Netflix映画『6日間』
1つの物事でも見る方向が異なれば全く別の感想が生まれます。そのことを常に意識していると、世界で発生する事件の数々は容易に「善悪」ではくくれないものだと感じるはずです。
今回は実在の事件を映像化したNetflix独占配信映画『6日間』(2017)をネタバレあらすじを交えご紹介させていただきます。
映画『6日間』の作品情報
【配信】
2017年(Netflix限定配信)
【原題】
6 Days
【監督】
トア・フレイザー
【キャスト】
ジェイミー・ベル、マーク・ストロング、アビー・コーニッシュ、イーモン・エリオット、マーティン・ショウ
【作品概要】
イギリスで実際に発生したテロ事件を複数の人物の視点から描いたNetflix独占配信映画。SASの隊員ラスティを『父親たちの星条旗』(2006)や『ファンタスティック・フォー』(2015)などに出演したジェイミー・ベルが演じ、交渉人マックスを「キングスマン」シリーズなど話題作に多く出演するマーク・ストロングが演じました。
映画『6日間』のあらすじとネタバレ
ここ10年、テロに対し譲歩する姿勢を見せたことでテロは増加傾向にありました。
1980年4月30日、武装した男たちが在ロンドンのイラン大使館を襲撃し大使館員を人質に取ります。
占拠1日目、SASのラスティ上等兵は大使館で発生した人質事件の詳細を聞き出動準備を始めます。
その頃、ロンドン警察の交渉人マックスが対策犯の詰め所へ到着。
犯人グループはイランに投獄された91人の政治犯の釈放を求め、従わなければ人質を全員殺害すると予告していました。
内閣府はあくまでも英国法を遵守すると言うサッチャー首相の意思を尊重しつつ、どこまでテロリストに譲歩するかを議論しますが、イラン政府が非協力的であることから最悪の場合、犠牲を出してでも鎮圧することを覚悟します。
夜、ラスティを含むSASの隊員が大使館に隣接する建物へと到着します。
2日目、犯人からBBC(英国放送協会)に12時に人質を殺害すると連絡があります。
SASには「1人でも人質に死者が出次第突入せよ」と首相命令があり、隊員たちは12時を待ちます。
イラン政府が人質を見捨てる発言をし、SASは突入準備のため大使館のドア前に待機。
SASの突入準備を聞いたマックスは上司の命令を待たず通訳を介さずに犯人たちと連絡を取り、犯人の1人サリムに英語で交渉を行うことに成功します。
マックスはイランとイギリスが協力体制にないことをサリムに正直に話し、暴力的解決ではなく平和的解決をする余地があると話します。
しかし、その時、電話内から大きな音が鳴り響きます。
SASは突撃を準備しますが、その音は犯人たちが病人を解放した音であり、解放された男は犯人たちが完全武装であることを話しました。
犯人たちに食料を渡したいと交渉するマックスはサリムから1人で大使館内に食料を持ってくるように言われます。
危機がひとまず去ったことでSASの隊員は一時的に撤退。
一方、マックスは大使館の前で窓伝いに食料を渡し、サリムと会話します。
サリムはアラブ系の大使を呼ぶことと、ヒースロー空港へ逃げるためのバスを2台を渡すようにとマックスに要請。
その際、マックスの粘りによってそれらを準備する時間として48時間を得ることに成功します。
一方、SASは解放された人質から犯人たちの持つ武器の情報を入手し、その中に破壊力の高い手りゅう弾があったことから仮に突入任務が遂行となった際の危険度の高さを感じ始めます。
SASは壁の一部を破壊し、建物の内部にカメラとマイクを差し込み状況を把握していきます。SASは6階建ての建物の隙のなさから屋上から突入する計画を立案。
3日目、サリムからの入電でマックスはあと1日であることを念押しされます。
SASは大使館突入計画の危険さから、ヒースロー行きのバスをあえて用意しバス内に突入し制圧する計画に変更し、リハーサルを繰り返します。
しかし、内閣府内は揺れており、サッチャー首相のテロリストに譲歩しない姿勢とアラブ連盟の協力を利用した交渉を行う方針に分かれ、バス内の突入には暗雲が立ち込めます。
ラスティは仲間からバス内への突入ではなく、未知の事象で大きな被害が出る可能性がある大使館への突入に変更になったと聞き驚愕します。
見取り図にない天窓からの突入する暗殺案が生まれますが、この案も内閣府はあっさりと否定し、交渉班の次なる交渉にかけることにしました。
4日目、犯人たちの1人ファイサルが暴走しサリムの静止も聞かず、期限を過ぎたら人質を殺害すると騒ぎ始めます。
サリムから入電があり、マックスは内閣府が要求を拒否したことを隠し、サリムからの声明文の発表やアラブ系大使の要請などの要求をあと1日待って欲しいと繰り返します。
仲間が納得しないサリムが呟き、自分たちが現在ペルシャ人にされている仕打ちなどをマックスに話し1日だけの延長に応じます。
ファイサルが人質の1人を解放し人質から話を聞くと、人質たちの精神が限界であることや犯人たちがいざとなれば、人質もろとも爆死する考えであると聞きます。
5日目、SASはいざとなれば躊躇わずに相手を射殺できるラスティをリーダーとし、急遽製作した大使館の模擬施設を使いリハーサルを繰り返します。
サリムから入電のあったマックスは午後6時にBBCに声明文が流れることを告げます。
しかし、午後6時のBBCのニュースに犯人たちの声明文は流れず、マックスはサリムからの罵倒を覚悟しますが、BBCが海外向けの放送で声明文を流したことでサリムから感謝され人質の2人が解放。
サリムの声明文は自身たちの置かれた状況を具体的に書き上げ、暴力的な行動に出たことを謝罪する文であり世界的に犯人たちに同情が集まりました。
映画『6日間』の感想と評価
1980年にイギリスで発生した「駐英イラン大使館占拠事件」を題材とした映画『6日間』。
本作は同事件が発生し解決するまでの6日間を複数の登場人物の目線で描いており、「正義」とは何かを考えさせられる映画となっていました。
作中で1つの視点となるSASのラスティは「人質の危害を最小限に収めつつ犯人グループ全員の射殺」を目的としています。
一方、別の視点として描かれる交渉人のマックスは「人質も犯人グループも死者を出さない」ことを目的として交渉を続けます。
一刻も早く突入し人質を1人でも多く救助したいラスティと、粘り強く交渉し犯人グループの投降や人質の解放を成功させたいマックス。
「事件の解決」という方向性は同じであれど、過程が大きく違う2人はそれぞれが望んだ結果となるのか、実際に発生したテロ事件であることを念頭に置いて鑑賞して欲しい作品です。
まとめ
崇高な思想を抱えていても暴力行為に出ることは決して許されることではありません。
しかし、「駐英イラン大使館占拠事件」におけるサリムの虐げられている同胞を救いたいと言う気持ちが果たして「純粋な悪」として断罪して良いものなのか。
テロリストたちの視点もしっかりと描き、事件をもう一度考え直す時間を与えてくれる映画『6日間』は映像配信サービス「Netflix」で独占配信中。
本作に興味を持った方はぜひ「Netflix」で鑑賞してみてください。