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Entry 2018/03/10
Update

『しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス』あらすじネタバレと感想。ラスト結末も

  • Writer :
  • 西川ちょり

サリー・ホーキンスとイーサン・ホーク、オスカーノミネート実力派2人が紡ぐ夫婦の姿が感動を呼ぶ『しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス』をご紹介します。

カナダでもっとも有名な画家、モード・ルイスと彼女をささえた夫のエベレット。二人の生き方が「本当の幸せ」を問うてきます。

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1.映画『しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス』の作品情報


(C)2016 Small Shack Productions Inc. / Painted House Films Inc. / Parallel Films (Maudie) Ltd.

【公開】
2018年(カナダ・アイルランド合作映画)

【原題】
MAUDIE

【監督】
アシュリング・ウォルシュ

【キャスト】
サリー・ホーキンス、イーサン・ホーク、カリ・マチェット、ザカリー・ベネット、ビリー・マクレラン

【作品概要】
カナダの女性画家モード・ルイスと彼女の夫の半生を、サリー・ホーキンスとイーサン・ホークの共演で描いた感動の人間ドラマ。

2.映画『しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス』のあらすじとネタバレ


(C)2016 Small Shack Productions Inc. / Painted House Films Inc. / Parallel Films (Maudie) Ltd.

カナダ東部のノバスコシア州。小さな町の叔母の家に滞在していたモードは、自分の家に帰りたがっていました。

兄がやって来たので、モードは迎えに来てくれたと喜びますが、兄にその気は一切なく、あろうことか、家を売り払ったと言い出します。

あの家を売るだなんて! モードは兄を問いただそうとしますが、彼は姉の荷物を床に放り投げると、姉を叔母に押し付け、さっさと帰ってしまいました。

若年性関節リウマチを患い、幼い頃から体が不自由だったモード。両親が他界した後は、一族からは厄介者扱いされていました。

絵を描くことがモードの生きがいでした。

ある夜、こっそりクラブに行って帰ってきたところを叔母に咎められます。「懲りていないのね」彼女は厳しい調子でモードを叱りました。

モードが商店で買い物をしていると、男が一人、店にはいってきました。家政婦募集の広告を出したいと店主に代筆を頼んでいます。

字が書けない上に、言葉もなかなか出てこず、男は苛ついて怒鳴り声を挙げていました。

町はずれの小屋に住み、魚の行商を営むエベレットという男でした。

モードは掲示板に貼られた家政婦募集の紙をとると、持ち帰りました。

叔母は束縛が厳しく、自由を愛するモードは叔母から逃れるため、住み込みの家政婦になろうと決意します。

遠い道のりを歩いてエベレットの家まででかけたモードでしたが、エベレットは彼女には家政婦は無理だと判断し、一旦家に返します。

しかし、仕事仲間から、もし応募があるのなら雇えとアドバイスを受け、モードを家政婦に迎えることにしました。

孤児院育ちで、学もなく、生きるのに精一杯だったエベレットはぶっきらぼうで、仕事の指示がほしいというモードに自分で考えろと怒鳴りつけます。

小さな家には住み込みで働くモードの部屋もなく、エベレットのベッドに二人で眠るような環境。

エベレットはことあるごとに、ここは俺の家だ、嫌なら出て行け、ボスは俺だと怒鳴り、モードを邪険に扱います。時には暴力をふるうことも。

傷ついた心を癒やすように絵筆を持つモード。壁にペンキで絵を描いていきます。

不思議なことにエベレットはそれをあまり咎めませんでした。

モードの絵は殺風景な家を愛らしく変えていきました。

そんな時、ニューヨークから休暇でやって来たという女性が訪ねてきます。彼女はサンドラと名乗りました。エベレットに注文した魚が届かないというのです。

女性は家の壁に描かれた鶏の絵を見て「あなたが描いたの?」と尋ねました。

「この子が一番幸せだったときのことを絵にしたの」と応えるモード。ここに来た頃、料理するために殺めた鶏のことを思い、絵に描いたのでした。

女性はモードの絵を気にいったようでした。

モードはカードに絵を描き、忙しすぎるエベレットの仕事のメモを取るように心がけました。

この頃からモードはエベレットの手押し車に乗り、行動を共にし始めます。はみ出し者同士の同居生活は、孤独だった心を癒し、いつしか互いを認め合う関係になっていました。

サンドラに魚を持っていくと、サンドラはカードを買いたいといい出します。

時がたち、再び避暑でこの地にやってきたサンドラは二人の家を訪ね、もう少し大きな絵が欲しいのと言います。

エベレットの指示で一枚5ドルだと言うと、彼女は10ドル支払い、また描いてニューヨークに送ってほしいと依頼してきました。

「あなたって凄いわ。お金を要求するなんて」とモードはエベレットを見ていいました。そして「絵が売れた」と嬉しそうに微笑みました。

モードについての記事が新聞に掲載されます。あなたのことも載っているわと、モードは記事を読み上げるのでした。

毎日せっせと絵を描くモードに「家事もするんだ」と苦言を呈するエベレットでしたが、「掃除だけは俺がしてやろう」と箒を持ち出します。

ある晩、ベッドの中でエベレットはモードの体に手を回しますが、モードは「するなら結婚して」と言います。

そして、過去に妊娠し、生まれてきた赤ん坊は障害があったために死亡したことを告白。エベレットは驚きます。

モードの絵を求め、大勢の人々が車に乗ってやってくるようになりました。

「なぜ結婚しないの?」とモードが問うと、エベレットは「俺は皆が嫌いだ」と応えました。

「向こうもよ」とモードは突っ込みつつ、「でも私はあなたが好きよ」と彼に向かって言うのでした。

やがて二人はささやかな結婚式を挙げます。家に戻った二人は互いに手をとりました。「今日だけだぞ」とエベレットは言い、二人はゆっくりステップを踏み始めました。

そんな時、モードの兄が現れました。彼女の絵が売れていることを知り、金の管理をちゃんと出来る人間が必要だろうとのたまいます。

モードは借金を抱え、想い出の詰まった大切な家を売った彼がそんなこと出来るはずがないと指摘。「さようなら兄さん」と別れを告げるのでした。

モードの絵は多くの人に知られ始め、ニクソン大統領夫人からも依頼が舞い込むまでに。

「網戸が買えるかも知れない」というモードに「家のことは全部俺がやってやる。だか網戸なんかいらん」とエベレットは怒鳴りました。

しかし、数日後、彼は無言で網戸を設置し始めました。網戸がついてにっこりするモード。

テレビにも取材され、モードは「彼が止めなかったからどんどん増えたの」とインタビューに応えていました。

エベレットは「彼女は絵を描くだけ。家のことは全部俺がやっている。よその家とは少し違うんだ」と応えます。

ある日、体を悪くして、病院に通っているモードの叔母とエベレットが偶然出逢います。

叔母はエベレットに「女房に稼がせているくせに文句ばかり言って」と絡み、モードを来させるように、と要求しました。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス』ネタバレ・結末の記載がございます。『しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

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叔母の容態が悪いと聞き、エベレットに一緒に行こうと誘いますが、彼は拒否します。「みんな知らないんだ。お前がどれだけ手がかかるか」

一人で遠い道のりを歩いてやってきたモードに叔母は語りかけました。「うちの一族で幸せになったのはお前だけよ」。

そして、後悔を抱えたまま死にたくないと言ってあることを告白します。

それは、モードが生んだ子どもには障害はなく、今も生きているという事実でした。

兄が裕福な夫婦に金目当てで売ったというのです。その子は女の子で幸せに暮らしているらしい、お前にも抱かせてやればよかった、と叔母は言い、モードは動揺するばかりでした。

帰り道。モードが歩いていると、エベレットが車で迎えに来ました。

「うんざりだ。朝起きるといつも誰かが訪ねてくる」と愚痴るエベレットにモードは子どもが生きていたことを告げますが、「余計やっかいだ」と彼は言い放つと結婚したことは失敗だったと続け、モードを傷つけました。

モードは家を出て避暑にやってきていたサンドラの家に転がり込みました。

「あなたとは長い付き合いだけど、あなたを駆り立てるものは何?」と彼女は尋ねます。

「絵筆さえあれば幸せなの」とモードは答えました。「私は窓が好き。一つのフレームに命の輝きが見えるの」

エベレットが迎えにやって来ました。車の窓から、外を眺めるモード。

「俺を捨てるな」エベレットは言いました。

「なぜ捨てるの?」「だめな亭主だ」「いいえ、私はあなたと暮らすのが幸せよ」

モードは手をエベレットの手に重ねました。

突然エベレットが車を停めたので理由を聞くモード。「あれが彼女の家だ。お前の娘だ」

彼は、モードの娘の家を探してくれたのです。ちょうど中から、若い女性が出てきました。

父親らしき男性と和やかに話しを交わし、ドアの前の木をちょっとばかり剪定して彼女は家に戻っていきました。

その夜、ベッドの中でモードは呟きました。「きれいな子。完璧だわ」彼女は微笑みました。

それから数十年が過ぎ、モードは震える手で絵筆を握っていました。医者からは肺気腫と診断され、煙草をやめるように注意されていました。

寒い雪の積もった日、モードが苦しみだします。エベレットは慌てて彼女を車に乗せ、病院に運びました。

「お前は最高の女房だった」と語りかけるエベレットにモードは「来て。私は愛されていたの。ずっとあなたに」と囁き、やがて目を閉じました。

病院を後にし、家に戻ってきたエベレットは、一人ソファーに座っていました。

モードの持ち物である缶を開いてみると、彼が貼り出した家政婦募集の紙が出てきました。

彼は思い出したように外に出ると、「絵を売っています」と書かれた看板を取り入れ、そっとドアを閉めるのでした。

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3.映画『しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス』の感想と評価


(C)2016 Small Shack Productions Inc. / Painted House Films Inc. / Parallel Films (Maudie) Ltd.

家政婦と雇い主という関係で始まったモードとエベレット。最初の頃のエベレットのモードに対する態度は支配的で、決して見ていて心地よいものではありません。

しかし、エベレットに扮するイーサン・ホークは、彼の高圧的で無骨な態度の裏側に、善良さを持ち合わせている様子を「戸惑い」という形で示してみせます。

いつもより、体重を増やして役になりきったイーサンが、モードの発する言葉や行動に思考を停止したかのように、あるいはあわてて思考を巡らせようとして戸惑っている様は、思わず可愛らしいと思わせるものがあります。

それはモードを演じたサリー・ホーキンスにも当てはまります。モードの可愛さ、ユーモアは、演技というよりは、サリー・ホーキンスが持つ天性のものかと思えるほどです。

モードを好きにならずにはいられません。


(C)2016 Small Shack Productions Inc. / Painted House Films Inc. / Parallel Films (Maudie) Ltd.

エベレットが、モードが壁に描いた鳥を「天使」と言うシーンがあります。

彼はモードがこれを描いたことに不服を述べているのですが、この絵が天使に見えるだなんて、やっぱりこの人、悪い人ではないと思わせるに十分なエピソードです。

誰が壁に絵を描いていいと言った!というエベレットに部屋をキレイにしろといったじゃないとモードが言うのですが、思わず笑ってしまいました。その発想に感服です。

厳しい生活状況の中でもユーモアを忘れず、絵が売れ始めても、小さなコテージに住み続けたこの夫婦の絆をアイルランド出身の女性監督、アシュリング・ウォルシュは暖かな眼差しで描いています。

二人の出逢いはある意味、奇跡のようなものです。もし仮に、モードが社会的に恵まれた環境で育ち、エリート男性と結婚したとしても、男性(あるいはその周辺)が、彼女が絵を描くことに理解を示さなければ、幸福に過ごせたとは限らないのですから。

おそらく好きなものがあるということは幸せになれる条件のひとつなのです。

そして、それを応援して、後押ししてくれる人がいるということ、しかもそれが伴侶であることほど幸せなことはないでしょう。

普遍的な「夫婦映画」「結婚映画」としても記憶しておきたい作品です。

4.まとめ


(C)2016 Small Shack Productions Inc. / Painted House Films Inc. / Parallel Films (Maudie) Ltd.

カナダを代表する画家モード・ルイスと、彼女を支えた夫、エベレットの人生と、モードが描いたカナダの美しい風景が心に迫る名作です。

幸せとはなんなのか? 幸せになるとはどういうことなのか? この物語は、それを私たちにそっと示してくれます。

その人の人柄や、生き方が、作品には現れるものだとよく言われますが、『しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス』を観れば、モード・ルイスの絵がより一層、深く心に染みてくるのは間違いありません。

映画が終わり、エンドロールの合間にモードの絵が紹介されます。彼女の絵が映るのをわくわくして待つこととなります。

こんなに見応えのあるエンドロールもそうないのではないでしょうか。物語が終わっても席を立たないことをお薦めします。

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