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Entry 2017/10/21
Update

アトミックブロンド|ネタバレあらすじ感想解説と結末評価。シャーリーズセロンの凄まじいアクション光る新たなスパイ映画

  • Writer :
  • 馬渕一平

シャーリーズ・セロンが凄腕女性エージェント演じる話題作!

痛々しくも、華麗な超絶アクションから目が離せない……。

それが、スパイ映画の新たな快作『アトミック・ブロンド』です。

凄腕女性エージェントの主人公を、『マッドマックス 怒りのデスロード』などで知られるシャーリーズ・セロンが演じる本作。

本記事ではネタバレあらすじとともに、映画『アトミック・ブロンド』の魅力をご紹介します。

映画『アトミック・ブロンド』の作品情報


(C)2017 COLDEST CITY, LLC.ALL RIGHTS RESERVED.

【公開】
2017年(アメリカ映画)

【原題】
Atomic Blonde

【監督】
デビッド・リーチ

【キャスト】
シャーリーズ・セロン、ジェームズ・マカボイ、エディ・マーサン、ジョン・グッドマン、トビー・ジョーンズ、ジェームズ・フォークナー、ソフィア・ブテラ、ビル・スカルスガルド、サム・ハーグレイブ、ティル・シュワイガー

【作品概要】
スパイ・ムービーの歴史に新たな凄腕女性エージェント「ロレーン・ブロートン」が登場!

演じるのは『マッドマックス 怒りのデスロード』のフュリオサなど男前の役が多いイメージのシャーリーズ・セロン。徹底したトレーニングによる役作りが身を結び、痛々しく壮絶なアクションを体現します。

監督を務めるデヴィッド・リーチは、 チャド・スタルスキと共同監督を手がけた2014年のアクション映画『ジョン・ウィック』で一躍有名に。アクション監督としての手腕を買われ、本作で初の単体監督作品を担当しました。

脇を固める俳優陣も、ジェームズ・マカボイやジョン・グッドマンにトビー・ジョーンズと豪華な顔ぶれ。また世界中で多くのファンを獲得したヒット作『キングスマン』で義足の殺し屋ガゼルを演じたソフィア・ブテラも参戦しています。

映画『アトミック・ブロンド』のあらすじとネタバレ


(C)2017 COLDEST CITY, LLC.ALL RIGHTS RESERVED.

事件の発生

1989年、東西冷戦末期のベルリン。ベルリンに潜入していたMI6の諜報員ガスコインがKGBの殺し屋バクティンに殺され、世界中で暗躍する各国機関のスパイの名前が記されたリストが奪われました。

KGBを裏切ってそのリストを闇マーケットで売りさばこうとするバクティンの行方を、世界中の機関が探し始めます。

高い情報収集力と戦闘能力を兼ね備えたロレーン・ブロートンに、冷戦の行方がかかっている重大なその任務が委ねられました。

任務終了後

ロレーンは身体のあちこちに傷を負い、それを氷水で冷やしていました。

身支度を整え、MI6の本部に向かうロレーン。上司の情報局主任グレイとCIAのカーツフェルド、そしてマジックミラーの裏側からMI6のチーフであるCが彼女の報告を待っていました。

ベルリンで何があったのか。ロレーンは過酷な任務の全貌を語り始めました。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『アトミック・ブロンド』結末の記載がございます。『アトミック・ブロンド』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

任務の全貌

偽名で西ドイツに入国したロレーンでしたが、すでに正体がバレておりKGBの襲撃を受けました。なんとか窮地を脱したロレーンの元に、MI6ベルリン支局の凄腕エージェントであるデヴィッド・パーシヴァルが現れました。

長年の潜入任務で東西ベルリンを知り尽くした彼は、仲間であるロレーンを助けるどころか邪魔をするばかり。

実はロレーンには「ガスコインを裏切った二重スパイであるサッチェルを探し出す」というもう一つの任務がありました。パーシヴァルを信頼していないロレーンは、東ベルリンへの入国の手はずを整えて単身で調査に乗り出します。

しかし、そこでもブレモヴィッチ率いるKGBに見つかり、命からがら逃げ出しました。また危険な任務の中、ロレーンはバーで出会ったフランス人スパイのデルフィーヌと一夜を過ごしました。

バクティンはパーシヴァルによって殺され、パーシヴァルは時計に入ったリストを奪いました。

そんな中、リストの中身を全て暗記している東ドイツ国家保安省シュタージの職員スパイグラスを西ベルリンへ脱出させる作戦を、ロレーンとパーシヴァルで実行することに。しかし、その情報もまたKGBに筒抜けになっていました。

パーシヴァルを信頼していないロレーンは機転を利かせてスパイグラスを守ろうとしますが、パーシヴァルは隙をついて自身の手でスパイグラスを銃撃。脇腹を負傷したスパイグラスを抱えながら、ロレーンはビルの中に逃げ込みました。

次々と襲いかかってくるKGBの刺客たちと必死の戦闘を繰り広げ、ボロボロになりながらもロレーンはスパイグラスを守り抜きます。

警察の車を奪って逃走を続けますが、川沿いに停車した瞬間に横から追突され、ロレーンとスパイグラスは車ごと川に落水。ロレーンは、脚の挟まったスパイグラスを必死で救い出そうとしますが、彼は息絶えてしまいます。

現地の協力者のメルケルによって助けられたロレーンはなんとか生き延びました。やがて、パーシヴァルに盗聴機を仕掛けられていたことに気付きます。

その頃、パーシヴァルは情報を持っているデルフィーヌを始末するために彼女の家を訪れていました。パーシヴァルがデルフィーヌの首を絞めている時に、ロレーンが家のチャイムを鳴らしました。

事を済ませたパーシヴァルは急いで逃げ出します。ロレーンが部屋の中に入ると、すでにデルフィーヌは息絶えていました。

室内で、彼女が隠し撮りしていたパーシヴァルとKGBのブレモヴィッチとの密談写真を発見したロレーン。自分の家に火を放ち、国外逃亡しようとしていたパーシヴァルをロレーンが撃ち殺し、腕時計のリストを奪いました。

再び、MI6の尋問室

ロレーンは、パーシヴァルこそがガスコインを裏切った二重スパイ・サッチェルの正体だと断言します。そして証拠としてデルフィーヌが撮った写真と、録音したテープをつぎはぎして作った偽の音声を提示しました。

グレイはリストの行方を尋ねますが、ロレーンは知らないと嘘をつきます。一連の事件がMI6の汚点になると判断したCは、この一件を闇に葬ると宣言しました。

尋問の3日後

ロレーンはパリでKGBのブレモヴィッチと密会。

二重スパイのサッチェルの正体は、ロレーン自身でした。

リストを受け取ったブレモヴィッチは「用済みの彼女を始末しろ」と部下に指示を出します。しかし、そのことを予期していたロレーンは銃撃で敵を一掃すると、ブレモヴィッチをも撃ち殺しました。

任務後にロレーンが飛行機に乗り込むと、そこにはCIAのカーツフェルドの姿が。実はロレーンの正体はCIA所属の「三重スパイ」であり、リストもCIAの手に渡りました。

全ての任務が完了した彼女は本当の母国への帰路につきます。

映画『アトミック・ブロンド』の感想と評価


(C)2017 COLDEST CITY, LLC.ALL RIGHTS RESERVED.

物語の舞台は冷戦時のベルリン。

ドイツという国が東西に分裂し、その象徴であったベルリンの壁の崩壊が間近に迫っていた1989年。ヒット曲を後ろで軽快に鳴らし、物語やアクションを進めていくやり方は近年の一つの流行りでもあり、やはり観ていて非常に気持ちが乗っていきます。

本作の最大の見どころは、期待通りの壮絶なアクションでしょう。

プロデューサーとしても参加している主演のシャーリーズ・セロンの気合いの入りようは凄まじいものでした。激しい肉体トレーニングによってその身体に説得力が増し、スタントも自らこなしています。

監督のデヴィッド・リーチはキアヌ・リーヴス主演のアクション映画『ジョン・ウィック』の共同監督としても有名です(次回監督作はなんと『デッドプール2』!)。

そのため『アトミック・ブロンド』のアクションも、美しく流れるような決めの画があるような、デザインされたアクションを想像した方が多いのはず。しかし本作の白眉であるビルに入ってからの一連のアクションシーンはカメラワークも含め、痛々しさと生々しさに溢れたものでした。

それもそのはず、いくら178センチと女性にしては大きいシャーリーズ・セロンが鍛えたところで、現実には大柄の男性には簡単には勝てっこない。そうした「格闘の現実」を、文字通りフラフラになりながらも、なんとかぶっ飛ばしていく様は凄まじいものがありました。

男前な女優シャーリーズ・セロンの魅力全開の今作は、アクションだけでなくスパイものにつきものの騙し合いも描かれます。

ジェームズ・マカボイ演じるパーシヴァルはスパイという職業の悲哀を感じさせました(ガスコインとロレーンの恋仲も匂わす程度でした)。

「街に溶け込め」とロレーンにアドバイスする彼は、本当に溶け込み過ぎてしまい自らの目的を完全に見失い、なんとも切ない末路を辿ります。

スパイと孤独、そして悲哀は切っても切り離せない関係であり、パーシヴァルに感情移入した方は裏切りのサーカスという同じくMI6を舞台にしたスパイ映画もオススメです。

シャーリーズ・セロンが熱演する壮絶なアクションと、悲哀を感じるスパイの物語。その二つが高いレベルで融合した快作でした。

まとめ


(C)2017 COLDEST CITY, LLC.ALL RIGHTS RESERVED.

ただただ主演のシャーリーズ・セロンの格好良さを観に行くもよし。監督のデヴィッド・リーチに『ジョン・ウィック』ばりのアクションを期待するもよし。

劇中で流れる当時の音楽に心を踊らせるもよし。スパイものとしての裏切り合いにハラハラし、悲哀に泣かされるもよし。

そして観た後は、ロレーン・ブロートンという新たなキャラクターの誕生に祝杯をあげたくなるはずです。

お酒は、ジェームズ・ボンドのようなドライマティーニでしょうか。それとも、ロレーン・ブロートンのようにウォッカのロックでしょうか。





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