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Entry 2021/01/29
Update

マスカレード・ナイト|映画原作ネタバレと小説あらすじの結末感想。事件と真犯人は“仮面”に隠された意外な楽しみ

  • Writer :
  • 星野しげみ

東野圭吾の「マスカレード」シリーズ映画化第二弾は『マスカレード・ナイト』

東野圭吾の小説『マスカレード・ナイト』が映画化され、2021年9月17日(金)公開予定

前作『マスカレード・ホテル』に続き、鈴木雅之監督が手掛け、木村拓哉と長澤まさみが主演します。

ホテル・コルテシア東京のカウントダウン・パーティに殺人犯人が現れるという密告状が警視庁に届いたことから、再び刑事とホテルコンシェルジュが再会して捜査にのぞみます。

大晦日をホテルで過ごす人々のラブロマンスや諸事情、相談事に対応するコンシェルジュの苦労話をはじめ、ロマンティックな仮面舞踏会というイベントも興味深い作品です。

木村拓哉と長澤まさみのコンビの活躍と「マスカレード・ナイト」の雰囲気が楽しめます。

小説『マスカレード・ナイト』の主な登場人物

新田浩介(にったこうすけ)
スラリとした長身の帰国子女。頭脳明晰、語学堪能で警視庁刑事という感じではありません。若干、目つきは普通の人よりも悪いかも知れません。

山岸尚美(やまぎしなおみ)
ホテルのコンシェルジュを務める女性。徹底したプロ意識を持つ、ホテルの何でも相談室の総支配人。

和泉春菜(いずみはるな)
新田たちの捜査対象の事件の被害者。一人暮らし。自宅で死体となって発見されます。

日下部篤哉(くさかべとくや)
ホテルの泊り客。ロイヤルスイートの客ですが、プロポーズのセッティングや宿泊客(仲根緑)と接点を持ちたいなどと、難題を尚美に申し出る。

仲根緑(なかねみどり)
ホテルの泊まり客。コーナースイートに宿泊。尚美にバースデイケーキの模型を作って欲しいと相談する。日下部が一目ぼれした女性。

浦辺幹夫(うらべみきお)
ホテルの泊まり客。スタンダードツイン宿泊。進学塾経営、大きなゴルフバッグを持って泊まりに来る。

曽野昌明(そのまさあき)
ホテルの泊り客。デラックスツイン宿泊。中小企業診断士の資格を持つ男。妻・万智子(まちこ)と中学生の子供・英太を連れて、12月30日に一家そろって宿泊する。

小説『マスカレード・ナイト』のあらすじとネタバレ

小説『マスカレード・ナイト』書影

東京・練馬のマンションの一室で若い女性・和泉春奈28歳の他殺死体が発見されました。匿名通報ダイヤルという匿名で通報するシステムからの連絡でした。

春奈の死因は《感電死》。しかも被害者は、恋人の影も見えないのに妊娠していました。

被害者の春奈は、過去のトラウマから男性が苦手であり、部屋には趣味じゃないロリータ服があったといった情報が提示されますが、なかなか犯人は見つかりません。

そのうちにホテル・コルテシア東京のカウントダウン・パーティに犯人が現れるという密告状が警視庁に届きました。

刑事・新田浩介は潜入捜査のため、数年前と同じくホテルマンに変装して、ホテル・コルテシア東京のフロントに立ちます。

一方、数年前に新田にホテルマンのノウハウを教えた山岸尚美はコンシェルジュに抜擢され、ホテル・コルテシア東京で、毎日忙しく働いていました。

アメリカ帰りのビジネスマン・日下部篤哉はコンシェルジュである尚美に「今夜ディナーに誘った彼女へのプロポーズの演出に協力してほしい」と言い、レストランを貸し切りにしてほしい、バラで飾られた道を用意してほしいなどの要望を出します。

完璧にセッティングを考案した尚美でしたが、そこへ相手の女性である狩野妙子から「うまくプロポーズを断る方法を考えてほしい」と依頼されます。

尚美は日下部の演出プランを変更することを思いつきます。2人が退室する花道に飾る花を、バラからスイートピーに変更したのです。バラの花言葉は「愛情」。一方、スイートピーの花言葉は「門出」。

尚美が『二人の人生の新しい門出』を演出したことで、妙子の真摯な気持ちは十分に伝わり、日下部は妙子の選択をありのままに受け入れることができました。

また別の泊り客、仲根緑は「仲根」で予約しますが、クレジットカードの名義がちがうこと、同じ部屋に「仲根伸一郎」と宿泊しているはずなのに、緑以外に客室を出入りした人間がいないことから、新田たちの捜査線上に、怪しい人物として浮かびます。

そこへ妙子に振られた日下部が、緑に一目ぼれしたから、彼女と2人きりで会う時間を作って欲しいと、またしても尚美に難題を持ち掛けます。

尚美は緑にサプライズを仕掛ける“あしながおじさん作戦”を取り入れて、緑と日下部を会わせることに成功しました。

緑が語ったことによると、仲根伸一郎は故人でした。緑は亡き恋人と来るはずだったホテルに、一人で宿泊していたのです。

食事を2人分注文し、「仲根緑」という予約名も故人を偲んでのことでした。気持ちに整理がついたのか、緑は予定を早めて(カウントダウン・パーティの前に)チェックアウトしました。

別の泊り客、曽根昌明の場合もまた変です。ホテル・コルテシア東京の常連客のはずですが、普段は平日の夕方に不倫相手と密会するためのデイユース(休憩)利用でした。

ところが、今回の曽野は家族連れ。中学生になる息子を含めて3名での宿泊でした。偶然か、故意か、曽野の不倫相手である貝塚由里もまたホテル・コルテシア東京に宿泊していました。

由里は曽野の妻の友人であり、ばったり鉢合わせたことから一緒に食事をすることもあり、曽野にとっては居心地の悪い、針の筵のような時間が続きます。

そのうちに、曽野は急用が入ったらしく、妻と子と不倫相手を残して(カウントダウン・パーティの前に)早めにチェックアウトしました。

浦辺幹夫は男性一人での宿泊客。申告した地方の住所とは異なる、都内の住所から発送した自分あての荷物が届くという不審な出来事が新田の目に留まります。

しかし、ホテルマンに話を聞いてみると発送元は古本街であり、ホテルでのんびり読書するためだったのかと納得します。ですが、本部捜査で浦辺は和泉春菜殺人事件の関係者だったことが判明します。

被害者である和泉春菜と男女関係にあったのですが、浦辺は被害者のマンションで出入りを目撃されていた男とは風貌が全く異なっていました。

これによって、和泉春菜の二股が判明し、浦辺がホテル・コルテシア東京に宿泊していたのは、《何者か》に脅されて指示通りに動いていたのではないかと推理できました。

カウントダウン・パーティ、通称「マスカレード・ナイト」まで残りわずかとなりましたが、まだ犯人が誰なのか新田たちもさっぱりわかっていません。

一方、日下部をふった妙子の名刺を調べた尚美は、名刺情報が嘘であることに気がつきます。そしてあの花の道イベントで別れたはずの2人が次の日にカフェで会っていた事もわかりました。不審な行動に尚美も彼らが事件の関係者かと、疑いはじめます。

その頃、新田たちは密告者が犯人を脅して金を巻き上げるつもりなのではないかと推定します。

そうすると、密告者が犯人の正体を明かさない理由に説明がつき、犯人は金の受け渡しを浦辺に代理でさせようとしているのではないかという結論に辿り着きました。

そこで、新田たち警視庁捜査一課は、パーティ中は浦辺を徹底的に監視することにしました。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『マスカレード・ナイト』ネタバレ・結末の記載がございます。『マスカレード・ナイト』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

12月31日、午後11時。ついに、パーティ「マスカレード・ナイト」が始まりました。

参加者は400人以上で、しかも全員が仮面や仮装で顔を隠しています。新田たち警察チームは、事前の打ち合わせ通り浦辺幹夫を監視し始めました。

「犯人」らしき人物から電話で指示を受けて、浦辺はバッグを移動させたり、誰かに向けて合図を送ったりするのですが……。その様子を見て、新田は「待てよ、俺たちは操られているんじゃないか?」と思い始めます。

一方その頃、コンシェルジュの仕事の一環でチャペルの様子を見に来た尚美は、そこで何者かに襲われました。わけがわからないうちに殴り倒され、拘束されてしまいます。

犯人は尚美の胸と腹に電気コードをとりつけて、タイマーをセットしました。

そして一言「カウントダウン」!

年越しのカウントダウンがゼロになり、新年を迎えた瞬間にタイマーが起動するに違いありません。尚美はすぐに気づきましたが、拘束されているため手も足も出ません。

残された時間はわずか10分。暗がりで見えませんが、尚美のそばには、犯人のターゲットらしき人物が転がされているようでした。

一方、新田はフロアの外の階段の方からホテル従業員の服を着た男がトイレで着替える現場を発見。トイレから出て来たマイケル・ジャクソンの仮面をつけた不審者を足止めします。

そうこうしているうちに、カウントダウンが始まりました。カウントダウン終了後、仮装していた宿泊客たちが一斉に仮面を外します。

新田はやや強引に不審者の仮面・マイケルジャクソンをはぎ取りました。仮面の下にあったのはまったく知らない男の顔! しかし、新田は自分の仮面を相手の額に当てます。

「あなたの目と口しか見えなくなる。すると不思議なことに、あの化粧が頭に浮かんでくるんです。目元に施された派手なメイクが。仲根緑さんの顔が」。

相手は冷笑と呼べるものを浮かべました。「カウントダウンはゼロになった。私の勝ちだ」

ですが、カウントダウンまでに助けられなかった尚美ともう一人はちゃんと無事でした。犯人は尚美の時計に合わせてタイマーをセットしていたのですが、尚美の時計が遅れていたのです。

犯人は警察に逮捕されました。後の捜査で、春奈殺しの犯人である仲根緑は、森沢光留(もりさわひかる)という男性であることが判明しました。

光留は裕福な医者家系に生まれたお坊ちゃまで、肩書きは神経科クリニックの院長先生です。

森沢には双子の仲の良い妹がいました。ある日、妹はレイプされ心の傷を負って自殺します。この出来事がトラウマとなり、森沢は男性でありながら男性を憎むようになったのです。

森沢は亡き妹の影を求めて、妹に似ている男性恐怖症の女性を狙うようになりました。そしてほとんど洗脳に近いやり方でターゲットの心を支配し、かつて妹が着ていたロリータファッションをさせたりしていました。

彼女たちが他の男性と恋に落ちると、森沢は怒り「妹の身代わり」にした女性を何人も手にかけてきたのです。感電という手口を好んだのは、せめて遺体を美しく保つため、そして苦痛を与えないためでした。

和泉春菜の場合は、浦辺幹夫、実は本名内山幹夫が恋の相手でした。お腹の子どもの父親は浦辺幹夫であり、和泉春菜は妊娠を心から喜んでいたといいます。

さらに捜査がすすみ、和泉春菜の遺体を最初に発見したのは曽野の中学生の息子曽野英太だとわかります。

父親のカメラを使って、近くの部屋の春奈を覗いていた英太は、ある日春奈が何日も同じ格好で横たわっていることに気がつきました。不安に耐えかねて母親に告げます。

匿名通報ダイヤルで通報し、警察に密告状を送ったのは、英太から事情を聴いた曽野万智子(曽野の妻)でした。

万智子は、森沢を脅して一億円もの金を手に入れようと計画します。共犯者として親友の貝塚由里を引き込み、準備は万端。当初の計画では、金だけ奪ったらあとは警察に森沢を逮捕させるつもりでした。

ところが、万智子は由里と夫が不倫関係にあることに気がつき、由里を殺すように森沢に頼みます。森沢は万智子の提案に乗りました。

森沢は「別に一億円払ってもよかった」と供述します。にもかかわらず、森沢はわざわざ危険を承知で貝塚由里を始末しようとしました。それは、警察への復讐を森沢は考えていたからです。

レイプという辱めを受けた妹をさらに侮辱するような言葉を浴びせた当時の担当刑事と、犯人を見つけられない警察への恨みを晴らそうとしたのです。

殺人犯を捕まえるために万全の体制を敷いた警察の捜査網をかいくぐって殺人事件が起これば、警察の権威は失墜し、世間から非難され、笑いものになるだろう。これほど痛快なことはないと思い、万智子の計画に乗ったと言うのです。

こうして森沢の逮捕と供述によって、事件は幕を下ろしました。

それからしばらくして、尚美がロサンゼルスの系列ホテルに栄転することになったので、新田がホテルに泊まりに来ました。

実はお騒がせビジネスマンの日下部は、ホテル・コルテシアの北米人事部長であり、尚美が優秀な人材かどうかをチェックしていたのです。

最初のプロポーズも、その後の一目惚れうんぬんも、尚美が無理難題にどう対応するか確かめるためのテストでした。もちろん狩野妙子もコルテシアのスタッフだったのです。

無事にホテル内で再会を果たした新田と尚美は握手します。

「ロサンゼルスでも、がんばってきてください」「新田さんも、お身体にお気をつけて」

手を離し、新田は歩き出したが、すぐに立ち止まって振り向きました。

「明日、一緒に食事する店の手配をお願いします。ゆっくりと話せる店がいい」「かしこまりました」。山岸尚美は自信に溢れた表情で言いました。

「どうぞ、ごゆっくりお寛ぎくださいませ」

新田は軽く手を上げて応え、大股でエレベーターホールに向かいました。

小説『マスカレード・ナイト』の感想と評価

『マスカレード・ナイト』は、人気作家東野圭吾のホテルを舞台にした事件を追うミステリー小説「マスカレード」シリーズの3作目。

1作目の『マスカレード・ホテル』は、2019年に木村拓哉・長澤まさみ主演で映画化されました。『マスカレード・ナイト』も2021年9月17日(金)に映画公開されます。

敏腕刑事とコンシェルジュの微妙な関係

1作目の『マスカレード・ホテル』で鮮烈な印象を残した名コンビ、新田刑事とコンシェルジュの山岸尚美。

宿泊客の身許を調べて捜査を進める刑事たちと、宿泊客の個人情報を守りたいホテル側の山岸尚美とは、意見が対立することもありました。

2作目の『マスカレード・イブ』そして3作目の『マスカレード・ナイト』でも、つかず離れずの距離がずっと続きます。お互いを憎からず思っているのになかなか縮まらない2人の関係。じれったい想いをしながらも、その先はどうなるのか、と期待が募ります。

宿泊客の難問と豪華なイベント

ホテルコンシェルジュは、ホテルに宿泊するお客様の個人的な秘密を守り、かつホテルでの非日常なひとときを快適に過ごせるように手伝うのを役目としています。持ち込まれるどんな難問も相談事も「できません」と言ってはいけません。

優秀なコンシェルジュの尚美の元には、我儘いっぱいの宿泊客が数々の難問を持ち込んできます。およそ解決は不可能と思われるそれらの難問を、「わかりました」の一言であざやかにクリアする尚美の手腕に注目です。

どんな相談事があり、それをどのように解決するのか。尚美のコンシェルジュとしての腕前も、映画での楽しみの一つとなっています。

そして、注目のイベントは、「大晦日のカウントダウンをおしゃれなホテルのパーティーで!」

こんなイベントが本当にあるのなら、誰でも興味をそそられるのではないでしょうか。しかも「マスカレード・ナイト」と名付けられたイベントは、普通のパーティーではありません。

このパーティーは、仮面を被って顔を隠すのが原則です。パーティー会場に集うのは、スパイダーマン、仮面ライダー、ダース・ベイダー、アンパンマン、鬼太郎、目玉おやじ、バットマン、ゴリラ、ペンギン、淑女、ピエロ、花嫁、マイケル・ジャクソン、などなど。仮装の豪華さは目を見張るものがあります。

そして、参加者たちはお互いの仮面の下にどんな顔があるのかわからないまま大晦日の夜を共に過ごすことになります。

ミステリアスなひとときを堪能するとともに、本作では仮面をつけた参加者の中に殺人事件の犯人がいるかもというスリルもつきまとっています。

映画『マスカレード・ナイト』の作品情報

【公開】
2021年(日本映画)

【原作】
東野圭吾

【監督】
鈴木雅之

【脚本】
岡田道尚

【キャスト】
木村拓哉、長澤まさみ

まとめ

(C)2019 映画「マスカレード・ホテル」製作委員会 (C)東野圭吾/集英社

2019年の映画『マスカレード・ホテル』の続編として映画化された『マスカレード・ナイト』。

ゴージャズな気分を満喫できるホテルが事件に巻き込まれたら……。

潜入捜査としてホテルマンになりすます現職刑事の新田と、ホテルスタッフでコンシェルジュをする山岸尚美が再びタッグを組み、無事に事件は解決します。

舞台は高級ホテルですから、宿泊客になったような気分も味わえること間違いありません。優雅なムードを体験できるのも本作の魅力の一つです。

前作に引き続き、新田刑事には木村拓哉、山岸尚美には長澤まさみが扮します。気になるのは、犯人役!

犯人は男性でありながら女装して美人にもなれるという希有な人物。予想では天海祐希がピッタリと思いますが、果たしてどうなるのでしょう。

キャストの発表はもちろん、9月の映画公開が待ち望まれます。

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