『ユリゴコロ』などで知られる沼田まほかるのベストセラー小説を『凶悪』の白石和彌監督が映画化。主演は蒼井優と阿部サダヲ、共演に松坂桃李、竹野内豊。
かつての恋人の失踪を知ったことから、意外な秘密の扉が開いていく…。
CONTENTS
1.映画『『彼女がその名を知らない鳥たち』』の作品情報
【公開】
2017年(日本映画)
【原作】
沼田まほかる
【監督】
白石和彌
【キャスト】
蒼井優、阿部サダヲ、松坂桃李、村川絵梨、赤堀雅秋、赤澤ムック、中嶋しゅう、竹野内豊
【作品概要】
沼田まほかるのミステリー小説を蒼井優、阿部サダヲ共演による映画化。演出は『凶悪』『日本で一番悪い奴ら』などで異彩を放つ白石和彌監督。
2.映画『彼女がその名を知らない鳥たち』のキャスト一覧
蒼井優(北原十和子 役)
陣治に嫌悪感を抱きながらも同居。昔の恋人黒崎を忘れられない。
阿部サダヲ(佐野陣治 役)
十和子に盲目的に愛を注ぐ男。
松坂桃李(水島真 役)
腕時計の修理に関して十和子と出会い、肉体関係に。
竹野内豊(黒崎俊一 役)
かつての十和子の恋人。金銭面で緩いことがあり、五年前から失踪。
3.映画『『彼女がその名を知らない鳥たち』のあらすじとネタバレ
働くこともせず、15歳上の同居人陣治の稼ぎで自堕落な暮らしをしている十和子。
彼女の携帯にはひっきりなしに働きに出ている陣治から様子を聞く電話が一日に何度もかかってくる。
十和子はそんな陣治にうんざりしています。
借りたDVDが再生されないとクレームをつけている時に、ある人物と似た面影の男の影を見かけます。
男の名前は黒崎俊一、十和子の8年前の恋人です。
最後は暴行沙汰になるほど悪い別れ方をしたにも関わらず十和子は黒崎を忘れられずにいました。
家に帰って再生するのは借りてきたDVDではなく、黒崎が撮影した二人のデート風景のDVDでした。
陣治が帰ってきて慌てて再生を止めるも、陣治は気が付く様子もありません。
その後、陣治はかいがいしく食事の用意をし、十和子も当たり前のように食卓を囲みます。
しかし、十和子は食事中の陣治の所作が一々気に障ってしょうがありません。
食後、陣治の唯一の取柄と十和子が認めるマッサージをする陣治。
思わず十和子の身体に触れようとすると、十和子は激高して、陣治に虫唾が走る!と罵詈雑言を浴びます。
ある日、腕時計の修理の件でもめている十和子のもとに、時計売り場の主任が代替品を持って現れます。
壊れた時計は黒崎からもらったものでした。
水島が差し出した代替品はどれも十和子を納得させるものではなく、時計への想いから思わずは十和子は泣き出してしまう。
そんな十和子に思わずキスをする水島。謝りながらも今はこうするしかないような気がしたと謝り、慌てて水島はい帰っていきます。
後日、水島は自分で探し買ってきた時計を十和子に差し出します。
この日から水島が既婚者だとわかっていながらも十和子は身体を重ねていきます。
どこか黒崎との付き合いを想いださせる水島にどんどん惹かれていく十和子。
そのころ、帰りの遅い十和子を心配し陣治あちらこちらを走り回っていました。
十和子の姉は黒崎との復縁を考えますが、陣治はなぜかそれだけは絶対にないと言い切るのでした。
ある日、十和子のもとに刑事が訪ねてきます。結婚して國枝に名字が変わった黒崎が5年前から失踪していることを知らされます。
十和子は不安を高ぶらせて水島のもとへ走ります。それを制しようとする陣治の姿はどこか異様さを感じさせるものでした。
ホテルから出てきた十和子の後を追い尾行してきたにこと陣治の姿に気が付きます。
黒崎の失踪の謎を知るために十和子は思い切って黒崎の妻カヨを訪ねます。
そこにはかつて黒崎に頼み込まれて十和子が抱かれたカヨの叔父で豊富な経済力をもっていた國枝が現れます。
過去の黒い思いでが、蘇り家を飛び出る十和子。
十和子と黒崎の交際の最期は十和子が黒崎に頼み込まれ國枝に抱かれたり、さらにカヨとの結婚を機に別れを切り出されたりとます。
すがりつく十和子に対して黒崎は豹変して暴力をふるいだし、重傷を負わせて道端に置き去りにしていきました。
水島の周辺でトラブル・嫌がらせが立て続きに起きます。
水島は陣治を疑い、それとなく十和子に探るように頼んできます。
さらに妻との離婚をスムーズに進めるためという理由で水島は十和子と距離を置くと言い出します。
一度は納得した十和子ですがやはり寂しさに耐えられず水島のもとに向かいます。
しかし、そこで見た水島の姿は十和子でも妻でもない女性と楽しそうに過ごすものでした。
更に水島が探して買ってきた時計は雑貨店で数千円で売られている安物だということ知ります。
さらに、いかにも自分が体験したように語っていたタクラマカン砂漠の様子も本屋に平積みされているもの本の最初の数ページの言葉からとったものでした。
水島の素顔を知り放心状態で帰ってきた十和子を待ち伏せしていた陣治は、このままだと“また、同じように、偉いこと”が起こると語りかけます。
その時、十和子は黒崎のことをうんざりするほど聞いてきた陣治がぱたりと聞かなくなったことを思い出します。それはちょうど5年前のことでした。
十和子は陣治に問いかけます「黒崎はどこにいるのか?」と。
陣治は全てを知られたというような顔をして一言、殺して埋めたと言い出しました。
4.映画『彼女がその名を知らない鳥たち』の感想と評価
この映画を語るときに、やはり無視できない映画があります。
同じ沼田まほかる原作を映画化した『ユリゴコロ』です。
主演は吉高由里子、共演に松山ケンイチとなんと!松坂桃李もいます。
VS『ユリゴコロ』
監督は熊澤尚人監督『君に届け』『近キョリ恋愛』など、青春キラキラ映画の旗頭の一人ですが、松山ケンイチを起用したホラー『親指さがし』も撮っていたりします。
『ユリゴコロ』もまた過去と現代を行き来するサスペンス映画です。
どちらも映画に合わせて改変分がありますが、ドライなタッチで映画がすすんでいて、本来は白石監督のようなテイストを熊澤監督が出しています。
一方の『彼女がその名を知らない鳥たち』の白石監督がまるで、熊澤監督のようにウェットなタッチで映画を進めます。
どちらも衝動にあらがえないヒロインの過去や記憶と彼女を囲む男たちの彼女への好意・愛情を描いています。
見比べてみるのも面白いです。映画・映像だからこそできる演出も上手く機能しています。
また、原作モノですので原作から映画がどうジャンプアップしたかも見どころです。
まとめ
原作沼田まほかるの人気ベストセラー小説を映画『凶悪』などで知られる白石和彌監督による映画化です。
主演は蒼井優と阿部サダヲ、共演に松坂桃李、竹野内豊ほか。
かつての恋人の失踪から知った意外な秘密とは?
映画『彼女がその名を知らない鳥たち』は2017年10月28日より、全国ロードショーです。
ぜひ、ご覧ください。