映画『宮本から君へ』は2019年9月27日(金)より全国ロードショー公開!
2018年にテレビドラマ化され、多くの反響を呼んだ新井英樹の漫画『宮本から君へ』(1990〜1994)。
この度公開される映画では、ドラマでは描ききれなかった原作漫画の後半部分を描きます。
ドラマに引き続き、監督を務めたのは真利子哲也。そして不器用だがトコトンまっすぐな主人公・宮本浩を引き続き演じたのも、近年数々の話題作に出演し、ドラマ以前から“人間・宮本”と向き合ってきた池松壮亮です。
映画『宮本から君へ』の作品情報
【公開】
2019年(日本映画)
【原作】
新井英樹
【監督】
真利子哲也
【脚本】
真利子哲也、港岳彦
【キャスト】
池松壮亮、蒼井優、井浦新、一ノ瀬ワタル、柄本時生、星田英利、古館寛治、佐藤二朗、ピエール瀧、松山ケンイチ
【作品概要】
『ディストラクション・ベイビーズ』で国内外の映画賞を獲得した真利子哲也監督が、全話の脚本および監督を務めたテレビドラマ版を経て完成させた劇場版作品。映画ではドラマでは描ききることのできなかったヒロイン・靖子との物語を描き、そこには原作漫画における屈指の名場面の一つである“非常階段での決闘”も含まれています。
主演はドラマからの続投であり、原作漫画とその主人公・宮本浩を敬愛してきた池松壮亮。また柄本時生、星田英利、古館寛治、松山ケンイチもドラマ版から続投。さらにヒロイン・靖子の元恋人・裕二役の井浦新をはじめ、一ノ瀬ワタル、佐藤二朗、ピエール瀧が出演しています。そして強さと脆さを併せ持つヒロイン・靖子を務めたのは、池松の激しい熱量を持った苛烈な演技に対し真っ向から対峙できるほどの実力を持つ女優・蒼井優です。
映画『宮本から君へ』のあらすじとネタバレ
文具メーカーで働く若手サラリーマンの宮本浩。どうしようもなく不器用で社会では生きづらい性格を持ちながらも、その情熱と愚直さによってなんとか成長していきます。
その中で会社の先輩の友人である中野靖子と出会い、親しくなります。
やがて、靖子の家に呼ばれ夕食をごちそうになる宮本。するとそこに、靖子の元恋人の裕二が押しかけてきます。
ヒモ体質で浮気性の裕二との腐れ縁に疲れてしまっていた靖子は、宮本に救いを求めます。
そして靖子の気持ちに応えた宮本は、裕二に対し「この女は俺が守る」と言い放ちます。
それを機に二人は結ばれ、照れくさくも幸せな日々を過ごすことになります。
ある日、営業先で気に入られた宮本は取引先の部長である真淵や大野と親しくなり、彼らが所属している草ラグビーチームの一員になることに。
靖子を連れて飲み会に参加した宮本は調子に乗って飲みすぎ、すっかり泥酔してしまいます。
そこで真淵は息子の拓馬を呼び出し、二人を送るように命じます。拓馬は100キロを超す巨漢で、「怪物」とも呼ばれていた大学ラグビーの経験者でした。
二人に好意的に接する拓馬は、靖子の部屋まで送り届けます。
映画『宮本から君へ』の感想と評価
塚本晋也監督が2018年に発表した映画『斬、』に続き、メインカップルを演じることになった池松壮亮と蒼井優。
その演技力に定評のある池松壮亮ですが、そんな彼をして“化け物”と評させる蒼井優の演技もまた圧巻です。
ドラマから続投して出演するキャスト陣の登場は抑えられていますが、代わりに映画から登場する井浦新や佐藤二朗は流石の演技を見せてくれます。
『引っ越し大名!』に続いて、さり気なく出演しているピエール瀧もまた、良くも悪くもそのアクの強さは健在です。
そしてさらに注目すべきキャストは、巨漢・拓馬を演じるために体重を30キロも増量、文字通り「怪物」と化した一ノ瀬ワタル。
元格闘家の俳優であり、これまでにも『HIGH&LOW』シリーズや『クローズ』シリーズなどアクション映画で活躍してきた彼は本作にて一世一代のベストアクトを見せ、映画全体の勢いを加速させるという重要な役割を果たしました。
蒼井優は本作について、撮影3日目でヘトヘトになり、今までの映画の現場で一番疲弊・消耗したと語っています。それほどまでに苛烈な、演技を超えた感情のぶつかり合いをこの映画で見ることができます。
まとめ
映画『宮本から君へ』は、映画だからこそ成り立つ作品でもあります。
ドラマ版で描かれた原作漫画の前半部分は「サラリーマン編」とも呼ばれ、不器用な青年・宮本の熱すぎる成長の物語です。その過程を一つずつ描いてゆく方法として、話数を積み重ねてゆくテレビドラマという形は上手くはまっていました。
一方で、映画にて扱う後半部分のエピソード群は、テレビドラマにおける「物語を分割して描く」という方法にはあまりにも不向きな内容と言えます。
真利子哲也監督は映画化以前から「ドラマで前半、映画で後半を」と考えていたとのことですが、この選択は最良のものといえるでしょう。
映画という方法だからこそ、そしてR15指定だからこそ描ける『宮本から君へ』が映画『宮本から君へ』なのです。
スクリーン越しに伝わってくる圧倒的な熱量を全身で浴びたいという方は、ぜひ劇場に足を運んでみてください。