2012年本屋大賞で第1位を獲得した三浦しをんの同名小説を映画化『舟を編む』。
『散歩する侵略者』に出演し、宇宙人になったような夫役を演じた松田龍平の主演作『舟を編む』。
公開から話題を呼び、松田龍平の高い演技力を初め、多くの賞を受賞した本作は「辞書作り」という地味な上に、今はどんどん馴染みが無くなっていく媒体にも関わらず、多くの人に物事に没入することの出来る素晴らしさを教えてくれます。
主人公の馬締役を松田龍平が好演、また香具矢役には宮崎あおいが存在感を存分に見せています。
演出は『川の底からこんにちは』『ハラがコレなんで』の石井裕也監督が務めています。
映画『舟を編む』の作品情報
【公開】
2013年(日本)
【監督】
石井裕也
【キャスト】
松田龍平、宮﨑あおい、オダギリジョー、黒木華、渡辺美佐子、池脇千鶴、鶴見辰吾、伊佐山ひろ子、八千草薫、小林薫、加藤剛、宇野祥平、森岡龍、又吉直樹、斎藤嘉樹、波岡一喜
【作品概要】
90年代に出版社の辞書編集部に配属になった主人公が、その独特な仕事内容や職員とともに、辞書作りの仕事に没頭していく様を描いた、一種の文系青春映画。
アカデミー賞外国語部門に出品されたり、日本の映画賞の数々を受賞して話題になり後にテレビアニメ化もされます。
一見地味なストーリーの様に見えて、登場人物が非常に個性豊かなので飽きることもないし、何かに夢中になってる・なりたい方は必見です。
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映画『舟を編む』のあらすじとネタバレ
1995年
玄武書房の辞書編集部に務める荒木公平は自身の定年に向けて、新しい人材を探していました。
荒木の編集長としての優秀さを買っている松本朋佑教授に引き止められながらも、後輩の西岡正志とともに人材探しをしていると、コミュニケーションが苦手なのに営業部に所属している馬締(まじめ)光也を見つけます。
荒木は馬締に「“右”をどう説明する?」と聞く、今までの誰とも違う答えを返してきます。
彼に辞書編集の才能を見出した荒木は、早速馬締を引き抜き、企画が通った『大渡海(だいとかい)』の編集に携わらせます。
編集会議にて松本は「今を生きる辞書」を作りたいとその熱意を燃やし、馬締もその仕事にどんどんのめりこんでいきます。
月日がたち、荒木が定年となり皆で送別会を行いますが、やはり松本は彼が去ることを「自分自身の半身を失うも同然」とショックを隠せません。
馬締は帰りにふと思い立って、編集室を訪れるとそこには荒木がいました。
彼はまるで自分の今後を託すかのように、馬締にあるモノを渡します。
しかし馬締は言葉の海におぼれる悪夢を見たりと、仕事に自信を持てなくなり始めていました。
そんな時、彼が長く下宿させてもらっている大家のタケから「人の心なんて分からなくて当然」と、くよくよ迷う馬締へアドバイスをすると、翌日から不器用でありながらも積極的に同じ部署の人間と関わるようなります。
馬締の住む下宿にはトラさんという猫も住んでおり、彼の鳴き声のするほうへ向かっていくと、そこで美しい女性・林香具矢と出会い、一目惚れしてしまいます。彼女はタケの孫娘で、下宿に同居を始めたのでした。
映画『舟を編む』の感想と評価
この作品を見てまず感じたことは、青春はガッツリ文系の人間でも、そして学生じゃない20代後半でも全然出来るんだ!ということでした。
ある意味で『王道な青春映画』と同じストーリーラインなのに、びっくりするほど設定は正反対というのもユニークです。
主人公馬締はいわゆるコミュ障、団結する人数も最小限に押さえているにも関わらず年齢層が広すぎる、さわやかに汗をかくどころか机にひたすら噛り付く、猫はデブだし(かわいい)、恋愛シーンも想像を絶するさっぱり感です。気づいたら入籍してますし。
そして12年後以降から『舟を編む』は青春モノから人生を描き出します。
仕事の大団円と、新しい仲間や大切な人との別れ・・・しかしそれをあえて感情移入させるような演出は避けてうまく省略させることで、人生とはなんぞやを、この辞書作りという長い長い出来事を通して伝えていく内容へと変わっていきます。
青春と人生をひとつの作品で描き出すという、原作もそうですが、映画もちゃんと2時間弱で収める離れ業に脱帽です。
まとめ
(私も含め)学生時代はパッとしなかった人も、今作を見ると間違いなく何かを鼓舞される感じがするはずです。
そして「12年後」パートで、人生というものは何なのかと、見つめる機会を与えられる良作でもあります。
例えるなら『バクマン。』を凄く大人向けにした感じでしょうか。
実際、辞書作りのデティールはもちろん、香具矢の板前の調理器具でさえ細かく説明してくれます。
そんな内容は好きな人は絶対に見たほうがいい作品です。
それと個人的には出演している茶トラのトラさん目当てでもう一回視聴したいくらいです。どうしたらあんなに目も顔もまん丸になるのか。かわいい。
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※紹介している情報は2017年9月時点のものです。配信作品の状況が変わっている可能性もありますので、詳細は公式ホームページにてご確認ください。