『宇宙の彼方より』は2023年6月3日(土)より下北沢トリウッドにて全国。
6月10日より大阪シアターセブン、6月17日横浜シネマノヴェチェント、7月1日よりシネマ神戸にて上映!
世界のあらゆる創作物に影響を与え続けている架空の神話「クトゥルー神話」を創始した、「クトゥルー神話の父」こと作家H・P・ラヴクラフト。
そんな彼が遺した傑作小説『宇宙の彼方の色(原題:The Color Out of Space)』を、映画史上最も忠実かつ野心的に描いたのが映画『宇宙の彼方より』です。
このたび、ラヴクラフトひいては神話を愛する者たちが待望していた映画『宇宙の彼方より』の、「世界初」の劇場公開が決定。
メインビジュアル・予告編などが解禁になったほか、世界初の劇場公開を記念し、映画を製作したフアン・ヴ監督、日本語字幕監修を手がけた森瀬繚からのメッセージも到着しました。
CONTENTS
映画『宇宙の彼方より』とは?
原作は、数々の創作物に影響を与え続けている架空神話「クトゥルー神話」の生みの親として知られるH・P・ラヴクラフトが、1927年に雑誌「AmazingStories(アメージング・ストーリーズ)」にて発表した小説『宇宙の彼方の色(原題:The Color Out of Space)』。
ラヴクラフトが遺した「神話作品群」の一編であると同時に、“放射線被曝”の恐怖を描いた先駆的作品といわれています。
「映画史上、最もラヴクラフト=“原典”の魅力を忠実に描いた作品」という呼び声も高い本作。
クトゥルー神話を愛するベトナム系ドイツ人のフアン・ヴ監督は“原典”を崇拝しつつも、ラヴクラフトが唱えた「宇宙的恐怖(コズミック・ホラー)」をより拡大すべく、フアン監督の両親が移民を決意したベトナム戦争下の1975年のアメリカ、第二次世界大戦下のドイツを新たに物語の舞台にするなど、独自の解釈を盛り込んだ野心作でもあります。
フィンランドのナイトビジョン映画祭、スウェーデンのルンドファンタスティック映画祭をはじめ、製作から10年経った今なお、ヨーロッパの数多くの映画祭に入選。
2022年11月に開催された28年の歴史を持つフランスの映画祭レトランジュ・フェスティバル・パリでも上映されるなど、今も世界各地を魅了し続けている本作ですが、原作小説発表から95周年の2023年、ついに日本での「世界初」劇場公開が実現しました。
そして今回の劇場公開にあたって、新字幕監修を日本のクトゥルー神話研究の第一人者にして、作家の森瀬繚が担当しています。
フアン・ヴ監督からのメッセージ
私は『宇宙の彼方より』という映画を誇りにしている。
この映画が、2023年現在まで世界で評価し続けてもらえたことは、私に“クトゥルー神話の父”が創始した無限の物語世界の偉大さを実感させてくれた。
フアン・ヴ監督プロフィール
1982年生まれ、西ドイツ・シュトゥットガルト出身。
1970年代にベトナムからの留学生として渡独、サイゴン陥落後もドイツに滞在した両親のもとに生まれ、幼少期は国境による分断と民族アイデンティティについて葛藤する日々を過ごした。
2008年にシュトゥットガルト・メディア大学在学中に、人気TRPG『ウォーハンマー40,000』を原案としたファンフィルム『Damnatus』を制作。 長編第2作『宇宙の彼方より』は2010年に完成。現在、ラヴクラフトのクトゥルー神話を原作とした新作『The Dreamlands(原題)』を制作中。
日本語新字幕監修:森瀬繚からのメッセージ
モノクロームの色調で描かれた、“色”の物語。
自他共に認めるラヴクラフトの“最高傑作”は、これまでにも幾度か映像化されてきましたが、原作小説の再現性という点においては、今のところこの『宇宙の彼方より』が一番でしょう(むろんそれは、作品としての優劣を決めるものではありません)。だけど、違うところもあります。
この映画を隅々まで楽しみたいのであれば、むしろ、原作小説を読み込んだ上で鑑賞することをお勧めします。
森瀬繚プロフィール
ライター、翻訳家。
TVアニメやゲームのシナリオ/小説の執筆の他、各種媒体作品で神話・歴史考証に携わる。最新著書に『クトゥルー神話解体新書』、訳書に『バットマン:ザ・カルト』がある。
映画『宇宙の彼方より』推薦コメントも到着!
河合のび(詩人/文筆家)
『宇宙の彼方より』の原作小説は、“放射線被曝”の恐怖にいち早く注目した作品とも言われている。
この映画が、“第2次世界大戦”という原作小説には登場しない時代を、“邪悪なる光”に世界が戦慄した時代をあえて描いた理由とは。
そして、かつて起こった“2011年”を記憶の水底に沈めようとしている日本で、“2010年”に完成されたこの映画がいま公開される意味とは。
その答えはぜひ、自身の眼で確かめてほしい。
尾子洋一郎(ロシア語ロシア文学研究者)
人間は自身の理解できないものに対して恐怖感を抱く。
白黒で綴られた本作品はロシア語でいう、ツヴェート(色)とスヴェート(光)という韻を踏む単語を想起させる。
スグに胸に刺さる安直な作品ではないが、一生を通して、あたかも完治したやけどの痕のように、ボディーブローのように刺さる作品である。
映画『宇宙の彼方より』の作品情報
【日本公開】
2023年
【原題】
Die Farbe
【原作】
H・P・ラヴクラフト
【制作・監督・脚本・編集】
フアン・ヴ
【出演】
マルコ・ライプニッツ、ミヒャエル・コルシュ、エリック・ラスタッター、インゴ・ハイセ、ラルフ・ リヒテンベルク
映画『宇宙の彼方より』のあらすじ
その色はどこへ去ったのか……。
1975年。マサチューセッツ州、アーカム。ジョナサン・デイヴィスは父親の失踪を知る。
父親と親交のあった大学教授のダンフォースから有益な情報を得たジョナサンは、父の足取りを追ってドイツ、シュヴァーベン=フランケン地方へ向かう。
彼の父は第二次世界大戦下に軍医としてドイツでの従軍経験があったものの、30年経った今、何故そこに行く必要があったのか。
そんな疑問を抱えながらも、小さな村へとたどり着き、アーミンという男に出会って父の手がかりを得る。
ドイツ軍従軍の過去を持つアーミンは、終戦直後に駐屯中であったジョナサンの父と出会い、彼とともに世にも不思議な現象を目撃したという。
それは彼らにとって、生涯忘れられない衝撃の出来事だった……。
まとめ
「クトゥルー神話の父」の傑作小説を“映画史上最も忠実かつ野心的”に描いた『宇宙の彼方より』の「世界初」の劇場公開が決定。
メインビジュアル、予告編が一挙解禁、そしてフアン・ヴ監督、日本語字幕監修を手がけた森瀬繚からのコメントを紹介しました。
H・P・ラヴクラフトが原作小説を発表した1930年代から、終戦直後の1945年、そして1975年と時代を跨いで、失踪した男とその後を追う息子。アメリカとドイツの2ヶ所にて、親子2世代の視点から宇宙的恐怖を描き直す野心的な作品です。
落ち着いたモノクロの色彩が古典的な怪奇SFの雰囲気を醸し出す一方で、VFX全盛期である2010年代ならではの現代的映像表現も冴え渡っています。
かつてラヴクラフトは自著『文学における超自然の恐怖(原題:Supernatural Horror in Literature)』の中で、「人類の最も古く最も強烈な感情は恐怖であり、恐怖のなかで最も強烈なものは未知なるものの恐怖である」と語っています。
本作が描いている宇宙的恐怖も、ここで記されている“理解できない未知の存在への恐怖”に当てはまるのでしょうか。理解できるはずのないものを理解してしまうことで、恐怖という感情がより増大することもあるかも知れません。
その全貌はぜひ、映画館でお確かめください。
映画『宇宙の彼方より』は下北沢トリウッドにて全国順次公開!6月10日より大阪シアターセブン、6月17日横浜シネマノヴェチェント、7月1日よりシネマ神戸にて上映!