世界的な現代美術家であるアイ・ウェイウェイ監督が、難民問題の実状に迫るドキュメンタリー。
映画『ヒューマン・フロー 大地漂流』は、2019年1月12日(土)よりシアター・イメージフォーラムほかで公開です。
本作『ヒューマン・フロー 大地漂流』は、アイ・ウェイウェイ監督が23カ国40カ所もの難民キャンプと国境地帯を巡り、貧困、戦争、気候変動などで増え続ける難民たちの今をカメラに捉えたドキュメンタリー映画です。
本作を作るきっかけや難民問題を取り上げた理由について語るアイ・ウェイウェイ監督のインタビュー映像が解禁されました。
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アイ・ウェイウェイ監督のインタビュー映像
アイ・ウェイウェイ監督は、インタビューで本作『ヒューマン・フロー 大地漂流』を製作したきっかけについて「欧州で暮らし始めて理解したいと思うようになった。この地における難民の状況を。だからギリシャのレスボス島へ行った」と述べています。
そこで初めて、話す言語も着ている服もそれぞれ違う、世界に知られていない難民たちの真の姿を見たというアイ・ウェイウェイ監督。
今回の映画製作の思いについては「私は彼らを理解したいと思ったんだ。一体どんな人々なのか、誰も自分たちを理解しない未知の土地へ、命懸けで渡る理由を知りたいと思ったんだ」と語りました。
芸術を通じて様々な問題を提起する彼に、なぜ難民問題を取り上げたかについて尋ねました。
「難民危機は私の危機でもある。難民船から降りてくる人々は私の子供たちや両親兄弟だったかもしれない。私と彼らには何の違いもないんだ」
そう語ったアイ・ウェイウェイ監督自身、生まれて間もない頃に反共産党として家族全員が国から強制追放され、人間に対する最悪の仕打ち、差別、虐待を見て育った過去を持っています。
そして、アイ・ウェイウェイ監督はさらに力強く語り続けます。
「彼らが凍えるような寒さにおびえていることや、雨に打たれたり飢えることを恐れていること、安心感を求めていることが私には理解できる。彼らは手を差し伸べられるのを待っているんだ。難民の子供たちの笑顔はまるで天使のようだよ。どの難民も皆美しい人々なんだ」
アイ・ウェイウェイ監督が、難民に刺激を受け映画の製作にあたったことが伝わってきます。
そして、そんな監督に刺激を受けたハリウッド女優のアンジェリーナ・ジョリーとメリル・ストリープから本作へ絶賛のコメントが寄せられました。
アンジェリーナ・ジョリー、メリル・ストリープからの絶賛コメント
UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)親善大使で難民支援に尽力しているハリウッド女優のアンジェリーナ・ジョリーは、アイ・ウェイウェイ監督の考えに強く刺激を受け、次のように本作の感想を述べました。
「アイ・ウェイウェイ監督は、レンズを通して純粋に難民たちを見つめている。難民たちの表情や声を撮り、彼らの多様性や、苦しみ、立ち直ろうとする強さを、映画を通して私たちに届けている。これは、今まさに私たちが直面している問題なのです」
同じくハリウッド女優のメリル・ストリープも次のように本作の感想を語りました。
「この映画はとても素晴らしいです。アイ・ウェイウェイ自身が23か国、40か所の大規模な難民キャンプの旅に我々を連れて行ってくれるのです。この映画自体が難民のようなもので、あなたの目、心、知性を通して体中を巡り、やがてあなた自身へと吸収される映画なのです」
UNHCRで難民支援をしているアンジェリーナ・ジョリーや、アカデミー賞女優のメリル・ストリープに影響を与えた本作『ヒューマン・フロー 大地漂流』。
アメリカを代表する2人の女優によって世界に発信されることで、より多くの人に難民問題についての問題提起になるのではないでしょうか。
アイ・ウェイウェイ(艾 未未)監督とは
中国の現代美術家・キュレーター・建築家・文化評論家・社会評論家で、中国美術及び美術評論を先導して世界各地で活動しています。
2008年の北京オリンピックの「鳥の巣スタジアム」のデザインをし、アイ・ウェイウェイの名が一躍世界に知れ渡りました。
米タイム誌の2011年「世界で最も影響力のある100人」に選ばれるなど、国際的に高く評価されている一方、社会活動にも力を入れています。
2008年5月の四川大地震で死亡した児童・生徒・学生への援助と実態調査をはじめとする当局への責任追及により、2010年11月、北京の自宅において軟禁されました。
日本ではこれまでに『アイ・ウェイウェイは謝らない』(2013)が劇場公開されています。
映画『ヒューマン・フロー 大地漂流』の作品情報
【公開】
2019年(ドイツ映画)
【原題】
Human Flow
【監督・製作】
アイ・ウェイウェイ
【キャスト】
ギリシャのレスボスほか、23カ国を超える40箇所もの難民キャンプの難民たち
【作品概要】
アイ・ウェイウェイ監督自ら、ギリシャを始め23カ国を超える40箇所もの難民キャンプを訪れ、インタビューを敢行したドキュメンタリー映画です。
2017年ベネチア国際映画祭では5部門で受賞しました。
アイ・ウェイウェイ監督は、現代美術家・建築家として世界的に活躍する一方、政治活動家・社会活動家としても有名です。
まとめ
難民問題の真実を映し出すドキュメンタリー映画『ヒューマン・フロー 大地漂流』のアイ・ウェイウェイ監督のインタビュー映像が解禁されました。
インタビューの中で“映画が与える影響が前向きであるものと信じている”と語ったアイ・ウェイウェイ監督。
アンジェリーナ・ジョリーやメリル・ストリープによって発信されたことは、確実に前向きな影響であると言えます。
そして、難民問題があまりなじみのない日本の政府にも、前向きな影響を与えることでしょう。
事実、本作は成人向けの社会教育作品として、文部科学省の選定作品にも選ばれました。
本作がきっかけとなり、難民問題に対して興味を持つ方が少しでも増えることを期待します。
映画『ヒューマン・フロー 大地漂流』は2019年1月12日(土)より、シアター・イメージフォーラムほかでロードショー!
ぜひ、お見逃しなく!