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映画『セブン』ネタバレ考察と評価感想。衝撃的なラスト結末は名作か胸糞か⁈凄惨な殺人に抗う刑事たちの人物描写

  • Writer :
  • 中西翼

デヴィッド・フィンチャー監督×ブラッド・ピットのサスペンス映画

映画『セブン』は、『エイリアン3』(1992)や『ファイト・クラブ』(1999)を手掛け、『ソーシャル・ネットワーク』(2010)ではゴールデングローブ賞など、数多の監督賞を受賞したデヴィッド・フィンチャーが監督を手掛けた作品。

キリスト教において人間が背負う全ての罪の根源と考えられる「七つの大罪」。それをモチーフにして、暴食や強欲に満ちた罪人の殺害を繰り返す犯人を追う主役に、ブラッド・ピット、モーガン・フリーマンを迎えたサイコ・サスペンス映画。

犯人の異常な殺人描写や、救いのない物語が人気の映画『セブン』を紹介します。

映画『セブン』の作品情報

(c)NEW LINE CINEMA

【公開】
1995年(アメリカ映画)

【原題】
Seven

【監督】
デヴィッド・フィンチャー

【キャスト】
ブラッド・ピット、モーガン・フリーマン、グウィネス・パルトロー、リチャード・ラウンドトゥリー、リチャード・シフ、ケビン・スペイシー、ジョン・C・マッギンレー、ダニエル・ザカパ

【作品概要】
キリスト教において人間が背負う全ての罪の根源と考えられる「七つの大罪」をモチーフに、儀式殺人を繰り返す犯人を、新米の刑事と引退間際の刑事2人が追う、サイコ・サスペンス映画。

主役は、『それでも夜は明ける』(2013)や『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(2019)で、多くの賞を受賞した、ブラッド・ピット。また、『ショーシャンクの空に』(1994)のモーガン・フリーマン、『恋におちたシェイクスピア』(1998)のグウィネス・パルトローが脇を固めています。


映画『セブン』のあらすじとネタバレ


(C)NEW LINE CINEMA

ベテラン刑事のサマセットは、刑事の引退を目前に控えていました。サマセットは、夫婦間の殺人事件の現場におり、子供が殺害を見ていないと、心配していました。

そこに、正義感溢れる新人刑事のミルズが現れます。ミルズは、刑事として世の中を良くすることに燃えており、引退した後のサマセットの代わりとして、異動してきました。

雨の日、殺害現場が発見されました。そこには、スパゲッティに顔を突っ込んだ死体がありました。その死体は、身体がいっぱいになるまで、食べ物で膨れ上がっていました。手足は縛られ、食べ物は散乱していました。

検死によると、12時間連続で食べ物を摂取し続け、満タンになったときに内臓蹴られ、破裂したことによって、被害者は死亡したということです。

サマセットは、連続殺人である可能性から、引退が伸びることを考慮し、担当の交代を申し出ます。しかし、経験の少ないミルズだけには任せられず、ミルズとサマセットの2人で、事件を追います。

殺害現場が発見されました。そこの壁には”GREED”という文字が書かれています。被害者は弁護士であり、依頼費に大金を請求することで有名でした。彼は腹の肉を切り取ろうとし死亡しました。

太った男の殺害現場で、サマセットはミルトンの『失楽園』の一節が書かれたメモを発見します。

そして”GLUTTONY”の文字から、「七つの大罪」になぞられた連続殺人事件だと推理します。サマセットは事件解決のため、『カンタベリー物語』と『神曲』の知見を深めることを、ミルズにアドバイスします。

GREEDの家で、”助けて”というメッセージを発見します。その文字から、指紋を検出し、ある男の存在を突き止めました。

以下、『セブン』ネタバレ・結末の記載がございます。『セブン』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

(C)NEW LINE CINEMA

ミルズは、指紋の主の家へと突入します。そこにいた男は、干からびて死んでしまいそうでした。検出された指紋は、その男の指をちぎって使用されたものでした。

そして、”SLOTH”の文字が残されていました。そんな中、ミルズの妻トレイシーはサマセットに相談をします。妊娠したミルズの子供を産むべきかどうか、トレイシーは悩んでいました。

サマセットはかつて、恋人を妊娠させたことがありました。しかし刑事として、人間の恐ろしい一面を目の当たりにし、恋人に中絶を強要しました。

ミルズは後悔はしていませんでした。しかしながら、産まれていた場合の未来を考えてもいました。

ミルズとサマセットは、違法の手段で情報を入手しました。そして突き止めた、ジョン・ドゥに聞き込み調査へと向かいます。

仮にジョン・ドゥが犯人でも、証拠が不十分であり、逮捕はできません。

しかし、そこに現れた男は、ミルズ達に気付くやいなや、発砲します。ミルズは後を追いますが、犯人に返り討ちに遭ってしまいます。

ジョン・ドゥから電話がありました。彼は2人に対して敬意を表すとともに、計画の変更を知らせます。

新たな事件が起きました。凶器を腰に取り付けたままの性行為で、娼婦は死亡し、現場には”LUST”の文字がありました。

また、別の殺害現場には、”PRIDE”の文字と、顔を引き裂かれて殺されたモデルの女性がいました。顔はボロボロでしたが、救急車を呼べば、命だけは助かったはずの状態でした。

しかしモデルの女性は、醜い姿で生きて続けることを選びはしませんでした。

残すは2つの罪。事件の捜査を進めていたミルズとサマセットの前に突然、血まみれのジョン・ドゥが姿を見せました。

ミルズとサマセットに、既に殺した2人の遺体の場所を教え、罪を認めると言い出します。2人はジョン・ドゥを車に乗せ、遺体の元へと向かいます。

サマセットはミルズより先に、箱の中身を確認します。ジョン・ドゥはミルズの妻を殺害したと言い放ちます。

ジョン・ドゥは幸福なミルズに嫉妬し、”ENVY”の罪を犯しました。ミルズは、ジョン・ドゥに怒り、銃口を突きつけます。

トレイシーの妊娠をジョン・ドゥは知らせます。ミルズは怒りに震え、ジョン・ドゥを撃ち殺しました。ミルズの”WRATH”によって、ジョン・ドゥが計画した「七つの大罪」は完成しました。

映画『セブン』の感想と評価


(C)NEW LINE CINEMA

映画『セブン』は、サイコパスの殺人鬼が行った儀式殺人を、非常におぞましく、暗い世界観と結末で描いており、その完成度の高さが高い評価を得ています。

「七つの大罪」の被害者のショッキングなビジュアルは、目を覆いたくなるものばかりです。けれども、人物の背景描写は精巧に作り込まれ、優れています。

主人公のサマセットやミルズの話すこと、その行動一つ一つから、これまでの人生や考え方が見えてくるのです。

ミルズは正義感に溢れており、世の中を是正するため、刑事になりました。世界は希望で成り立っており、卑劣な存在は、いつか淘汰されると考えています。

サマセットとの会話から、ジョン・ドゥを悪魔だと揶揄しており、人間の凶悪性を受け入れていません。

そんなミルズに対し、サマセットは別の立場にいます。子供を中絶し、人間の凶悪さに絶望し、諦めの域にまで達していました。

凄惨な殺人や事件で溢れ返っているにも関わらず、世の中はその事実から目を背けています。実際、血まみれで公共の場に立っているジョン・ドゥを、大衆は無視して歩いているのですから。

異様な光景なのですが、サマセットが考え諦めた通り、世の中は残酷なものです。

しかしサマセットは、ミルズと出会ったことで、少しではありますが考えが変わりました。信念を持って、抗う姿に、希望を見出したのです。

「この世は素晴らしい。戦う価値がある」サマセットは、後半の部分に賛成しています。逆に、「この世は素晴らしい」という前半の部分には賛成していません。

世の中を諦めていたサマセットが戦う価値を見出したのは、若く情熱的なミルズの影響でした。

すなわち、不条理やそれを無視する世の中に抗う勇気こそが大事だということです。

まとめ


(c)NEW LINE CINEMA

キリスト教において人が背負う全ての罪とされる「七つの大罪」をモチーフに行われる残酷で無慈悲な殺人。そして、犯人を追う2人の刑事を描いた本作品『セブン』

数々の名作を生んだデヴィッド・フィンチャーの代表作と賞されるだけあって、非常に精巧で、素晴らしい物語です。

ブラッド・ピットやモーガン・フリーマンの鬼気迫る演技もまた、非の打ち所がありません。

ミルズが殺されたと判明するシーンの、希望を打ち砕かれ、絶望に歪んでいく表情……。この特に憑依したような演技力は、ブラッドピットが世界でも秀逸の役者であることを証明したといえます。

デヴィッド監督が描く本作品は、サイコな殺人、悲惨な結末から、観る者よって名作や胸糞映画と意見が分かれますが、ラストのヘミングウェイからの一節からは、わずかな希望を感じ取ることができます。

本作品『セブン』のラスト描写は、“人には理解されにくい結末”かもしれませんが、だからこそ、今もなお多くの映画ファンを悪魔的に魅了しているのでしょう。



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