間違いなく今季の「ホットショット」でナンバーワンであると褒め称えます。

しかし、アビのレベルの歌手は有り余っているので、その優れた容姿を活かすために、アダルト番組への出演を勧めます。

制止しようとするビングはスタッフにより強制的に退場させられ、薬による精神状態と審査員による恫喝によってアビはその提案を了承してしまいます。

こうして、アビはアダルト番組に出演するようになり、特殊な薬を服用することで顔から生気が失ってしまいます。

強制的に流れるアダルト番組の広告をスキップするために必要なメリットすら無いビングは、前にも増して空虚な日常の中でアダルト番組に出演するアビを観ることで徐々に精神を乱し始めます。

液晶を破壊し、割れたガラスの破片と、持っていた「カップライアンス」の空箱を見て、ビングはある決意をします。

誰もいない時間から発電を始め、広告も飛ばさず生活の無駄をとことん省くことでメリットをこつこつと貯めていくと同時に、ダンスパフォーマンスを練習するビング。

再び1500万メリットが貯まり「ホットショット」の出場権を買ったビングは、待合室でただただその時が来るのを待ちます。

オーディション会場に行く際、「カップライアンス」の空箱を見せることで薬の吸引をスルーしたビングは圧巻のダンスパフォーマンスで会場を湧かせます。

しかし、その直後、背中に隠し持っていたガラスの破片を首に当て、近づいたら自殺するとスタッフと審査員を脅し、自身の語りを流し続けることを認めさせます。

ダンスパフォーマンスにより興奮した観客の効果もあり、語りを認められたビングはこの世界が虚飾に満ち溢れ、「本物」を排出すべきこのオーディションですら「偽物」ばかりを排出していると怒りを吐き出します。

マシンを漕ぎ、上級層が作り出した「偽物」を買うことのみで自己表現をしてきた。人生の中で唯一見つけたアビと言う「本物」を奪い、汚されてしまったこと。

その怒りを心の底からの罵倒に乗せ、審査員たちに投げかけたビング。

審査員たちは彼の演説に心打たれ、ビングに自分の番組を持つことを提案します。

オーディエンスたちもその意見に同調し、自身の主張と相反する提案であるにも関わらず、今までの奴隷のような生活からの解放にビングは心を揺るがされます。

それからしばらくの時間が経ち、ビングは「社会」への不満をジョークを交えつつ代弁する番組で人気を博し、以前とは違う大きな自室で、窓に映った緑豊かな自然を見下ろすのでした。

海外ドラマ『ブラック・ミラー シーズン1 「1500万メリット」』の感想と評価

「本物」との出会いを通し、自分の中に生まれた「本物」の気持ち。

主人公のビングは、そんな「本物」の気持ちを最後の最後に爆発させますが、その結果は非常に人間的な終わり方を迎えます。

「レモン」のように意図的に下級階層を作るような徹底した「反抗精神」の「管理」が行われる世界で、それぞれが抱える「本物」の気持ちがいかにして「偽物」に変えられていくのか、がとても不気味に映っていました。

さらに、海外ではビングが物語の最後に見る自然の景色が「本物」の自然なのか「偽物」の自然なのか、が考察されています。

しかし、その議論に対し「It can’t be real, can it?(それは本当のことではないですか?)」と言うコメントがあるように、技術の進歩により「本物」と「偽物」の区別がどんどんとつきにくくなり、「1500万メリット」のような世界が近づいているのかもしれません。

まとめ

「完全管理」の世界を描いた第2話には、前述したもの以外にも様々なテーマが内包されています。

発電により手にできる「メリット」を使用し、実像の無いアバターの衣装を変え、自分自身ではないもので自己表現をしようとすることに対する皮肉であったり、「レモン」と言う差別階級を意図的に作ることで「支配」の形を強める社会構造であったりと観る人や回数により毎回違ったテーマを掘り出すことが出来る作品です。

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