天才ハッカー、リスベットの活躍を描く、世界的なベストセラーを誇るミステリー小説「ミレニアム」シリーズを映画化した『蜘蛛の巣を払う女』。
2011年に公開された『ドラゴン・タトゥーの女』の続編にあたりますが、スタッフとキャストが一新され、新たなスタートを切ったとも言える、本作をご紹介します。
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映画『蜘蛛の巣を払う女』の作品情報
【公開】
2019年1月11日(イギリス・ドイツ・スウェーデン・カナダ・アメリカ合作)
【原題】
The Girl in the Spider’s Web
【監督・脚本】
フェデ・アルバレス
【製作総指揮】
デヴィッド・フィンチャー
【原作】
ダビド・ラーゲルクランツ
【キャスト】
クレア・フォイ、スベリル・グドナソン、ラキース・スタンフィールド、シルビア・フークス、スティーブン・マーチャント、クレス・バング、クリストファー・コンベリー、シヌーブ・マコディ・ルンド、ビッキー・クリープス
【作品概要】
累計9,000万部以上の売上を誇る小説、「ミレニアム」シリーズの最新作『蜘蛛の巣を払う女』を映画化。
前作『ドラゴン・タトゥーの女』からキャストは一新され、新たなリスベットに挑むのは、2016年からスタートした、Netflixのテレビシーズ『ザ・クラウン』で注目されている女優、クレア・フォイ。
映画『蜘蛛の巣を払う女』のあらすじとネタバレ
幼き日のリスベットは、妹のカミラとチェスをしていました。
そこへ、父親が2人を呼ぶ声がします。
怪訝な表情を浮かべながら、父親の所へ行くリスベットとカミラ。
父親は「お前たちも大人だ、おいで」と2人を招き、カミラは父親に近付きますが、何かを感じたリスベットは、父親から逃げ出します。
リスベットを追いかける父親とカミラ、リスベットは2階の窓際に追い詰められますが、そのまま飛び降りて家から脱出し、雪原を走り去って行きます。
父親の元に残された、カミラの視線を感じながら。
時は経ち、大人になったリスベットは、女性を虐げる男に制裁を与える者として話題になっていました。
天才ハッカーとしても暗躍するリスベットに、新たな仕事が舞い込みます。
依頼主は、人工知能の世界的な権威である科学者、バルデル博士で、自身が開発した核攻撃制御ツールを、米国国家安全保障局(NAS)から取り戻してほしいという内容でした。
NASの核攻撃制御ツール特別責任者、ニーダムは、何者かがシステムに侵入し、ハッキングを行っている事を感知します。
ニーダムはサーバーを落としますが、核攻撃制御ツールは奪われてしまった後でした。
ハッキング元を追跡したニーダムは、スウェーデンに渡り独自調査を開始します。
NASから、核攻撃制御ツールを奪ったリスベットですが、ツール起動の為の暗号が分からず、困惑していました。
そこへ、覆面姿の男達がリスベットのアジトに潜入してきます。
リスベットは男達に抵抗しますが、男達はリスベットのアジトごと爆破し立ち去ります。
バスタブに潜り込み、間一髪で助かったリスベットですが、核攻撃制御ツールが男達に盗まれた上に、今度は警察が駆けつけて来ました。
リスベットは、バイクに乗って警察から逃走します。
リスベットのアジトが爆破された事を知ったバルデル博士は、公安局副局長に助けを求めます。
雑誌「ミレニアム」の共同経営者であり、リスベットの友人である記者のミカエルは、発行数が激減した事から、雑誌が乗っ取られる危機に直面していました。
ある日、ミカエルが出社し乗り込んだエレーベータが突然緊急停止、向かいのエレベータにはリスベットが乗っていました。
リスベットは「助けてほしい」と、自身のアジトを襲った男達の写真をミカエルに送付し「そいつらが何者か調べてほしい」と言い残して、姿を消します。
ミカエルは独自に調査を開始し、額に蜘蛛のタトゥーを入れた男を突き止めます。
男から、リスベットのアジトを襲ったのは「スパイダーズ」という組織である事を、ミカエルは聞き出します。
スウェーデンに到着したニーダムは、観光旅行と称して入国し、リスベットのアジトへ向かい、アジトに備え付けられてる監視カメラに向かって挑発。
その画像を見たリスベットはニーダムの存在を意識します。
リスベットは、独自に部屋を借りて、バルデル博士の自宅を監視します。
そこで、見回りの警察を殺害し、バルデル博士の自宅に侵入する「スパイダーズ」の姿を目撃、リスベットは救出に向かいますが、返り討ちに合い薬を注射されます。
体に力が入らなくなったリスベットは、「スパイダーズ」の男に銃を握らされ、そのままバルデル博士を射殺させられます。
そして、核攻撃制御ツール起動の鍵を握っていると思われる、バルデル博士の息子、アウグストが「スパイダーズ」に連れ去られます。
屋敷内の薬を粉状にして吸引し、体内で中和させたリスベットは「スパイダーズ」を追いかけ、自動車のセキュリティシステムをハッキングして、車を停車させます。
なんとか、アウグストを取り返したリスベットですが、自分を見ている赤い服に身を包んだ、金髪の女性に気が付きます。
それは、成長したリスベットの妹、カミラでした。
映画『蜘蛛の巣を払う女』感想と評価
全世界で累計9,000万部以上の売上を誇る「ミレニアム」シリーズ
過去には、2009年にスウェーデン版のドラマシリーズ『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』が製作されて以降、2作目となる『ミレニアム2 火と戯れる女』。
また3作目となる『ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士』が製作されており、2011年にはハリウッド版の『ドラゴン・タトゥーの女』が製作されるという、人気シリーズです。
そして『蜘蛛の巣を払う女』は、シリーズ4作目が原作ですが、映画ではハリウッド版の『ドラゴン・タトゥーの女』の続編になる為、『ドラゴン・タトゥーの女』だけ観賞しておけば、ストーリーや人間関係は分かるようになっています。
「ミレニアム」シリーズの映画版は、作品ごとに、違うジャンルの映画として楽む事ができ、前作『ドラゴン・タトゥーの女』は、推理要素の強いサスペンスでしたが、今回はアクション要素が強くなっており、ストーリー展開はかなりシンプルになっています。
天才ハッカーのリスベットは、今作ではあらゆるセキュリティを簡単に抜けて、あらゆる機器を操るほどの能力を持っています。
リスベットの能力が、もはや超人の域に達している辺り、エンターテイメント性の強い作品になっていて『ミッション・インポッシブル』シリーズや『007』シリーズに近い印象を受けます。
フィンチャー版からフェデ・アルバレス監督へ
『ドラゴン・タトゥーの女』からキャストやスタッフが大きく変わり、前作で監督を務めたデビッド・フィンチャーは製作総指揮となっており、本作ではフェデ・アルバレスが監督を務めています。
フェデ・アルバレスは、2016年のホラー映画『ドント・ブリーズ』で高い評価を受けた、注目の監督で『ドント・ブリーズ』で見せた、無駄のない計算された演出は今作でも健在です。
特に、リスベットがニーダムを救出する一連のシーンでは、無駄なセリフを一切排除し、セキュリティを狂わせてニーダムを脱出させて、リスベットの要求を、ニーダムが了承せざるおえなくなるという展開を、流れるようなカメラワークで見せており、もはや芸術の域に達しています。
『蜘蛛の巣を払う女』は、リスベットとミカエルの関係性さえ知っていれば、すんなりと物語に入る事ができる作品となっており、これまで「ミレニアム」シリーズ未見の方ほど、オススメしたい作品となっています。
本作が気に入った方は、スウェーデン版3部作も観賞してみてはどうでしょうか?
少し複雑ですが、見応えのある「ミレニアム」ワールドが堪能できますよ。
映画『蜘蛛の巣を払う女』まとめ
「ミレニアム」シリーズの原作者、スティーグ・ラーソンは第一巻発売前に亡くなってしまいました。
『蜘蛛の巣を払う女』は、生前にスティーグ・ラーソンが残した原稿を元に、新たな作者であるダヴィド・ラーゲルクランツが、前3作を研究して完成させた小説です。
『蜘蛛の巣を払う女』では、新たな読者も楽しめるように配慮されているようで、映画版の『蜘蛛の巣を払う女』も、その精神が反映されているのでしょう。
新たな作者で、今後「ミレニアム」シリーズは復活するのか?映画版も含めて、期待したいシリーズとなりましたね。