フランス映画の名匠フィリップ・ガレル監督のオススメ作品
日本初公開!至高の家族映画『救いの接吻』(1989)
16歳から70歳になっている現在でもなお精力的に映画を撮り続けている、ヌーヴェル・ヴァーグ以降のフランスを代表する映画監督フィリップ・ガレル。
フィリップ・ガレル中期の代表作にして日本初公開となる『救いの接吻』(1989)と亡き恋人ニコに捧げたフィリップ・ガレル映画のひとつの頂点を成す傑作『ギターはもう聞こえない』(1991)の2作品が、4月27日(土)より東京都写真美術館ホールほかにて全国順次公開することが決定しました。
映画監督フィリップ・ガレルについて
1948年フランス生まれたフィリップ・ガレルは、13歳の時に初めて8ミリ映画を製作しました。
1964年に監督した35ミリの短編映画『Les enfants désaccordés (調子の狂った子供たち)』では、映画史家ジョルジュ・サドゥールに「神童」といわしめ、1968年に製作した初の長編映画『Marie pour mémoire (記憶すべきマリー)』はイェール映画祭でヤングシネマ賞を受賞するなど、若い頃からその才能を遺憾なく発揮しています。
その後も1984年に発表した『自由、夜』ではカンヌ国際映画祭のフランス映画の展望賞を受賞、1991年の『ギターはもう聞こえない』と2005年の『恋人たちの失われた革命』では、ヴェネツィア国際映画祭で銀獅子賞を受賞しています。
ジャン=リュック・ゴダールやフランソワ・トリュフォーなどヌーヴェル・ヴァーグの作品の影響を受けていて、“ポスト・ヌーヴェルヴァーグ”の1人とされています。
特に、フィリップ・ガレルはジャン=リュック・ゴダールの再来と言われています。
映画『救いの接吻』の作品紹介
【公開】
1989年(フランス映画)
【原題】
Les Baisers de Secours
【監督・脚本】
フィリップ・ガレル
【キャスト】
ブリジット・シィ、フィリップ・ガレル、ルイ・ガレル、アネモーネ、モーリス・ガレル、イヴェット・エチエヴァン
【作品概要】
フランスの名匠フィリップ・ガレルが傑作『ギターはもう聞こえない』(1991)の前に製作した、あるひとつの愛の物語です。
つねに私小説的な映画をつくりだしてきたガレルならではの、私生活と創作をめぐる果てなき問いがくりひろげられます。
出演は、フィリップ・ガレル本人と当時のパートナーであるブリジット・シィ。
今やフランスを代表する俳優となったフィリップ・ガレル監督の息子であるルイ・ガレルと実父である名優モーリス・ガレルも出演しています。
崩壊の危機にある家族の物語を、監督を含め実際の家族たちが演じた、至高の家族映画。
この作品を機にフィリップ・ガレル監督と数々の名作をつくりだすことになる詩人で小説家のマルク・ショロデンコによるダイアローグは、愛の可能性と、物語の誕生の瞬間を描き出しています。
映画『救いの接吻』のあらすじ
新作の準備を進めていた映画監督のマチュー。
彼は主役を別の女優に決めたことで、妻で女優のジャンヌから激しい糾弾を受けてしまいます。
愛の終わりとその持続について苦悩し語り合う男と女。
映画監督と女優であり、夫と妻であり、また息子の父と母でもあるふたりの対話は永遠に続いていきます。
映画『ギターはもう聞こえない』の作品紹介
かつて愛した人、ニコに捧げた愛の物語
【公開】
1991年(フランス映画)
【原題】
J’entends plus la guitare
【監督・脚本】
フィリップ・ガレル
【キャスト】
ブノワ・レジャン、ヨハンナ・テア・ステーゲ、ミレーユ・ペリエ、ヤン・コレット、ブリジット・シィ
【作品概要】
フィリップ・ガレルが元恋人ニコの急逝直後に製作した、極めて私的なラブストーリー。
ニコとの生活と破局、息子の誕生、そして突然訪れた彼女の死。
かつて愛した人との記憶と死の衝撃が、美しくも残酷にスクリーンへ映し出されます。
自伝的な物語でありながら、俳優たちの演技と洗練された台詞によって誕生した、普遍的な愛の物語です。
この作品は、1991年のヴェネチア国際映画祭で銀獅子賞を受賞しました。
1964年から現在までのガレルの膨大なフィルモグラフィのなかでも、あるひとつの頂点を成すといえる傑作です。
撮影は、今やフランス映画には欠かせない名撮影監督カロリーヌ・シャンプティエ。
前作『救いの接吻』に引き続き、マルク・ショロデンコによる印象的な台詞の数々が、陰惨で残酷な物語を美しく彩ります。
映画『ギターはもう聞こえない』のあらすじ
海辺の町で共同生活を送るジェラールとマリアンヌ、マルタンとローラの2組のカップル。
一度は別れたジェラールとマリアンヌは、パリで再びともに暮らしますが、次第にドラッグに溺れ生活は困窮を極めていきます。
最終的に別離を選び新しい家庭を持ったジェラールに、ある日、マリアンヌの訃報が届き…。
まとめ
今回公開されることが決定した1989年の作品『救いの接吻』は、フィリップ・ガレル自身が自らの数多くの作品のなかで「自伝と台詞の時代」として区切る中期の作品です。
また、かつての恋人で事故死したニコとの生活、彼女の死をもとにした映画『ギターはもう聞こえない』は、フィリップ・ガレル中期の傑作であるとされています。
どちらの作品も共に彼の私的な映画であると評されてはますが、家族の映画と亡き恋人へささげた映画。
それは根本は周りへの愛にあふれた映画であり、誰でも当てはまるものかもしれません。
ミニマリズムの作家として呼ばれるフィリップ・ガレルのシンプルな映像が、より美しく見えるモノクロの映像で綴られた日本初上映となる『救いの接吻』。
そして亡き恋人のニコへの愛が溢れた『ギターはもう聞こえない』。
両作品とも4月27日(土)より東京都写真美術館ホールほかで全国順次公開です。
ぜひ、お見逃しなく!