『パラサイト 半地下の家族』は2020年1月10日(金)より全国ロードショー。
ポン・ジュノ監督と名優ソン・ガンホが4度目のタッグを組み、2019年の第72回カンヌ国際映画祭で韓国映画初となるパルムドールを受賞した映画『パラサイト 半地下の家族』。
韓国国内で観客動員数が1000万人を突破し、フランスやアメリカなど世界各国で外国映画の動員記録を塗り替えるほどのヒットを連発しています。また2020年の第92回アカデミー賞では作品賞・監督賞をはじめ6部門にノミネート、4部門で受賞を果たしました。
そして日本での大ヒットを記念して、2月24日にTOHOシネマズ六本木ヒルズにて舞台挨拶が行われ、再来日を果たしたポン・ジュノ監督と主演のソン・ガンホが登壇し感謝の言葉を述べました。
さらにサプライズゲストとして草彅剛が登壇、二人にお祝いの言葉を贈りました。
今回はこの3人の舞台挨拶の様子をお届けします。
CONTENTS
映画『パラサイト』舞台挨拶の概要
【開催日時】
2020年2月24日
11:15より舞台挨拶
【会場】
東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズ スクリーン7
【登壇ゲスト】
ポン・ジュノ監督、ソン・ガンホ(サプライズゲスト:草彅剛)
映画『パラサイト 半地下の家族』の舞台挨拶リポート
作品に対する日本の反響に感謝
当日の上映後、観客からの大きな拍手で温かく迎えられたポン監督とソン・ガンホ。
満席の会場に向けてポン監督は「映画館をいっぱいにしてくれてありがとう。オスカーを受賞する以前から、日本の皆さんが劇場に足を運んでくださっていたことを嬉しく思っています。日本の皆さんは、本当にいい好みをお持ちだなと思いました」と自身の喜びに感謝の言葉をのせて挨拶をします。
主演のソンも「映画というものは、言語が違っても共感していただけるもの。それを日本の皆さんが証明してくれて、本当に感謝いたします」と同じく感謝の思いを言葉にしました。
大ヒット、受賞の喜び
本作は2月23日現在で日本興行収入32億円、観客動員230万人突破を記録し、日本において韓国映画としては15年間不動だった『私の頭の中の消しゴム』(イ・ジェハン監督/30億円/04年)の記録を抜いて歴代興収1位となりました。
この日はこの快挙を記念して金のくす玉が用意され、大ヒットが祝福されました。
また、先日行われたアカデミー賞授賞式を振り返ったポン監督は「本作のセリフにも出てくるのですが…オスカーを受賞することは全く計画しておらず“無計画が最大の計画になった”。あまりの嬉しさに気が動転してしまいました」と語り笑いを呼びながら「本当に光栄なことで、トロフィーは大切にしまってありますが、日本をはじめ多くの国から熱烈な反応をいただいたことが、私にとって賞以上に嬉しかったです」と改めて受賞の喜びを語りました。
一方、ソンは「カンヌでパルムドールを受賞したとき、嬉しさのあまりジュノ監督に叩かれ、そこに肋骨にヒビが入ったんですよ。だからオスカー受賞のときは喜びを(表に出さぬよう)噛みしめていました」と、ポン監督に負けじとお笑いエピソードをコメント、会場を沸かせていました。
二人の熱烈なファン、草彅剛が祝福
そしてお祝いムードが高まる中、ステージには大きな歓声とともにサプライズゲストとして草彅が登場し二人に大きな花束を贈呈、得意の流暢な韓国語で「日本に来てくれてありがとう!アカデミー賞受賞おめでとう!」と満面の笑みとともに祝福の言葉を贈ります。
そして二人の熱烈なファンであることを明かしながら「ソンさんの演技は、いつも参考にさせていただいています。チョナン・カン(草彅の韓国での芸名)として活動しているときに何度も共演をオファーしたのですが叶わず…でも今日こうしてお会いできて嬉しいです」と熱意を込めたコメントを投げかけました。
この言葉にソンは、「20年前から私たちのファンであることは聞いていたので、私も会いたかった。今日は記念日になりましたね」と優しく返します。
一方でポン監督は草彅の韓国での活動を見ていたことを回顧、かつて彼がソウルで『ぼくに炎の戦車を』という舞台に出演した際にも、見に行っていたことを明かし、草彅を喜ばせます。
これまでもよく二人の作品を見てきたという草彅は、本作に対しても絶賛。
特に好きなシーンなどについて興奮気味に話す草彅に対してポン監督は、正直なところ撮影に追われそこまで二人とも考えたことがなかったことを明かしつつも「次のインタビューから使わせてもらいますよ」などと茶目っ気を込めた言葉で返し、フロアを沸かせていました。
映画『パラサイト 半地下の家族』の作品情報
【日本公開】
2020年2月(韓国映画)
【原題】
기생충 (英題:Parasite)
【監督】
ポン・ジュノ
【キャスト】
ソン・ガンホ、チャン・ヘジン、チェ・ウシク、パク・ソダム、イ・ソンギュン、チョ・ヨジョン、イ・ジョンウン、チョン・ジソ、パク・ソジュン、パク・ミョンフン
映画『パラサイト 半地下の家族』のあらすじ
過去に度々事業に失敗し、今は無職の父キム・ギテク。若い頃は砲丸投げの選手だったが、実生活にはなんの役にも立たないことを痛感している母チュンスク。兵役の前後に4回も大学受験に失敗し、職にもつけない息子ギウ。美術の才能があるにもかかわらず美大に進学できず、予備校に通うお金もない娘ギジョンのキム一家は、貧困層の多い区域の“半地下住宅”で暮らしています。
ある日、ギウのもとに友人のエリート大学生が訪ねてきました。ギウはコンビニの脇で友人は酒を酌み交わす中で、友人よりギウに頼みがあると切り出されます。それは留学することになった友人に代わって、今教えている高校2年生の女子生徒の家庭教師を代わりにやってほしいという頼みでした。
友人と女子生徒との、色々と訳ありの関係のおかげで、金持ちの家に入り込むチャンスを得たギウ。彼は絵心のある妹のギジョンに書類を捏造させ、家庭教師先へ面接に向かいました。そこはIT企業の社長パク・ドンイク一家が暮らす高台の大豪邸でした。
口八丁手八丁でパク一家の心を掴んだギウでしたが、次は社長の息子の画に目をつけ、妹を「イリノイ大学に留学経験のある美術教師のジェシカ先生だ」と紹介し妹を入り込ませることを画策します。
そしてギジョンはまんまと一家の幼い長男の家庭教師におさまりまることに。すると次はギジョンがパク社長のお抱え運転手に目をつけ、あることを思いつき実行します。
かくして本来なら出会うはずのなかったキム一家とパク一家、2つの家族の間で何かが起ころうとしていました…。
まとめ
今回の舞台挨拶の中で、ポン監督は満員の会場に心からの感謝の言葉を投げかけながら、2000年初頭から顕著に見られている日韓での活発な映画交流の様子を回想しました。
そして続けて「今回、十数年ぶりにあの頃のように韓国映画が大ヒットし愛されたことが、お互いの国の映画に関心を持つきっかけとなって、再び交流が持てるようになれば」とコメントしました。その言葉にソンも「両国がお互いに触れ合って共感できることが何よりも大切」と共感の旨をあらわしました。
映画、芸術というものが垣根を超えるものであること改めて感じられた、温かな舞台挨拶となりました。
映画『パラサイト 半地下の家族』は2020年1月10日(金)より全国ロードショーです。