Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

新作映画ニュース

Entry 2020/01/25
Update

ファティ・アキン監督が映画試写会『屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ』のトークイベントに登壇!

  • Writer :
  • 石井夏子

ファティ・アキン監督がサプライズ登壇。
今後の展望…観客に明かされる映画の裏側を明かす。

第69回ベルリン国際映画祭コンペティション部門正式出品、ファティ・アキン監督最新作『屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ』。

映画『屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ』は2020年2月14日(金)バレンタインデーより、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国順次公開されます。

この度1月23日(木)に本作の先行試写会が実施され、上映後にはファティ・アキン監督がサプライズゲストとして登壇

衝撃的な殺人鬼の物語を目の当たりにした観客とQ&Aが行われました。

映画『屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ』先行試写会の概要

画像:『屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ』撮影現場でのアキン監督(右)


(C)2019 bombero international GmbH&Co. KG/Pathé Films S.A.S./Warner Bros.Entertainment GmbH

【開催日時】
2020年1月23日(木) 

【会場】
ゲーテ・インスティトゥート東京
東京都港区赤坂7丁目5−56

【スケジュール】
18:20開場/18:40-20:30上映   
20:30-21:00ファティ・アキン監督によるトークイベント

映画『屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ』トークリポート


(C)2019 bombero international GmbH&Co. KG/Pathé Films S.A.S./Warner Bros.Entertainment GmbH

30代で世界三大国際映画祭すべてで主要賞受賞の快挙を成し遂げ、前作『女は二度決断する』でゴールデングローブ賞外国語映画賞受賞、主演のダイアン・クルーガーにカンヌで主演女優賞をもたらしたファティ・アキン監督

最新作『屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ』では70年代ハンブルクで実際に起きた連続殺人事件の犯人フリッツ・ホンカを「ごく普通の連続殺人鬼」として描き出します。

公開に先駆け、1月23日(木)に一般試写会が開催されました。

試写終了後、衝撃的な殺人鬼の物語に震撼する会場に、サプライズゲストとしてファティ・アキン監督が登場すると、大きな拍手とどよめきが。

この題材の映画を作ろうとした理由


(C)2019 bombero international GmbH&Co. KG/Pathé Films S.A.S./Warner Bros.Entertainment GmbH

ファティ・アキン監督(以下 アキン監督):本日はありがとうございます。僕は日本が大好きで、数年に1回は必ず来るようにしています。何か聞きたいことがあればどんどん聞いてほしいですが、自分でもこういった作品に質問をするのは難しいと思います(笑)

──何故、この題材の映画を作ろうとしたのでしょうか。

アキン監督:この映画には原作小説があります。作者は僕と同じハンブルク出身でコメディアンでもあるハインツ・ストランクです。

フリッツ・ホンカについての小説が出版されると聞き、発売日の朝一番に本屋へ駆け込みました。そしてその日の午後に半分読み終えた時点で、弁護士へ映画化権を取得してほしいと連絡をしました。

この物語を映画にするかどうか、悩んでいる間に他の人に映画化権を取られたくなかった。ちょうどその頃『女は二度決断する』でゴールデングローブ賞を頂いたので、“ゴールデン・グローブ”(本作で登場するバーの店名であり原作小説名)を映画にしなければ!と最終的に決心しました。

ヨナス・ダスラーのイノセンスな眼差し


(C)2019 bombero international GmbH&Co. KG/Pathé Films S.A.S./Warner Bros.Entertainment GmbH

──本来は容姿端麗な美青年であるヨナス・ダスラーを主演に起用した理由は?

アキン監督:フリッツ・ホンカというキャラクターに、観客の皆さんがついてきてもらう必要がありました。彼のようなキャラクターに共感してもらうのは難しいのですが、彼が幼少期に酷い目にあったことを描写して、ホンカに対して同情して欲しくなかったのです。

そこで、若い方をキャスティングしようと思いつきました。若い人の目にはイノセンスが宿っていて、それはどんな特殊メイクでも隠しきれません。

ヨナスは撮影当時22歳くらいだったのですが、彼の目に宿るイノセンスをホンカに移すことで、観客が彼についてきてくれるのではないかと思い、キャスティングしました。

──ゴールデン・グローブというバーの名前の由来は?また、実際ハンブルクにはあのようなお店がたくさんあるのでしょうか。

アキン監督:“ゴールデン・グローブ”は1960年代前半にオープンした店です。今のオーナーの祖父である当時のオーナーがボクサーで、ボクシングの優勝タイトル「金のグローブ」から名前を取ったそうです。

あのバーは今も24時間年中無休で営業しています。あそこに行くと自分の中に潜む危険性が目覚めてしまう気がするので、僕はあまり行かないようにしていますが、ハンブルクには他にも大衆向きのパブがたくさんあります。

普段出会えない人と会えるのが楽しいので、僕もパブに飲みに行くのが大好きです。

今後の作品作りについて


(C)2019 bombero international GmbH&Co. KG/Pathé Films S.A.S./Warner Bros.Entertainment GmbH

──他に映画化してみたい殺人鬼はいますか?

アキン監督:特にいません!(笑)

ただ、ナチについては以前から題材として興味をもっています。フランスの著者によるヨーゼフ・メンゲレ医師(アウシュビッツ強制収容所で非道な人体実験を行った、「死の天使」の異名を持つドイツ人医師)についての本があって、ヨナスにも読んでもらいました。

彼ともう1本撮りたいと話をしているので、もしかしたら実現
するかもしれません。

──この事件は実際ドイツ国でどのくらいポピュラーな事件なのでしょうか。

アキン監督:ドイツでの興行成績に答えが表れていて、北部に行けば行くほど成績が良く、南部に行けば行くほど成績が下がりました。実際に起きた事件ですが、南部の人たちにとってホンカは“私たちの殺人者”ではなかったんでしょうね。

──世界中から注目されている監督ですが、今後もしハリウッドの大作から声がかかったらオファーを受けますか?

アキン監督:脚本の質で決めます!

僕は映画のジャンルやスタジオ、予算などに偏見を持つことはありません。素晴らしい脚本であればなんでも引き受けたいと思っています。

その作品の中で、挑戦できるものが見つかれば…。ただその手の作品って、たいてい脚本がよくないんですよね!(笑)

まとめ


(C)2019 bombero international GmbH&Co. KG/Pathé Films S.A.S./Warner Bros.Entertainment GmbH

冗談を交え答え、客席に笑いが起きたところでトークイベントは終了しました。

トーク終了後、サプライズ登壇にも関わらず、監督にサインや写真撮影を求める人が絶えず、その一人一人に丁寧に対応していたファティ・アキン監督でした。

映画『屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ』は2020年2月14日(金)より、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国順次公開です。

映画『屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ』の作品情報


(C)2019 bombero international GmbH&Co. KG/Pathé Films S.A.S./Warner Bros.Entertainment GmbH

【日本公開】
2020年(ドイツ映画)

【原題】
Der Goldene Handschuh (英題: The Golden Glove)

【監督・脚本】
ファティ・アキン

【キャスト】
ヨナス・ダスラー、マルガレーテ・ティーゼル、ハーク・ボーム

映画『屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ』のあらすじ


(C)2019 bombero international GmbH&Co. KG/Pathé Films S.A.S./Warner Bros.Entertainment GmbH

敗戦がまだ尾を引いていた1970年代ドイツ、ハンブルク。

安アパートの屋根裏部屋に住むフリッツ・ホンカは、夜な夜な寂しい男と女が集るバー“ゴールデン・グローブ”で酒をあおっていました。

彼がカウンターに座る女に声を掛けても、いつも顔をしかめられるだけ。

一見、無害そうに見えるフリッツの狂気に気づく常連客は誰ひとりいませんでした…。




関連記事

新作映画ニュース

松本人志が恐怖を煽る予告編解禁!ゲキメーション映画『バイオレンス・ボイジャー』場面写真の紹介も

悪夢のような予告編 世界各国の映画祭から招待され、絶賛を受けた映画『バイオレンス・ボイジャー』が2019年5月24日(金)よりシネ・リーブル池袋ほかにてロードショーされます。 (C)吉本興業 本作は、 …

新作映画ニュース

韓国映画『めまい 窓越しの想い』あらすじ/キャスト/公開日/上映館。大人の“純粋な恋愛”ラブストーリーと“職場の向こう側”の出会いにチョンウヒ主演で贈る

息苦しい日々に揺れ動く30代OLと窓拭きの清掃員が高層ビルの窓越しに出会う……。 優しさに溢れたヒーリング・ロマンス 『哭声/コクソン』のチョン・ウヒ主演で贈る韓国映画『めまい 窓越しの想い』。 (c …

新作映画ニュース

映画『凪待ち』生中継舞台挨拶付き上映決定。劇場公開後も全国各地のファンに応えるイベントを!

映画『凪待ち』は2019年6月28日より、TOHOシネマズ日比谷を皮切りに全国ロードショー公開! 監督・白石和彌。そして、俳優・香取慎吾。両雄が初のタッグを組んだ映画にして、震災後の宮城県石巻市を舞台 …

新作映画ニュース

串田壮史監督の映画『写真の女』がSKIPシティアワード受賞!阪本順治・内田英治らのおすすめコメントも紹介

世界の映画祭で続々と受賞! SKIPシティ国際Dシネマ映画祭でも「SKIP シティアワード」を見事受賞。 2021年1月初春に渋谷ユーロスペース他全国で順次公開が決まっている長編映画『写真の女』。 こ …

新作映画ニュース

稲垣吾郎映画『窓辺にて』DVD&Blu-ray発売は2023年10月1日開始!今泉力哉監督の未公開シーンやメイキングも収録

2023年10月1日(日)正午12時からCHIZUSHOPにて受注予約受付スタート! 稲垣吾郎主演の映画『窓辺にて』のBlu-rayとDVDの発売が決定しました。 (C)2022「窓辺にて」製作委員会 …

【坂井真紀インタビュー】ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』女優という役の“描かれない部分”を想像し“元気”を届ける仕事
【川添野愛インタビュー】映画『忌怪島/きかいじま』
【光石研インタビュー】映画『逃げきれた夢』
映画『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』伊澤彩織インタビュー
映画『Sin Clock』窪塚洋介×牧賢治監督インタビュー
映画『レッドシューズ』朝比奈彩インタビュー
映画『あつい胸さわぎ』吉田美月喜インタビュー
映画『ONE PIECE FILM RED』谷口悟朗監督インタビュー
『シン・仮面ライダー』コラム / 仮面の男の名はシン
【連載コラム】光の国からシンは来る?
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
日本映画大学
S