Netflixドラマ『アンナラスマナラ〜魔法の旋律〜』シーズン1
『アンナラスマナラ〜魔法の旋律〜』は、『梨泰院クラス』のキム・ソンユン監督が手がけた、Netflixオリジナル最新作ドラマです。
本作はハ・イルグァンのWeb漫画『アンナラスマナラ~魔法の呪文~』(2010年6月28日〜2011年1月7日掲載)が原作で、韓国では舞台化もされました。
生活苦で辛い日々を送る高校生のユン・アイは、2年生に進級すると学年1位の秀才ナ・イルドゥンと出会い、ひょんなことから廃墟の遊園地に住む、謎の魔術師リウルとも出会います。
高校生のアイは母と生き別れ、借金を残して出稼ぎに出たまま戻らない父親を待ちながら、幼い妹の面倒を見ています。
本作は弱みに付け入る大人、借金の取り立てに容赦をしない大人、「大人」に対する不信しかないアイが、魔術師リウルと出会い壊れかけた心を取り戻し、理想の「大人」へ踏みだすミュージカルドラマです。
映画『アンナラスマナラ〜魔法の旋律〜』の作品情報
(C)2022 Netflix
【日本配信】
2022年(韓国ドラマ)
【監督】
キム・ソンユン
【脚本】
キム・ミンジョン
【キャスト】
チ・チャンウク、チェ・ソンウン、ファン・イニョプ、チ・へウォン
【作品概要】
魔術師リウル役には、韓国ドラマを必ずヒットに導く「ヒット王子」の異名を持つ、チ・チャンウクが務めます。また、本作はミュージカルドラマですが、チャンウクはミュージカルにも力を入れている俳優で、その歌唱力と表現力を発揮しています。
ヒロインのユン・アイ役には、映画『スタートアップ!』(2019)でデビューし、ドラマ『怪物』で新人賞候補にもあがった、チェ・ソンウンが演じます。
リウルの過去に似た道を辿る、秀才イルドゥン役には韓国ドラマで人気の高い、ファン・イニョプが演じ、他ドラマ俳優の名バイブレイヤー達が脇を固めます。
ドラマ『アンナラスマナラ〜魔法の旋律〜』シーズン1のあらすじとネタバレ
(C)2022 Netflix
高校2年に進級したユン・アイと男子生徒が1人、新学期早々に遅刻しそうになります。アイは階段ですれ違った生徒とぶつかり転んでしまいます。
2年1組になったアイの新しい担任は、生徒指導主事をしている厳しい教諭です。教室へ入りますが罰として、教室の後ろに立たされてしまいます。
遅刻して入室した男子生徒も立っていろと怒鳴られますが、出席簿で名前と顔写真を確認し、生徒が“ナ・イルドゥン”だと知ると態度が一変します。
彼は学年で一番の秀才で、校長からも一目置かれる存在でした。担任が彼を免罪すると、アイも罰を免れることができました。
アイとイルドゥンは隣り同士の席で、イルドゥンはアイを意識しているようでした。
アイはランチタイムにおかずを多めに取って、こっそりタッパーに入れ替えていました。それを同級生のペク・ハナとキム・ソヒに見られてしまいます。
ハナはソヒといつもつるんで、面白いことはないかとネタ探しをしていました。そして、変わった行動をするアイに興味を持ち始めます。
教室に戻ったハナはイルドゥンに、アイがどんな子なのか聞きます。しかし、彼は全く興味がないと答えました。
するとソヒは学年1位の成績でも数学では、アイに負けているから、知っていると思ったと言います。
イルドゥンは数学がアイに劣っていることに納得できず、教え方の悪い塾のせいだからだと思います。
アイは学校の帰り、コンビニでアルバイトの求人貼り紙を見て、働くことにしました。バイト代を日払いで5万ウォンもらい使い道を考えています。
しかし、お札を眺めながら歩いていると、急に吹いた風で飛ばされてしまいます。アイは必死でお札を追いかけますが、とうとう丘の上の廃園になった遊園地まで来てしまいます。
その遊園地には怪しい噂がありました。イケメンの魔術師が住んでいて、実は本物の魔術を使うらしい……という噂です。
その魔術師が本物の魔術を使う時は必ず、「あなたは魔術を信じますか?」と尋ね、相手の目をジッとみつけるといいます。
そして、身体切断のマジックでは本当に体を切断し、身体消去のマジックでは本当に姿を消し、二度と現れることがないという噂でした。
アイが恐る恐る中へ入ると門の壊れた支柱に、黒いシルクハットにマントをまとったマジシャンが、お札を持って立っています。
噂通り美しい顔立ちのマジシャンでしたが、驚いたアイは呆然としてしまいます。するとマジシャンは「あなたは魔術を信じますか?」と噂通りのことをアイに聞きます。
アイは恐怖のあまり悲鳴をあげ、お札を取り返すこともできないまま、家まで逃げ帰ってしまいました。
せっかくのアルバイト代を失い、ショックをうけて帰宅すると、1人で留守番をする幼い妹が出迎え、落ち込む姉を励まします。
しかし、家にはお米も麺類すらなく、妹は気丈にも給食を2回もおかわりしたから、お腹は空いていないと言い布団に入りました。
そこに借家の大家が家賃を取りに訪ねてきます。何ヶ月も滞納し追い出されそうでした。アイは父親が週末に帰ると言いますが、父親とは音信不通状態でした。
翌日、アイはハナの仕掛けたワナで、5万ウォンを“ネコババ”させられます。アイは両親のいない貧しい家庭で食べるのも困るほどでした。
アイは意を決して再び廃遊園地へ、お金を探しに行きます。劇場には灯りが灯っていましたが、アイは勇気がなく帰ろうとすると、そこに魔術師が現れます。
お調子者の魔術師はアイにお札を差し出しますが、マジックで白い紙にしたり、2枚にしたりします。
魔術師は純粋に楽しませようとしているようでしたが、お金を稼ぐ大変さを知るアイにはバカにされたと感じ、お金を返して貰い走り去ろうとします。
魔術師は荒んでいるアイを慰めるかのように、シャボン玉を辺り一面に現し、アイはその光景を不思議な気持ちでながめました。
翌日、アイはコンビニで店長に給料の前借りを頼むと、店長は弱みにつけ入るように、アイに対してセクハラ行為をします。
アイは激しく抵抗して店長を突き飛ばすと、店長は大げさに騒ぎ出しアイを脅迫し始めました。胸ぐらをつかまれ脅されたアイは、「助けて」と心で叫びます。
するとそこに魔術師が現れて、店長の手首をつかみ「あなたは魔術を信じますか?」と聞き、「アンナラスマナラ」と呪文を唱え黒マントで店長を覆います。
マントはするりとすり抜け、店長の姿は消えて無くなっていました。魔術師は人を消すマジックは成功したと言い、アイは驚きと安堵で涙が溢れます。
以下、『アンナラスマナラ〜魔法の旋律〜』ネタバレ・結末の記載がございます。『アンナラスマナラ〜魔法の旋律〜』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。
(C)2022 Netflix
店長が消えたのはタネのあるマジックだと思うアイは、翌日コンビニに確かめに行きますが、臨時休業の貼り紙がされ、店長の姿は見当たりませんでした。
学校で遊園地の魔術師の噂を聞いたアイは、店長のことも気になり遊園地へ行くと、魔術師も現れ、アイは率直に店長はどこに行ったのか聞きます。
ところが魔術師はわからないと答え、アイをからかいます。彼女はいい大人が、何の悩みも責任感もなく廃遊園地でマジックなんて「大嫌い」と言って去ろうとします。
アイは父親を魔術師と重ね合わせ、情けない気持ちを抱いていました。アイに「あなたは魔術を信じますか?」と聞きますが、アイは信じないとキッパリ答え背中を向けます。
魔術師は悲しい眼をして「アンナラスマナラ」と呪文を唱えると、壊れて動かないはずの乗り物が動き出し、彼が出した蝶に導かれるように観覧車に乗ります。
ゴンドラが頂上に到達すると打ち上げ花火が上がり、辺り一面が鮮やかに輝きます。魔術師は「君にもう一度、マジックを信じてもらうための魔術、成功だろ?」
アイは半信半疑でしたが、自分の目で見たことを否定もできず言葉を失いました。
翌日、クラスではソ・ハユンという生徒が無断欠席をし、その後、行方不明の事件として扱われます。
アイが再びコンビニへ行くと、店は開いていましたが別の店員が、一昨日の晩から連絡が付かないと言います。
不安になったアイは遊園地へ再び行き、マジックショーの劇場へ入ります。そこには赤いオウムがいて、「店長、悪い奴、店長、消えた」と話し、アイは驚いて劇場を飛び出します。
ところが遊園地の噂の真相を探りに、ハナとソヒがスマホで動画を撮りながら来ていました。アイは2人に気づきませんが、ハナはアイが慌てて去る姿を目撃します。
その晩、アイのあとをつけて魔術師が家に現れます。そこへ親戚のオジと手下が借金の取り立てに来て、アイに父親の居所を言うよう、力づくで責めます。
魔術師がその手を制止すると、アイは彼に助けをもとめました。魔術師はマジックの札で彼らを翻弄させますが、すぐにバレてしまい袋叩きにあってしまいます。
魔術師は「アイというんだね。子供のような可愛い名前だ」と言い、マジックを教えてあげるから劇場へ来るよう誘いました。
アイは断りますが、魔術師はすでに魔法にかかっているから、必ず来ると言います。
イルドゥンは問題集をアイに見せつけ、図書館で一緒に勉強する作戦を成功させます。
帰りにイルドゥンはアイに、また一緒に勉強しようと誘いますが、アイはアルバイトで週末しか空いていません。
イルドゥンはとっさに「じゃあ、週末から僕たち付き合おう」と告白してしまいます。アイはびっくりして戸惑っていると、イルドゥンは「冗談」だと言ってしまいます。
その頃、ハナとソヒは劇場へ探索しに行きます。そこでオウムにちょっかいを出し、魔術師にみつかってしまいます。
彼は険しい顔をしますが、ハナはお構いなしにマジックの道具を無断で触ったり、雑に扱いながら、噂について真意を確かめます。
ハナはトリックを考えるのも“技術”と言うと、魔術師は「僕は奇術師ではなく、本物の魔術師だ」と答えると、ハナは試しに見せてほしいと言います。
“影”を使ったマジックは、途中で停電になり最後までできず、魔術師はハナにアイに劇場へ来るよう伝えてほしいと言います。
(C)2022 Netflix
ハナはイルドゥンにアイと魔術師の2人には、何かあるらしいと話します。そして、アイに魔術師からの伝言を伝えます。
劇場へ向かうアイの後をイルドゥンがつけていくと、アイが魔術師になぜ自分を待っているのか聞き、彼は「君が好きだから」とアイに言います。
イルドゥンはそれを聞き、自信を喪失して劇場を出ていってしまいます。
アイは魔術師がからかっているとイラ立ち、地獄のような苦しい日々で余裕もなく、早く時間が過ぎてほしいと願っていると話します。
魔術師はアイに必要なものは、悩みや気持ちを聞いてくれる人で、既読にならない母に宛てたメールのことを話し出します。
メールの内容を紙に写し出すと、スマホのメールは既読になっていきます。しかし、アイは母は死んでもういないと、魔術師に悲しみと怒りをぶつけ出ていきます。
次の日、イルドゥンはアイを呼び出して、数学のテストで負けてほしいと、お金での取引を持ちかけます。
アイは“冗談だよ”という言葉を期待しましたが、イルドゥンは本気でした。「金がいるんだろう?」といわれアイは戸惑います。
妹が修学旅行を欠席すると知ったアイは、イルドゥンの申し出を受け入れようと決め、テストを不正しお金を受け取ります。
アイはいつのまにか遊園地に来ていました。魔術師は僕に会いに来たの?と現れます。そこはアイと母の思い出の場所でもありました。
魔術師は遊園地は嫌なことを忘れさせてくれる場所だと言い、メリーゴーラウンドに乗れば、涙も止まるとアイに乗ってみるようすすめます。
機械は壊れても直すことができても、心が壊れたときは呪文の「アンナラスマナラ」を唱えれば、楽しい記憶がよみがえり“きっとうまくいく”と、思えるはずだと話します。
魔術師はアイにやりたくないことをする分だけ、自分のやりたいこともすればいいと、マジックを習いにくるようすすめました。
イルドゥンの成績は望み通り全科目で1位となり、アイは報酬をもらいます。イルドゥンは期末テストも考えておいてほしいと言います。
そして、テストだけでなく課題の手伝いもアイに持ちかけ、2人の相互扶助の関係が深まります。
行方不明になっているソ・ハユンの捜索が本格的になり、警察が学校に来たり尋ね人の幕が張られたりしました。
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アイは結局、魔術師にマジックを習いに行きます。そこで魔術師はトリックの基礎を教えますが、アイは本物の魔術と言っていた彼を心の中でバカにします。
魔術師はアイの心の内を見抜き、さらに難易度の高いマジックを見せると、アイの顔には自然な笑顔がこぼれ、それこそが“魔法”だと教えます。
その様子を隠れてみていたイルドゥンは複雑な心境になります。アイはお金のために魔術師に会っていると思い、自分には見せない笑顔を魔術師の前で見せていたからです。
アイが劇場を出ていくとイルドゥンは、不法占拠で通報するか・・・とつぶやきます。するとオウムが「イケメンがいる」としゃべりだします。
魔術師はマジックに興味があるのか聞きますが、イルドゥンは魔術師が、未成年をたぶらかしているのではないかと言います。
魔術師はイルドゥンに人のことを心配する余裕はあるのか、なぜそんなに苦しそうなのかと、肩のひっかき傷を見て言います。
イルドゥンは裕福なものだけが得られる余裕で、ホームレスのようなどん底な暮らしの魔術師には、わからないことだと罵倒します。
魔術師はイルドゥンにマジックを見せ驚かせますが、彼もまた魔術をバカにして出ていきます。オウムは「リウル大丈夫?」と声をかけました。
イルドゥンはアイに劇場へはもう行くなと忠告しますが、お金をもらっている立場だから命令するのかと反発します。
アイが次にマジックを習いに行ったとき、魔術師の名前を初めて聞きます。そして、家族がいることも知りました。
すると帰りに妊娠している女性と出会います。アイはマジックを習っていると答えましたが、気になって劇場に戻ってみます。
リウルと女性は親しそうに話し、女性が持ってきた食事を一緒に食べていました。
その後もアイはマジックを習いに出かけ、イルドゥンは後をつけていきます。ある日、イルドゥンはリウルにみつかり、アイと2人で彼のマジックを見て楽しみを共有します。
アイはイルドゥンにもうお金は受け取らないし、今までのお金も少しづつ返すと言います。イルドゥンはそのことは忘れよう、忘れてほしいと答えました。
一方、失踪事件を追う刑事たちは、尋ね人の幕の前にいたリウルの姿を捉えた防犯カメラから、リウルを不審者として調査し始めます。
そして、学校のホームページの掲示板に、イルドゥンとアイが金銭の授受をする写真が投稿され騒ぎになります。
アイは担任に事情を聞かれますが答えられず、父親を学校に連れてくるよう言います。学校はアイが父親から保護されていないことを把握していません。
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ハナとソヒは懲りずに隠しカメラを劇場に設置するため潜入します。
一方でイルドゥンは塾での成績が下がり、母親の干渉が酷くなり、イルドゥンが部屋に隠していたマジックの道具をみつけてしまいました。
アイが家に帰宅すると妹が歌をうたっています。その歌を父親が褒める声を聞き、アイは急いで中に入ります。
アイはいつまで家に居られるのかや借金のこと、聞きたいことも聞けずにいましたが、学校に来てほしいということは伝えます。
ところが翌日、父親はアイの稼いだ現金を持って、家を出ていってしまいました。アイは担任から、イルドゥンの母がアイを訴えようとしている話をします。
追い詰められたアイはイルドゥンとの取引の話しをしました。ところが翌日、緊急集会が行われ、イルドゥンは学校から“特別善行賞”という名誉を与えられます。
生活に困窮しているアイをイルドゥンが、善意で助けたことになっていました。
アイは全生徒の前で貧しい家庭である事で、同級生から情けをかけられたと惨めな立場にさせられました。
イルドゥンはアイに事実を話すよういいますが、アイは担任に話してこうなったと伝えます。
アイはリウルにマジックのレッスンを止めて、バイトの時間にあてると話しにいき、最後のお願いとして、過去の記憶を消すか、10年未来にすすめてほしいと言います。
リウルはやってみせるふりをして、アイに昔使っていたトランプをプレゼントしようとしますが、腕にケガをしているのをアイにみつけられます。
ハナはカメラを回収しに劇場へ、その動画を確認するとリウルが何者かに「僕は本物の魔術師だ」と叫びながら、ナイフを振り上げていました。
翌日、登校中のアイに警察の捜査員が、リウルらしき人物が映った防犯カメラの写真を見せ、心当たりがないか訊ねます。
学校ではハナがUSBを差し出しアイとイルドゥンに、保存してある動画を観るよう言います。
リウルの人柄に触れている2人は、信じることができません。動画も振り上げたナイフをどうしたのかまでは、録画していませんでした。
ハナは録画カメラを隠し持ち、夜更けに劇場へ行きます。リウルにそのことが知れるともみあいになり、オウムの籠を倒してしまいます。
理性を失ったリウルはハナの首を締めあげてしまいます。オウムのミニョを助けだそうとしている隙に、ハナは劇場から逃げ出しました。
イルドゥンは両親からのプレッシャーに、心が折れかかっていましたが、アイとリウルの存在でなんとか踏みとどまっています。
模試を途中退場したことで、両親と言い争ったイルドゥンは、いつの間にか劇場に来て眠っていました。
その間、街では魔術師の格好をした人物が、老女を脅して強盗を起こしていました。老女は犯人の顔は見ていませんでしたが、「あなたは魔術を信じますか?」と言ったと供述します。
学校では警察がアイに事情を聞きに来ます。コンビニの店長がリウルのことを通報したからです。
店長はリウルとアイが共謀して、崖から突き落としたと訴え、老人を脅して強盗したのも2人の共犯だといいます。
しかし、そこにイルドゥンが現れ、犯行のあった時間ならリウルは劇場にいたと証言します。
翌朝、公園をジョギングする女性が、池に浮かぶ遺体を発見します。行方不明だったハユンでした。
(C)2022 Netflix
状況証拠などからリウルへの容疑が深まっていきます。アイはリウルが心配になり劇場へ行き、地下室をみつけます。リウルはそこでミニョの看護をしていました。
まもなくして警察がやってきます。リウルはアイに何もしていないのだから、すぐに戻るミニョを頼むと、連行されて行きました。
刑事の1人がアイにリウルの素性を話します。本名はリュ・ミニョクで10年前、精神疾患で入院していましたが、病院を逃げ出し行方不明になっていました。
それ以来、子供の行方不明や事件の容疑者として、捕まっていると教えます。
アイは自分の目で見てきたことと、リウルの素性を知り、信じ切れていないのか、信じたいのか心が揺れ始めました。
アイは劇場の前で出会った女性に連絡をします。彼女は高校時代のリウルの同級生で、10年ぶりにリウルと再会したところでした。
リウルは教育関係で優秀な家庭で育ち、そのプレッシャーで精神を病み、学校の屋上から飛び降り、奇跡的に一命を取り留めていました。
家族から高校を中退したことにされ、その後は精神病院に入院させられていました。
女性はリウルのことを本当に心が純粋な人だと話し、アイもイルドゥンもその言葉を信じました。
警察ではリウルの取り調べがされていましたが、“脱出のマジック”で手錠を外し、警察を脱走します。
刑事はすぐに劇場へ向かい、リウルを包囲しますがそこにアイも駆けつけます。
リウルは刑事に短剣を向けたため、強制拘束されそうになりますが、アイが「あの時のミニョクは助けを求めていた・・・でも、誰にも聞こえなかった」と心で話し始めます。
リウルは「君はどう?疑っている?」と心で訊ねると、アイはステージに上りリウルの側に行くと、リウルは嬉しそうに天を仰ぎます。
すると天井から雪が降り始め、刑事たちは動揺します。アイはリウルに「あなたは本物の魔術師です」と伝えると、リウルはかぶっていたシルクハットをアイにプレゼントします。
そして、呪文を唱えれば、頭に思い浮かんだことがきっと叶うといいました。
アイは黒い布を取り出し、「アンナラスマナラ」と唱えながらそれをリウルにかぶせると、彼の姿はステージから消えて無くなりました。
その後もハユン殺害の捜査はつづき、廃遊園地の防犯カメラが一時的に作動していたことを突きとめます。それには店長がハユンを殺害している場面が映し出されていました。
さらに店長の自宅からは魔術師の衣装も発見され、一連の強盗、殺人、遺体遺棄が彼の仕業だと証明されます。
あれからリウルは姿を現しません。アイは大学生になり、アルバイト先でマジックを披露していました。
ドラマ『アンナラスマナラ〜魔法の旋律〜』の感想と評価、解説
(C)2022 Netflix
『アンナラスマナラ〜魔法の旋律〜』は大人の正義、大人の優しさとは何なのか?を問い、大人のずるさを未成年のアイを通し描いていました。
韓国と言えば財閥が権力を持っている社会・・・そんな、イメージがありイルドゥンの両親が言うように、成功者だけが何もかもが許される、そんな風潮が実際にあるのだと思わせます。
リウルもイルドゥンと同じような経験をしていたからこそ、彼の気持ちが手に取るようにわかり、自分の人生は自分で切り開くという意味を伝えました。
題名の「アンナラスマナラ」は、日本の魔法使いアニメでいえば、魔法使いサリーちゃんの「マハリクマハリタ」のようなものです。
リウルは「アンナラスマナラ」と唱えれば、頭の中に描いたことが叶う・・・と言いました。この魔法はディズニー映画の『メリーポピンズ』に通じる部分もあります。
メリーポピンズでは、子供でいる期間はあっという間に過ぎ、子供の大切な成長の時期を見守らず、仕事や慈善活動に勤しむ両親にそのことを気づかせる物語です。
メリーポピンズは「スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャス」という呪文を、「この呪文を唱えるだけで万事が大丈夫!」と歌います。
大人が「くだらない」と思うものにこそ、大切なことが秘められていて、それが紆余曲折ある人生の中で、必要になることを教えてくれました。
彼女は魔法を使って、子供たちに不思議な体験をさせますが、小さな発見を見逃さず、苦手なことも遊びに変える楽しみ方を教えました。
リウルの「アンナラスマナラ」は信じる強い気持ちがあれば、願いは叶うと歌っています。それは笑顔にできる魔法こそが、人生には必要になるということです。
他の誰かと比べるのではなく、自分が思い描く大人の姿と幸せを叶える呪文といえるでしょう。
リウルはどうやって魔術師になれたのでしょうか?純粋な心をもった彼が、奇跡的に一命を取り留めた時に、「魔法」を授かったのでしょうか?
リウルの誕生秘話があるのかどうか、続編で描かれることはあるのか気になってしまいます。
視聴した大人としては、主演のチ・チャンウクのチャーミングな笑顔と仕草に、彼の魅力という魔法にかかってしまい、シーズン2が今から楽しみになりました。
まとめ
(C)2022 Netflix
『アンナラスマナラ〜魔法の旋律〜』は、貧しく両親のいないアイが強くたくましく、妹を支えて生きていました。
しかし、心はまだまだ未熟で「大人」の在り方に疑問を抱きながら、「大人」にならざるをえない境遇から、魔術師リウルの魔法によって、心の鎖を解放し成長する物語でした。
若い子が観てもアラフィフが観ても、リウルの不思議な魔法にかかり、心が疲れた時に鑑賞すると、癒されることまちがいなしのドラマです。