猟奇殺人鬼ハンニバル・レクター博士を描くドラマシリーズ第3弾!
トマス・ハリスの小説『レッド・ドラゴン』を基に、優れた精神科医でもある猟奇殺人鬼ハンニバル・レクターの物語を描いたサイコスリラードラマ『ハンニバル シーズン3』。
前シーズンでのFBIとの死闘を制したハンニバル・レクターは、かつて自身を担当した精神科医ベデリア・デュ・モーリアを連れヨーロッパへ。数ヶ月後、殺害したローマン・フェル博士に成りすまし、フィレンツェのカッポーニ宮で働き始めます。
一方のウィルはレクターを追いかけて、彼の「記憶の宮殿」の玄関であるイタリア・パレルモのノルマン宮殿へ。そこの礼拝堂には、自分へ贈られた彼の芸術作品が飾ってあり………。
『ハンニバル シーズン3』のネタバレあらすじとともに、作品の魅力をご紹介します。
CONTENTS
- ドラマ『ハンニバル シーズン3』の作品情報
- ドラマ『ハンニバル シーズン3』のあらすじとネタバレ
- 第1話 Antipasto(アンティパスト)
- 第2話 Primavera(プリマヴェーラ)
- 第3話 Secondo(セコンド)
- 第4話 Aperitivo(アペリティーヴォ)
- 第5話 Contorno(コントルノ)
- 第6話 Dolce(ドルチェ)
- 第7話 Digestivo(ディジェスティーヴォ)
- 第8話 The Great Red Dragon(レッド・ドラゴン〜序章〜)
- 第9話 And the Woman Clothed with the Sun…(レッド・ドラゴン〜誕生〜)
- 第10話 And the Woman Clothed in Sun(レッド・ドラゴン〜覚醒〜)
- 第11話 …And the Beast from the Sea(レッド・ドラゴン〜葛藤〜)
- 第12話 The Number of the Beast Is 666…(レッド・ドラゴン〜暴走〜)
- 第13話 The Wrath of the Lamb(羊の怒り)
- ドラマ『ハンニバル シーズン3』の感想と評価
- まとめ
ドラマ『ハンニバル シーズン3』の作品情報
【放送】
2015年(アメリカドラマ)
【原作】
トマス・ハリス『レッド・ドラゴン』
【監督】
ヴィンチェンゾ・ナタリ、ニール・マーシャル、ギレルモ・ナヴァロ、マーク・ヨープスト、アダム・ケイン、マイケル・ライマー
【脚本】
ブライアン・フラー
【キャスト】
マッツ・ミケルセン、ヒュー・ダンシー、ローレンス・フィッシュバーン、カロリン・ダヴァーナス、スコット・トンプソン、アーロン・エイブラムス、ジリアン・アンダーソン、ジョー・アンダーソン、ラウル・エスパーザ ほか
【作品概要】
『CUBE』(1997)『イン・ザ・トール・グラス -狂気の迷路-』(2019)のヴィンチェンゾ・ナタリ、『ナイトミュージアム』(2007)のギレルモ・ナヴァロらが監督を務めたサイコスリラードラマ。
トマス・ハリスの小説『レッド・ドラゴン』を基に、優れた精神科医でもある猟奇殺人鬼ハンニバル・レクターの壮年期を描きます。
シーズン1・2に引き続き『恋する宇宙』(2009)のヒュー・ダンシーと、『007/カジノ・ロワイヤル』(2006)のマッツ・ミケルセンが主演を務めています。
ドラマ『ハンニバル シーズン3』のあらすじとネタバレ
第1話 Antipasto(アンティパスト)
FBIとの死闘を制し、人間の皮を脱いだ「チェサピークの切り裂き魔」こと殺人鬼ハンニバル・レクターは、かつて自身を担当していた精神科医べデリア・デュ・モーリアを連れてヨーロッパへと逃亡。
その数ヶ月後、フランス・パリからイタリア・フィレンツェへ向かったレクターは、ローマン・フェル博士に成りすまし、カッポーニ宮という図書館の司書として働き始めます。
イタリアの歴史や文化に精通し、フィレンツェ出身の詩人ダンテや画家のボッティチェリを愛するレクターにとって、フィレンツェでの生活はまさに恍惚とさせるものでした。
パリで本物のカッポーニ宮の司書ローマン・フェルン博士を殺害して以降、彼の芸術的な猟奇殺人が影を潜めるほどに。ところが、パリでレクターと会い、二人と同じくパリからフィレンツェにやって来たフェルン博士の元助手ディモンドに成りすましがバレてしまいます。
レクターはモーリアの目の前でディモンドの頭を強く殴り、首を折って殺害。「いつか自分も殺されるかもしれない」という、レクターの本性を知るが故の恐怖を抱える反面、モーリアは彼の行動に専門家として興味を抱いていました。
翌日。レクターは列車に揺られながら、ボルティモア州立精神障害犯罪者病院の囚人エイブル・ギデオンとの会話を思い出していました。
第2話 Primavera(プリマヴェーラ)
レクターに腹を刺され、瀕死状態となった天才犯罪プロファイラーのウィル・グレアムは、なんとか一命を取り留め意識を取り戻しました。
8ヶ月後。ウィルはレクターを追って、彼の「記憶の宮殿」の玄関であるイタリア・パレルモのノルマン宮殿に向かいます。ウィルの来訪を予測していたレクターは、心臓(ハート)に描いた死体をその礼拝堂に飾っていました。
切り裂き魔の事件と、FBIのプロファイリング法を全て調べたフィレンツェ警察の主任捜査官リナルド・パッツィは、ウィルに目をつけ声をかけます。
実は20年前にも、死体を絵画のように飾る事件がありました。トラックの荷台の上に、草花で飾られたカップルの死体が発見されたのです。
そのカップルの死体が、ボッティチェリの絵画『春(プリマヴェーラ)』の右端にいる妖精たちを再現したものだと気づいたパッツィは、その原画が展示されているウフィツィ美術館へ。
美術館には『春』を食い入るように眺め、妖精たちを鉛筆で再現している若いリトアニア人の男の姿が。その男こそが犯人であり、フィレンツェの怪物「イル・モストロ」だと確信したパッツィは、彼の自宅を家宅捜索しましたが、証拠を見つけられませんでした。
「イル・モストロ」=レクターだと知ったウィル。パッツィから彼を逮捕するために協力してほしいと頼まれますが、ウィルは「奴に手を出せば殺されてしまう」と警告。礼拝堂の地下室に潜んでいるレクターを探しに行き「ハンニバル、あなたを許すよ」と呼びかけます。
第3話 Secondo(セコンド)
パレルモから戻ったレクターは、ウィルが自分を探し当てたとモーリアに報告。ウィルが次に向かうのは、自分が容易に行けない場所=自分の故郷であると推測します。
またレクターは、イタリア人ではない自分がカッポーニ宮の新たな司書に選ばれたのを認めない、イタリア人教授のソリアートを殺害。次に夕食へ招いた夫婦に彼の肉を使った料理を食べさせ、証拠を隠滅しました。
一方でウィルは、リトアニア北東部にあるレクターが幼少期を過ごした城を訪れ、千代という彼の過去を知る人物と出会います。
千代は「妹のミーシャを殺して食べた」とレクターに言われ、牢屋にいる囚人を長年監視していました。しかしそれは、千代が囚人を殺すかどうかにレクターが興味があるからだと、ウィルは告げます。
ウィルによって自由を得た囚人は千代に襲いかかるも、返り討ちにされました。ここにいる理由がなくなった千代は、ウィルに協力することに。
ウィルのためにパレルモを訪れたFBIの行動分析課長ジャック・クロフォードは、ノルマン宮殿の礼拝堂でパッツィと合流。レクターに関する情報を共有し、彼を捕まえるには、彼のことを理解し、彼もそれを受け入れているウィルが鍵であることで意見が一致します。
一方レクターは、「ウィルを許すには、私を暴こうとした妹のように彼を食べなければ」とモーリアに話していました。
第4話 Aperitivo(アペリティーヴォ)
レクターへの復讐に燃えるボルティモア州立精神障害犯罪者病院の院長フレデリック・チルトンは、彼の被害者の中での数少ない生き残りであるメイスン・ヴァージャーを訪問。
しかし、二人の話し合いは決裂。チルトンはメイスンの他にウィルやジャック、レクターと親密な関係だったアラーナ・ブルーム博士とも彼について話をしました。
ウィルは彼の提案を拒み、一人でレクターを追いかけてイタリアへ。アラーナはメイスンの味方につくことに決めました。彼がレクターを生きたまま食べる死の舞台に、レクターを連れていくのが自分の役目だと。
ジャックは最初、ウィルとレクターのことは放っておくつもりでした。最愛の妻を亡くし、レクターからカードが届くまでは………。
第5話 Contorno(コントルノ)
フィレンツェへ向かう列車の中で、千代はレクターと過ごした幼少時代について語ります。
レクターと初めて会った時、彼には妹がいるはずだったが、彼一人だったこと。レクターとの出会いのきっかけは、行儀見習いにと両親が彼の叔母・紫夫人の元に自身を小間使いとして預けたことだったことを。
どうしてレクターがフィレンツェにいると分かるのかと尋ねる千代に対し、ウィルはボッティチェリの『春』が裏面に描かれたウフィツィ美術館のポストカードを見せます。
一方、アラーナはレクターの買い物の傾向を見つけ、彼がフィレンツェにいることを突き止めました。またジャックは、妻との思い出の地であるイタリアの川に、妻の遺灰と結婚指輪を投げ入れました。
ジャックと夕食を共にした次の日。パッツィはレクターに、行方不明となったソリアートたちについて尋ねます。対してレクターは当たり障りのない回答をしますが、帰宅してから過去にパッツィと面識があったことを思い出しました。
その後、パッツィはレクターの首に多額の懸賞金がかけられていることを知り、メイスンに彼の情報をリークしました。するとメイスンから、レクターを生け捕りにし、指紋を手に入れることが、懸賞金とその前金を受け取れる条件だと言われます。
パッツィは、拷問器具の展示会を行うレクターを訪問。1478年、フィレンツェの最高権力者であったロレンツォ・デ・メディチの暗殺を試みた先祖フランチェスコ・デ・パッツィが最期にしていた鉄製のくつわで注意をひき、彼の指紋を採取しようと試みます。
しかし、レクターの方が一枚上手でした。レクターはメイスンが自分の首に懸賞金をかけたことも、彼がメイスンに連絡したことも知っていたのです。
パッツィはレクターに捕まり、フランチェスコが処刑された時と同様、首を吊った状態で臓物を垂らして殺されました。彼を探しに来たジャックはその現場を目撃し、再びレクターと死闘を繰り広げていきます。
ドラマ『ハンニバル シーズン3』の感想と評価
シーズン2のラストにて、レクターとの戦いに敗れてしまったウィルたちFBI。
瀕死状態だった彼らが皆生きていたことにホッとしましたし、それぞれのやり方でレクターに再び挑もうとしているのがまた正義感が強くて格好良いです。
ただ、シーズン3で新たに登場したパッツィが、頼もしい協力者となってくれるかと思いきや、金に目が眩んで先祖と同じ凄惨な死を遂げてしまったこと。生き延びたと思っていたアビゲイルが実はウィルが見た幻覚で、現実世界では死んでいたことは、とてもショックです。
レクターが作る料理がサブタイトルになるほど、料理の描写が多かったシーズン1と2に比べて、シーズン3では彼が好きなイタリアの芸術に触れる描写が多く描かれています。
芸術が好きな人もそうでない人も、イタリアの街並みや文化に芸術に触れて感嘆すること間違いなし。
愛しているウィルと、嫌がらせをするほど嫌悪しているチルトンとで、明らかに接する態度が違ったレクターが、どこか人間らしさがあって面白いです。
「赤き竜」へと変身したダラハイドによる恐ろしい凶行と、ウィルたちFBIとレクターの最終決戦、そして千代やパッツィの回想シーンで描かれたレクターの過去が本作の見どころとなっています。
まとめ
「チェサピークの切り裂き魔」「イル・モストロ」という異名を持つ食人鬼ハンニバル・レクターと、天才犯罪プロファイラーのウィル・グレアムとFBIによる長きにわたる戦いが、誰も予想だにしていなかった形で終止符が打たれたシーズン3。
ウィル、レクター、ダラハイドによる壮絶な死闘の裏で、アラーナが妻マーゴと息子と一緒にレクターの魔の手から逃れようとする姿や、レクターが殺しに来るのを待っているモーリアの姿が描かれていました。
しかもモーリアは、自分の片足を切断し、料理して食べようとしていたのがとても不気味で衝撃を受けます。そんなシーズン3をもって、ドラマ「ハンニバル」シリーズは終わりました。
ともに人を殺したことで完全なる「精神の同化」を果たしたウィルとレクターが、一緒に暗い海に姿を消していくラストは予想外でしたが、これはこれで2人らしい終わり方だなと感じます。