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イーストウッド演じる実在の主人公アールに共感の声続出!映画『運び屋』は俳優・監督人生の集大成

  • Writer :
  • 石井夏子

ひとりの老人がイーストウッドの心を動かした

2019年3月8日(金)に全国ロードショーされ、大ヒットしているクリント・イーストウッド監督・主演の映画『運び屋』

俳優クリント・イーストウッドが自身の監督作としては『グラン・トリノ』(2009)以来、10年ぶりの主演作としてスクリーンに帰ってきました。

今のハリウッドには自分が演じられる作品がない」と宣言し、一時は俳優引退もほのめかしたこともある名優の心を動かしたのは、前代未聞の“アウトロー”の実話。

そんなイーストウッドを魅了し、観客の心も打つ、90歳の運び屋“アール・ストーン”の魅力を紐解いていきます。

運び屋“アール・ストーン”の魅力

参考映像:映画『運び屋』クリント・イーストウッド&ダイアン・ウィーストインタビュー

クリント・イーストウッドが『グラン・トリノ』以来10年ぶりに自ら主演を決めたのは、犯罪史上最高齢90歳の“運び屋”でした。

本作『運び屋』は、ニューヨーク・タイムズ・マガジンに掲載された記事を元に、コカインの運び屋となった老人を描いています。

メキシコの壁をめぐるドラッグや高齢者社会など重いテーマを持ちながらも、我が道を行く主人公の姿にはユーモアが溢れ、「イーストウッドの最高傑作」との呼び声も高い本作。

待望の日本公開を迎えると、長年のイーストウッドファンだけではなく、若い世代からの熱い支持を集めて大ヒットとなりました。

特に10代~20代の若者たちから、イーストウッドが演じる運び屋の生き様に対する共感が続々と発信されています。

本作の主人公アール・ストーンは、仕事に打ち込むあまり家族をないがしろにし、妻や一人娘と疎遠になってしまった孤独な老人。

事業が傾き、家財を差し押さえられるほどに逼迫したところに「車を運転するだけで金になる」仕事を持ちかけられますが、それは巨大麻薬組織の運び屋でした。

参考映像:映画『運び屋』メイキング特別映像

安全運転に自信がある彼は、カーラジオから流れるカントリーソングを口ずさみながら、マイペースに仕事をこなしていきます。

90歳にしてこの自由な姿に、ファッション評論家のピーコさんも「運転しながら歌う姿は、抱きしめてあげたくなった!!」とコメント。

SNSでも「歌いながら食べながら飲みながら楽しそうに運転する姿には萌えが止まらなかったな〜おじいちゃん映画好きなら萌える事間違いない!」「ドライブする様は観てるこちらまで朗らかな気持ちになる」と 評判を呼んでいます。

イカついマフィアを前にしても物怖じせず飄々とジョークを飛ばす。路上で困った人を見つけると、車を停めて人助けをする。麻薬組織から送り込まれた監視役には、アメリカで一番のポークサンドを振る舞い、時には人生の助言までおくる。火事で閉店に追い込まれた退役軍人クラブには、運び屋で稼いだお金を気前よく差し出す。

アールの仕事は違法ですが、その姿はどこかロビン・フッドのような慈善家を感じさせます。

しかも、ひとまわりもふたまわりも年の離れた女性と遊ぶ“現役の男”なんです。

その自由奔放な生き様に、「イーストウッドの不良おじいちゃんが堪能できてステキだった」「チャーミングな頑固ジジィ役やらせたら右に出るものはいない」「イーストウッド史上最高に可愛いイーストウッド。 超チャーミングなジッちゃん映画」「『運び屋』のイーストウッド、ホント超かわいい」「愛されお爺ちゃん映画でした…最高」など、憧れと共感の声が続出。

『グラン・トリノ』のニック・シェンクがイーストウッドのために書き上げた脚本をもとに、自分の人生を重ねたかのようなユニークなキャラクターを創り上げたイーストウッド。

90歳になってもブレることなく我が道を行く主人公アールは、運び屋という仕事を続ける過程で、人々と出会い、人生にとってかけがえのない、大切なことを見つけます。

「学ぶことに年齢は関係ない」と語るイーストウッドが、頑固に我が道を行く主人公を通して伝えようとしたメッセージは、日本でも大反響を巻き起こしています。

映画『運び屋』の作品情報


(C)2018 VILLAGE ROADSHOW FILMS (BVI) LIMITED, WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC

【日本公開】
2019年(アメリカ映画)

【原題】
The Mule

【製作・監督】
クリント・イーストウッド

【脚本】
ニック・シェンク

【キャスト】
クリント・イーストウッド、ブラッドリー・クーパー、ローレンス・フィッシュバーン、マイケル・ペーニャ、ダイアン・ウィースト、アンディ・ガルシア、イグナシオ・セリッチオ、アリソン・イーストウッド、タイッサ・ファーミガ、ユージン・コルデロ、ローレン・ディーン、グラント・ロバーツ、ピート・バリス、ロバート・ラサード、ソウル・ウエソ、リー・コック、ノエル・G、クリフトン・コリンズ・Jr.、ダニエル・モンカダ、ポール・リンカーン・アラヨ

【作品概要】
クリント・イーストウッドが約10年ぶりに自身の監督作品に主演。

脚本は『グラン・トリノ』のニック・シェンクです。

共演にブラッドリー・クーパー、ローレンス・フィッシュバーン、マイケル・ペーニャ、ダイアン・ウィースト、タイッサ・ファーミガ、アンディ・ガルシア、そして実の娘であるアリソン・イーストウッドと、豪華キャストが名を連ねています。

初監督作品『アリー/スター誕生』(2018)でオスカーも賑わせたブラッドリー・クーパーは『アメリカン・スナイパー』(2015)で、ローレンス・フィッシュバーンは『ミスティック・リバー』(2004)でイーストウッド監督作品に出演済みですが、両作品ともイーストウッドは監督に専任していたため、本作で念願の共演を果たしたことになります。

映画『運び屋』のあらすじ


(C)2018 VILLAGE ROADSHOW FILMS (BVI) LIMITED, WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC

家族をないがしろに仕事一筋で生きてきたアール・ストーン。

いまは金もなく、孤独な90歳の老人になっていました。

商売に失敗して自宅も差し押さえられて途方に暮れていたとき、車の運転さえすればいいという仕事を持ちかけられたアールは、簡単な仕事だと思って依頼を引き受けます。

実はその仕事は、メキシコの麻薬カルテルの「運び屋」で…。

まとめ


(C)2018 VILLAGE ROADSHOW FILMS (BVI) LIMITED, WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC

本作は現代社会を生きるすべての人に捧げられた、クリント・イーストウッドの集大成です。

イーストウッド自身の生き様が投影された、主人公に、本作を鑑賞した観客からは共感と憧れの声が挙がっています。

いくつになっても成長できるという、力強いメッセージに背中を押されます。

映画『運び屋』は2019年3月8日(金)全国ロードショー。


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