ベストセラー作家・東野圭吾の95年の小説が、15年度に映画化されました。
その内容は、まるで最近作られたかのような「原発」をテーマにしたサスペンス作品となっています。
映画はもちろん、東野圭吾の予見的ストーリーにも脱帽させられる作品です。
1.映画『天空の蜂』の作品情報
(C)2015「天空の蜂」製作委員会
【公開】
2015年
【監督】
堤幸彦
【キャスト】
江口洋介、本木雅弘、仲間由紀恵、綾野剛、柄本明、國村隼、石橋蓮司、竹中直人、向井理、佐藤二朗、光石研、落合モトキ、やべきょうすけ、手塚とおる、永瀬匡、石橋けい、松島花
【作品概要】
東野圭吾が95年に発表した小説を、堤幸彦監督が映画化。
日本の原発を破棄しなければ、ヘリを原発に墜落させるというテロ事件は、図らずしも11年に起きた原発事故における悪夢を予想できる内容は、今だからこそ見てみると、かなりショッキングな内容ゆえ、注目せざるを得ない作品です。
『永い言い訳』でダメダメなタレント作家を演じてた本木雅弘と、江口洋介のキャラの対比も緊張感があって見ごたえ充分な作品です。
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2.映画『天空の蜂』のあらすじとネタバレ
(C)2015「天空の蜂」製作委員会
1995年8月8日、午前7時21分。
愛知県小牧市にある錦重工業株式会社、名古屋航空システム製作所にて防衛省のもと開発された巨大なヘリ「ビッグB」の納入式が行われる日に、事件が起きます。
開発責任者である湯原一彰は、妻・篤子と息子・高彦3人で訪れたのですが、同僚である山下の息子と高彦が、こっそりビッグBに乗り込んだ際、何者かによって遠隔操作されます。
機内には高彦だけ取り残され、ヘリはそのまま福井県にある高速増殖原型炉『新陽』へ向かって飛行します。
湯原は家庭を顧みず仕事をしてきたことで、篤子に激しく責められます。
しばらくして、遠隔操作を行ったとも思われる犯人から犯行声明が届きます。
関係者各位
自衛隊ヘリ・ビッグBを奪った。
ヘリは現在、福井県敦賀市にある高速増殖原型炉『新陽』の上空でホバリングをしている。
そのまま時が経てば燃料は切れ、稼働中の原子炉建物に墜落する。
なお、ビッグBは大量の爆発物を積んでいる。
この危機を回避する方法はただ一つ。
日本の原子力発電所を全て破棄せよ。
具体的には、全ての原発にあるタービン棟を破壊し、発電不能にすること。
ただし『新陽』だけは停止してはならない。
もし『新陽』の原子炉が停止したら、その瞬間にビッグBを墜落させる。
フル装填された燃料が切れるのは最短で8時間後、午後4時である。
貴方がたの懸命な決断に期待する。
天空の蜂
以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『天空の蜂』ネタバレ・結末の記載がございます。『天空の蜂』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。
『新陽』のある福井へ向かい、湯原はビッグBがプログラムによって遠隔操作可能であるヘリだと、緊急対策室で説明をします。
現場では万が一に備えて、スクラム停止の手順も確認し、テロ対策を考案し始めます。
声明はマスコミにも流れているため、報道番組では特集が組まれ始めます。
警視庁では、犯人の要求に応じられないと答え、さらにビッグBの中に人が乗っていると報道します。
日本中で反原発のデモが起こる中、緊急対策室に三島という原子力部門の設計に携わった男が現れます。
感情を廃した冷静な判断ゆえ、息子を置き去りにした湯原は加害者だと断言し、緊急対策室に張り詰めた空気が流れます。
『新陽』は大量の火薬でも破壊されないと仮設ではなっていますが、『新陽』内にいる従業員が、ビッグB墜落までの時間を計算すると、10秒ほどしか猶予がないことが明らかになります。
そこで従業員の避難場所として、まだ格納容器が保存されていない、原子炉格納容器の中を提案します。
しかし万が一『新陽』がメルトダウンをすれば、日本は本州のほとんどを捨てることになります。
まずはビッグBの操縦席の状況を把握するために、警察が無線で高彦に呼びかけますが、恐怖心から高彦は行動を起こせません。
そこへ「天空の蜂」から新たな声明文が届きます。
「新陽を除く、全ての原発を今すぐ停止させよ。
①救出方法をテレビにて発表すること
②救出者はヘリコプター内部には入らず、子供にもヘリコプター内部の物を持ち出させないこと
③救出に使うのはヘリ一機のみとすること
一つでも違反があった場合には、ヘリコプターを墜落させる。
なお、原発停止の際には、テレビ局スタッフを制御室に入れ、停止手順を生中継すること。
天空の蜂〟」
原発破棄の内容が、停止に譲歩されたことから、犯人にとっても高彦の存在は予定外だったことが明らかになります。
声明発表後、直ちに自衛隊が向かい、高彦の救出作戦が考案され、『新陽』以外の原発も要求どおり停止していきます。
そんな時、名古屋の工場から「洗濯機ほどの大きさの木箱がなくなっている」と報告が届きます。
木箱が爆発物と考え、湯原は阪神大震災を見た高彦がモールス信号を習得していたことを思い出し、急いで信号で爆発物に触れぬよう連絡します。
一方、室伏刑事と新米の関根刑事が、原発に恨みを持つ人間を捜査します。
そこで彼らは、過去に『新陽』で働き、放射能によって白血病を患いなくなった男性の存在を知ります。
その男の写る写真には、一台のラジコンが握り締められていました。
男性にはラジコンの師と仰ぐ男がおり、その名を「サイカワかサイガワだった」と男性の母親から教えられます。
『新陽』以外の原発稼動が停まると、犯人から救出の許可が出ます。
しかし上空で救出するのは非常に困難で、自衛隊員は開いたままの貨物室入り口からロープを打ち込み、高彦に救出に向けてのメッセージを送る方法をとります。
ロープを打ち込み、それを伝って隊員はビッグBに移動しますが、高彦が隊員の手を取るとしたとき、気流が乱れて高彦は転落してしまいます。
隊員はとっさにロープをはずし、自らも急落下をして高彦を救出しようとします。
報道でも現場の映像が流れますが、無事に隊員に救出され、パラシュートで着陸します。
この頃、午後1時で。タイムリミットまであと3時間。
救出が確認できると、再度原発のタービンを破壊するよう「天空の蜂」から声明が届きます。
室伏刑事と関根刑事の捜査によって、ラジコンの師が「雑賀(サイカ)勲」と判明します。
一方、名古屋では洗濯機ほどの大きさの爆弾が入ったと思われる木箱が搬入された時期を特定し、その頃に出入りしていた人物を名簿でチェックします。
ところが、名簿には当時怪我をして入院しているはずの原口という名が記載され、警察は総務課の人間がリストを隠蔽したのではないかと考えます。
対策室では、外から原発の稼動を確認する方法が限られることから、新陽の停止を試みます。
三島からいくつか案が出され、原発のポンプから排出される水の温度や水量をカモフラージュし、犯人の目をごまかそうとします。
すると今度は、犯人が直接メールを送り、そこにある画像には発電所全体の温度が分かるサーモグラフィーのようなものが添付されていました。
手の内が読まれた対策室は直ちに作戦を中止しますが、同時に犯人は原発停止を把握するまでに、1分のラグがあることに気付きます。
さらに湯原には、犯人はテロで死傷者を出すつもりはないのではないかと推測します。
室伏刑事と関根刑事は、3年前にビッグBのプロジェクトから抜けた佐竹恭平という男が、雑賀が同一人物とという事実にたどり着きます。
佐竹の住むマンションには航空自衛官も駆けつけますが、雑賀は部屋を爆破して逃走を図ります。
爆破に巻き込まれて負傷した室伏刑事に代わって、関根刑事が雑賀を追いますが、雑賀に刃物で刺されてしまいます。
死に物狂いで取り押さえる関根刑事によって、佐竹は追い詰められますが、自らトラックの前に飛び出して絶命。関根も殉職してしまいます。
対策室には、佐竹が持っていたリモコンが届けられますが、轢かれたことで木っ端微塵になっていました。
湯原と山下はコントローラーの復元に全力を尽くしますが、そこから分かったことは、このコントローラーにははなっからビッグBを止める機能はついていないということでした。
名古屋では佐竹の共犯と見られる赤嶺淳子の取調べが行われます。
リストの捏造によって、刑事から尋問を受けますが、テレビに映る三島を気にする様子から、彼も共犯関係にあると悟ります。
三島が佐竹の計画に加担したのは、三島の息子が原発の設計に関わった父を持ったことでひどいイジメに遭い、飛び降りをしたことが原因でした。
さらに息子をいじめたリーダー的存在の生徒は、今度は原発賛成の波にのまれ、同じような仕打ちに遭ってました。
三島はいよいよ原発が人にとって本当に必要なのか、疑念を抱くようになり、そのころ自分を捨て駒のように扱った佐竹と結託し、愛人関係になった淳子にも協力を得て、今回のテロを引き起こしました。
しかし淳子は当のテロの件までは知らされておらず、計画では海外へ逃亡するはずでしたが、三島の子を妊娠しているので飛行機に乗れませんでした。
残り時間が迫り、対策室の人々も非難を余儀なくされます。
すると三島はコントローラーを持って車に乗り込もうとするところを、湯原に止められます。
三島の運転する車に乗ると、原発は止まったように見えるが、テレビで報道されているのはシュミレーター室の映像で、国は国民を騙して原発を密かに稼動させていました。
日本のあり方に怒りをあらわにしながら、彼は湯原を巻き込んで心中しようとします。
何とか三島の凶行を阻止し、警察に連行されますが湯原の怒りは収まりません。
しかし、救出された高彦から、操縦席に赤い紐があったと言われ、ビッグBにはエンジンが停止してもゆっくりと落下するオートローテーションという機能がついており、その隙に復元したコントローラーを操縦士、落下の起動を『新陽』からずらす作戦に出ます。
湯原はヘリに乗り込み、作戦は決行。ビッグBは確かに起動がずれましたが、湯原たちの乗る減りめがけて落下してきます。
何とかかわすと、ヘリは原発のすぐ横にある海に墜落しました。
全て一件落着したかのように見えたが、三島はどれだけ最悪な事態が発生しても、原発による被害は出ないよう計算されつくしたテロであったこと、それが出来るのは『新陽』だけだと、最後の声明文としてPCから自動的に送信しようとしますが、家宅捜索に入った警官によって阻止されます。
時は経ち、2011年3月13日。
東日本大震災の被災地へ、高彦は航空自衛隊の一員として向かいます。
現地では湯原もボランティアに参加しており、彼の口から三島が昨日獄中で亡くなったと告げます。
湯原は高彦に、この国に命を賭ける覚悟はあるのか問うと、モールス信号で「ココニアル」とうち、胸に拳を打ち付けるのでした。
3.映画『天空の蜂』の感想と評価
(C)2015「天空の蜂」製作委員会
ビッグBのCGとしての迫力もさることながら、三島役を演じた本木雅弘の演技力もすさまじいです。
物語が進むにつれ、およそ元技術者と思えないほどのタフさに圧倒されます。拳ひとつでナイフを鷲掴みにするなんて、私は堅気じゃない人くらいしか知りません・・・
あまりの過去と現在のギャップに、作業服着ているもっくんが可愛く見えてくるほどです。
しかし、それだけ三島という男にはゆるぎない覚悟があったと思うと、敵ながら天晴れと感じます。
一方主人公の湯原は嫁に怒られ、三島に加害者扱いされと散々な目にあいますが、最後には父親としての責務以上のことを果たせたというストーリーラインもあったことで、原発というショッキングな内容を上手に大衆向けにしているとも感じます。
ただ、湯原が三島をぶん殴るシーンで「あああああ!」って叫びながら拳を振るうのですが、あそこだけなんだか凄くシュールに感じました。
そんな叫ばないよ・・・普通・・・と思ったのですが、あれはあれでリアルな技術者の姿なのかなあ、何てことも感じました。
縁の下の力持ち、技術者の皆さんを応援したくなる作品です。ガンバレ!
まとめ
(C)2015「天空の蜂」製作委員会
ラストのシーンは原作にはなく、東野氏自ら考案した内容らしいです。
図らずしも、三島=作者の考えは現実になってしまったのです。ラストの湯原のセリフも、非常に重みのあるものになってしまいました。
そう考えると、サスペンス映画として以上に、もっと色々な見方が出来る作品なのでしょう。
大衆向けでありながら、きちんと社会派な要素も詰まっている。かなりバランスのよい作品だと感じます。
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