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映画『あのバスを止めろ』あらすじネタバレと感想。ラストの結末も

  • Writer :
  • 福山京子

二転三転のクライム・サスペンスの快作『あのバスを止めろ』

あのドキドキハラハラのスリリングムービーが、イタリアの風に乗って再びやってきました!

主人公は哲学の学位を持つインテリ崩れのダメ男。

美人泥棒にまんまと騙され、翻弄されているうちに、野獣型と冷血猟奇型の2人組やシークレットサービスに追われ、巨漢の借金取りにも追いかけられます。

イタリア映画ならではのキャラが光る登場人物を多く配し、走っては逃げ、バスに乗っては逃げての遁走劇を繰り広げるクライムムービーです。

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映画『あのバスを止めろ』の作品情報

(C)Emme srl / Rai Cinema
【公開】
2007年(イタリア映画)

【原題】
Notturno bus

【監督】
ダヴィデ・マレンゴ

【脚本】
ジャンピエロ・リゴシ

【キャスト】
ジョヴァンナ・メッツォジョルノ、ヴァレリオ・マスタンドレア、エンニオ・ファンタスティキーニ、アナ・ロマントウスカ、ロベルト・シトラン、フランチェスコ・パノフィーノ、イヴァン・フラネク、イアイア・フォルテ、マルチェロ・マッツァレッラ

【作品概要】
『愛の勝利を ムッソリーニを愛した女』のジョヴァンナ・メッツォジョルノと、『甘き人生』のヴァレリオ・マスタンドレアというイタリア映画界トップスターが夢の共演を果たしたノワール(裏社会の犯罪映画)の王道サスペンスです。

映画『あのバスを止めろ』のあらすじとネタバレ

(C)Emme srl / Rai Cinema

携帯電話の音が鳴り響きます。

駐車場の床が薄暗く映り、排水溝に血が拡がっています。

電話の音が遠退いていきます…。

「危ないブツらしい、お前に頼んでもいいか」

一人の男がバーのカウンターに座って、バーテンダーにマイクロチップを渡します。

バーテンダーは頷いた途端、男に拳銃を向けて撃ちます。

駅でバーテンダーが座っていました。

ある男が去った後、同じ場所にバーテンダーが座り、椅子の下に引っ付けられている鍵を取ると、すぐにロッカーに向かいました。

開けてなにやら確認をした後、そのままバーテンダーは鍵を持って帰ります。

近くでバーテンダーの姿を刑事のような中年男が追っています。

ある日、パブで踊っているバーテンダーに、周りが振り返るような美しい女が近づいてきます。

「今日は重要な仕事があって…」バーテンダーは誘いを断ろうとしますが、女の誘惑に負け女の指定するホテルに行きます。

「事情が変わった。3時間後に取引だ」バーテンダーは外で電話をかけ、女の元へ向かいます。

(C)Emme srl / Rai Cinema

外には車に乗ったあの中年男が待っています。

中年男に電話がかかってきます。

「ボス分かっています。取り返します」

部屋で、女がバーテンダーをベッドに誘っています。

男が服を脱いで女の服を脱がそうとするその時、男の視界が朦朧とします。

「ワインに何か入れたのか」

間も無く男は眠りに落ち、女は財布とパスポートを奪って逃げようとした時、ロッカーの鍵を見つけ鍵も持って逃げます。

更に外に怪しい2人の男が現れます。

一人は髭面の男ともう一人は神経質そうな表情の男。

「バーテンダーがマイクロチップを持っている、間違いない」

髭面の男に電話がかかってきます。

中年男のボスと敵対している側からの電話で、催促されているようです。

2人は部屋に乗り込みます。

そこには、睡眠薬で寝かされたバーテンダーと金目のものを全て奪われ散らかされた跡がありました。

「女はどこに行った?マイクロチップは?」

髭面の男が、バーテンダーを起こして怒鳴ります。

「知っていることを全部吐け、どうなるかわかってるだろうな」

神経質そうな男は、透明の手袋を嵌め、手術道具を拡げメスのようなものを持っています。

拷問の末バーテンダーは生き絶えます。

二人は、女の残したカバンの中を探ります。

その頃女は駅のロッカーに向かい、大金の入ったケースを車に運びます。

あの不審な男が後をつけています。

女が家に帰ると家の鍵が見当たらず、さっきのホテルに置き忘れたことを思い出します。

急いでホテルに戻ると、奥の部屋に2人の男がいることに気づき、鍵をそっと拾ってベランダからヒールを脱いで裸足で逃げていきます。

女が逃げていく姿を見つけ、二人の男が追いかけます。

夜の街を裸足で駆ける女は、スタートしようとするバスに飛び乗ります。

二人の男は彼女を見失います。

不審な中年男は見守っています。

(C)Emme srl / Rai Cinema

バスに飛び乗った女は、着の身着のまま逃げてきたので裸足で傷だらけでした。

運転手のフランツは、後部座席の痛々しい美しい女性をバックミラーで見ながら、運転を続けています。

「帰るところがないの、元カレに暴力を振るわれて逃げてきたの。あなたの家に泊めて」

彼女は、アレッサンドラと名乗りました。

フランツの家に入ると、たくさんの哲学書があり、アレッサンドラは手にとって見ながらもシャワーを浴びに行きます。

「変装してたの?」

フランツが問うと、アレッサンドラはカツラを外しカラーコンタクトや濃い化粧を取り、全く違う女性に変わりました。

「そのTシャツ、会社でもらったんだ」と恥ずかしそうに話すフランツ。

アレッサンドラに貸したTシャツには、『I♡BUS』と書かれてありました。

奇妙な出会いをした二人の物語が始まります。

以下、『あのバスを止めろ』ネタバレ・結末の記載がございます。『あのバスを止めろ』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

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朝起きると、ベッドにアレッサンドラの姿がありません。

フランツは、嫌な予感がして鞄の中を確かめます。

財布からお金が抜き取られてあり、呆然とするフランツ。

そこに借金取りの巨漢のティティが現れます。

思いっきり脅され、一発殴られた後に「明日まで待ってやる!」と言って去っていきました。

フランツはポーカーの賭けで友人のティティに高額の借金をしており、毎日のようにひつこく追い回されていました。

一方アレッサンドラは、ロッカーの鍵を開けてお金のケースを取りました。

髭面の男は、家で妻とやり合っています。

「父親なんだから、娘になんとか言ってよ!」

「売れない画家のくせに妻子もいて、俺は絶対に許さん!」

アレッサンドラは、不審な男に捕まり、車で取引をしています。

「知っていることを全部話してくれ。その細い腕を一本折ることになるぞ」

アレッサンドラは知っていることを全て話しました。

「マイクロチップは知らないわ。本当に見ていないのよ」

車内で二人に沈黙が走ります。

「お前にそっくりの女性を知っている」そう言って男は、アレッサンドラを逃がしました。

フランツの家に戻るアレッサンドラ。

「逃げたと思ったの?食べ物を買いに行ってたの。だからお金を借りたの」

そこに、あの殺し屋2人組がやってきます。

「本当の名前はレイナ。お前を全て調べたぞ。父親は強盗、3歳の時に父親と強盗をして逮捕。今はパスポートを盗んで偽造する輩に売りさばく悪女」

レイナは捕まり、マイクロチップの在り処を聞かれます。

「言わないとどうなるか、バーテンダーを見ただろ?」横で神経質そうな男が手術道具を再び拡げています。

その時借金取りのティティがやってきて、その隙に二人は逃げます。

髭面男に電話がかかります。

家からの着信メロディ「娘が画家の家に行ってしまった、あなたが言ったことが火に油を注いだのよ!」

悔しがる髭男。

フランツとレイナは、バスターミナルに向かいバスに乗り込みます。

「こんな時間に勤務?」同僚が不思議そうに見送る中、後ろから髭男の運転でバスが走ります。

夜の街をカーチェイスならぬバスチェイスが繰り広げられます。

花屋に駆け込む二人、店主は盗んだパスポートをレイナから買っていました。

パスポートの数を数えるレイナは、バーテンダーの証明写真の裏にマイクロチップを見つけました。

逃げ惑うフランツとレイナを、見守り続けていた不審な男が助けます。

「マイクロチップを渡してくれ。200万ユーロ渡す。それで2人で外国に逃げられる」

レイナはマイクロチップを渡しました。

「ボス、マイクチップを手に入れました」男は電話で報告しています。

ボスとは大統領のことであり、マイクロチップは相手国と有利に交渉するための大切な情報源でした。

不審な男は元刑事で、いまは大統領付きのシークレットサービスの一人として働いていました。

ボスが報酬をいくら欲しいか尋ねると、彼は400万ユーロと答えました。

レイナとよく似た、やり直したい昔の彼女と高飛びする計画を練っていました。

空港で手続きをするレイナは、フランツを待っていました。

フランツは最後に返したいお金をゴミ箱に隠し、ティティに電話をしていました。

背後にあの神経質男が立っていました。

「チップのある所に連れて行け」

フランツはお金を隠したゴミ箱の所に連れて行き、男が前傾姿勢になった隙に思いっきり近くの金属製のボックスで男の頭を殴りました。

走って待ち合わせの場所に行くと搭乗が始まっており、フランツは愕然として立ち竦みました。

空港の駐車場で、元刑事は昔の彼女を待っていました。

そこに髭面男が現れ、元刑事は銃を構えました。

その時大統領からの電話が鳴り、視線を外した瞬間元刑事は撃たれて倒れました。

「先生が教えてくれたんだぜ、銃を撃つ時に喋るなって」

大統領の電話が聞こえています。

「相手の国と和解できたから、マイクロチップがもう必要なくなった。この仕事はこれで終わりにしてくれ」

髭面男にも着信音が鳴り電話を取ろうとした時、元刑事が虫の息で銃を打ち、撃たれます。

二人の血が駐車場の排水溝に流れて行きます。

空港でフランツの元にレイナがやってきます。

「探したのよ」「でも一人で乗ったんだろ?」

搭乗時間も過ぎており、仕方なく200万ユーロの入っているバッグを引き取りにいきます。

そこに刑事が荷物を取りに来るレイナ達を待ち構えていました。

二人は諦めて再びバスに乗り込みます。

そのバスの運転手は笑顔のティティで、お金のバッグも置いてありました。

バスは、前に進んでいきます。

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映画『あのバスを止めろ』の感想と評価

(C)Emme srl / Rai Cinema

謎だらけの映画に役者の演技が光る

冒頭の血が排水溝に流れるシーンが、どこに繋がるのか全くわからないまま物語が展開していきます。

ヤバいブツがマイクロチップということは分かっているけど、なぜ?何の情報?

一見マラドーナ(若い方にはイメージできないかもしれませんが)のような髭面男が大声でまくし立てる中、あの手術道具を拡げ透明の手袋をする猟奇的な殺人鬼の二人組、明らかにプロの殺し屋。

なのに、時々奥さんから娘のことで電話がかかってくる時が本当にタイミングが悪く。恐怖で固まる中でも、つい吹き出してしまいます。

そしていつも遠くからレイナを見守るような謎の男。後半に入って彼の素性がだんだん明らかになってきますが、それでも多くの謎を残します。

元刑事ってどういうこと?

ボスが大統領、どこの大統領で相手は誰?

何の交渉?昔の彼女って?

しかもあの殺人鬼二人組に「先生」と呼ばれています。

そんな謎を一つ一つ解こうと映画の端々を観ながら、レイナ役のジョヴァンナ・メッツォジョルノの美しさに見惚れているとますます物語の謎にハマっていきます。

レイナの美しさと行動力に振り回されるフランツことヴァレリオ・マスタンドレアも、本当にダメダメ男の役になりきっています。

後半にレイナのために、殺人鬼に向かっていく姿は正義のヒーローのようにカッコ良く、この二人は幸せになる予感を感じさせます。

登場人物のそれぞれキャラクターがバラエティーに富み、クライムサスペンスということを途中から忘れさせてくれるような幸せな気分になります。

まとめ

(C)Emme srl / Rai Cinema
この映画では、本当に登場人物のいろんな個性がぶつかり合って、喜怒哀楽がギュッと詰まっている不思議な展開を目の当たりにします。

それでいて哀しさや切なさを笑い飛ばすエネルギーを与えてくれます。

日頃思っていることや感じていることを心に閉まっている自分を解放させてくれるような瞬間に出会えます

フランツのように、あなたのレイナに会いに行きませんか?

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