2003年度公開のカーアクション映画
爆走タクシー、今度はサンタを追って雪山へ
おなじみ、スピード狂のタクシードライバー・ダニエルとマヌケな刑事・エミリアンのコンビが今度はサンタに扮した強盗団に挑みます。
しかし、なにやら2人の身辺に変化が現れ、騒がしい様子です。そんな2人は無事、「サンタ強盗」をとらえることができるのでしょうか。
雪山での走行シーンにも注目の映画『TAXi3』をご紹介します!
映画『TAXi3』の作品情報
【公開】
2003年(フランス映画)
【原題】
Taxi3
【監督】
ジェラール・クラブジック
【キャスト】
サミー・ナセリ、フレデリック・ディフェンタール、ベルナール・ファルシー、バイ・リン、マリオン・コティヤール、シルベスター・スタローン
【作品概要】
大人気カーアクションシリーズ第3弾となる本作は前作『Taxi 2』に引き続き、脚本・製作をリュック・ベッソン、監督をジェラール・クラブジックが担当しています。おなじみのキャストに加え、本作ではハリウッドスター、シルベスター・スタローンがカメオ出演したことでも話題を呼びました。
街を騒がせる「サンタ強盗団」に手を焼くマルセイユ警察の面々とその騒動に巻き込まれてしまうタクシードライバー・ダニエルの様子をコミカルに描きます。また、『TAXi3』ではダニエルとその親友・エミリアンに大きな転機が訪れます。
映画『TAXi3』のあらすじとネタバレ
まもなくクリスマスを迎えようかという冬のマルセイユを一人の男が逃げています。
男を追うのはローラースケートの集団。港まで男を追い詰めます。
かぶっていたヘルメットを脱ぎ捨てた男(シルベスター・スタローン)は停車しているタクシーに目をつけ、20分以内に空港へ行くように頼みます。
タクシーのドライバー、ダニエル(サミー・ナセリ)はその頼みに目を輝かせ、愛車、プジョー・406のエンジンをかけると、運転席のパネルを操作しました。プジョーはたちまちレーシングカーに姿を変えます。
走り出すプジョーはたちまち、マルセイユの街を抜け、高速道路を駆け抜け、しまいにはフランスの高速鉄道VTGを追い抜いてしまいます。
そうして空港に辿り着いたダニエルは男を降ろします。男は迎えに来たヘリコプターに乗り、颯爽と去っていきました。
そのころ、マルセイユ警察の刑事、エミリアン(フレデリック・ディフェンタール)は悪夢で目覚めました。
原因は8ヶ月前からマルセイユを騒がしている強盗団です。サンタクロースの出で立ちで銀行を襲う一味は、巷では「サンタ強盗」と呼ばれていました。
なかなかサンタ強盗を捕まえられないうえに、12月になり街にサンタが増えることで、捜査が難しくなることにプレッシャーを感じ不眠症に悩まされていました。
そのせいで行動や言動がこれまで以上に間抜けになり、同僚で恋人のぺトラ(エマ・シェーベイ)との会話がかみ合いません。
その頃、ダニエルの恋人、リリー(マリオン・コティヤール)は車優先の生活を続けるダニエルに嫌気がさし、ダニエルの家を出て行ってしまいます。
必死に止めようとするダニエルですが、リリーは聞く耳を持ちませんでした。
途方にくれるダニエルは洗面所で見慣れない棒状の器具を目にします。その器具には青い線が二本刻まれていました。
ダニエルはその見慣れない器具を持って薬局へ向かいます。そこで器具が妊娠検査薬であり、反応が要請を示している事を知って、リリーの実家へ向かいます。
一方、夜が明けて、エミリアンは同僚のアランと朝食を食べるため街へ出かけます。二人はそこで、街中を歩くサンタ姿の男を見かけます。
男の挙動が見るからに怪しく、不審に思ったエミリアンはサンタ強盗の一味だと考え、アランと共に男を捕まえました。
エミリアンとアランは逮捕した男に猿轡をかませ、マルセイユ署に連行します。
男が所持していた拳銃が警察官のものであることに気づいた二人は拳銃のシリアルナンバーから、持ち主を特定しようとします。
ナンバーから判明した持ち主は2人の上司でマルセイユ署の署長、ジベール(ベルナール・ファルシー)のものでした。
2人が逮捕した男は、サンタに扮したジベールで自ら「潜入捜査」と称し、サンタ強盗の手がかりを探し出そうとしていました。
ジベールに怒鳴り散らされ追い出されるエミリアンとアランと入れ違いに1人の女がジベールの前に現れます。
キウ(バイ・リン)と名乗る中国系の女は記者だと名乗り、ジベールに数日の密着取材を申し込み、ジベールは快諾します。
映画『TAXi3』の感想と評価
迫力のカーアクションと軽快なコメディが人気を博した「TAXi」シリーズも本作で第3弾を数えます。この『TAXi3』はこれまでのシリーズのヒットを受け、製作予算が拡充し、演出が豪華になりました。
それを物語るのが、今回登場の世界的スターのシルベスター・スタローンが、冒頭でスリリングな逃走劇を繰り広げるシーンです。
スタローン登場のおかげで、『TAXi』人気がフランスのみならず、世界的になったといえるでしょう。
そのほかにも、当時の最新車両、三菱・ランサーエボリュ-ションⅦの登場やダニエルの愛車、プジョー406がこの映画で雪上を走るキャタピラを装備し、走行する演出にもその影響が感じられました。
その反面、安定したバカバカしさに笑いを誘われます。それを持ちだすのは、やはりベルナール・ファルシー演じるジベールでした。
シリーズを追うごとに変人になっていくジベールですが、『TAXi3』では冒頭から、サンタに扮装、誤ってエミリアンに捕まってしまうことを皮切りに、モンスタートラックに踏み潰されたり、仕舞いには凍結した湖にはまってしまう始末……。
そんな、ジベールが警察署長を務められるマルセイユの人々はきっと、おおらかなんでしょう(笑)。
そして、この作品のもう一つの見どころであるカースタントも迫力満点でした。
『TAXi3』はこれまでのシリーズに比べ、ややカーアクションシーンは控えめです。けれども、エミリアンに鉄球がぶつかりそうになるところにダニエルのプジョーが高速で走り込んで180°ターンを決め、トランクにエミリアンを収納して、そのまま発進するシーンは、相変わらずの迫力で、度肝を抜かれました。
また、スノーラリーのコースに紛れ込んだ場面では、スバル・インプレッサWRXに追走し、雪上ドリフトを決めるプジョーにカッコよさと同時に強烈な違和感を感じるシュールさは、まさに「TAXi」という作品を表現しているように感じました。
『Taxi3』で特徴的だったのが、これまでのシリーズではあまり触れられてこなかった、男女の機微が濃く描かれていることでしょう。
作中では趣味に熱中して女心を省みないダニエル、熱心に仕事をするあまり、パートナーの変化に気がつかないエミリアン、それに手を焼くリリーとぺトラの姿はコメディ作品ゆえ、ややオーバーに描かれていますが、身につまされた男性の方々、共感した女性の方々もいたのではないでしょうか。
まとめ
シリーズを追うごとに派手なカーアクションとバカバカしいストーリーで人々を魅了してきた「TAXi」シリーズですが、映画『TAXi3』で主人公ダニエルとその相棒、エミリアンの二人が子供を授かるという大きな転機が訪れました。
劇中ではコミカルに表現されていましたが、ダニエルとエミリアンが父親になるため、人として成長を促されている様子が描かれており、これまでのシリーズに比べ二人の迷いや葛藤を強く感じました。
『TAXi3』の終わりで、お互いのパートナーに、父親として生きることを誓ったダニエルとエミリアンは果たしてどのような父親になるのでしょうか。そして、氷漬けになったジベールは無事復活を果たすのでしょうか?
続く「TAXi」シリーズに期待が高まりますね。