Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

新作映画ニュース

Entry 2021/07/20
Update

映画『DAU. 退行』あらすじ/キャスト/公開日/予告動画。DAUナターシャの続編的作品が世界初劇場公開!

  • Writer :
  • 大塚まき

第70回ベルリン国際映画祭 ベルリナーレ・スペシャル部門正式出品

映画史上初の試みともいえる異次元レベルの構想と高い芸術性が評価され、第70回ベルリン映画祭で銀熊賞(芸術貢献賞)を受賞した映画『DAU.ナターシャ』は、2021年2月27日にシアター・イメージフォーラムほかで世界初となる劇場公開を果たし、ミニシアター・ランキングの上位に長期に渡ってラインクイン。

前代未聞の手法でソ連全体社会を赤裸々に描き出した異色作としてヒットを記録し、全国45館で拡大公開されました。


(c)PHENOMEN FILMS 
 
この度、続編公開希望の熱い声に応えて、「DAU」プロジェクトの劇場映画第二弾、『DAU.ナターシャ』で描かれた、ソ連全体主義社会のその後の世界を描く、『DAU. Degeneration(原題)』が邦題『DAU. 退行』として、2021年8月28日(土)よりシアター・イメージフォーラムほかにて限定公開されることが決定しました

同時にポスタービジュアルと予告編が解禁となります。

映画『DAU. 退行』について

参考:『DAU. ナターシャ』予告編

ロシアの奇才イリヤ・フルジャノフスキーは処女作『4』が各国の映画祭で絶賛を浴びると、「史上最も狂った映画撮影」と呼ばれた「DAU」プロジェクトに着手

それは、いまや忘れられつつある「ソヴィエト連邦」の記憶を呼び起こすために、「ソ連全体主義」の社会を完全に再現するという前代未聞の試みでした。

ウクライナの大都市で、かつてはソ連の重要な知性・創造性の中心地でもあったハリコフに欧州史上最大の1万2千平米もの秘密研究所のセットを作り、実にオーディション人数約40万人、衣装4万着、主要キャスト400人、エキストラ1万人、撮影期間40ヶ月、撮影ピリオドごとに異なる時間軸、35mmフィルム撮影のフッテージ700時間という莫大な費用と15年以上もの歳月をかけて「DAU.」の世界が作り上げられました。

この途方もないプロジェクトの劇場映画第一弾として完成した『DAU. ナターシャ』がコンペティション部門で上映された第70回ベルリン映画祭の別部門で上映されたのが、本作『DAU. 退行』です。

実に6時間9分にも及ぶ大長編であり、『DAU. ナターシャ』が描き出したスターリン体制下の1952年から10年以上が経過した1966年~1968年が舞台となります。

この時代はキューバ危機の後、フルシチョフ時代を経て、スターリンが築き上げた強固な全体主義社会の理想は崩れはじめ、人々は西欧文化にも親しむようになっています。

前作ではカフェのウェイトレスであるナターシャの視点で閉鎖的かつ断片的に描かれた秘密研究所でしたが、本作では一転、カメラは研究所内部に入り込み、様々な人々の複雑な人間模様や共産主義社会の建造物をよりダイナミックに映し出します。

本作で共同監督を務めたイリヤ・ペルミャコフ監督は、「国家が社会的に荒廃していく状況が迫ったときに、どのように気づき、対処するかを、映画という媒体を通して学ぶことはとても重要だと思います。本作は、権力の上層部が超過激派達と、どのように関わっているかという問題を扱っており、単に分析するだけでなく、これらの状況を見たときに皆さんに深く感じて欲しいのです」と語っています。

映画『DAU. 退行』の予告編

この度解禁された予告編では、「共産主義は宗教だ。マルクス、レーニン、スターリンへの信仰。この宗教では進化のために退化し、革命のために破壊せざるを得ない」という冒頭で繰り広げられる宗教学者と科学者の対話の中のセリフで幕明けます。

この秘密研究所では年老いた天才科学者レフ・ランダウのもとで、科学者たちが「超人」を作る奇妙な実験を繰り返していますが、西欧文化の流入と共にかつては徹底的に管理されていた人々の風紀は乱れ、腐敗している状況が赤裸々に描き出されます。

しかし、そんな堕落を上層部が許すはずもなく腐敗を正すために、KGBのウラジーミル・アジッポが派遣されます。

彼は所長に「昔なら黙って銃を渡したが幸い時代が違う。いますぐ辞表を書くがいい」と迫り、彼自身が新所長に就任。

こうして研究所を監視下に置いたアジッポは、次第に特別実験グループと呼ばれる被験者の若者たちと親しくなっていき…。 

後半に挿入されたテロップの通り、本作はイタリアの詩人・政治家、ダンテ・アリギエーリによる長編叙事詩「神曲」の「地獄篇」で描かれた9つの地獄の層にちなんだ9章で構成されています。

映画『DAU. 退行』のポスタービジュアル

今回解禁されたポスタービジュアル(本記事の冒頭に掲載)には、二人の人物が写されています。

右半分の顔は『DAU. ナターシャ』にも登場した老練なKGB(ソ連国家保安委員会)のウラジーミル・アジッポ、左半分の顔は優生学を基にした特別実験グループの被験者マクシム・マルツィンケビッチです。

年代の違う二人の顔はまるで同一人物のように組み合わされており、時代を超えて強固な意志を持つ「ソ連全体主義社会」を具現化したような顔にも見えてくるビジュアルとなりました。

映画『DAU. 退行』の作品情報

【日本公開】
2021年(ドイツ・ウクライナ・イギリス・ロシア合作映画)

【原題】
DAU. Degeneration

【監督・脚本】
イリヤ・フルジャノフスキー

【キャスト】
ウラジーミル・アジッポ、ドミートリー・カレージン、オリガ・シカバルニャ、アレクセイ・ブリノフ

映画『DAU. 退行』のあらすじ

舞台は、スターリン体制下の1952年から10年以上が経過した1966年~1968年。

キューバ危機の後、フルシチョフ時代を経て、スターリンが築き上げた強固な全体主義社会の理想は崩れはじめ、人々は西欧文化にも親しむようになりました。

秘密研究所では年老いた天才科学者レフ・ランダウのもとで、科学者たちが「超人」を作る奇妙な実験を繰り返し、西欧文化の流入と共にかつては徹底的に管理されていた人々の風紀は乱れ、腐敗している状況が続いていました。

しかし、そんな堕落を上層部が許すはずもなく腐敗を正すために、KGBのウラジーミル・アジッポが派遣されます。

彼は所長に「昔なら黙って銃を渡したが幸い時代が違う。いますぐ辞表を書くがいい」と迫り、彼自身が新所長に就任。

こうして研究所を監視下に置いたアジッポは、次第に特別実験グループと呼ばれる被験者の若者たちと親しくなっていき…。

まとめ

この超大作を観れば、第一弾『DAU. ナターシャ』をパズルの1ピースとする、「DAU.」の広大な一枚絵が見えてくるはずです。

スタンリー・キューブリックの『時計じかけのオレンジ』やジョージ・オーウェルの代表作『1984』が描いたディストピアを現代にアップデートさせ、その先の深淵に迫ろうとするような鬼気迫る一大叙事詩に、映画評論家の柳下毅一郎氏は、「十年に一度の衝撃!」とコメントを寄せています

本作は本国ロシアでは上映禁止となったいわくつきの作品ですが、この日本では第一作目の『DAU. ナターシャ』が好評を博したことで、第二作目にして完結編ともいえる『DAU. 退行』が世界で劇場初公開となります。

ファシズム、優生学、性搾取、差別……人間の暗部を余すことなく抉り出す映画『DAU. 退行』は、現代社会への警鐘を鳴らします。

この貴重な機会にぜひ劇場でお楽しみ下さい。

映画『DAU. 退行』は、2021年8月28日(土)よりシアター・イメージフォーラムほかにて限定ロードショーです。


関連記事

新作映画ニュース

韓国映画『鬼手(キシュ)』あらすじ/キャスト/公開日。クォン・サンウがヴァイオレンスノワールに挑む!

この男、阿修羅となる―。 クォン・サンウが3か月以上のトレーニングを行い、6キロ以上の筋肉を増量し、体脂肪9%という驚異的な肉体で挑戦し話題となったヴァイオレンス・ノワール『神の一手:ギス編(原題)』 …

新作映画ニュース

中村倫也が奇跡を起こした映画『長いお別れ』の本編映像解禁!中野量太監督の撮影秘話も

“持ってる男”中村倫也が起こした奇跡とは 中野量太監督が、中島京子の同名小説を映画化した『長いお別れ』が2019年5月31日(金)に全国ロードショーとなります。 蒼井優、竹内結子、松原智恵子、山﨑努と …

新作映画ニュース

【大阪アジアン映画祭2020情報】オープニング上映は『夕霧花園』 /クロージングは『蒲田前奏曲』に決定!

第15回大阪アジアン映画祭開催情報 オープニング作品、クロージング作品決定! 2020年3月6日(金)から3月15日(日)まで開催される第15回大阪アジアン映画祭。 (c)大阪アジアン映画祭 オープニ …

新作映画ニュース

韓国映画『工作 黒金星と呼ばれた男』あらすじとキャスト。日本公開オリジナルポスターのビジュアル解禁!

カンヌ国際映画祭執行委員長も称賛! 第71回カンヌ国際映画祭ミッドナイトスクリーニングに公式招待された韓国映画『工作 黒金星(ブラック・ヴィーナス)と呼ばれた男』が2019年7月19日(金)よりシネマ …

新作映画ニュース

映画『ボクたちはみんな大人になれなかった』関口賢太役は東出昌大!演技力の評価とプロフィール

映画『ボクたちはみんな大人になれなかった』は2021年11月5日に劇場公開及びNetflixにて全世界同時配信予定。 燃え殻による恋愛小説を原作とした『ボクたちはみんな大人になれなかった』が、2021 …

【坂井真紀インタビュー】ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』女優という役の“描かれない部分”を想像し“元気”を届ける仕事
【川添野愛インタビュー】映画『忌怪島/きかいじま』
【光石研インタビュー】映画『逃げきれた夢』
映画『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』伊澤彩織インタビュー
映画『Sin Clock』窪塚洋介×牧賢治監督インタビュー
映画『レッドシューズ』朝比奈彩インタビュー
映画『あつい胸さわぎ』吉田美月喜インタビュー
映画『ONE PIECE FILM RED』谷口悟朗監督インタビュー
『シン・仮面ライダー』コラム / 仮面の男の名はシン
【連載コラム】光の国からシンは来る?
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
日本映画大学