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Entry 2019/09/18
Update

WELCOME TO JAPAN日の丸ランチボックス|感想と評価。藤田恵名が西村喜廣のバイオレンスな世界で歌う|SF恐怖映画という名の観覧車67

  • Writer :
  • 糸魚川悟

連載コラム「SF恐怖映画という名の観覧車」profile067

2012年から日本の一部劇場で開催されている「シッチェス映画祭ファンタスティック・セレクション」。

このイベントは、スペインのリゾート地で開催されるシッチェス映画祭(シッチェス・カタロニア国際映画祭)で上映された映画の一部を日本で劇場公開するというシッチェス映画祭公認のイベントであり、今年も様々なコアな作品が公開されます。

そんな「シッチェス映画祭ファンタスティック・セレクション」上映作品の中でも特に注目を集めているのが、西村喜廣監督による映画『WELCOME TO JAPAN 日の丸ランチボックス』(2019)。

今回は、過激かつやりたい放題な西村喜廣監督の趣味満載で描かれる本作の魅力をご紹介させていただきます。

【連載コラム】『SF恐怖映画という名の観覧車』記事一覧はこちら

映画『WELCOME TO JAPAN 日の丸ランチボックス』の作品情報


(C)2019 キングレコード

【日本公開】
2019年(日本映画)

【監督】
西村喜廣

【キャスト】
藤田恵名、屋敷紘子、サイボーグかおり、笹野鈴々音、鈴木希実、鳥居みゆき

映画『WELCOME TO JAPAN 日の丸ランチボックス』のあらすじ


(C)2019 キングレコード

鎖国により日本古来の文化が保たれていた過去を重要視し、現状の外国人が入り乱れる日本を憂う極右組織に育てられた殺し屋キカ(藤田恵名)。

日本で悪事を行う外国人を殺害するためキカは世に放たれますが、殺人を繰り返す中で大切な「何か」を見つけていき…。

西村喜廣監督について

参考画像:『蠱毒 ミートボールマシン』(2018)


(C)2017 キングレコード

『進撃の巨人』(2015)、『シン・ゴジラ』(2016)、『亜人』(2017)など、その年の邦画のを代表する目玉タイトルに特殊造形プロデューサーで関わる西村喜廣は、造形や特殊メイクにおけるプロフェッショナルであり、邦画の世界において重要な人物と言えます。

そんな西村喜廣は、実は監督としても長く活動をしており、一部の映画ファンから熱狂的な支持を受けています。

その作品内容は『蠱毒 ミートボールマシン』(2018)のように過激すぎるともいえるグロテスクさと異色すぎる世界観や、『虎影』(2015)のように時折混ぜるシュールな笑いが顕著であり、独特すぎる感性とプロフェッショナルの腕を持つ造形と特殊メイクの才能を限界まで作品に活かしています。

しかし、そんな人を選ぶような作品ばかりでありながらも、鑑賞者にも映画製作の界隈にも愛される西村喜廣監督の作品には数多くの著名人が出演しており、『蠱毒 ミートボールマシン』では名脇役として様々な作品に出演する田中要次、『虎影』では今やトップクラスの俳優として映画・ドラマで主演を務める斎藤工など、大物俳優が主演しています。

そしてもちろん『WELCOME TO JAPAN 日の丸ランチボックス』も出演陣は異色すぎるとも言える俳優の選出がなされていました。

異色の出演陣

参考動画:藤田恵名「言えない事は歌の中」ミュージックビデオ

本作で主演を務めたのはグラビアアイドルとして活躍しながらも高い歌唱力を持ち、「今、一番脱げるシンガーソングライター」と言うキャッチコピーを持つ藤田恵名。

彼女の楽曲「言えない事は歌の中」のミュージックビデオが本作の原案でもあり、演技面だけではなく歌唱力も劇中で遺憾なく発揮されています。

さらに本作には「るろうに剣心」シリーズなどに出演する日本でトップクラスのアクション女優の屋敷紘子や、ベース音を口から奏でるヒューマンビートボックス界の注目株サイボーグかおり等各界のトップクラスが集結。

俳優業も数多くこなし、西村喜廣監督作の多くに出演する鳥居みゆきももちろん出演するこの作品はまさに異色であり、西村喜廣監督の人徳と人を惹きつける力を感じさせます。

過激な世界観の中の「平和」


(C)2019 キングレコード

海外文化の排斥を求める極右的な組織と、その組織を撲滅するために動く海外組織の殺し屋によるバイオレンスでグロテスク、そしてシュールな笑いを描いた本作。

やりすぎなほどにエログロを大量に盛り込んでおり、画面の大部分が血しぶきで埋め尽くされるほど西村ワールド全開なこの作品ですが、意外なことに度々見せる「平和」なシーンが心に残ります。

梅干しを始めにカツ丼、卵焼きなどの日本を代表する料理の数々をキカが調理するシーンや、それらの料理を弁当箱(ランチボックス)に詰め、外で食べる様子がとても印象的であり、和食の魅力が演じ手と演出により引き出されています。

また、料理が魅力的に見えるだけでなく、これらの演出には「戦いに従事する者」も「平和」を渇望していると言うメッセージを見出すことが出来、奇異で悪趣味満開な世界観から「平和」について考えさせられました。

まとめ


(C)2019 キングレコード

全編を通し説明がほとんど存在しない、間違いなく人を選ぶ映画ではあるものの、その中でふと見せる穏やかな雰囲気に和まされる本作。

やりすぎな映像で鑑賞者を楽しませるだけでなく、作り手側が誰よりも楽しんでいる様子を映像の中で感じさせてくれる西村喜廣ワールド。

2020年に東京オリンピックが迫る中、異なった主張を持つ人間同士がどう交じり合っていくべきなのか、と言う今考えるべきことの片鱗をメッセージとして与えてくれる作品でした。

『WELCOME TO JAPAN 日の丸ランチボックス』が上映される「シッチェス映画祭ファンタスティック・セレクション」は、10月よりヒューマントラストシネマ渋谷、シネ・リーブル梅田、シネマスコーレ(名古屋)の3劇場で開催。

気になる作品のある方はぜひとも劇場に足を運んでみてください。

次回の「SF恐怖映画という名の観覧車」は…

映画『人狼』

いかがでしたか。

次回のprofile068では、日本アニメを原作とした韓国実写映画『人狼』(2018)のネタバレあらすじをご紹介させていただきます。

9月25日(水)の掲載をお楽しみに!

【連載コラム】『SF恐怖映画という名の観覧車』記事一覧はこちら



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