映画『僕はイエス様が嫌い』は
2019年5月31日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国順次ロードショー!
スペイン・サンセバスチャン国際映画祭にて、最優秀新人監督賞を史上最年少となる22歳で受賞した奥山大史監督の映画『僕はイエス様が嫌い』。
世界各地の映画祭にて数々の賞を獲得し、フランス・スペイン・韓国では既に劇場公開が決定された話題作である本作。
2019年5月31日(金)の公開を記念し、5月8日(水)、日本外国特派員協会にてトークイベント付き特別試写会が開催されました。
奥山大史監督をはじめ、キャストのチャド・マレーン、佐伯日菜子が登壇されたトークイベントの様子をお届けします。
CONTENTS
『僕はイエス様が嫌い』特別試写会レポート
理香子役を熱演した佐伯日菜子
脚本への感動
本作の主人公・由来(ユラ:佐藤結良)の転校先でできた友だち・和馬(大熊理樹)。そんな彼の母親である理香子を演じたのが、『毎日が夏休み』『らせん』で知られる女優の佐伯日菜子。
偶々出会った本作の脚本に「3度泣いた」と言い切るほどの感動を覚えた結果、本作への出演を決意したという彼女。本作に出演できて非常に幸せだと語りました。
奥山監督は佐伯への出演オファーについて、主人公・由来の“祈り”に対する考え方が変わる起爆剤となる存在が理香子であり、物語の結末から、理香子という役柄とそれに求められる演技力を逆算した結果、女優として高い実力を持つ佐伯にしか演じられないと感じたことでオファーに至ったと回答。
奥山監督の脚本と、佐伯の演技力。お互いがその魅力に惹かれた結果、本作の完成が実現したと言っても過言ではないでしょう。
「小さなイエス様」による英語字幕
会見中のイエス役になりきって会場を沸かすチャド・マレーン
本作では主人公・由来の元に現れた「小さなイエス様」を演じたお笑い芸人のチャド・マレーン。
トークイベントには劇中と同じく「小さなイエス様」の姿で登壇。監督が惚れ込んだその存在感とキャラクターは、イベント中も遺憾無く発揮されていました。
サンセバスチャン映画祭への出品にあたって、奥山監督からの依頼で本作の英語字幕の作成も担当したチャド。
奥山監督はチャドが作成した英語字幕にまつわるエピソードについて触れ、字幕の作成を進めていたチャドに、本作の舞台であるミッション系の小学校がキリスト教の中でもどの宗派に属しているのかを確認されたことを明かし、芸人として活動する一方で字幕翻訳の仕事もしている彼の、字幕に対するディティールのこだわりを語りました。
彼がそのようなこだわりをもって英語字幕を作成したからこそ、サンセバスチャン映画祭をはじめ、海外の映画祭での本作の評価がより高まったのでしょう。
「海外への作品出品」という選択
映画『僕はイエス様が嫌い』の主人公・由来と同じ年齢で友人を亡くしてしまった時の記憶という、自身の体験を基に本作を作り出したという奥山監督。
監督の自伝的作品でもある本作が世界各地の国際映画祭にて評価され注目されたことについて、奥山監督は日本国内のみでのインディペンデント映画の展開にはどうしても“限界”があると言及。
その上で、インディペンデント映画の魅力を商業映画の世界へと持ち込むための一つの選択、“限界”から脱却するための一つの選択として「海外映画祭への作品出品」があると語りました。
「小さなイエス様」の映画祭での反響
作品への思い語る奥山大史監督
また、トークイベント中の質疑応答では、「イエス=キリストを映画劇中で描くことに抵抗はなかったのか?」という質問が挙がりました。
それに対し奥山監督は、日本国内よりも、キリスト教圏が多い海外でどのように海外の国際映画祭における本作の反響について語りました。
巨大なキリスト像が建っていることで知られており、キリスト教圏であるサンセバスチャンで本作を観てもらうことは、奥山監督にとって、「小さなイエス様」がどう捉えられるのかに対する不安感が伴うものでした。
しかしながら、サンセバスチャン国際映画祭で本作を観た人々の多くは、「小さなイエス様」が登場する度に笑顔になってくれたこと。そしてそれは、サンセバスチャンの人々が映画への読解力をもって本作を観てくれた証しであると思い知らされたことを語り、海外でも「小さなイエス様」は好意的に受け取られたことを伝えました。
また監督は、同じく海外の国際映画祭にて、本作を絶賛してくれたクリスチャンの方とのエピソードについても触れました。
その方に「『僕はイエス様が嫌い』という日本語タイトルをあなたはどう受け止めているのか?」という質問を投げかけたところ、「『嫌い』と思えるほど強く信じているということでしょ?」と答えられたという奥山監督。その言葉によって、現在もイエスおよびキリスト教を信じている奥山監督は、幼少期の自分はそれほどまでに強い信仰心を抱いていたことに気付かされたと明かしました。
海外の国際映画祭における観客たちの、映画に対する読解力と寛容さ。それもまた、本作が高く評価された大きな要因の一つでしょう。
映画『僕はイエス様が嫌い』の作品情報
【公開】
2019年5月31日(日本映画)
【英題】
JESUS
【脚本・監督】
奥山大史
【キャスト】
佐藤結良、大熊理樹、チャド・マレーン、佐伯日菜子、木引優子、ただのあっ子、二瓶鮫一、秋山建一、大迫一平、北山雅康
【作品概要】
ミッション系の小学校に転校した主人公の少年が、友人や「小さなイエス様」との出会いを通じて“大きな試練”を経験していく様子を描く。
本作を監督したのは、大竹しのぶ主演の短編「Tokyo 2001/10/21 22:32-22:41」がショートショートフィルムフェスティバルのコンペティション部門に出品されるなど、現在注目の若手監督の一人である奥山大史。脚本・撮影・編集も担当した本作は、監督初の長編作品にあたります。
本作は、スペインのサンセバスチャン国際映画祭にて最優秀新人監督賞を受賞。史上最年少での受賞(当時22歳)という快挙を達成しました。
その後もスウェーデンのストックホルム国際映画祭において最優秀撮影賞を、中国のマカオ国際映画祭ではスペシャル・メンションを受賞。フランス・スペイン・韓国では既に劇場公開が決まっている話題作です。
映画『僕はイエス様が嫌い』のあらすじ
祖母と一緒に暮らすために、両親とともに東京から雪深い地方へと引っ越し、ミッション系の小学校へと転校することになった由来(佐藤結良)。
日々の礼拝など、「普通」の学校とは異なる光景に戸惑う彼の前に現れたのは、小さな小さなイエス様でした。
他の人間には見えないが、自身の願ったことを必ず叶えてくれるイエス様を結良が信じ始めた頃、彼のもとに大きな試練が降りかかります…。
まとめ
魅力溢れるキャストとの出会い、映画を好意的に読解してくれた観客たちとの出会いがあったからこそ、海外の国際映画祭でも高く評価された本作。
奥山監督は映画『僕はイエス様が嫌い』について、本作には敢えて多くの“余白”を描いたこと、だからこそ多くの解釈が可能な映画であると語りました。
そして、自身が生み出したその解釈を通して、本作を「私の映画だ」「私のことを描いている」と観客たちには感じてほしいといいます。
果たして、「小さなイエス様」と出会った少年・結良が経験する“大きな試練”によって、本作は観客にどのような言葉を投げかけてくるのでしょうか?
映画『僕はイエス様が嫌い』は2019年5月31日(金)より、TOHOシネマズ日比谷ほか全国順次ロードショー!