映画『ジュピターズ・ムーン』は1月27日より全国順次公開!
何と言ってもこの作品の監督はコーネル・ムンドルッツォ!誰それと、馴染みのないと言われてしまうかも知れませんが、実は小品ながら秀逸だった『ホワイト・ゴッド 少女と犬の狂詩曲』の監督と言えば、お分かりでしょうか。
今回も『ジュピターズ・ムーン』という、SF映画に挑んでくれたからには、あの味をシメた映画ファンは劇場で観るの必見です!
CONTENTS
1.映画『ジュピターズ・ムーン』の作品情報
【公開】
2018年(ハンガリー・ドイツ合作映画)
【原題】
Jupiter holdja
【脚本・監督】
コーネル・ムンドルッツォ
【キャスト】
メラーブ・ニニッゼ、ゾンボル・ヤェーゲル、ギェルギ・ツセルハルミ、モーニカ・バルシャイ
【作品概要】
第67回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門グランプリを獲得した『ホワイト・ゴッド 少女と犬の狂詩曲』のコーネル・ムンドルッツォ監督によるSF作品。
2011年に公開された映画『宇宙飛行士の医者』のメラーブ・ニニッゼが、シュテルン役で出演しています。
2.コーネル・ムンドルッツォ監督のプロフィール
参考映像:『ホワイト・ゴッド 少女と犬の狂詩曲』
コーネル・ムンドルッツォ(Kornél Mundruczó)は、1957年4月3日にハンガリー・ゲデレー生まれ。
脚本家、映画監督、舞台演出家であり、映画制作会社プロトンシネマと劇団プロトンシアターの創設者。
大学の卒業制作『Nincsen Nekem Vagyam Semmi』で長編映画を初監督。その後商業長編映画デビュー作『Szép napok(英題:Pleasant Days)』(02/未)でロカルノ国際映画祭銀豹賞やソフィア国際映画祭グランプリなどを受賞し話題を呼んだ。
04年に短編『Kis apokrif no.2』でカンヌ国際映画祭のシネフォンダシオン部門に正式出品されると、その後に発表した作品が立て続けにカンヌ国際映画祭の各部門に選出され、常連監督として名を並べています。
次作はブラッドリー・クーパーとガル・ガドット出演の映画『Deeper(原題)』の制作が既に発表されています。
3.映画『ジュピターズ・ムーン』のあらすじ
医療ミスによる訴訟で病院を追われた医師シュテルン。
彼は難民キャンプで働き、恋人ベラと共謀して違法に難民を逃すことで、現金を稼いで賠償金に当て込み、遺族からの訴訟取り下げを目論みます。
一方で父親とともに祖国シリアを逃れて、目的地であるハンガリーを目指すアリアン。
混乱のなかで父親と逸れると、国境越えをしようとしたところで国境警備隊のラズロに銃撃されてしいます。
瀕死となった重傷のアリアンは、難民キャンプで働く医師シュテルンのもとへ運び込まれます。
る。
ある日、被弾し瀕死の重傷を負った少年・アリアンが運び込まれます。
シュテルンの診察を受けたアリアンは、体調の異変を訴えます。
アリアンはシュテルンの目の前で、なんと重力を操って浮遊してみせます。
そのほかにも自力で傷を蘇生できることを知り、シュテルンはアリアンの能力を金儲けに使えると思いつきます。
まんまとシュルテンはキャンプからアリアンを連れ出すことに成功。
一方でアリアンを違法銃撃した国境警備隊のラズロもまた、口封じのために彼らの追跡を始めます。
行く先々で起こる失踪、そしてテロ、不可解な事件の現場には、アリアンの痕跡が残されてていることに気がつかれてしまう…。
4.映画『ジュピターズ・ムーン』の感想と評価
B級SF映画となめんなよ!
悪法の名の下に雑種である飼い犬を捨てられたことをきっかけに、雑種犬たちが人間を襲いはじめる様子をリアルに描いた映画『ホワイト・ゴッド 少女と犬の狂詩曲ラプソディ』。
第67回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門グランプリとパルムドッグのW受賞したことは記憶に新しいですね。
ハンガリーの俊英であるコーネル・ムンドルッツォ監督が、本作『ジュピターズ・ムーン』の演出を務めています。
カンヌ映画祭では審査員ウィル・スミス絶賛!
本作が公式出品された第70回カンヌ国際映画祭コンペティション部門では、俳優枠でウィル・スミスも審査員を務めていました。
審査委員のウィルは、記者団を前にしたの会見で、「『ジュピターズ・ムーン』が本当に好きだ。これから先、何度も何度も繰り返し観たいと思う最高の映画だったよ」と語っています。
また、カンヌ以後に出品されたスペインのシッチェス・カタロニア国際映画祭では、「ファンタスティック・コンペティション」部門にて、最優秀作品賞と視覚効果賞を受賞しました。
さらに北米ファンタスティック・フェスト2017でも最優秀監督賞を受賞したほか、前作『ホワイト・ゴッド 少女と犬の狂詩曲ラプソディ』以上に、本作『ジュピターズ・ムーン』は海外の映画祭を沸かせています。
コーネル監督の“トラスト3部作”の第2部だ!
この作品では人生に敗れた医師シュテルンと、不思議な能力を持つ少年アリアンの命懸けの逃亡のなかに、移民問題やテロリズムの問題をモチーフに扱っています。
すでに前作『ホワイト・ゴッド』を観たあなたなら、本筋のストーリーもさることながら、細かいディテール描写は上手いのだろうと合点がいくのではないでしょうか。
そのほかにも圧倒的な映像表現によるカーチェイスやアクション、そして美しい今回の重要な見どころである空中浮遊を惜しむことなく、あなたに見せつます。
それは単にSF映画というジャンルにとらわれない、“真のサイエンスフィクション・エンターテインメント”として描かれた作品とも言えるはずです。
本作は『ジュピターズ・ムーン』は、前作『ホワイト・ゴッド』に次いで、ムンドルッツォ監督が、“Trust“をテーマに描く3部作の2作目としています。
トラスト(Trust)とは何か?
・信頼
・信任
・信用でききるもの
・委託される
・保管
・保護
・委託物
・預りもの
・責任
このような和訳をヒントに読み抜けば、少年アリアンの浮遊が、“単なるアメコミのスーパーヒーローの飛行”ではないことに気が付くことでしょう。
また、アリアンの父親の職業は大工。奇跡を見せる者を父親(養父)が大工といえば、イエスキリストですね。
さて、コーネル監督は、今回はどのような細部にこだわりを見せ、豊かなストーリーを紡いで本作『ジュピターズ・ムーン』を作ったのか。
現代の欧州の問題である移民やテロ問題にどのように絡むのか?
あなたの目で聖人のように“宙を浮くアリアンの奇跡”に刮目しましょう!
5.『ジュピターズ・ムーン』の公開される劇場は?
北海道地区
北海道 札幌シアターキノ(1月27日(土)〜)
東北地区
青森県 シネマディクト(3月17日(土)〜)
岩手県 盛岡ルミエール(順次公開)
宮城県 チネ・ラヴィータ(3月10日(土)〜)
秋田県 ルミエール秋田(4月7日(土)〜)
山形県 フォーラム山形(4月6日(金)〜)
関東・甲信越地区
東京都 新宿バルト9(1月27日(土)〜)
東京都 ヒューマントラストシネマ渋谷(1月27日(土)〜)
東京都 T・ジョイPRINCE品川(1月27日(土)〜)
東京都 アップリンク(順次公開)
神奈川県 横浜ブルク13(1月27日(土)〜)
神奈川県 川崎チネチッタ(1月27日(土)〜)
神奈川県 シネマ・ジャック&ベティ(3月10日(土)〜)
神奈川県 川崎市アートセンターアルテリオ映像館(3月31日(土)〜)
栃木県 宇都宮ヒカリ座(順次公開)
中部・東海・北陸地区
長野県 長野ロキシー(3月17日(土)〜)
長野県 佐久Amシネマ(4月7日(土)〜)
長野県 アイシティシネマ(3月10日(土)〜)
山梨県 シアターセントラルBe館(3月10日(土)〜)
静岡県 シネプラザサントムーン(順次公開)
愛知県 センチュリーシネマ(1月27日(土)〜)
石川県 シネモンド(順次公開)
近畿地区
大阪府 梅田ブルク7(1月27日(土)〜)
大阪府 シネマート心斎橋(1月27日(土)〜
京都府 T・ジョイ京都(1月27日(土)〜)
兵庫県 シネ・リーブル神戸 (1月27日(土)〜)
中国・四国地区
愛媛県 シネマサンシャイン大街道(3月10日(土)〜)
九州・沖縄地区
福岡県 T・ジョイ博多(1月27日(土)〜)
熊本県 DENKIKAN(順次公開)
大分県 大分シネマ5(3月17日(土)~3月23日(金))
宮崎県 宮崎キネマ館(順次公開)
沖縄県 桜坂劇場(順次公開)
*記載された情報は2月20日現在の情報です。公開される劇場は今後も全国順次拡大されることが予想されます。お出かけの際は公式サイトを閲覧のうえお出かけください。
まとめ
本作『ジュピターズ・ムーン』というタイトルには、信頼3部作の前作『ホワイト・ゴッド』のように、コーネル・ムンドルッツォ監督の大きなメッセージが隠されています。
「ジュピター=木星」には、現在では67もの衛星があることが観測されています。
なかでもガリレオによって発見された「エウロパ」は、ヨーロッパの語源となったラテン語「EUROPA」と同じ綴りです。
コーネル監督は本作に「エウロパ」の名の下に、現代のヨーロッパの世界観を物語のメタファーとして踏襲させています。
前作『ホワイト・ゴッド』は雑種を嫌うモチーフとしての意味を「白い神=白人、GOD⇄DOG」のように今回もよそ者路いう弱者の移民を新解釈で描いています。
アリアンの浮遊の奇跡。そして今のエウロパとは?
本作に仕掛けられたメタファーを読み解くはあなた次第⁈
映画『ジュピターズ・ムーン』は、1月27日より全国順次公開です。
ぜひ、お見逃しなく!