地雷を踏んでしまい、一切の身動きを封じられた米軍兵の、悪夢のような52時間を描いたワンシチュエーションスリラー。
今回は6月16日(土)より新宿シネマカリテほかで全国公開中の、映画『ALONE/アローン』をご紹介します。
映画『ALONE/アローン』の作品情報
【公開】
2018年(アメリカ・イギリス・スペイン合作映画)
【原題】
Mine
【監督】
ファビオ・レジナーロ、ファビオ・ガリオーネ
【キャスト】
アーミー・ハマー、アナベル・ウォーリス、トム・カレン、ジェフ・ベル、ジュリエット・オーブリー
【作品概要】
砂漠の地雷原を舞台に、一歩も動けなくなった米軍兵士マイクが、極限の状況に追い込まれていくワンシチュエーションスリラー。
主演は『ソーシャル・ネットワーク』や『君の名前で僕を呼んで』などで高い演技力が評価されているアーミー・ハマー。
監督と脚本は、本作が長編デビューとなる、ファビオ・レジナーロとファビオ・グアリョーネ。
映画『ALONE/アローン』のあらすじとネタバレ
テロリストの暗殺任務を進める、米軍の狙撃の名手マイク。
相棒のトミーと共に、暗殺直前までいきますが、事前情報と実際のターゲットに誤差があった事で集中力を乱し、敵のテロリストにも気付かれた為、暗殺任務に失敗します。
追手のテロリストから逃げながら、マイクはトミーと共に8キロ先の村へ避難する為に、砂漠の中を進む事にします。
歩いて約5時間の距離を進むマイクとトミーですが、目の前に地雷原を知らせる看板が現れます。
慎重になるマイクを置いて、「これはハッタリだ」と突き進むトミー、嫌な予感がしてトミーを止めようとしたマイクの前で、地雷が爆発します。
爆風と共に舞い上がった砂の中で、両足を失い倒れているトミーの姿がありました。
戸惑うマイクですが、自分も地雷を踏んでしまい、その場から一歩も動けなくなります。
重症を負い、取り乱すトミーを励ますマイクの声も届かず、トミーは所持していた銃で自ら命を絶ちます。
トミーの死にショックを受けたマイク、トミーが持っていた無線機を手繰り寄せ、救援を呼びます。
ですが、マイクの救援要請に応答した米軍から伝えられたのは、砂嵐でヘリコプターが飛ばせず、すぐには助けに行けないという事でした。
近くでテロリストと応戦している部隊が、マイクの救助に向かう事になりますが、順調に行って52時間後だと伝えられます。
また、古い地雷は7%の確率で爆発しないという情報と、限界が来た場合は、靴の底を切り取り圧力をかけながら脱出する方法を提案されます。
「体の一部は失うが、命は助かる」と伝えれたマイクは、見捨てられた可能性を感じながらも、救援を待つしか無い状態に追い込まれます。
映画『ALONE/アローン』の感想と評価
地雷を踏んでしまった米兵、マイクが遭遇する、悪夢のような3日間を描いたワンシチュエーションスリラー。
「主人公の行動が制限された状態で、どう物語を進行させるか?」が、このジャンルの見どころの1つではありますが、本作では砂嵐や狼の集団に襲われるというトラブルを交え、マイクが過去の幻影に向き合って苦しみ、文字通り新たな一歩を踏み出すまでを描いています。
映画後半は、死んだはずのトミーが現れ、マイクに助言を送ったり、父親にトラウマを抱くマイクの過去がフラッシュバックし、現実と入り乱れるなど複雑な構成となります。
本作の監督、ファビオ・ガリオーネとファビオ・レジナーロは、これが長編デビューの1作目となっています。
新たな一歩を踏み出した自分達とマイクを重なているのかもしれません、そして、この作品に込められたメッセージは、実にシンプルに「未来を見て踏み出そう」これだけで、そのメッセージはストレートに観客へ伝わってきます。
ストーリー運びに荒さを感じる部分もありますが、作り手の熱い信念が込められた、素晴らしい作品だと思います。
まとめ
本作の主演、アーミー・ハマーは、2017年のアカデミー賞で話題になった映画『君の名前で僕を呼んで』に出演し、ゴールデングローブ賞の助演男優賞にノミネートされるなど注目株の俳優です。
本作では、過去の出来事が精神状態に及ぼす影響や、極限の脱水状態、同じ場所で静止を続けた際の肉体に及ぼす影響など、資料を読み込み、海軍に直接問い合わせるなどして、徹底的した役作りを行いました。
アーミー・ハマーは、製作総指揮も兼任しており、この作品への意気込みを感じますね。
絶望的な状況に追い込まれながらも、生きる為に徹底的に戦い続けるマイクの姿を通して、我々も明日への活力を得る事ができる、非常に熱い映画『ALONE/アローン』はオススメな作品です。