Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

アニメーション

Entry 2017/01/02
Update

映画『ズートピア』ネタバレあらすじ感想とラスト結末の解説評価。初のウサギの警察官とキツネの詐欺師ニックの活躍とは⁈

  • Writer :
  • シネマルコヴィッチ

かわいい動物たちが、高度な文明社会を築いた世界《ズートピア》。

ウサギの女性ジュディが夢をかなえるため、勤務した警察での奮闘を描いたディズニー制作のアニメーションです。

演出は『塔の上のラプンツェル』のバイロン・ハワードと、『シュガー・ラッシュ』のリッチ・ムーアが担当しています。

どんな動物も快適な暮らしができる環境が整えられた世界はあり得るのか?家族一緒に観るのに最適なアニメ映画。

警察官ウサギのジュディと、詐欺師キツネのニックの相棒ぶりが、底抜けに軽妙でスピーディな物語。思わず元気が出ちゃう『ズートピア』をご紹介します。

映画『ズートピア』の作品情報

【公開】
2016年(アメリカ)

【監督】
バイロン・ハワード&リッチー・ムーア

【キャスト】
ジニファー・グッドウィン(ジュディ・ホップス)、ジェイソン・ベイトマン(ニック・ワイルド)、イドリス・エルバ(チーフ・ボゴ)、ネイト・トレン(スクロウハウザー)、J・K・シモンズ(ライオンハート市長)、ジェニー・スレイト(ベルウェザー副市長)、トミー・“タイニー”・リスター(フィニック)、レイモンド・パーシ(フラッシュ)、オクタビア・スペンサー(オッタートン夫人)、シャキーラ(ガゼル)、ボニー・ハント(ボニー・ホップス)、ドン・レイクス(チュー・ホップス)、モーリス・ラマルシュ(Mr.ビッグ)、トミー・チョン(ヤックス)上戸彩(ジュディ・ホップス日本語吹き替え)、森川智之(ニック・ワイルド日本語吹き替え)、三宅健太(チーフ・ボゴ日本語吹き替え)、高橋茂雄(クロウハウザー日本語吹き替え)、玄田哲章(ライオンハート市長日本語吹き替え)、竹内順子(ベルウェザー副市長日本語吹き替え)、Dream Ami(ガゼル日本語吹き替え)芋洗坂係長(マイケル日本語吹き替え)

【作品概要】
動物たちをモチーフに描きながら、文明社会にメッセージを与えるディズニー・アニメーション。監督は、『塔の上のラプンツェル』のバイロン・ハワードと『シュガー・ラッシュ』のリッチ・ムーアがタッグを組みました。

映画『ズートピア』のあらすじとネタバレ

のどかな田舎町に暮らすウサギのジュディは、正義感の強い女の子で幼い頃から警察官になる夢を抱いていました。

ニンジン農家の両親は、夢を持つことの大切さを認めつつも、ジュディには、自分たち夫婦と同じように農場での穏やかな生活を勧めます。

しかし、ジュディは、周囲の揶揄や身体の小ささを克服し、警察学校をトップの成績で卒業。ウサギ初の警察官として、憧れの大都会ズートピアに配属されます。

期待に満ち溢れたジュディ。だが、現実は厳しいものだった…。

同僚たちが肉食動物の行方不明事件を捜査する中、自分に与えられた仕事は駐車違反の取り締まり。それでも署長に認めてもらおうと仕事に励むジュディ。

そこに、偶然キツネの親子に出会ったジュディ。誕生日にアイスキャンディをねだる子ギツネに、父親がアイスを買ってやろうとするも店主は「キツネである」という理由で、アイスを売らない。

ジュディは持ち前の親切心から助けますが、実は、その親子は詐欺師で手に入れた巨大アイスキャンディを加工して荒稼ぎしていることを知ります。

そんなキツネに詰め寄ると、キツネは「誰もがこの街に来る奴は何にでもなれると思っている。でも無理なんだよ。自分は変えられない」と言い放ちます。

自信を失ったジュディ。ある日、署長の命令も聞かずひったくり犯を追ってネズミの街に入り大騒動を繰り広げ、署長から大目玉を食らいます。

ちょうどそこに行方不明となったカワウソの捜査依頼に、夫人がやって来る。ジュディはベルウェザー副市長の口添えを得て、行方不明のカワウソ、エミット・オッタートンの捜査をすることに。

ただし、「48時間以内に解決できなければ解雇する」という厳しい条件付きだった。

ジュディはたった一枚の写真を手掛かりに捜査を開始。その写真から、あの詐欺師のキツネ、ニックが関与していたことを知り、彼の弱味をネタに捜査の協力させます。

オッタートンが最後にいた場所は、ツンドラ・タウンで、「突然凶暴化したオッタートンが運転手を攻撃して逃げ出した」ことを突き止めた2人。

運転手のジャガーのマンチャスからさらなる手がかりを得ようとするが、マンチャスは「夜の遠吠え」とつぶやいた後、突然凶暴化し、2人に突然襲いかかります。

2人はなんとかマンチャス捕らえたが、署長ら応援が駆けつけた時にはマンチャスの姿は消えていた。

署長はジュディにクビを言い渡します。しかし、ニックは残りの時間ギリギリまで捜査をしようと励ますのでした。

以下、『ズートピア』ネタバレ・結末の記載がございます。『ズートピア』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。
ニックは、幼いころ夢見ていたジュニアレンジャースカウトの団員になるが、キツネだという理由で口輪をはめられ、虐められた過去を打ち明けます。

彼はその日から夢を持つことを諦めたのだった…。

2人は、逃げたマンチャスの行方を追うために、副市長に依頼し監視カメラの映像を入手。行き先は、オオカミのアジトの古い病院。

侵入した2人は、マンチャスや行方不明になっているオッタートンをはじめ、野生化した肉食動物たちを発見。

野生化した肉食動物の存在が公になるのを恐れた市長によって幽閉されていたのでした。

その真相を突き止めたジュディは一躍ヒーローに。しかし、ジュディは記者会見で「凶暴化するのは肉食動物。肉食動物は危険だ」と公言したことで、ニックの心を傷つけてしまう。

さらに、ズートピアでは肉食動物への偏見が強まり、ズートピアは恐怖と差別の街に。じぶんのせいで平和な街が失われたと自分を責めるジュディ。警察を辞め田舎に戻って行きます。

ふさぎ込んだままにんじんを売っていたジュディは、「夜の遠吠え」という虫よけの花が、凶暴化の原因だと突き止めます。

ジュディはすぐズートピアに戻り、ニックを探し心から謝罪。

ニックはジュディを許し、二人は捜査へ。ある羊が「夜の遠吠え」の花から薬を作っている現場に行き着きます。

肉食動物たちの野生化は、この薬を撃ち込まれたことによるものだと知った2人は証拠を奪って警察署に向かう。

そこに、ライオンハート前市長に変わり市長となったベルウェザーが現れ、薬を奪い取ったのです。

実は、彼女こそ、この一連の事件の真の黒幕。肉食動物を排除するために薬を使っていたです。

ジュディとニックはベルウェザーから逃れ、録音した証拠でベルウェザーを逮捕。

原因が解明したことで、凶暴化した動物たちは薬で元に戻り、街は平和を取り戻しました。

そして、ニックはキツネ初の警察官に。ジュディとコンビを組みズートピアに起こる事件を取り締まるのだった…。

映画『ズートピア』の感想と評価

ズートピアはまさに現在のアメリカ(特にニューヨーク)の縮図と言っていいでしょう。

様々な人種が集い、互いの違いを認め合いながら平和に暮らす国。それがアメリカ。

でも、周知の通りたくさんの偏見や人種差別に満ちています。それは、肉食動物と草食動物が共存し合うズートピア内でも見られました。

ウサギのジュディは、警察署内では同僚の大動物たちから見向きもされません。

ライオンの市長は、女性副市長の羊を秘書としてこき使います。キツネはすべての動物から「嘘つき」というレッテルを貼られていますね。

それはアメリカに限らず、世界各国で見られることでしょう。もちろん、日本も例外ではありません。

1980年代以降、急速なグローバル化によって人々が世界各国を行き交うことが可能になった一方、お互いの違いに敏感になり、分断しナショナリズムへと向かう今日…

「この世界をもっといい場所にしたい」という物語の冒頭でのジュディの発言は、とても重要な意味を持っていますね。

「肉食動物は危険」というジュディの発言によって、ズートピアの平和が失われた時、ポップスターのガゼルは、平和集会でこのように発言します。

ズートピアはいろんな動物がそれぞれの違いを認め合う素晴らしい街。私はズートピアを信じている。」

そして、「誰かのせいにしているだけじゃダメよ。凶暴になる原因は理由はわからないけれど、だからって危険だと決めつけるべきではないでしょう。みんな恐怖に負けないで。」

この世界をより良くする。それは、誰かの力に頼るのではなく、自分たち一人一人の力が作り出すものなのだと、この作品は気づかせてくれます。

まとめ

ズートピアで、ジュディが警察官になる夢を持った時、周囲の人々は夢と現実の違うものだと諭します。

その代表が農場を営む両親。「パパとママが幸せになれたのは、夢などを追わずに安定を選んだから」「挑戦しなければ失敗もない」「警察官になるは不可能」と畳み掛けます。

それでも、夢を実現させたジュディ。

しかし、そのジュディに署長は「人生はミュージカル映画とは違う。歌えば夢がかなう?そんな甘いもんじゃない」と言います。

そして、ニックもまた最初は「誰もが自分以外のものになれない」というのです。

しかし、ジュディは諦めませんでした。諦めないで理想を追い続けるジュディに心を開きやがて自分の人生をも変えていくニック。

夢を持つこと、そして諦めないことで周囲の環境を少しずつ変えていくことができるのです。

そんな夢を抱くことの大切さを教えてくれ、心がピュアになる作品。

ぜひ、ご家族でご覧になって観るのはいかがでしょうか。そんな1本です!

関連記事

アニメーション

『プロメア』映画評価。今石アニメが劇場4DX体感でさらに熱く【ネタバレあり】

『プロメア』4D版は2019年10月18日(金)より全国ロードショー! どこまでもエンジン全開な独特のノリと勢いが特徴的であり魅力でもある作家、中島かずきが脚本を担当した作品の数々。 2019年5月2 …

アニメーション

【ネタバレ内容考察】映画スラムダンク|最後のシーン/結末/ラスト評価解説で宮城リョータの山王戦“だけでない物語”と母“おかえり”の真の意味を深掘り

井上雄彦の“もっと描きたいキャラクター”だった リョータとその家族をめぐる結末は? 1990年〜1996年に「週刊少年ジャンプ」で連載され、“バスケ漫画の金字塔”として愛され続けている漫画『SLAM …

アニメーション

【ネタバレ】四畳半タイムマシンブルース|結末あらすじ感想と評価考察。アニメ映画で描く12年の時を超えた悪魔のような“自主的二次創作”

森見登美彦×上田誠=『四畳半タイムマシンブルース』 2010年、フジテレビ深夜のノイタミナ枠で放送されたアニメ『四畳半神話大系』。原作・森見登美彦、シリーズ構成および脚本・上田誠(ヨーロッパ企画)、監 …

アニメーション

ルパン三世カリオストロの城|ネタバレあらすじ感想とラスト結末の考察解説。宮崎駿監督の作画/作劇で“映画の醍醐味”を生む演出

宮崎駿監督の映画初監督作にして、時を超え人々の心を彩る名作アニメ! 2020年11月、日本テレビ系列「金曜ロードSHOW!」にて放送が決定された特集「2週連続ルパン三世」。モンキー・パンチ原作のアニメ …

アニメーション

アニメ『神在月のこども』ネタバレ結末と評価考察。宗教に属する神の世界へ向かう少女の成長を描く

新しいカタチでの映画制作『神在月のこども』が2021年10月8日(金)に公開。 オリンピック・パラリンピックや万博等の国際的イベントを見据え、世界に向けて日本を知ってもらうために企画された『神在月のこ …

【坂井真紀インタビュー】ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』女優という役の“描かれない部分”を想像し“元気”を届ける仕事
【川添野愛インタビュー】映画『忌怪島/きかいじま』
【光石研インタビュー】映画『逃げきれた夢』
映画『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』伊澤彩織インタビュー
映画『Sin Clock』窪塚洋介×牧賢治監督インタビュー
映画『レッドシューズ』朝比奈彩インタビュー
映画『あつい胸さわぎ』吉田美月喜インタビュー
映画『ONE PIECE FILM RED』谷口悟朗監督インタビュー
『シン・仮面ライダー』コラム / 仮面の男の名はシン
【連載コラム】光の国からシンは来る?
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
日本映画大学