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Entry 2021/08/18
Update

映画アビゲイル クローズド・ワールド|ネタバレ結末感想とあらすじ解説。SFファンタジー・アクションが描く超能力バトルと父娘の親子愛

  • Writer :
  • 秋國まゆ

剣と超能力で壮大なバトルを繰り広げていくSFファンタジー・アクション!

アレクサンドル・ボグスラフスキーが監督・脚本を務めた、2019年製作のロシアのSFファンタジー・アクション映画『アビゲイル クローズド・ワールド』。

死に至る謎の病が蔓延し、感染拡大を防ぐために特殊なシールドに覆われた世界。幼い頃、感染者として連れ去られた父親の生存を信じる少女が、魔法のような力を持つ特殊能力者たちと出会い、父親や他の感染者を探しに行く旅に出る物語とは、具体的にどんな内容だったのでしょうか。

VFX満載で描いたSFファンタジー・アクション映画『アビゲイル クローズド・ワールド』のネタバレあらすじと作品情報をご紹介いたします。

映画『アビゲイル クローズド・ワールド』の作品情報


(C)KD STIDIOS LLC 2019

【公開】
2019年(ロシア映画)

【原題】
Abigail

【監督・脚本】
アレクサンドル・ボグスラフスキー

【キャスト】
ティナティン・ダラキシュヴィリ、エディ・マーサン、リナル・ムハメトフ、ラフシャナ・クルコヴァ、アルチョム・トカチェンコ、グレブ・ボチュコフ

【作品概要】
『トラップ・ゲーム』(2018)のアレクサンドル・ボグスラフスキーが、監督・脚本を務めた、ロシアのSFファンタジー・アクション作品です。

若手人気女優のティナティン・ダラキシュヴィリが主演を務め、『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』(2019)のエディ・マーサンが共演しています。

映画『アビゲイル クローズド・ワールド』のあらすじとネタバレ


(C)KD STIDIOS LLC 2019

世界中で死に至る謎の病が蔓延し、感染拡大を防ぐために特殊なシールドが展開されてから96年後の冬。科学者のジョナサン・フォスターは、妻と一人娘のアビゲイルと一緒に、幸せな日常を送っていました。

そんなある日の夜、ジョナサンがアビゲイルと一緒に妻が待つ家へ帰ろうとすると、突如現れた警備局局長ウィリアム・ギャレットに呼び止められました。

ジョナサンは嫌な予感がしたので、自室に戻って鏡に何かを隠し、アビゲイルを寝かしつけてから、再び外へ出てギャレット局長と対峙します。

ギャレット局長はジョナサンに、「君と君の研究所の者は皆、伝染病に感染している」と言い、強制的にジョナサンと彼の部下ロイを、感染者を隔離する隔離施設へ連れ去って行きました。

突如家族を連れ去られ、奪われてしまったアビゲイルたち、科学者たちの家族。ジョナサンが乗せられた車を咄嗟に追いかけたアビゲイルの首には、彼から贈られたペンダントがぶら下がっていました。

ジョナサンが連れ去られてから10年。少女から女性へと成長したアビゲイルは、父親が生きていると信じ、独自に父親の行方を捜していました。

何故なら感染者は隔離施設へ連れ去られた後、「感染拡大防止」という名目で安楽死の薬を投与され、検査官に殺されてしまうからです。

そんなアビゲイルが歩く街には、感染拡大を防ぐべく、感染者の捜索・検査に躍起になっている警備局の検査官たちが、特殊な装置をつけたマスクを被って巡回していました。

警備局は市民に、夜間の外出と感染者を匿う行為を禁じ、特に感染者を匿った場合は、反逆罪に問われることになると脅し支配していました。

その日の夜、アビゲイルは友人のヘンリーを救うべく、彼を捕まえた不良集団を率いる青年イアンに、勝負を挑みました。

しかしアビゲイルとイアンの勝負の最中、騒ぎを聞きつけた検査官たちに見つかってしまいます。その結果、イアンは感染者であることが判明し、検査官に抵抗むなしく、隔離施設へ連れ去られてしまいました。

アビゲイルはヘンリーを逃すためか、イアンとの勝負に使った廃墟の屋上に行き、発煙筒に火をつけて、検査官の注意を引きつけようとします。

すると1人の検査官が、アビゲイルの元へやって来ました。強引に検査しようとする検査官に抵抗し、揉み合いになるアビゲイル。倒れ込んだ検査官のマスクが外れ、その素顔を見た彼女は驚きのあまり、その場から逃げ出してしまいます。

何故ならその検査官の正体は、10年前のあの日、ジョナサンと一緒に連れ去られたロイだったからです。

シールドが展開された記念の日の朝。アビゲイルは、裁縫の仕事が忙しい母親の代わりに、街へ買い出しに出かけました。しかしそこで、昨夜の騒動でアビゲイルに目をつけた検査官に見つかってしまい、アビゲイルは街中を逃げ回り、家へ逃げ帰ります。

そんなアビゲイルを執念深く追いかけたのは、ロイでした。そうとは知らない母親は、娘のアビゲイルを守るため、やむを得ずロイの後頭部を殴ります。

アビゲイルは、検査官を殴ってしまったことに酷く動揺し怯える母親を宥めながら、こう言いました。

「ママが殴った検査官は、ロイだから大丈夫。私は彼の秘密を握っている」「検査官がマスクを被っているのは、知り合いに見られたくないからだと思う」

「ロイの秘密は、規則を破って奥さんと会い、息子を授かったこと」「そんなロイが生きているなら、パパだって生きているはず。パパの消息をロイから聞いてみる」

そう母親に話すアビゲイルは、気絶から目覚めたロイを脅迫し、ジョナサンの行方を尋ねました。

渋々白状したロイの話によると、隔離施設へ連れ去られてすぐ、彼はジョナサンと引き離されてしまいました。そしてロイは、検査官に追放か検査官になるか脅迫され、やむを得ず検査官になったというのです。

そう話すロイはアビゲイルに、警備局の宿舎に繋がる秘密の抜け道を記した地図と、そこにいる技術部門の責任者イーサン・ブレイクが、隔離施設へ連れ去った感染者の情報を管理していると教えます。

以下、『アビゲイル クローズド・ワールド』ネタバレ・結末の記載がございます。『アビゲイル クローズド・ワールド』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。


(C)KD STIDIOS LLC 2019

記念式典が広場で行われたその日の夜。アビゲイルはロイから得た情報と地図を頼りに、広場を抜け出し警備局の宿舎へ潜入。彼女はイーサンの部屋に置かれた彼のデスクに、イアンを含めた感染者の情報が載った資料を発見します。

そしてアビゲイルは、宿舎に戻ってきて早々、隔離施設へ向かうイーサンの車のトランクに忍び込み、隔離施設へ向かいました。

隔離施設へ潜入したアビゲイルは、地下に永久追放ゾーンと呼ばれていた場所があるのを目撃。その直後、隔離施設内外へ侵入者を知らせる警報が鳴り響きます。

咄嗟に外へ逃げ出したアビゲイルは、侵入者と思われる謎の特殊能力者たちと、検査官の戦いに足を踏み入れてしまい、攻撃が当たって倒れてしまいます。アビゲイルは、フードを被った男に救出されますが、その際大事なペンダントを落としてしまったことに気づけませんでした。

意識を取り戻したアビゲイルがいたのは、隔離施設で戦っていた特殊能力者たちが、自由に能力を行使し暮らしているスラム街でした。見たことのない光景に目を奪われ、呆然と街中で立ち尽くすアビゲイルに、初老の特殊能力者スペンサーが声をかけてきます。

アビゲイルを救った人物であり、警備局に支配された都市の解放を掲げ、行動している組織のリーダーであるベールに「新人の教育」をするよう頼まれたスペンサー。

彼はアビゲイルに、この街に住む者は皆、子供の頃か青年期に、特殊能力に目覚めた者たちであると説明します。そしてスペンサーはアビゲイルを、特殊能力者マーカスの店へ連れて行き、彼に特殊能力者かどうか診てもらいました。

その結果、特殊能力者であることが判明したアビゲイルに、スペンサーはこう告げます。「警備局は市民に、伝染病だと言っているがそれは真っ赤な嘘で、本当は特殊能力者を見つけて連れ去っているんだ」

驚愕の真実に愕然とするアビゲイル。そんな彼女がいる店に、言葉が話せない組織の技術者ノーマンが訪ねてきます。

ノーマンが、マーカスから頼まれた道具の修理をしている間、アビゲイルは彼が持ってきた道具に、興味本位で触れ起動させました。その瞬間、アビゲイルの中に眠る特殊能力が目覚めたのか、溢れ出た彼女の力が、街の通りを半分吹き飛ばしてしまいました。

アビゲイルの並外れた力の片鱗を見たスペンサーは、警備局と敵対する特殊能力者たちの組織を率いるベールに声をかけ、組織が密かに計画している警備局への襲撃に、彼女を参加させてみてはどうかと提案します。

ベールは面倒だと言わんばかりの態度を隠しもせず、アビゲイルを組織の基地に案内するとすぐに、特殊能力を使った戦闘訓練を受けさせました。当然、特殊能力の使い方も武器の扱い方も教わっていないアビゲイルは、ベールに手も足も出ません。

アビゲイルはベールに、基地にあった犯罪者リストに、ジョナサンの名前が載っていたことを糾弾するも、その理由を教えてもらえませんでした。

アビゲイルはその後、基地内にいたスペンサーと再会。彼から特殊能力者が使う力を集め、思った方向へ照射する装置「エンジン」について教わりました。

スペンサー曰く、エンジンには向ける対象によって3種類の使い道があり、あらゆる自然現象を操りたければ楕円形のエンジン、物体に向けて使う場合は四角形のエンジン、人に向けると治療も殺人もできるのは三角形のエンジンだといいます。

それらのエンジンは物として使うこともでき、エンジンを使って隠し場所を作ることも可能です。10年前、ジョナサンが連れ去られる直前、自室の鏡に何かを隠した時に使っていたのを思い出したアビゲイルは、父親が何を隠したのか確かめるべく、基地を出て家へ帰ろうとします。

それを偶然見かけたベールは、アビゲイルを基地から出ないよう引き止めました。しかしアビゲイルは、父親を犯罪者扱いする挙句、ろくに教えもせず戦力外通告したベールに不満を抱いていたため、反抗しその場を飛び出していってしまいました。

2人の様子を見ていた、組織のNo.2の特殊能力者ステラ。彼女は慕っているベールに気にかけてもらっているアビゲイルに嫉妬し、不満げな様子でした。

アビゲイルは帰宅後、父親の自室の鏡から、彼が隠していたものを取り出します。出てきたのは、何かの設計図とエンジンでした。

アビゲイルはこの時、ジョナサンは特殊能力者であることを知り、母親もそうなのか尋ねましたが、彼女は特殊能力を持っていない一般人でした。

アビゲイルは母親との会話で、父親がくれたペンダントは、自身の力を抑制し、検査官に見つからないようにしてくれたお守りだったのだと悟りました。

その日の夜。アビゲイルは母親に背中を押され、父親と他の特殊能力者たちを救おうと、単独で行動を開始。

ロイと接触した彼女は、ジョナサンが残したのは何の設計図か尋ねます。ロイの話によると、それは警備局が特殊能力者たちを収容している、空中要塞の設計図でした。

力を持つ者が死のうとも、特殊能力そのものが失われることはなく、また他の誰かに宿って、その力はいずれ開花します。警備局はこれを恐れ、完全に力を封じ込めるために、特殊能力者たちを捕まえ、空中要塞に閉じ込めているのです。

空中要塞の設計図と一緒に隠してあったエンジンには、その空中要塞へのガイドが入っていました。それを知ったアビゲイルは、シールドを抜けた先にある空中要塞へ行くために、必要な飛行船への案内をロイに任せることに。

アビゲイルは基地へ戻り、ベールたちに「飛行船に乗って空中要塞へ行き、パパや特殊能力者たちを救おう」と提案します。

アビゲイルを毛嫌いしているベールは、彼女の作戦を一蹴し、こう言い放ちました。

「お前が救いたい父親は敵に手を貸し、特殊能力者を見分ける装置を作った裏切り者だ。そんな父親を助けるために、俺たちを利用しに来たお前を信用なんてできない」

ベールたちの協力を得られなかったアビゲイルは、単身で空中要塞へ乗り込むことに。しかし、飛行船へ案内してくれるはずのロイが、突如アビゲイルを裏切り、ギャレット局長に通報したのです。

その通報を受けたギャレット局長とイーサン、検査官たちが、アビゲイルの前に現れ立ち塞がります。ギャレット局長は隔離施設での戦闘の際、拾ったアビゲイルのペンダントを掲げながら、彼女にこう言いました。

「ジョナサンはこのペンダントを含む自身の発明品で、特殊能力者と人間が平等に暮らせる世界を作ろうとしていた。そんな父親の意志を継ぎたくないか?特殊能力になんて頼らず、私たちと一緒に平等な世界を作ろう」

ジョナサンを連れ去った、ギャレット局長の勧誘を拒否するアビゲイル。彼はそんなアビゲイルに憤慨し、イーサンとロイに殺すよう命じます。これに拒否したロイは、ギャレット局長の手によって殺され、代わりにイーサンがアビゲイルを殺そうとしました。

窮地に陥ったアビゲイルを救ったのは、ベールでした。実は特殊能力者であったギャレット局長たちとベールは、互いにエンジンを使って死闘を繰り広げていきます。

死闘の末、検査官たちとイーサンを倒したベールは、ギャレット局長から返り討ちに遭い、絶体絶命のピンチに。そんな彼を救ったのは、初めてエンジンを使いこなしたアビゲイルでした。

アビゲイルは、腹を撃たれ重傷のベールを基地へ運び、マーカスに助けを求めます。マーカスが施した治療薬のおかげで、ベールは一命を取り留めました。

意識を取り戻したベールは、アビゲイルに、彼女がジョナサンから託されたと言うエンジンには「妖精」が宿っていると告げます。

かつて、妖精と特殊能力者は共生していました。しかし、妖精は警備局に連れ去られた挙句、ベールの両親はギャレット局長によって殺されてしまいました。人一倍警備局への恨みが強いベールは、妖精の力などなくとも、自分たちの力でこの地を変えようと思い戦う決心をしたのです。

それとは真逆で、アビゲイルは父親や他の特殊能力者たちを救うべく、どんな手を使ってでも空中要塞へ行こうとしていました。


(C)KD STIDIOS LLC 2019

譲れない目的のために、別々の道に歩むことにしたアビゲイルとベール。先に警備局に侵入した彼女は、大勢の検査官がベールたちを待ち構えていることを知ります。

警備局の門を壊し、侵入したベールたち組織は、飛び出してきたアビゲイルから襲撃がバレていることを知らされ、慌てて基地へ撤退を開始。

その努力も虚しく、大勢の検査官がベールたちを追いかけ、殺そうとしてきます。ベールたちと検査官による死闘が繰り広げられ、アビゲイルも検査官と戦い、彼らの逃走を手助けしました。

アビゲイルたちが基地へ無事撤退できた一方、時間稼ぎのために1人戦場に残ったベールは、ステラと一緒に現れたギャレット局長に捕まってしまいます。ステラが組織を裏切ったのは、愛するベールが権力を握ることしか考えず、横暴で仲間を危険に晒そうとするからでした。

同時刻、基地内では逃げ延びたノーマンやマーカスたちが、基地からの撤退と証拠隠滅のための作業に取り掛かっていました。

アビゲイルは聞く耳を持ってくれないノーマンたちに、エンジンからガイドを務める妖精を出して注目を集め、検査官に捕まった特殊能力者たちを救おうと言いました。その結果、仲間が帰る家を守るために残ったスペンサー以外は皆、アビゲイルの意見に賛同し、彼女と共に空中要塞へ行くことにしました。

その日の深夜。アビゲイルたちは隔離施設へ侵入し、以前アビゲイルが見た、捕まった者たちが連れて行かれた地下のトンネルを進みます。

トンネルは直接飛行船と繋がっており、そこに辿り着いたアビゲイルたちは、飛行船の中にいたベールや特殊能力者たちを無事救出。ノーマンによる操作と、鍵穴に差し込んだエンジン、そこから飛び出た妖精による導きのおかげで、アビゲイルたちを乗せた飛行船は空中要塞へ飛び立ちました。

夜明け頃、飛行船はシールドを突破し、無事空中要塞へ到着。検査官を装ったベールが先陣を切り、仲間と共に検査官の動きを封じこめます。しかし、空中要塞にジョナサンの姿はなく、囚われた特殊能力者たちは皆、生命力を吸い取られ死んでいました。

ショックを受けるアビゲイルは、空中要塞にあった道具の数々を見て、ジョナサンは特殊能力を抑制する装置「シールド」の開発をしていたと推測しました。

警備局の追っ手が空中要塞へ迫る中、アビゲイルは沢山の時計を見て、ジョナサンとの思い出へ思いを巡らせていきました。そこから得たジョナサンからのヒントをもとに、アビゲイルはノーマンと協力し、3つのエンジンの光線を1つに集め、シールドを破壊しようとします。

その為の時間稼ぎを買って出たベールと仲間たちは、煙幕を作り検査官たちを襲撃。しかし、それをギャレット局長に利用されてしまい、次々と仲間が彼の剣の錆びとなっていきました。

互いに特殊能力は使えず、剣やボーガンを手に戦うベールたち。その時アビゲイルは、記憶の中のジョナサンから、鏡に記録された映像を見せられます。

それはジョナサンが、ギャレット局長に頼まれて、特殊能力を抑制する装置を作らされていた日の映像。特殊能力者がいない世界を作り、覇権を握りたかったギャレット局長はジョナサンを騙し、特殊能力そのものを破壊できる武器を作らせていたのです。

対してジョナサンは、特殊能力者が皆力を発揮させ、自由に暮らし人間と共生していくことを望んでいました。ギャレット局長と袂を分かったジョナサンは、娘に自らの死と引き換えに能力を授け、彼の野望を阻止する革命を起こさせようとしたのです。

ジョナサンの死を知ったアビゲイルは、子供の頃に彼から教わった、特殊能力を自在に操る方法に従い、本来の自分の特殊能力を発動。これにより、シールドは装置もろとも破壊されました。

窮地に陥っていたベールは、ギャレット局長から身を挺して守ってくれたステラの仇を討つべく、三角形のエンジンを使って彼を殺します。その直後、街に張られていたシールドも破壊されました。

共に革命を成し遂げたアビゲイルとベールは結ばれ、仲間たちと共に飛行船で街へ戻り、新たな歴史を歩んでいきました。

映画『アビゲイル クローズド・ワールド』の感想と評価


(C)KD STIDIOS LLC 2019

ベールたちvs警備局による特殊能力者同士の対決

本作最大の見どころと言えば、何といってもベールたちと警備局による、特殊能力者同士の対決です。

特殊能力者や彼らと共生する妖精を連れ去る警備局と、敵に支配された都市を解放すべく、革命運動を行うベールたち組織。

四角形・三角形・楕円形の3種類のエンジンを使って繰り広げられる、彼らの特殊能力のぶつけ合いは、ファンタジー映画ならではのワクワク感を感じられます。

特殊能力が抑制され使えない空中要塞での戦いは、剣やボーガンを駆使した死闘が繰り広げられており、特にベールvsギャレット局長の対決は、どちらが勝つか負けるか分からないハラハラドキドキしたスリルが満点です。

互いの力が拮抗する中、ギャレット局長に不意打ちの攻撃を食らってしまうベール。そんな彼を身を挺して守ったステラの姿は、裏切ってもなお消えない献身的な愛を感じて感動します

アビゲイルの記憶に隠された真実


(C)KD STIDIOS LLC 2019

劇中では、アビゲイルは消息不明の父ジョナサンとの思い出の日々を回想し、ヒントを得ていく場面が多く描かれています。

中でも物語の終盤、空中要塞内でアビゲイルがヒントを求めた、記憶の中のジョナサンは、衝撃的な真実を隠していたのです。

それはギャレット局長に協力し、共に特殊能力者と普通の人間が平等に暮らせる世界を作ろうとしていたジョナサンが、彼の野望を知って袂を分かち、自ら命を落としてしまった記憶

つまりジョナサンは、もう何年も前に死んでいたのです。ただ死んだジョナサンの特殊能力は、彼と似た素質を持つアビゲイルに宿り、ここまで彼女を導いてきたのでしょう。

アビゲイルとジョナサンの、互いを大切に想い合ってきた親子愛に、観ているこちらまで感動し涙が止まりません。

まとめ


(C)KD STIDIOS LLC 2019

1人の少女が消息不明の父親の生存を信じ、特殊能力者たちと協力し合い、父親と他の感染者を探しに行く、ロシアのSFファンタジー・アクション作品でした。

本作の見どころは、主人公アビゲイルの父親探しの旅と、特殊能力者同士の対決です。

特殊能力者を殲滅し、世界の覇者となりたいギャレット局長率いる警備局と、彼らが支配された都市を解放するべく、革命を起こそうとするベールたち組織。

何度も繰り広げられる戦いの最中、最初いがみ合っていたアビゲイルとベールは、徐々に心惹かれ合い、革命後は無事結ばれました。

物語の終盤、明かされたジョナサンの最期の記憶。彼を裏切り連れ去ったギャレット局長が、自ら死を選んだジョナサンの姿に動揺していることから、まだ彼への友情が残っていたと推察できます。

親子愛に感動し、魔法のような特殊能力のぶつかり合いにワクワクする、SFファンタジー・アクション映画が観たい人に、とてもオススメな作品です。




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